ベテル (35-1~15)
神がヤコブに言われるには「たって、ベテルに上り、そこに住み、またそこに君が兄エサウを避けて逃げた時、現れ給うた神に、祭壇を作りなさい」と。ヤコブはともにいた全ての人々と一緒にカナンの地のルズすなわちベテルにキタ。ヤコブはそこに祭壇を築き、その場所を「神の家」(ベースエール)と名づけた。何故ならかつて彼が兄の顔を避けて逃れた時、神がその場所で彼に現れ給うたからである。そこでリベカの乳母のデボラが死んだのでベテルの下手の大木の下に葬られた。それゆえそれを歎きの大木と呼んだ。バッダン・アラムから帰ってきたヤコブに再び神が現れ、ヤコブを祝福し、彼に言われた。「君の名はもうヤコブと呼ばないでイスラエルと言いなさい。」
ヨセフ、エジプトへ来る (37)
イスラエルはヨセフが年寄子なので子供たちの誰よりも一番彼を愛し、彼のために飾りのついた上衣を作ってやった。兄弟たちは、その父が子の中で一番ヨセフを愛しているのを見て、ヨセフを憎み、穏やかに彼に口を利くことすらしなかった。兄弟たちは遠くからヨセフがやってくるのを見て、まだ彼らに近づく前にヨセフを殺してしまおうと相談した。ユダがそれを聞いてヨセフを彼らの手から救い出そうとした。「弟を殺してその血を覆い隠すようなことをしたところで、何の得にもならない。ヨセフをあのイシマエル人たちに売ろう。ヨセフに手を加えてはいけない。我々の肉親の弟ではないか。」 そこで兄弟たちもユダに同意した。ミデヤン人の商人たちが通りかかった。彼らは穴からヨセフを引き上げ、銀20枚でイシマエル人に売ったのでイシマエル人はヨセフをエジプトに連れて行った。兄弟たちはヨセフの上衣をとり、牡山羊を殺してその血にその上衣をひたした。父はそれを認めて言った、「これは我が子の上衣だ。猛獣が食い殺したのだ。」 ヨセフのためにその父は歎いた。

ヨセフとその主人の妻 (39)
パロの廷臣で侍従長のポティファルがヨセフを買い取った。ヤハウェでヨセフとともに在したので、ヨセフのすることは万事うまく行った。ヨセフは主人の寵愛を獲、近く侍り、主人はヨセフをその家の管理人とし、全財産を彼の手にゆだねた。ヨセフは顔も容姿も美しかった。主人の妻は「私と寝ておくれ」と言い出した。ヨセフはその着物を彼女の手に残し、外へ逃れた。彼女は「ヘブライ人などをこの家に入れたものだから、私たちにいたずらをしに来てこまってしまう。今も私と寝ようとしてやってきたのです。私が大声で叫んだので、外へ逃げていきました。」 ヨセフの主人はヨセフを捕らえて彼を王の囚人がつながれている獄に入れた。
ヨセフ夢を解く (40)
エジプト王の酒人ち膳夫がその主君であるエジプト王に罪を犯した。パロはヨセフの獄に二人を監禁した。酒人と膳夫は二人とも同じ夜に夢を見、しかもそれぞれ意味ある夢であった。ヨセフはその夢を解いた。3日後、パロの誕生日、パロはその全ての家来のために宴席を設けた。そして酒人の長を酒を注ぐ役目に戻したので、彼はパロ手にその杯をささげた。他方膳夫の長はヨセフの解いたように木にかけられた。しかし酒人の長はヨセフのことを思い出さず彼のことを忘れていた。
パロの夢とその実現 (41)
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ある時パロはナイル河の畔に立っている夢を見た。見るとナイル河から7匹の美しい、また肉の肥えた牝牛が上ってきて、河辺の草を食んでいた。さらに見ていると、他の7匹の牝牛がその後を追ってナイル河から上ってきた。その7匹は醜く、また肉の痩せた牝牛であった。彼らは川の畔で先の牝牛に相対して立った。そして醜く、また肉の痩せた牝牛が、美しくまた肉の肥えた牝牛を食い尽くした。パロはそこで目が覚めた。
 朝になってパロの心は不安に堪えず、人を遣わしてエジプトの全ての占い師と全ての賢者を呼び、彼らにその夢を語ったが、それをパロに解く者がいなかった。酒人の長はパロに「今日思い出しました。侍従長の僕でヘブライの若者がいまして、彼に私たちの夢を語りましたところ、その夢を解き明かしてくれました。」 パロはヨセフを呼び、ヨセフは「神はその為そうとして居られることを、王に告げ給うたのです。7匹の良い牝牛は7年です。7匹の痩せた牝牛もやはり7年です。それは、7年の飢饉が来るということです。最初の7年は、エジプト全地に満ち溢れる実りがあるでしょう。それから7年の飢饉が後に続くでしょう。全ての先の実りはエジプト全国で忘れ去られてしまうでしょう。後に来る飢饉がとても酷いからです。王は国中に知事をおいて、7年の豊作の時にエジプト全地が作物の5分の1を蓄えるようにさせなさるが良い。この豊年の全ての食料を集めさせ、穀物を王のお手元に貯え、食料を町々で管理させるが良い。これらの食糧はエジプトの地に臨む7年の飢饉に備え、この地のために貯えなければなりません。そうすればこの地は飢饉によって滅ぼされることがないでしょう。」
 豊作の7年は終わり、飢饉の7年が始まった。飢饉は全ての国々に臨んだが、エジプト全土には食物があった。エジプト全国は飢え、民はパロに向かって食物を求めて叫んだ。パロは「ヨセフのところへ行け、彼らはお前たちになすべきことを告げるだろう。」 ヨセフはすべての穀物倉を開かせ、エジプト人に穀物を売った。飢饉はエジプトの国に酷かった。また全ての国の人々が、穀物を買うためにエジプトのヨセフの所に来た。