・激しいVolatility Term Structureと低ボラティリティ
S&P500 Index Optionsの世界では、Weekly Optionsが毎週上場されるため、1week、2weeks、3weeks、1MonthのVolatilityが恒常的に観測できる。さらに長いところでは2年まで、Put/Call、OTMからITMまでばっちりAsk/Bidが取れるほどのジャブジャブの流動性がある。そこで、1weekから2yearsまでのATM Mid Volatilityを観測することにしよう。
Sp500-Vol-TS.jpg
10%~18%という美しいコンタンゴを描いていることがお分かりいただけよう。最も短いものは、常に5営業日未満が提供されており、残り3営業日の状態だと、10%を割り込んで、6-8%程度にまでのImplied Volatilityで取引されている”効率的市場”である。この激しいIVのコンタンゴは、来るべきクライシスまで、保たれる傾向があるので、オプションの売り手は、短いオプションは激しく低いIVで取引されているので、1週間以下の超短期を売ることで、年率ベースで激しいプレミアムを得ることが難しいという理にかなった形状である。一方、普通の短期、1Month未満に関しては、ボラティリティが時間変動しないという想定の基で計算される単なる時間微分∂/∂tよりも大きいTime Decayを得られる。逆にTime Decayが小さい長いオプションを買ったとしても、時間に応じてIVがわずかながらに下がる効果と大きなVegaによって、予想以上のDecayを喰らいそうなカーブ形状なのである。
美しいコンタンゴと言いながらも、よく見ると、タームストラクチャー内で、単調増加でない”歪”が存在していそうに思えるが、全てが10セント幅(日経225の1円単位相当)で取引されるS&P500においては、その原因はTick幅やAsk/Bidの偏りではない。通常のオプション、毎月第3金曜日で満期を迎えるオプションは金曜の寄付の価格でセトルされるAM Settleである。一方で、WeeklysやQuarterlysなどは、週末の15:00、月末最終取引日の15:00でセトルされるPM Settleと丸・一営業日の取引時間分だけの差が存在する。それに加えて、私が取引している業者の満期日の表示方法のルール、AM Settleは満期日当日で表示されるが、PM Settleは土曜日満期、Quarterlysは翌月満期(例えば10月1日など)と表示されている。そして時間を連続的なNow()ではなく、「夜、エクセルを開いた瞬間に、セータが落ちましたw」という離散的なToday()で見ているため、PMとAMのセトルの違いを私の主観によって不適切な調整をしていることが最大の原因なのである。短いオプションは調整的に取引する立場である私は、そこの違いを細かく追求してはいないが、短期専門でGreeksが大好きな個人投資家諸君は、ここの違いは意識しないと怪我をすることになろう。