ローマの食糧サミットでは150カ国もの代表が演説をした。ブラジルのルラ大統領は予定の5分を大幅に超え、20分近くもしゃべり続けた。その直後が福田さんである。300人ほど米国などを刺激しそうな部分をわざわざ省いて、短めに終わった。誰の反発も買わない、大人しい語りはほとんど報じられなかった。会議の片隅に目をやると、官僚が20人もの日本人記者を集めて会議内容を逐一伝えていた。国際会議で必ず目に刷るこの光景を、以前は異様と思っていたが、少しはなれて眺めると、その集団は大声一つあげず、壁の絵のようにある。近付けば、ささっと資料を手渡してくれる。国際会議で日本の代表には自分の言葉で語り、もっと目立って欲しいと思った時期があった。でも最近は、何も無理しなくて良いと思うようになった。場の邪魔にならず、誰とも対立せず、決して目立たない。それはそれで一つの持ち味で、良いのではないかと思う。-
私も全国有化に向う日本経済や、多様性を許容しない日本文化を憂いた時期もあったが、それが日本だ、変わらなくていいし、日本でそのままやっていれば良い、ただ、俺はそれに付き合わないだけだと思うようになった。