09年4月、中国は原発の「積極的開発」から「強力的開発」へと開発方針を転換した。2010年3月、政府は、20年までに原発能力を4000万kWにするという目標を引き揚げて8000万kWにすることにしている。10年12月時点で中国の原発の設備容量は1080万kW、電源構成の中でわずか1.2%を占めているにすぎない。建設中の原子力発電所は25基、発電能力が2773万kW。稼働中の原発設備は13基だが、その原子炉に関する自主開発技術・国産化はまだ低い。これまでに導入された原子炉は、国産設計、フランスから導入したPWR型炉、ロシアのVVER-1000(PWR型)、カナダのCANDU-6と様々である。現在、6箇所の原子力発電所で、ユニット13基が稼動しており、このほか、08年より嶺澳(広東省)、秦山・方家山(浙江省)、紅沿河(遼寧省)、寧徳(福建省)、陽江(広東省)などの原発基地が拡張または建設中で、09年以後には、三門(浙江省)、海陽(山東省)、腰古(広東省)、栄成(山東省)、福清(福建省)、防城港(広西チワン族自治区)がそれに続く状況である。こうした中、中国原発も技術蓄積・成長により、国産化率が80%を声、三門・海陽のように第3世代(AP1000)の技術を導入した原子炉の建設も本格化している。
原発建設・運営において、中国は積極的に外資・技術導入を行っている。例えば、09年12月に広東核電集団がフランス電力公社(EDF)と合弁し、広東省台山原発有限公司を設立した。その合弁は、相手の技術・運営管理ノウハウを吸収するためである。同発電所は、フランス側の欧州加圧水型原子炉(PWR)の第3世代技術を導入する世界で3番目の原子力発電所であり、第一期工事では発電機2基を建設、出力は175万kW、年間260億kWhの電力を供給、CO2排出量を年間約2300万トン削減できると見られている。また、中国の原発設備の大量導入により、ウランの需要が増大している。それにより日本などのウラン調達にとって獲得競争がさらに厳しくなり、国際市場におけるウラン資源争奪の激化や中央アジア、オーストラリア、カナダなどウラン資源保有国のウラン価格が上昇することも予想される。さらに、中国における原発能力の短期間での急拡大については、人材養成、原子力の保安、設備の品質保証などの問題も懸念される。