カテゴリー: 株式投資

田舎者の集まりに過ぎない日本市場 2016年米国大統領選を振り返って

トランプ大統領当選は2016年11月のアジア時間だった。その時のことを覚えているかね? 周囲が笑顔と拍手で当選を祝う中、トランプに笑顔はなかった。「うわっ、本当に当選しちまったよ、こりゃこれから大変なことになる」とでも言いたげな表情だった。

米国市場の夜間だったが、トランプ当選を受けての日本市場の動き11月9日のOpen to Close、一方、米国市場は11月8日から9日にかけてのClose to Openが、そのニュースを株価が織り込みに行った結果なのだが比較してみよう。

「トランプが大統領になってしまったーーー!これから大変なことになるーー!」と激しく動揺して下げたのは日本市場が一番だった。当のアメリカはほとんど変動なしで始まっているのにだ。実に情けないと思わんかね? Brexitの時もそうだった。この株価の動き、田舎臭いと思わんかね? 俺、田舎と田舎者、狭く愚かな世界での意思決定の中に、身を置きたいと思わない。

日本のように政策が不明確な状態の選挙で、民主党政権に何かを期待して株価が上がるなど田舎市場の極み。政策が明確だったとしても、従来は分配を変えるだけなので、軍需セクター売りの、医薬品買いで全体には影響ないというのが通例だ。ただ、トランプは法人税減税、これは官から民への所得移転なので全体にも影響する「政策」で、「法人税減税」で米国市場の株価は上がったと言っても過言ではない。

日銀がどう動くか?なんてのが株式市場の主たる話題とは、市場原理を無視した汚らわしい状態以外の何物でもない。製造業はまだ良い、日本の非製造業のドメっぷりは実に情けない。例えばソフトバンクG、あれだけ海外の子会社を持ち、相当積極的に海外事業もやっているという印象だろうが、「ソフトバンク」なんて企業名、誰が知ってる?バンクだから銀行なの?と思う奴もいるくらいだぞw また、製薬、通信、銀行をはじめとする金融機関、世界の誰でも知ってるブランドがない。しかしブランド力がある日本の製造業も先行きは暗い。今や中国でさえ、製造現場は他の東南アジアに奪われている。衣料品などの軽工業は中国でもMade In バングラデッシュなどが主流だ。早い所アップルのようにソフトウェアなどに転換しないと先進国の産業として維持するのは難しいだろう。

私が最も嫌悪をしているのは日本のIT系企業。そもそも時価総額のトップランキングにほとんど入っていないのも問題だが、日本国外での認知はゼロにも等しい。老舗の日立は聞いたことがあるが、ITというよりBtoBの重厚長大産業、日立を含め、ソニー、富士通、パナ、東芝、NECの製品を日本以外の家電量販店で見かけることはほとんどない。新興の楽天、LINE、サイバーエージェント、何してんの?って感じでしょ?

さて、「政策や選挙は株式市場全体には影響しない」とまで言っておいて何なんだが、米国市場、S&P500のオプション市場のImplied Volatilityのタームストラクチャーがどんな形をしているか知っているかね? 現在のところ11月や12月までのIVが高い。コンタンゴでもバックワーデーションでもない、6Mが一番高いいびつな構造である。すなわち、11月の米国大統領選の行方を不安視している、というマーケットコンセンサスだということだ。


究極の優良企業は債務超過

フィリップモリス、マクドナルドの株主資本はマイナス、すなわち債務超過状態にある。コロナで大赤字出したの?  違ーう、両社とも超健全経営の黒字続きだ。このことはスターバックスなどとともに数年前の日経新聞にも掲載されていたはずだが、覚えていたかね?

結論は述べたので、詳細と背景は少し、もったいぶろう。話のきっかけは…。

Wirecardの負債総額、4000億円程度か。小さいな。将来訪れる次のショックとなりえるのは、リーマンショックで負債総額70兆円なのだから、100兆円を超えてしかるべきだ。銀行以外で資産総額100兆円を超える企業ってあるのだろうか? と有栖川氏と議論が始まり、二人で調べ始めた。アメリカを代表するGAFAMの資産総額はいずれも20~30兆円。純資産ではなく総資産がだ。GAFAMの株式時価総額は600兆円を超えている。GAFAMは最低限の現金と土地くらいしか持っていない、世界最大の会社は、ほとんど何も持っていない状態で、世界最大の利益を生み出している。ゴーダマシッタールタの再来、カイジのEカードの皇帝に勝る「持たざる奴隷」が最強の時代が到来しているのである。

ここまで、とりあえず、ついてこれるか?

AAPLは製造業なのか?iPhoneというハードウェアを売りながらも自らは生産せず工場も持っていない。バランスシートを極小化して、究極に純利益と株主還元を追求した最終形なのだ。もはやPBRとかROEなどという数値は、意味をなしていないのだ。

GAFAMが持たざる奴隷とするならば、銀行以外でどの会社が資産を持っているのだろうか?VISA?いかにも持ってなさそうだ。案の定7兆円くらいしかない。えー、えー、ではWalmartはどうだ?超老舗のAT&Tは?あっ、Disneyはそれなりにあったはずだ!超大手企業なのに資産総額が100兆円を超える企業は見つからない。

そうやって調べているうちに…

MCD(マクドナルド)もWMTやDISの資産総額がそれほど大きくないなら、それと似たようなレベルだよな。その通りだったのでスルーしようとした時、冒頭に述べた驚愕の数値が目に入った。純資産がマイナスなのである。Yahoo Financeが間違えているのかと思い、10-Kで確認したが、数年前から純資産がマイナス、債務超過状態に陥っているのである。毎年、安定した黒字なのに債務超過?私は理解するのに30分、かかってしまった。

あまりに衝撃だったので、日本の頭脳、フィナンシャルプランナー(笑)のyokokenにメッセしてみた。その会話をコピペしよう。

バランスシートって無意味な時代? MCDとPMが債務超過ってのを発見してしまって大変驚いている。

yokoken:いやいや重要でしょ。その2つが債務超過とは、驚きだね。そこまで悪化してる割には、株価は比較的普通な感じ?

違う。鬼のように毎年黒字。継続的な自社株買いで債務超過だよw
https://finance.yahoo.com/quote/PM/balance-sheet?p=PM

yokoken:あ、そういうこと。そこまで徹底してるんだ、、、日本企業は、少しは見習うべきだね。

ほら、yokokenを、もってしても最初の1秒は、「なんだそれ?」って反応でしょ?
フハハ、しかし、yokoken、相変わらず、さすがだな。俺が30分かけて理解したことを30秒で理解しているのがわかる。これがメッセではなく普通の会話なら、-30秒くらいで理解してしまう奴だがな。ではyokokenとの会話の続き、

東証の上場廃止基準も変えないとMCDとPMみたいな優良企業が引っかかるw
俺も今、気付いたばかり。大変なショック。もう何年も前から債務超過だ。

yokoken:米国資本主義はさらに突き進んで先を行ってるわけだ。

で終わる。

おい、お前ら、ついてこれるか?

この話は、単なる自社株買いによる株主還元を超えているのだ。例えば、従業員の給料、設備投資、金利、税金なども含めた原価+費用が60に対して100売り上げたら40の金が手に入るから、それを株主に還元しているという範疇を超えている。40の金が手に入っているのに、会計操作(合法的なので不適切な表現だが)によって、儲けは30ということにして、自己資本がマイナスになりうる状態の”継続性”を持たせていることに気づくべきだ。PBR1.0以上で買えば良いのだが、原資の捻出という隠喩だな。

テクノロジー、イノベーション、大いにけっこう。しかし、そんなものは全く関係ないマクドナルドとフィリップモリスが追及している究極の株主還元を侮ってはならぬ。


俺の投資塾(英語版)~お薦めの書籍も含めて

同じ話を今年だけで、日本、フィリピン、インドネシア、そして今タイで、5~6回している。録音の機会もなかったが今回FBのチャットで記録が可能な形で来たので、これをブログに載せておこう。今度同じ質問を受けたら、「これを嫁」で行けるからな。日本以外は質問は英語だったが、英語が通じにくいタイでこの質問をしてきたのは中国人(仮名エリコムちゃん)だ。ちなみに6回中質問者は全員女性だ。男とも会っているのだが、俺と会っている男は市場関係者が非常に多いからだ。「株」とか「投資」と聞いて俺のことを思い浮かべてもらうのはとても嬉しい。だが、俺からとった慰謝料の扱いに困り果て、”思わず俺に”「ペイオフって1000万円とその金利までだよね?」と聞いたバカが居たのが唯一の例外だ。

さて、このエリコムちゃんだが、中国人なのでキャバ嬢ではない。私のシンガポールの意地悪な友人は初対面で開口一番に「あんたなんでシンガポールに居るの?」と問うのだが、エリコムちゃんはその質問にも非常に明快に答えた。その様子はすでに記事にしていて
中国全土落下傘計画廈門編 1/4~エリート公務員 

そんな彼女も今はイギリスでさらなるキャリアアップのためにお勉強をしている。頭の良さではインドネシアのジャカ1が優れているので、今年インドネシアのCikarangでジャカ1とした対談「エクイティファイナンスとは?」を録音したものを公開したいのだが、録音してない。ジャカ1とは普段は日本語で話すがこの手の話は英語になる。ジャカ1が”スーッと”理解していく姿は圧巻だ。日本人相手に株に投資する意味を一生懸命説いている
https://shisankeisei.jp/
の筆者に見せてやりたい対談だったぞ。彼が読むと今回の俺の説明は、偏りといい加減さが目立つだろうがな。ジャカ1は頭は良いのだが大学は出ていない。だからこのエリコムちゃんのように、
「その根拠となる理論は?」とか
「あー、マコーヴィッツか。読んだけど実践的にどう役に立つのか理解できなかった」
というような返事は期待できない
。なのでこの対話は、(大卒?MBA?知らんが)エリコムちゃんが質問者としてなかなか良い相手になっていると思う。一方驚くべきことに、私が知ってる98~99%の女性たちは「私が長い間無職なのになぜ困らないのか?」インカムリソースを問う質問をしてこない。会社勤めをしてないのは知ってるけど、どうやって収入を得てるのか興味ない。ただ酒を飲んでヘラヘラしてるオジサンとしか思ってないだろうが、このエリコムちゃんのように質問した方が俺を賢く利用できるんだぞ。

エリコムちゃんのタイポや、俺の場合、根本的な英文法が間違っていることには片目をつぶっていただきながら対話を見ていこう。(私のセリフは普段”エキゾ”と表記しているが対話部分を極力アルファベット化するために、エリコムちゃんのセリフをlicom、俺のセリフをxoticと表記することにする)

licom : How are u doing? Where are u now?
xotic : I’m in Thailand.
licom : Cool! I have something that wanna ask u for help actually.
Wondering if u can reach me how to invest.Or any books for recommendation
xotic : I see.
licom : Need money to support my passion.Have been in edinburgh for a while for my master.
And I really enjoy it.Wanna do a career switch.But need more training.Transition is not easy.
xotic : [amazonjs asin=”140008198X” locale=”JP” title=”The Future for Investors”]
[amazonjs asin=”4822244571″ locale=”JP” title=”株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす”]
licom : So need more planning
xotic : Above book is for single stock investment(Active).
licom : Cool! I will check them out.Need some crash course on stock 101.
Never bought a stock before in my life
xotic : [amazonjs asin=”0393352242″ locale=”JP” title=”A Random Walk Down Wall Street: The Time-Tested Strategy for Successful Investing”]
[amazonjs asin=”4532356873″ locale=”JP” title=”ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理”]
this book is for index investment (Passive).
These 2 books are very good. Index investment is more easier for beginner.
https://finance.yahoo.com/quote/SPY?p=SPY
licom : I just googled the terms (lol) passive seems to be longer term investment
xotic : Just Buy “SPY” in US market and Hold(Don’t Sell).
licom : Requires less time checking
xotic : Yes, right.
licom : What is spy?
xotic : SPY’s performance is linked to S&P500 index(US big 500 company).
How to buy: You should buy the same amount every month.
licom : Aha.Spy is the index.Got it.
xotic : same amount means not shares. for example 1,000 USD.it is very easy.
licom : Cool.What is the logic of buying same amount and same stock every month?
xotic : I’m professional inverstor. My investment is different. But it is very difficult to win “SPY” for me.
licom : Why?
xotic : Don’t need professional experience.
SPY Long Log-Chart
xotic : Can you see the chart of SPY?
or S&P500 index, we can get more longer chart.

S&P500 index continue to grow 50 years.
Yearly total return(including dividend) is 7%.
(これ全然計算してないし、期間も明確に言及してない。確か
https://shisankeisei.jp/
にそんなことが書いてあったような気がして適当に言ってる)
same as my performance.
licom : Yeah I see the chart
xotic : I trade single stocks and very complicated derivatives trading.
licom : Generally rising
xotic : You don’t need single stocks and derivatives.
licom : 7% is quite Safe.And stable return
xotic : Just Buy SPY and Hold. Maybe 5~7% return for 30 years.(コンプライアンスw断定的な言い方をしていません)
licom : Aha.
xotic : Of course 2007 to 2009 Index is down. 1600 to 800.But just continue to buy every month.(いい加減だな。実際は1600行ってないし、800どころか700以下の6XX代まで下がってる)
licom : I recall the Singapore maple tree reit gives about 6%
That is a real estate fund. How about Ipo?

xotic : Read first book.
licom : Thanks for the recommendation !
xotic : Jeremy said “IPO is not good for investor. “ I’m same opinion.
licom : Which is his rationale ? Just curious.
If u have a short answer.
If too long don’t bother
I can go read the book
xotic : Modern portfolio theory
Book name is…
Just a moment…(これ思い出すのに5分くらいかかってしまった。フィナンシャルエンジニアリングのリンクを張ろうとして、著者が「ジョン・ハル」?これデリバティブ理論だろと思いだし…)
Ah…this is Japanese book.(証券投資論を思い出す。これ日本の本だったのね。やっぱ、翻訳本はこういう時に使えるよな。「銃・病原菌・鉄」もさ、病原菌の英単語を知らなくても、「ジャレド・ダイアモンドの~、Gun disater and ironとか適当言えば読んだことある人には分かるだろ?)
https://en.wikipedia.org/wiki/Modern_portfolio_theory
You can find “Reference” bottom of Wikipedia.
Theory can not answer “Why IPO is not good”.(ここけっこういいセリフと思うけどダメ?)
We should learn from history.

licom : I realize I learnt this before. On diversification
xotic : hahaha. Yes. Theory is not actual market.
licom : But returned all to the teacher . Good refresher. Totally agree
Even when I learn the technique for counselling.
Actually I think what is effective
Is not really the technique
xotic : [amazonjs asin=”B07D3RRSLZ” locale=”JP” title=”Wall Street: A History (English Edition)”]
[amazonjs asin=”4894514125″ locale=”JP” title=”ウォール街の歴史”]
Wall street history is “fraud and myth” history.
This book explain old fraud.
New one is Flash boys
[amazonjs asin=”0393351599″ locale=”JP” title=”Flash Boys: A Wall Street Revolt”]
[amazonjs asin=”4163901418″ locale=”JP” title=”フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち”]
licom : U are keeping up with readings? With readings!(ちょっと嬉しい)
xotic : Because I’m writing what does say this book.
That’s why I can remember.
For example, (Sorry in Japanese),
https://ichizoku.net/books/20120619/the-civil-war/
This blog is written by me.
licom : Wow cool! U should write it in your Facebook
xotic : This page is about “Wall street History”. Above book.
licom : Investor + blogger /writer
xotic : blog is just hobby.
licom : Website is called civil war.That is interesting (えっ?中国でも南北戦争って書くの?って思ったら、アドレスにCivil-Warって書いてあったのね…)
xotic : You can read by English book.
licom : Thanks for the recommendation!I will read them up
xotic : No problem.
licom : Before my tons of readings come next semester
Social science requires u read a lot
Lol
But luckily the readings are very interesting
xotic : Good.
I will try next book…Avram Noam Chomsky.
[amazonjs asin=”4003369513″ locale=”JP” title=”統辞構造論 付『言語理論の論理構造』序論 (岩波文庫)”]
I will go Jogging. If you have some question , ask me any time.
licom : Okie
I am going for a jog as well
Have a nice day!
xotic : I forget to mention about real estate investment.
real estate is income gain. income gain means simple interest.
equity is capital gain. capital gain means composed interest.
real estate : 6% 30years Return = 6% * 30 years = 180% you will get.
same 6% equity 30years = exp(0.06 * 30years)-1 = exp(1.8)-1 : you will get roughly 500%.
my recommendation is equity. (not real estate).
licom : Aha true.But some real estate is in trust.
stock as well.Like property fund.But yeah if fixed real estate
Yes . The gain is worse than equity
Plus property estate the down payment is a lo t.Lot
xotic : Good.
licom : How was your jog?
xotic : 2, 3km jog.
licom : Good.

一応、全部の質問に答えたつもりなんだが、やっぱりいい加減さと偏りと説明不足感は否めねーな。日本語が読める諸君は、
https://shisankeisei.jp/
これだな。あー、税金のこととかもまったく言及してなかったな。言い訳としては、エリコムちゃんは、中国人でシンガポールやイギリス、将来的には様々な国に進出していくだろうから、最適な税制上の戦略を述べることはかなり高度かつ多くの国における税制と法律に通じていないと不可能である。だから、その話をあえて無視したと解釈していただきたい。だが税制は無視できない。資産形成ハンドブックは日本の税制・制度や日本人あるあるに対応して書かれているので良いが、俺の対談は日本人にとっては、不利益。


オーストリアってどんな国?

日本人がオーストリアに全く興味が無いのがよくわかるのが、ウィキペディアで、GDP数値が2008年更新で止まっている…。

Republik Österreich で見れば2017年まで見えて、
人口 880万人
面積 84000平方キロメートル
名目GDP 420Bil USD

おぅっ! かつてのハプスブルグ帝国、ちっちゃ! 人口少ないので、一人当たりGDPは日本を上回る。隣国はリヒテンシュタイン、スイス、イタリア、スロベニア、ハンガリー、スロバキア、ドイツ、チェコ。海が無く、東欧とも西欧とも言えない緩衝地帯。国家としての数値は、オーストリアはフランスの10分の1と考えるとシンプルかも。貧しい雰囲気プンプン。

産業は…、ATX – Austrian Traded Index なる指数があるらしいが、これら5銘柄で50%以上のWeightを占めるという不毛っぷり。

ERSTE GROUP BANK
OMV オイル・ガス
VOESTALPINE 製鉄
RAIFFEISEN BANK INTERNAT
ANDRITZ プラント

最も分かりやすいのが、Euro Stoxx 50に採用されているオーストリア企業は”ない”!!! レッドブルがおそらく最も大きいオーストリア企業だろうが、非上場なのが口惜しい。

経済規模は小さいが一人当たりGDPに現れているようにそれほど貧しくはない。敏感な諸君ならすぐ気づく。

鉄道職員が居ない。

東京駅や横浜駅のようにプラットフォームが10以上あるような巨大な駅で、各プラットフォームに数人、改札口も何個もあって、各々数人、電車には車掌もいて…、

改札口に1~2人、プラットフォームにたまに居るかな…、電車の車内に車掌は居ない、このくらいがスタンダードだと思う。
一方、都会の無人駅。オーストラリア(ブリスベン・ゴールドコースト、都会じゃないかw)、サンフランシスコ…、そして、ウィーン。
パリも空港の駅でさえ、プラットフォームに駅員は居なく、社内にも車掌は居ないので、行き先の確認をする相手は居ない。そして、ロンドン…

2007/12/09 やっちまった。飛行機乗り遅れた。

この時は、世界の都市を俯瞰で見ることはできなかったのだが、ロンドンでも聞く相手が居なくて、間違った電車に乗ってしまったという事例だ。

人を減らせば、一人当たりGDP、あるいは給与でも上がるという、例として鉄道職員を使ってみた。

行き先を教えてくれる駅員は居ない。
無賃乗車を防ぐ駅員も居ない。

でも、それで鉄道業務は回ってる。

日本におけるROEの向上だ、昇給だ、という議論の時に、「資本を減らす」という財務戦略を検討しているのだろうか? 同じように「無駄な仕事を減らして、従業員を減らせば」、生産性、一人当たりの給料は上がる。

さあ、がんばって!

2017/04/12 抵抗勢力、イノベーションを拒む人々

「どの仕事を廃止しようか?」という話を始めると、自分が担当しているすべての仕事に価値があると言い張る人が出てくるので注意が必要です。こういう人は、「自分の仕事がなくなり、自分自身が不要になること」を恐れています。


顧客本位が割高な投信手数料を止めることとは思わない

巨艦・野村證券も動く!資産運用業界の「大淘汰」時代が始まった

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51841

フィデューシャリー・デューティーは大いに結構だが、問題の本質は、投資信託の手数料がどうのとかそういう細かいことじゃない。最もやるべきことは「健全な資本市場の形成」。それは、株屋ごときの企業倫理でも投信手数料の減額でもなく、上がり続ける株式市場の形成=キャピタルゲインの創生だ。「上がり続ける株式市場が官主導で作れるなら苦労はない!」という批判は当然だ。だが、民主導の資本主義の下で、10~20年という長期で見た場合、全体が上がってない株式市場というのは世界にあるのだろうか? ああ、中国も上がっているから民主導の資本主義下という条件は削除しても同じことだw ほぼ全ての世界中の指数がどの時期で切っても長期間では上がっているのは周知の事実であろう。

米国の個人の株の投資比率が高いのは、「投資教育が進んでいて、個人がビジネスのリスクを理解できているから」。そんなわけねぇんだ! 民が何も考えずに、株を買えるほどに、ずっと上がり続けているからだ。日本の個人が預金が好きなのは、護送船団方式で都銀は絶対潰さないし、銀行預金は預金保険機構で絶対に守るという保証を付けているからだ。もちろん、アメリカに株の損失補償なんてあるわけない。でも何十年もずっと上がっているの。指数もそうだが、オールドエコノミーの鉄板企業なども同様だ。とにかく右肩上がりで株価が上がり続けている企業がいくらでもある。日本で30年チャートが右肩上がりという条件だけでいくつある?成長率がJNJやDISやPFEに劣ろうがそれは目をつぶる。 ユニ・チャームはがんばっていると思うがね。

S&P500とTOPIXの30年のログチャートを比べればわかるが、とにかくずっと上がっているように見えるはずだ。あるいは、”アメリカの時価総額トップ企業ならば全て”、長期チャートは、リーマンショックをもろともせず、右肩上がりのはずだ。日本のトップ企業である三菱UFJFGの長期チャート見てみろ。なんだこれ?

米国の個人のフィナンシャルリテラシーが日本の個人より高いんじゃない。
米国個人「とりあえずJNJでも買っておくか」=日本個人「とりあえず銀行に入れとこ」
なのだよ。要は民の信頼の問題だ。

面白い事例を紹介しよう。俺のシンガポール時代の友人が日本に帰っている。彼は全くの株の素人で、俺のお勧め通り、シンガポールの証券会社の手数料も安く、健全な市場である米国ブルーチップのBuy&Holdを基本としていて、この7年間負けた経験がない。だから、日本で彼は素直に、「株は簡単だ。買って放っておけば普通に儲かる」と発言(2017年2月)し、周りの日本人を凍り付かせたのだ。

わかるかね? 彼は日本人だ。フィナンシャルリテラシーなんてあるわけねぇ。ただ、日本市場での経験がなく、米国市場しか知らんのだ。その彼が「株は簡単だ。買って放っておけば普通に儲かる」と言ったんだ! 正直、この発言には俺も驚いたが、これが「健全な米国の資本市場が持つ民に対する信頼」ということだ。

・民の信頼を裏切り続けた株式市場=株主を軽視してきた経緯 (いくらでも挙げられるはずだが、とりあえず)

1968年まで額面発行増資、時価・セカンダリー市場の軽視の証拠。
貯蓄から投資へ って何年言い続けているか。
グリーンメーラーではあるものの株主としての意見を述べたブーン・ピケンズが指摘した「明確な資本関係もないのにケイレツ?取引って何ですか?」という問題提起は解決しないまま放置。
経団連の会長が「企業は株主のためじゃなくて従業員にためにある」って公言しているのは、経営の姿勢として明らかに不健全。
株主との対話と言いながら、総会屋対策の名残で、6月末のある日に一斉に総会やるって、対話する気はないということ。
ROEを経営指標として株主還元いたしますって、2016年の日経新聞の一面に書いてあるのよ? 今まで何見て経営した来たのか。
ホリエモン事件以降、自主的に止めた会社があるが、親子上場、親子ねじれなど、親会社・子会社の利益相反は今も法的には放置。

・10~20年という長期で見た場合、全体が上がってない株式市場というのは世界にあるのだろうか?

今の株式時価総額はバブル期の最高時価総額を越えたこともあるレベルなのに、時価総額加重で計算されるTOPIXはなぜ下がっているの?
その犯人は、1992年計算開始、1000を基準とした時価総額加重指数の業種別指数の推移を見れば明らかだ。答えは銀行。銀行が合併だ、増資だ繰り返して、株主リターンを殺して、今の時価総額を維持しているのがよくわかる。ただ、それは銀行だけが悪者なのか?
弱肉強食の自然淘汰を隠し、倒産は悪、ゾンビ企業をもたれあいで、生き延びさせるために銀行に融資させる。その体質が全体に影響している。

この「父子の隠し合い」を発生させた原因は、工業化と高度経済成長下において核家族化するなかで、「企業は従業員にとっての家」の役割になった故に、従業員と企業の関係が冷たい法的な雇用契約ではなく、企業が従業員が帰属する社会的主体なったことにある。「海賊と呼ばれた男」でも読んでもらえば、その典型企業だが、「社員を守る」というのが一般的な発想だ。

割高な投信手数料も問題だよ。官主導で圧力かけるのは良いことだろう。だが、そんなもんは重箱の隅だ。

「正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品を作って一般顧客に売るビジネス、手数料獲得が優先され顧客の利益が軽視される結果、顧客の資産を増やすことができないビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるものですか?」
金融庁の森信親長官は4月7日の講演

と言うのならば、「父子の隠し合い」と「会社は家」を止めて、健全な資本市場の形成、弱者(弱社)は退場していただくのが自然な姿でしょう。民が投信を買うのは、「自分では判断できないからプロに任せよう」と思うからだが、「適当にブルーチップ(有名企業と言ってもいいだろう)を買って放っておけば、まぁ、儲かるでしょ」と思う俺の友人の例のような株式市場に絶対に信頼があれば、、アコギな投信など、手数料が割高過ぎるなんて言わなくても、大部分が自然に消えてなくなる。今の日本の時価総額トップ企業を見てみろ。「銀行やNTTで損した」と言っている個人投資家がどれだけいるんだ?それは証券会社やバイサイドの責任か?大蔵省主導で国民に損を押し付けてきたからだろう? 金融庁長官とやらに「この株で損した」なんて企業が時価総額トップにいること自体が「不健全な資本市場」だと思わないのかね?と問いたいよ。

健全な資本市場の形成のために、俺が上記に書いたことを実践することは、日本の歴史と日本人の「互いに尊重し助け合う」という国民性の否定となる。それを両立させる解決案は、俺ごときではとても思いつくものではなく、今現在、俺以外の誰も持ってないのが現状だと思う。それをどう解決していくか、俺はドル中立測度下で、ずっと見続けていこう。


沖縄で実現しているグローバルスタンダードな雇用体系

労働環境の厳しさが問題視されたファーストリテイリングです。昨今、労働環境の過酷さや早期退職率の高さは、時に「ブラック企業」といったレッテル貼りを通して、採用のみならず事業活動にまで影響を与える大きなリスク要因となっています。しかし同社はその危機に際し、トップ自ら労働環境の改善を約束したうえで、全社員の給与レベル(グレード別)を公開するという大胆な施策を実施。「厳しい環境で成果を上げた人にはそれなりの報酬が払われている」「高い成果を上げた人は、若くても高く評価される職場である」と伝えることで、問題を解決しました。

伊賀泰代.生産性(KindleLocations263-268).ダイヤモンド社.KindleEdition.

これにより同社は、「ユニクロの商品が大好き」「毎日ユニクロ商品を着ている」といった商品イメージへの好印象だけから応募してくる学生を減らし、それなりにプレッシャーのかかる労働環境ではあるが、成果を出せば若くても高く評価される職場で働きたい、という学生を惹きつけることに成功しました。

伊賀泰代.生産性(KindleLocations271-273).ダイヤモンド社.KindleEdition.

> 商品イメージへの好印象だけから応募してくる学生

嫌だねー。採用やったことないけど最も相手にしたくない学生だw ただ、これは学生に限らない。経営、あるいは株のセールストークでも良いが、

「素人は、会社の商品と売り上げだけに注目したがる。」

まー、これも以前に言及したね。

2016-03-09 勝つ投資負けない投資 2/2~社長業 

よく居る素人発言の特徴と傾向w

1.株主と消費者の立場の区別がついておらず、商品や売上だけに注目している
2.飲食など一般消費を対象としたがり、BtoBを無視する。
3.ネットで情報収集。民は文句しか言わないってw意味無い。

いつも例に出す、「マクドナルドはハンバーガーを売っているのではなく、マクドナルドそのものを売っているのだ」ってのが株主的発言だと思うの。マクドナルドのハンバーガーが世界一美味しいわけじゃないのよ。そこあんまり重要じゃない。

2011-02-21 マクドナルドの繁栄の秘密? 研修不要、損益計算書から読むよ

「東大生なら誰でも内定が出る」といった評判を放置してしまうと、年々「滑り止めの内定を確保するためだけに応募してくる東大生」が増えてしまいます。そんな状態でも「東大から応募が多いとはすばらしい」と考える企業もあるのかもしれません。しかし採用の生産性という意味では手間ばかりかかり、最終的には内定辞退が多くなるなど、決していい策とはいえません。

なるほど、採用の現場ではそんなことが起きているのか。ただ逆説的に思うことは、東大を辞退する人ってのはまずいないという前提で東大は合格者発表をするわけだが、早稲田や慶応の場合は、辞退者が出てくるという前提で合格者発表を水増しして行うと聞いている。となると、企業の場合、どのようなヒエラルキーが出来上がっているのだろうか? という疑問が頭をよぎる。「大学生の人気企業ランキング」とか「くだらねぇ、意味無い」と思っていたけど、これは調べる価値がある企業間ヒエラルキーの象徴ってことになる。だから「人気企業ランキングは重要」だと方向性が非効率。それをなくすには、「就職協定」なる一斉採用を止めるとか、簡単に解雇できるように労働基準法を改正するのが最も効率的であろう。でもね、そんな法律改正は必要ないかもしれないと思わされる事例がある。沖縄にて「沖縄はねぇ…、給料が安い、非正規が多い、シングルマザーが多い」という意見を聞いた。まぁ、鹿児島とかでも同じことを聞いたが。非正規っていうけど、それで沖縄社会が成り立っているなら再就職も容易なグローバルスタンダードな雇用体系が、現在の日本の法体系下で実現してるってことだよね?

石巻でも似たような話を聞いてるので、日本の地方都市、福岡や仙台などの一部の盛り上がっている地域を除く、人口減を引き起こしているような地方都市は意外に市場原理が働き、グローバルスタンダードが進んでいるのではないか? だとしたら地方が、終身雇用なる非グローバルスタンダードの日本独自雇用体系に憧れるというのは時代の流れに逆らっている。解雇を容易にする労働基準法の改正という資本主義化ではなく、私企業に実質上のベーシックインカム制度を押し付けている現制度を改めて、国家が行うベーシックインカム導入が効率的だ。民が皆、収入を求めるなら与えればいい。一部の優良企業にたまたま就職した人間だけではなく、全員に与えればいい。そうなると、ベーシックインカム制度というか、ベースアップを首相が企業に強要するか、手段は別として、日本が進んでいく道は「共産化」というのは随分前から私の言っていることだ。みんなで相互扶助、足の引っ張り合い、せいぜいがんばってくれたまえ。


日本に巣食う矛盾、同一労働同一賃金とベースアップ

キンドルを買って、読み終わった本を、無限に置いておける環境になりました。今までは早く売って処分して荷物を軽くしたいと思っていたので、捨てても内容を忘れないようにという読んで、書いて、ブログ=私にとってはもはやネットワークストレージ上にアップするというインセンティブがあったのですが、キンドルはそれする必要ないんだよね。折り目も付けられるし、今まで本は図書館の本だったりとかセカンダリーで売ることを考えて、線も引かないようにしていたのですが、キンドルは線も引けます。

そして、キンドルPCでコピペすると書く必要もないw すげーなー。本当に今更、驚いてるよ。ああ、でも同一タイトルでのコピペの文字数には制限かかってるみたい。まぁいいや、じゃ、書き写しやるよw

頭の良い女性の代表格、伊賀泰代の生産性に触発されて俺もちょっと書きたくなったわ。

量頼みの発想に加え、もうひとつ採用の生産性を下げてしまう理由として、経営者の見栄の問題があります。「ライバル企業の説明会には一〇〇〇人の学生が集まったらしい。うちの説明会にはなぜ三〇〇人しか集まっていないのか?」と文句を言う役員や、その役員を説得できない(もしくは、するのが面倒だからやらない怠惰な)人事部門が存在するために、採用の生産性が下がってしまうのです。

伊賀泰代.生産性(KindleLocations206-209).ダイヤモンド社.KindleEdition.

本来、経営者は人事部に「なぜ一〇人を採用するために、一〇〇〇人も集めなければならないのか?」「一〇〇〇人ではなく、五〇〇人から一〇人を採用できるようにするため、これまでにどのような施策を打ったのか?」と採用の生産性を問うべきなのです。

伊賀泰代.生産性(KindleLocations225-227).ダイヤモンド社.KindleEdition.

この発想でやってる会社なんてあるんだろうか? 10年以上日本で働いていない俺が知らないだけかな?

日本企業はバブル経済が崩壊する頃まで、時に採算を度外視してでも売上げや市場シェアを拡大しようとしていました。経営全体において規模や量が優先されていたのです。海外投資家の株式保有率が高くなった今は、利益率やROE(資本利益率)など資本の生産性や、投資に対する利益率を重視する企業が増えています。しかし率より量を重視するメンタリティは、組織のさまざまな部分にまだ根強く残っています。採用の説明会にできる限り多くの学生を参加させたいと考えるのも、そのひとつでしょう。

伊賀泰代.生産性(KindleLocations220-225).ダイヤモンド社.KindleEdition.

量が優先されていた ではなく 優先されている じゃないの?

以前にも書いたことだが、

2016-03-03 自社株買いは効率の良い株主還元か?

利益率やROEを重視してるのかな? 株主との対話する気あるのかな? この記事ではないが、やはり日経1面で一流企業の経営者が、「ROEを上げるためにどうしますか?」という問いに対して、「売上げや市場シェアを拡大」って答えていたのを記憶しているぞ。

最近の日経でも、思わず開いた口がふさがらなかったのが、

働き方改革へ実行計画、政府、残業上限や同一賃金、関連法案を年内に提出。

2017/03/29  日本経済新聞 朝刊  1ページ 

 政府は28日、働き方改革実現会議を首相官邸で開き、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入を盛り込んだ実行計画をまとめた。正社員による長時間労働など戦後雇用慣行の見直しに踏み込んだ。政府は今年の国会に関連法の改正案を提出し、2019年度からの実現をめざす。ただ、生産性向上や成長底上げには力不足の面もあり、なお課題を残す。(関連記事3面、社会面、関連特集6面に)
 安倍晋三首相は同日の実現会議で「日本の働き方を変える歴史的な一歩。17年は出発点と記憶される」と発言。「法案を成立させなければ絵に描いた餅に終わる。全力を傾注する」と述べ、早期の関連法案提出を閣僚に指示した。
 働き方改革は首相肝煎りの政策。昨年9月に有識者らで実現会議を設置し、長時間労働の是正や、正規労働者との格差がつく非正規の処遇改善などを検討してきた。
 昨年末には同じ仕事に同じ賃金を払う同一労働同一賃金のガイドラインを作り、今年3月には残業時間に上限を設けることで政労使間で合意した。実行計画にはこうした成果を盛り込んだ。
 検討に時間をかけたのは長時間労働の是正。残業を「原則月45時間、年間で360時間」とし、労使で協定を結べば年間720時間まで認めるとした。特に忙しい月は特例として100時間未満の残業を容認する。経団連は働き手の自由度が狭まるとして上限規制に慎重だったが、首相の裁定で上限設定が決まった。
 労働者全体の4割弱を占める非正規労働者の処遇改善にも取り組んだ。同一労働同一賃金の導入で正社員と非正規の不合理な待遇差をつけないよう徹底。賃金や福利厚生も対象に処遇差をできるだけなくし、何らかの差をつける企業には説明責任を求めた。
 賃上げも重点課題とした。昨秋の実現会議では17年の春季労使交渉で「少なくとも今年(16年)並みの賃上げ」を首相自ら労使に要請、4年連続のベースアップ(ベア)実現を促した。実行計画では最低賃金を年率3%をめどに引き上げ、全国加重平均千円を目指すとした。
 労働者の処遇をよくする改革は一定の前進をみたが、労働参加の拡大や、成長産業に人を移す雇用の流動性を高める議論は深まっていない。転職支援や女性活躍などの政策は企業向け助成金を増やす政策にとどまる。IT(情報技術)をもとに自宅で働くテレワークや兼業・副業は導入が必要としたが、推進策などはこれから詰める。
 政府は4月以降、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で改革の方向性を改めて確認。その後、関連法改正案を一括で今年の国会に提出する。19年度の施行を目指す。26年度までの10年で、制度導入の周知や改革内容の点検を進める。経団連の榊原定征会長は会議後、「法案作成などでは労使合意を重く受け止めてほしい」と述べた。

この記事、日経新聞の一面トップだろ? ネットで読んでるからしらねぇけどさ。同一労働同一賃金とベースアップが同じ記事に書いてあるんだぜ? 矛盾する概念だと思ってないのかな?

このWikiがめちゃ笑えるので紹介しよう

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97 より

ベースアップとは、給与の基本給部分(ベース)に対しての昇給額、または率である。和製英語(base up)であって、職務給が採用されている欧米には存在しない概念である。

笑ってもらえたかな?


三田氏を斬るシーズン3 9/9~HFTはスタットもあるけどアーブでもある

P.126 株の評価額が130万円にめでたく膨れ上がったときのBSは、含み益30万円はBSに表されていて、損益計算書には出さない。

会計専門じゃないんだけど、これ本当? PLに反映させずに含み益計上なんかできるんだ。バランスシートの右、評価差額30万円って書いてあるけど、それ資本の部? そんな項目あったっけ?

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

P.138 HFTが行うスタッツアーブ(Statistical Arbitrage)の代表的なReturn Reversal戦略と同じ

三田氏を斬るステージ2 2/8~トレーダーって何?

2014年の記事では、「スタットなんてアーブでも何でもないただのスペキュレーションと言っていたのは三田さんも俺も同じ」で終わっていたが、2017年はこれで終わらせてしまってはならない。かくいう私も取り返しがつかないくらい時代に取り残されているのだが、

HFTはアーブだ。もちろん、スタットなんて関係ない。HFTなんて場間アーブだろ?と思い込んで興味もなかったのだが、もう少し凶悪なフロントランを使った強いアービトラージだ。しかも新興市場などの乱れたマーケットではなく、世界で最も進んだ米国市場での話である。

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

この本もそれなりに参考になるが、HFTアーブの発生の根拠となる法律とキーワードをまとめると

2004年、NYSEスペシャリストによるフロントランニング 2億4千万ドルで示談。
2005年提案 2007年施行、Reg NMS 最良執行義務 NBBO(National Best Bid and Offer)

HFTの手口の一部だが、まず米国市場ではスペシャリストのスキャンダル”など”により、PTSやダークプールが発達し、多数の取引所ができた。そこで最良執行義務、証券会社はNBBO(一番良い気配)で、顧客注文を約定しなければならないという義務が発生。ところが、数多あるPTSを自前で気配を取れない業者のためにSECはNBBOを提供することにした。SECのNBBOよりも早く、真のNBBOを取れていた連中がいたとしたら? 人よりも狭い取引コストで、執行できるし、例えば、

SEC NBBOが49.6/49.53で真NBBOが49.6/49.55だとしたら、49.55を叩いて、49.54で買いを出してもほぼ確実に取れる。
あるいは、あるPTSで49.8/49.5でそこに49.6の買いを出したとしたら、そいつに買わせないように49.6を取ってしまうこともできる。
また、各PTSで複雑なオーダー、発注して一部出来の残りをキャンセルするオーダーなどを認めさせ、HFTしやすくするなどなど・・・。

日本の場合、まともに取引のあるPTSは2つしかないので、米国ほど盛んなHFTは起こらないだろうが、米国でもフロントランで捕まってない以上これらはアーブと言える。

2016年のティックに関するパイロットプログラム、気配と注文の幅に違いを出すことでHFT対策の運用が始まっている。これにより、ますますHFTアーブの利ザヤは薄くなるとは思うが、日本はまだまだこの領域に達していない。

ミルケンがいて、エド・ソープがいて、フラッシュボーイズたちがいて、世界中の詐欺師たちが跋扈する米国市場は、最先端の法整備と取引所運営を行っていて、日本や俺たちが取り残されているのは「フラッシュクラッシュ」でぐぐるか”Flash Crash”でぐぐるかの内容の差にも顕著に表れている。


日本株市場をPR

日本の3トップ、株の魅力維持なるか(はや耳)

2016/03/07 日本経済新聞

 日本証券業協会などが米国時間10日にニューヨークで開く「日本証券サミット」に金融庁長官として初めて森信親長官が参加、日本株市場をPRする。これまで金融庁からは参事官らの出席にとどまっていたが、今回は「長官のスケジュールが合った」(日証協)。今年に入って日本株相場は軟調な場面が目立つことが多かっただけに、株式市場関係者からは歓迎の声があがる。
 当日は日証協の稲野和利会長と日本取引所グループの清田瞭グループ最高経営責任者を合わせた「3トップ」が勢ぞろい。日本企業のガバナンス向上や少額投資非課税制度(NISA)など日本株の魅力を発信する。証券業界で「右肩上がりだったアベノミクス相場の潮目が変わった」との懸念も強まるなか、3トップの発信力で海外マネーの関心をつなぎ留められるか――。

新聞記事を額面通りに受け止めるなら、

海外マネーの関心をつなぎ留められるか――。

じゃねぇだろうよ。「日本株の魅力はNISAです」って本当にニューヨークで発言したのかね? ついでに、

株式分割などを通じて、最低取引金額を下げることで個人投資家を呼び込んでます。
株主優待を充実させて、個人投資家を呼び込み、物言わぬ株主を増やして、余計な株主によるガバナンスが働かないように努力しています。
「最近、ROEを経営目標にしました」と日経新聞の一面にも取り上げられました。

まだ言おうか?


自社株買いは効率の良い株主還元か?

「ROE」という標語にとらわれている感、満載の低レベルな記事。

5期連続自社株買い、ヤマトHD、来期100億円超、ROE底上げ。
2016/02/23 日本経済新聞
 ヤマトホールディングスは2017年3月期に5期連続の自社株買いを実施する見通しだ。100億円超の規模とみられる。自社株買いで株主還元を強化し、資本効率を高めて自己資本利益率(ROE)を底上げする狙いだ。
 収益環境は楽観を許さない。インターネット通販市場拡大という追い風はあるが、17年3月期は協力会社に払う運送費の高止まりやパート社員への社会保険の適用拡大などが収益を圧迫。純利益は伸び悩む公算が大きい。自社株買いで自己資本を減らし、1株あたり利益を増やすことでROE上昇につなげる。
 ヤマトHDは年間配当に自社株買いを足した額を純利益で割った「総還元性向」で50%以上を目指している。17年3月期の年間配当は100億円強になるとみられ、総還元性向を50%以上にするには100億円超の自社株買いが必要になる。
 中期経営計画では最終年度の17年3月期にROEを9%に高める目標を掲げるが、足元のROEは7%前後と、乖離(かいり)が大きい。目標に近づけるため、来期の自社株買いは数百億円の規模になる可能性もある。15年3月期は約300億円実施、16年3月期も約500億円分の枠を設定済みだ。

> 自社株買いで自己資本を減らし、1株あたり利益を増やすことでROE上昇
自己資本減るってのは正しいけど、1株あたり利益を増やすことでROE上昇?
ヤマトってそれなりの大きな会社だから、見るまでもなく、PBRとか標準的なレベルの株価だと思うの。例えば2倍としよう。
新聞記者でもわかる、「簡単・株教室」やってやるよw
いま仮に資本として現金を100を入れたペーパーカンパニーを作ったとしよう。
PBR2倍で発行済み株式の40%を買い取ったらどうなるか?

現金20、株主資本20の会社になるだけだが、一株あたりの純資産1/3になっちゃう。PBR2倍で一定だとしたら、元の株価の67%、33%の株価の下落を引き起こす株主還元策ということになる。
Monica-Bellucci02.jpg
PBRが1倍以上だったら、自社株買いはすべきでない、と言ってるわけではないのよ。上の記事で株価だとかPBRって一切意識してないでしょう? 配当は現金だから綺麗な株主還元で良いと思うけども、自社株買いも会社のカネ使ってやるんだから、「会社としての事業・投資の一環」で、それが果たして、効率的で良い買い物かどうか、というのは株価による


上がったら買い、下がったら売る愚行世論が生まれる瞬間

株安、アベノミクスに試練、政府・与党、追加緩和に期待も、野党、公的年金含み損批判。
2016/01/21 日本経済新聞
 「アベノミクス」が試練を迎えている。円安や株価上昇、それに伴う企業業績の改善を「成果」と位置づけてきた安倍政権にとって、円高・株安はアベノミクスの信頼を根底から揺るがす恐れがある。安倍晋三首相は「日本経済はしっかりしている」と強気の見方を繰り返すが、政府・与党内からは夏の参院選への影響を危惧し、日銀の追加緩和を期待する声も出始めた。
参院選を懸念
 「ことしの政権運営は前途多難だ。夏の参院選の足を引っ張らないといいが……」。首相の側近は20日、こう懸念を示した。
 第2次安倍政権発足以降、首相がとりわけ重視してきたのが株価の動向だ。日銀総裁に黒田東彦氏を起用し、2年間で通貨供給量を2倍に増やす「異次元緩和」を実施。円安が輸出企業の業績を改善し、株価の上昇にも結びつくスパイラルを生み出した。さらに公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用で株式比率を上げ、株価押し上げ要因をつくった。
 その結果、民主党政権時代に8000円台まで落ち込んだ株価は一時2万円を超える水準まで回復した。海外収益の伸びなどを追い風に、上場企業の2015年3月期の経常利益は最高を更新した。首相周辺は「株高こそが政権運営の原動力だった」と指摘する。
 それだけに政府・与党内では危機感は強い。円高や株安がもっと進めば、企業の来期業績の下振れ懸念も強まる。首相が期待していた賃上げや雇用増の機運にも急ブレーキがかかりかねない。
「最後は日銀」
 ある政権幹部は「最後は日銀頼みか」と漏らす。菅義偉官房長官も20日の記者会見で「日銀総裁は日ごろ2%の物価安定目標の実現のためにためらいなく追加緩和を含めて対応すると述べている」と日銀の対応に期待を示した。20日の自民党財務金融部会では上野賢一郎部会長が「場合によっては政府・与党あるいは日銀の方でなんらかの対応も今後考えられるのではないか」と強調した。
 ただ、原油安や中国経済の先行き不安など海外要因を背景とする世界的な株安だけに、日本側で打てる手は限られているのが実情だ。
 野党は一斉に攻勢に出ている。民主党の枝野幸男幹事長は20日の記者会見で「アベノミクスというカンフル剤をやめて経済の体質改善をしっかりとしていく必要がある」と述べた。共産党の穀田恵二国会対策委員長も「労働者の所得や賃金は実質上がらず格差と貧困を生んだ」と批判した。
 矛先は、GPIFの含み損にも向かう。「年金積立金が目減りした恐れがある」。維新の党の井坂信彦氏は12日の衆院予算委員会で追及した。民主党の長妻昭代表代行は14日の記者会見で「公的年金の基礎年金で50%の株投資というのは世界の標準から見ても問題が大きい」と批判した。
 首相が打ち出した「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」のアベノミクス「3本の矢」。日銀の異次元金融緩和は経済活性化へのカンフル剤となったが、持続的な成長実現ではまだ目にみえる成果は生み出せていない。貿易と投資の自由化をめざす環太平洋経済連携協定(TPP)では大筋合意にこぎつけたが抜本的な農業改革はこれからの課題だ。
 昨年には、20年に向けた新たな「3本の矢」を発表したが、子育て支援などが軸で「わかりにくい」との反応が多い。アベノミクスが海外発の逆風下で踏みとどまれるかどうかは、本質的な成長戦略を打ち出せるかにかかっている。
エコノミストの見方
GDP600兆円へ
抜本対策が必要
 熊野英生・第一生命経済研究所首席エコノミスト 安倍政権の「新3本の矢」は内容に乏しく、市場では実現性に疑問をもたれている。海外から株式市場に逆風が吹いたときに弱いのはこのためだ。本当に国内総生産(GDP)600兆円を実現するなら、人口減少に歯止めをかける抜本対策や農業改革などやるべきメニューはある。
 株価上昇局面では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用先に株式を増やすやり方は有効だったが下落局面では損失ばかりに焦点があたる。日銀の金融緩和に依存し、改革が遅れたツケがでている。
「新3本の矢」
海外に響かず
 河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト もともと実体経済の回復が弱いなかでアベノミクスで円安に誘導することに無理があった。輸入品の価格上昇で生活を圧迫し、企業の調達コストが上がる。安倍政権が知事選など地方選で負けが目立つのはこのためだ。
 円安誘導で実現していた株高効果が海外経済の要因ではがれ落ち、弱い日本経済の実態があらわになったといえる。
 新3本の矢も具体策はないに等しい。海外投資家からは「訳が分からない」という声が聞こえる。政権が海外経済の不透明さを理由1に消費増税の延期に傾く懸念もある。
【図・写真】参院本会議で2015年度補正予算が可決、成立し、一礼する安倍首相(20日)


グローバル企業は決算通貨を選択制に

海外売上比率という単語は非常によく聞く。一方、海外資産比率という言葉は聞かれることがない。日本を代表するトヨタという製造業だけでなく、昨今のアジアでの買収によりMUFGなどの銀行業もまた海外売上比率が高まっていて、日本の最大手=日本のグローバル企業の海外資産は増えていく傾向にあるのは間違いないだろう。
トヨタとMUFGという最大手企業を出しておいて、私個人という超零細の話にいきなり飛んで恐縮だが、私の場合、円資産比率が50%未満であるため、円ではじく損益計算(円中立)は大きくぶれてしまい、意味を感じない。ただ、日本株を見ているアジア時間は円中立、アメ株を見ているアメリカ時間はドル中立という複数の中立測度を持っている(個人だから許される自由w)のだが、長期で見る場合は、ドル中立を採用している。

人民元安、業績にリスク、中国での円建て収益目減り、価格競争力にも影響。
2016/01/15 日本経済新聞 朝刊
 人民元の対円レートでの下落が企業業績に大きなリスクとなりつつある。中国で稼いだ事業収益が円換算時に目減りしてしまううえ、中国企業にとっては輸出時の価格競争力が強まり、日本企業を脅かしかねない。人民元安はどんな企業にどのような影響が出てくるのか。代表的な4つのリスクにまとめて分析してみた。
 元は直近で対円レートでの下落が続いている。14日の取引は1元=18円弱で推移した。昨年8月の元切り下げ前のピーク時(約20円)に比べると2円強の元安水準になっている。昨年3月末(19円強)に比べても1円ほどの元安だ。
 では元安はどのように企業業績に影響していくのか。4つのリスクのうちの1つ目は中国事業の円建て収益が目減りする点だ。元ベースで同じ利益を稼いでも、元安円高だと円ベースでは少なく換算されてしまう。中国で稼ぐ利益の割合が大きいほど影響は深刻だ。
 TOTOは15年4~9月期に中国事業の営業利益の増益率が前年同期比で31%と元建てベース(8%)を大きく上回った。同期間の平均レートが1元=19・7円と前年同期に比べ3円強の元高になったためだ。逆に為替が円高元安に振れれば収益は目減りする。
 良品計画は中国を含む東アジア地域の営業利益が全体の約4割に達する。ファーストリテイリングも中国で世界全体の2割強にあたる414店舗の「ユニクロ」を展開している。同社は「生産面では影響は受けないものの、円ベースの収益は目減りする」としている。
 2つ目のリスクは中国企業の輸出時の価格競争力だ。元建てで同価格でも円やドルで安くなり、価格競争力が高まる。円安で日本の輸出企業が恩恵を受けるのと同じだ。新日鉄住金をはじめとした鉄鋼大手は中国企業との直接競合は少ないが、中国の輸出拡大で市況が悪化し、業績下押しにつながる。「中国企業が減産に踏み切るのか見守るしかない」(鉄鋼会社幹部)のが実情だ。
 3つ目は人民元安がアジア通貨安を引き起こす点だ。輸出で中国と競合するアジア各国は、競争力維持のために通貨を切り下げるとの思惑を生みやすい。昨年8月の元切り下げでは、マレーシア・リンギットやタイ・バーツなどが下落。キヤノンでは現地法人債務の評価損が発生し、ユニ・チャームも15年12月期の業績下振れ要因になった。
 4つ目は元安で内外価格差を理由に膨らんだ中国人観光客の消費だ。元安で円ベースの購買力が落ちれば、日本での消費の勢いも冷え込みかねない。今後は小売りや消費財メーカーの販売動向にも影響が出てきそうだ。

(会計上しょうがないのはわかるのだが、中国元の変動を円建てで見ているだけで嫌悪感が湧き出てくるわw)
など、という記事を見ていると、海外売上が円高で減るというフローのデータばかりに注目しているように見え、
海外利益=(海外売上-海外コスト)÷為替レート
ではなく、海外資産がある場合、
2008.01.21: 悲しい時は、中立測度変換  で示したように
DeriLec(MT).PNG
Value Change=S(t)*JPY/USD(t)-S(0)*JPY/USD(0) (注:これはドル中立の評価なので、円中立の場合は、USD/JPY(t)となる)
というストックが持つ資産効果による評価損益が大きい。企業の場合、海外負債によるネット効果があったり、会計上の問題で、(海外売上-海外コスト)÷為替レートとしても良い部分もあるが、一方、個人に近いファンドとなると、同日の新聞に、

投信、4年ぶり運用損、昨年の公募、2兆円規模に、海外資産の評価減響く。
2016/01/15 日本経済新聞

という資産効果のみに注目した見出しも存在する。
2015.07.09 アジア通貨よりも高いVolatilityを持つ日本円という事実
という数値で見てもわかるように、円はアジア通貨よりもドルに対してボラティリティが高く、かつまた、株と通貨の逆相関性を持っている。=株が上がると円安になるという意味だが、スイスフランと円以外は株が上がると通貨高になる傾向が”あった”。2013年FRBが量的緩和を止め、利上げを示唆するようになってからは、株高・「ドル高」傾向で、ドル高というのは円安でもあるので、日本から見たらいつもと同じ現象だが、ユーロやオージーなどは株高・通貨安という今までの逆方向であるというのは踏まえた上で、
2008.10.13: 株と通貨の相関
世界の金融緩和・通貨安競争が落ち着き、昔のような状況、円とスイスフランだけが株と逆相関性を持っていると仮定すると、円中立下では米国以外の海外資産の持つボラティリティは異様に高くなる。だが、逆に、円資産を保有しながら、ドル中立で評価すると、損益は異様に安定する。私は「2008年プラスの男」と称しているが、「ショートセルやデリバティブなどの複雑な金融取引を通じてw」儲けたわけではなく、単に円の現金を持っていてドル中立で評価しただけだw ちなみに円中立で評価すると2008年は大きなマイナスだ。円高だから当然といえば当然で、まったく面白くない・・・。
日本の大企業がM&Aなどを通じて、海外進出している記事が目立つが、大企業が事業計画や投資計画を練る際に、円中立測度で見た純利益のブレで「ぎゃーぎゃー」言われると、長期的な展望に立った視点を確立するのが難しいように感じるのは私だけだろうか。シンガポールの場合、企業の決算通貨は選択制だ。貿易比率などで見れば明らかで、国内市場の規模が零細すぎて、国際取引が多い企業にとって、シンガポールドル中立が意味を持たないというシンガポールのショボさ固有の事情があるのだが。
米国会計基準というのも結構だが、納税や会社法の都合で円建ての損益計算書を出すが、ディスクローズ資料としてのアニュアルレポートは、2000年から2015年までの決算をドル建てで見ると、「うちの会社、こんなに安定してるんです!」って企業が一社くらいあっても良いような気がするんだけどなぁ・・・。そうしないと海外進出の意義とか見出しにくくない??
【Tax Arbitrage法人・組織】
2015.02.26 ロビイスト アメリカ政治を動かすもの 2/4~ロビー活動の法的根拠
2014.11.14 第二次フィリピン遠征 2/10~ルソン島の工業地帯
2014.02.05 税金の論理 3/4 ~原始的な税制と先進的な税制
2013.05.31 基地と人権 2/2 ~国土と基地
2013.04.01 国際テロネットワーク 狙われた東南アジア 3/3 ~資金ルート
2011.04.14: 米国債券投資戦略のすべて2/3 ~決済
2010.11.04: グーグルの税率2.4%はアイルランド仕込みのダッチ・サンドイッチ
2010.10.06: マネー・ロンダリング入門 ~海外送金 
2009.10.13: 金融監督って難しい
2009.09.09: 世界の金融センターの候補地を選ぶ際の指針
2008.11.07: Tax Havenと相性のよいもの
2008.11.06: Tax Haven諸国の国としての特徴
2008.10.23: Tax Haven的観点による香港とシンガポールの違い


2015年投資一族のポートフォリオ

2014年末から2015年末へのマーケットの変動は、

2014		2015
S&P500	2058.90		2043.94		-0.7%
JPY	119.4		120.4		-0.8%
TOPIX	1407.51		1547.30		+9.9% (※円建てリターン)

夏終わりの下げはあったものの、あんまり変化無しという年であった。
一方、投資一族のリターンは、ドル建てで+5.6%。円建てだと+6.6%。ちなみに12月30日時点ではドル建て最高時価総額だった。31日下げたから、最高値で終わらなかったが、要は自分自身の資産総額はほぼ最高額で終わったということだ。
しぶといなぁ、俺も・・・。毎年、ショボいリターンだけど、負けない戦略だねぇ。健全な投資家である良い子の皆さんは、僕の真似しちゃ駄目だよ。負けない投資というのは勝てない投資だからね。「絶対にウォーレンバフェットになれない、負けない投資」と言えばわかりやすいかな?
1年以上の期間で見る場合、円建てリターンは円のボラティリティが高すぎて、円安なのか、円高なのかが非常に大きく影響してしまいあまり意味が無いので、ドル建てリターンで見たほうが健全だ。
ドル建てで通貨×アセットクラス別に見た成績は・・・、
1位:アメ株 +15.3%
2位:日本株 +7.5% (円建てリターンは8.5%)
3位:S&P500 Options +6.0%
4位:日経225オプション +4.3% (円建てリターンは5.2%)
・・・
ワースト2:中国人民元預金 -3.6%
ワースト:AUD Futures -7.2%
なんだか、2014年末にもアメリカ株が好調で、日本株もプラスだがTOPIXに負け、オプションはなかずとばず・・・というまったく同じ結果を書いたような気がするが・・・、2015年も同様です・・・。
でもS&P500には勝ったぞーw
我らが米国軍需産業ロッキードマーチンとレイセオンによるところが大きいのかなぁ?
F35.jpg
コード 2014  2015       トータルリターン
LMT 192.57 -> 217.15 配当6.15  +16.0%
RTN 108.17 -> 124.53 配当2.615  +17.5%
おおー! 軍需産業がんばったw 上がってるなぁという感じでボーッと見てたけど、みんな上がってるし・・・とか思ってたら、S&P500は微マイナスなんだなぁ・・・。


相場を科学する

現在も相場そのものの本質は変わっていない。それにもかかわらず、様々な市場が発展し、企業や個人を問わず相場とのかかわり合いが密接なものとなった。「相場」というものは、特殊な人だけのものではなく、一挙に日常生活に入り込んできたのである。株式や原油、貴金属のような商品だけでなく、外国為替、債券、預金などの市場も、テレビや新聞のごく一般的なニュースとして取り扱われるようになっている。また、日本国内だけではなく、米国、欧州などの市場の報道もよく見かけるようになっている。

私も日本の証券会社で、外国株式市場の指数を見ることがあるのだが、
NYダウ、ナスダック総合指数、そしてS&P500の順番だ。
でもね、
http://finance.yahoo.com/
見てよ。S&P500、ダウ、ナスダックの順番だ。S&P500は最も何も考えずに米国市場全体を見ることができる指数だと思うのだが、日本では、伝統的にダウ、日経225、そして欧州といえばユーロストックス50ではなく、DAXだろう。株式指数も時代とともに進化し、より合理的に、より単純に美しくなっている。良いものを単純に採用すればいいのだろうが、過去の習慣にとらわれ、変化を嫌う気質がよく表れている
日本人が生活していくうえで、市場変動性をほとんど意識しないでも問題がない。ガソリン価格や電気料金は、一般生活において変動しているほうだが、電気料金の変動もオイル価格による影響というより別の要因だしw 日経平均を見ている人間は多いが、10年債金利を見ている人間は圧倒的に少ない。あれだけGPIFが債券保有していると言っているのに、年金受給者だろ? だが、確定給付なので、GPIFがどう運用しようが関係ないと考えている人が多いからだ。そして、みんな大好き住宅ローンの指標でもあるプライムレートの変動も、市場の揺らぎとはほど遠い。もっとすごいのが、これだけドル円為替レートがリアルタイムで簡単にとれる時代にもかかわらず、全銀行が、東京銀行の公示レートに右に習えで、1日固定レート、1%以上ブッコ抜くというのは、もはや滑稽としか言いようがない。


野村證券 グローバルハウスの火種 2/2~証券化は魔法のつえ

この本は、どの話も中身が無いので極めて抜粋が難しいのだが、何も書かないと分からないと思うので、

P83~85
ガイ・ハンズ、94年11月、プリンシパル・ファイナンス・グループ(PFG)設立の責任者として、ノムラインターに入社
「ガイ、君のアイデアについては、ある程度知っているつもりだが、今日は直接聞いてみたいと思う。初心者に話すつもりで分かりやすく頼む」
「わかりました。やってみましょう。途中で何でも質問してください。まず投資銀行が、企業や資産を自己資金で買収します。次に買収した企業や資産が生むキャッシュフローを証券化します。つまりキャッシュフローを元利金の支払いに充てる債券を作るのです。この債券を投資家に売って資金を調達して、最初の買収資金をできるだけ回収します。全額回収で切ればその時点で買い手の野村はリスクが無くなり、いわゆる「リスクフリー」となります」
「この手法は以前からあったのかなあ」
「米国では前からありますが、欧州ではこれからです。また「証券化」を本格的に活用した例は米国でもなく、通常は銀行借り入れで買収資金を賄っています」
「証券化する方が銀行から借りるより有利なのかな」
「キャッシュフローを利用した債券と格付け機関へ持ち込んで格付けしてもらいます。キャッシュフローの内容が安定していれば、当然高い格付けが取れますから借入コストも銀行借入よりも安くなります」
「証券化に成功すれば野村は買収資金のリスクはもう考えなくてよいのですから、次は企業価値の向上に専念します。将来の売却に備えて、エクイティバリューを高めるのです。買収した企業は色々な理由で効率的な経営を行っていないケースが多いので、積極的に経営に参加して、経営の体質改善や必要があればリストラを実施します」
「経営参加といってもガイ一人では大変ではないの」
「私はもちろん買収企業のボードに入りますが、PFGからも何人かのスタッフを常駐させます。経営トップに問題があれば、すぐほかの信頼できる人材と入れ替えますし、その他の専門家も必要に応じて採用します」
「企業価値の向上がうまくいったとして最終ステップの利益の実現にはどんなやり方があるのか、また売却までにどのぐらいの期間を見ておけば良いのか聞かせてくれないか」
「利益の実現は大きく分けて3通り。買収企業の株式の上場を通じて証券市場に売却するか、特定の買い手に企業を丸ごと売却するか、あるいは資産のばら売りです。期間は個々の案件によって異なりひとくくりにはいえませんが、まあ2年から5年というところでしょうか」
ガイとのやりとりは以上のとおり。

って、えーーーっ。ほとんど何も話していないに等しい。キャッシュフロー、証券化という単語だけ聞いておしまい? それを後押しするのが

p170
証券化はキャッシュフローが生まれるものなら何にでも適用する魔法のつえだ

この発言キテるなw こういう人間が自分の上に決定権を持って座っていると思うと頭に来る従業員の気持ちもわからなくない。証券化やデリバティブは魔法の杖ではなく、単なる分解と合成に過ぎず、それ自身が価値の向上を産みだすことはない。確かにNは「証券化、キャッシュフロー、儲かる? よっしゃよっしゃ売ろう売ろう」というような何にもわかってない役員が居るが、キチンとしたブレーンが下にいるものだ。多分、この人の下にもブレーンがいたのが分かるのが、
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野村證券 グローバルハウスの火種 1/2~新日鉄1000万株の成行のペロ

読んでもまったくためにはならないし、面白い内容でもないですが、これを読んでどう感想を抱くか、には価値がある本です。意味わかりますか? ちなみに僕の感想は、アロガントで自慢タラタラとは思いませんでしたが「よくいる古いオヤジだなぁ。」という印象です。皆さん、どうお感じになるのでしょうか?では早速抜き出していきましょう。
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このシステムでコンピューターに入力できるのは1件当り発注株数7桁まで。つまり1件1000万株を超える注文は想定外だ。ある日、産油国から新日鉄2000万株の買い注文を受注したが、コンピューターに入らない。結局、900万株2件と200万株に分割して発注したと当時の営業マンは回顧している。

でたーっw新日鉄1000万株の成行のペロ。よく聞く話です。でも途中でね、「産油国から」って言い方が随分他人事だなと思ったら、最後に、「当時の営業マンは」と正直に書いているじゃない。別に「俺が1000万株受注した」って自慢話ではないと思うの。2014年にもなっても、まだ「新日鉄1000万株」とか言ってる取り残されているオヤジだよ。よく居るじゃん、ってもう居ないかw
15年前だから2000年、その時代に、東大卒の若手軍団で構成された株の自己売買部門とはちょっと毛色が違う安定操作などを担当するおじさんばかり居る自己売買部門があって、いわゆる裁定取引やデリバティブのガンマトレードといった話ではなく、売買制度、「この場合はいくらで寄り付くのか?」などの質問に答えてくれる人たちです。質問しに行くといつも丁寧に、「例えば…」と言っておもむろに6501か5401と打つ。「銘柄が古いなぁ」と思っていましたが、おじさんに質問するといつも出てくるのは、この2つでした。当時の時価総額1位はNTT Docomoでしたw カネボウとかJALとかに比べて、新日鉄も日立も、今でも立派な一流企業ですが、株式市場の中心銘柄とはとても思えず、「いつの時代だよ」感w 新日鉄は、ちょっとだけ、名前変わったかw


徹底抗戦 2/4~投資家は犯罪者扱い

スペースシャトルのせいで、世界の宇宙事業開発は停滞したといっても過言ではない。財政崩壊の危機に瀕していたソ連、崩壊後のロシアは言うに及ばず、である。え?なぜ、スペースシャトルかって?あれは飛行機の形をした宇宙船に憧れたアメリカ国民の、(負の)意識の結晶だからだ。当時の技術では実現できないことが分かっていながらも、国民の期待の高まりの前に、完全再利用型の宇宙船の建造を目指し、ロケットブースターや外部燃料タンクをつけて、「なんちゃって」再利用型ロケットにしたのがスペースシャトルである。結局は、使い捨て型のロケットよりも滅茶苦茶割高なロケットができてしまった。二度の事故によって14名の命を奪ってしまった。このスペースシャトル、あと2年でその運命を終える予定だ。そのような国家主導の宇宙事業開発ではなく、民間主体で開発すれば、コスト面でも現実的な案が提示できるだろう。そもそもガガーリンが初めて宇宙に行ったのは1961年のことだから、もう、50年も昔のことである。現在の技術を持ってすれば、当時の技術をトレースすること自体そんな難しいことではない。少なくとも国家レベルで莫大な予算と兆優秀な技術者の頭脳を投入しなければなし得ないレベルの話ではない。


徹底抗戦 1/4~会社は誰のもの?

定時株主総会の基準日までにニッポン放送株の過半数を取ることができた。その間たくさんの人たちが「和解の仲介をする」と申し出てきた。基本的に断っていたのだが、「日興コーディアルグループ」はライブドアの主幹事証券会社でもあり、有村純一社長の仲介は断りづらく、何度も話をさせていただいた。皮肉なことに、有村さんもその仲介を実質的に仕切る形になった「日興プリンシパルインベストメンツ」の社長も後に日興粉飾疑惑で辞任することになった。対するフジテレビ側についたのは「大和証券SMBC」と後に述べる「ホワイトナイト」北尾吉孝氏率いる「ソフトバンクインベストメントホールディングス」なのだが日興や村上ファンドなど、フジテレビと敵対した勢力だけが検察やSESC(証券取引等監視委員会)にコテンパンにやられているというのは偶然の産物なのだろうか。釈然としないことが世の中には多い。
私はフジサンケイグループにおける産経新聞の役割を過小評価しすぎていたため、結局、仲介者のオファーを無視してしまった。産経新聞はフジテレビから広告名目で大量の財務支援をしてもらっているくらい経営基盤が脆弱である。私の業界で言えば、頭が上がらない存在だ。そのことが常時頭の中にあった。とはいえ産経新聞は”新聞社”だ。古い世代の中には未だにテレビよりも新聞社の方が格上というヒエラルキーを信奉している人もいる。私を頭ごなしに批判するような社説を展開したことを見ても、新聞は未だに権威と影響力を持つメディアだと言える。さすがに100年以上の歴史を持つメディアだ。その現実にもっとナーバスになるべきだった。もしもあの時、私が仲介者のオファーを断っていなかったら・・・。私の置かれている立場はどう変わっただろうか?

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2014年世界の株式市場と投資一族

去年に引き続き、各国の代表的な株式指数のパフォーマンス、ドル建てリターン、通貨リターンを計算してみた。
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中国、ベネズエラw、インド、東南アジアのフィリピン、インドネシア、タイがアメリカS&P500を上回った国である。東南アジアの雄、マレーシアが漏れてしまっているのは、マレーシア航空のおそそが効いている。
しかし、通貨に限っては米ドルを上回った通貨が一つもない(北欧・東欧系は観測していないが、ユーロ、ルーブルと似たようなものであろう)のが今年の特徴。2014年は、FRBの金融緩和の縮小の一言で説明できる年。緩和縮小は、ドル高だけにとどまらず、お金(キャッシュ)の価値を上げる効果で、資源系特に原油価格の暴落を引き起こした。2014年の日本の株式市場は円建てで見ればプラスだが、ドル建てで見るとマイナス。
※こんなに原油が落ちるとは思っていなかったが、去年作ったシートで原油もちゃんと観測しているのはさすが俺。
投資一族のポートフォリオ
日本株は零細株がほとんどなので、TOPIXや日経平均よりは、Jasdaq Indexに準ずる傾向があるので、個人的には厳しいところだが(東証二部指数は好調だったので、ある意味妥当でもある)、今年の日本株のリターンは+13%とTOPIXを上回った。円安効果を補うことはできず、ドルで見たら+1%弱に終わり、大きく足を引っ張った。
また日本市場のデリバティブズのリターンは-7%。笑ってくれ、去年も-4%だった 俺は株じゃなくてデリバティブの人だと言ってる割に、2年も連続で損失とは、デリバティブ取引下手すぎですか? 言い訳すると、日本市場のデリバティブ(オプション)は、取引できる限月が2~3カ月程度しか無いので、戦略の幅が小さく、極端なポジションとなりやすいので、リスクが高く、米国のデリバティブズ取引に使用している金額に比べて、小さく抑えざるを得ない事情もある。


ジャカルタ潜伏 13~インドネシアに見るエマージング市場

Lara Djonggrang 外国人(日本人も)が多い、ジャワ料理を中心にしたインドネシア料理店
Jl. Cik Di Tiro No.4, Jakarta Pusat (場所はチキニ、Chikini)
Tel:021-3153252
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この店は2年前にジャカ1と来たことがあるのだが、ブログ上で言及していなかった。正直に言うと、インドネシア料理は、日本人の口には合わないと思う。タイ料理はおいしいので、タイでは外国人向けのヌルいレストランで食事をするのは嫌だが、インドネシアでは、この外国人用の無難な味付けがちょうど良い(これじゃ現地化できていないんでダメなんだが)。なので、客はほとんどガイジン、白人から日本人まで。私たちが訪れた時も日本語が聞こえてきたくらいのガイジンプレイス&ガイジンテイストの店だが、日本人の口に合う無難な味付けのインドネシア料理である。昨日まで、Subangのド・ローカルやレストランで食べたリアルなインドネシア料理とは一線を画す、「無難なインドネシア料理w」である。
4品+Nasi Merah(インドネシアの赤飯)+ソフトドリンク2杯で360,000IDRというような値段である。しかし、料理名はインドネシア人のジャカ1をもってしても意味不明な名前(すなわち土着の料理では無い)のようで、英語の解説を読みながら推測するしかない。ただ、私の経験では、ここの店のメニューはどれを頼んでも、「ギョッ、これは食えん」というような代物は出てこないので安心してオーダーできる


株式投資の未来 5/5~継承は力なり

生産性の伸びの源泉
生産性が高齢化危機を回避するカギだとすれば、どんな政策を通じて生産を引き上げられるだろう? 歴史的にみて、生産性の向上をもたらしてきたのは、新型の機械だった。綿織り機もそうだし、蒸気機関もそうだし、鉄道も、自動車も、電話も、そうだった。こうした機械を製造するには資本が必要であり、資本を形成するには貯蓄が必要だ。ならば、貯蓄率を引き上げれば、資本形成が促され、ひいては生産性が向上すると思える。経済学者が米国の貯蓄率引き上げを提唱するのはこれが理由だ。そうすれば、生産性が向上し、高齢化の波がもたらす打撃を緩和できる。だがこの仮説は、つまり余剰貯蓄があれば生産性を大きく伸びるとの説は、1950年代半ばにMITのロバート・ソロー教授の先駆的な研究によって否定されている。1987年、教授はこの研究でノーベル賞を受賞した。企業の設備投資は、企業が生産に利用するために購入する機械、プラント、設備の一切は、歴史を通じて、生産性の向上にほとんど貢献してこなかった。
日本の貯蓄率は世界最高の水準にあるが、1990年代、生産性はほとんど伸びなかった。米国の生産性は同じ時期、貯蓄率は低い今まで力強く伸びた。日本のケースをみると、貯蓄率が高すぎる国では帰って生活水準が低下する場合さえあることがわかる。貯蓄が高齢化危機に対する答えになるなら、先進国の中でどこより貯蓄率が高い日本は、高齢化問題などどこ吹く風であるはずだ。だが、事実はそうではない。貯蓄率引き上げが生産性向上の答えでないなら、何が答えなのか?スタンフォード大経済学教授で、「新成長」理論の提唱者、ポール・ローマーの説によると、生産性の最大の源泉は、発案と想像の蓄積にある
発見の土壌と伝承
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ハーバード大学経済学部教授、マイケル・クレマーが『人口増加と技術と進歩 紀元前100万年から1990年まで(Population Growth and Technological Change 1,000,000B.C to 1990)』なる壮大なタイトルの論文を寄稿している。クレマーの説得力のある論によると、歴史の大半を通じて、人口は経済成長率をあらわすかなり有効な指標となってきた。人口密度が上がると、アイディアの伝達が速くなり、専門家が進み、道具が洗練され、食糧生産高が増える。なかでも重要なのは誰かから別の誰かへ、ある世代から別の世代へと、情報伝える能力だ。情報量が増えるほど、生産性が上がり、大きな人口を支えられる。産業革命が始まるまでは、生産性も人口も這うほどのペースでしか伸びなかった。発見や創意工夫がなかったからではなく、あっても次の世代に伝わらなかったからだ。たとえば紀元100年頃のローマのインフラ設備(道路、下水、水道)は、19世紀の欧州の都市が、まずかなわない水準だったといわれる。


株式投資の未来 4/5~カネを見せろ!

鉄鋼業界 ニューコア
鉄鋼業界は、鉄道と石油の後を継いで、19世紀終盤から20世紀後半にかけて米国の産業界を支配した。上場時の規模でみてユナイテッドスチールを上回る企業は未だに現れていない。1901年に上場を果したときの時価総額が14億ドルだった。米国の上場企業で時価総額が10億ドルを越えた第一号だ。ベスレヘムスチールの創業は1857年にさかのぼる。USスチールとベスレヘム・スチールとは、米国経済の電源であり、両社合わせて国内鉄鋼需要の約半分を供給していた。だが1970年代前半から、外国メーカーとの競争が始まった。国内の鉄鋼労働者数の推移を見ると、第二次大戦中の100万人から、2002年には14万人まで減少している。2002年ベスレヘムスチールは破産法を申請し、歴史に幕を閉じた。逆風を突いて、卓越したリターンを達成した会社がある。ニューコアだ。他者に先駆けて電路製鋼技術を採用し、鉄スクラップの再利用の草分けとなった。平均17%のベースで売上を伸ばし、いまや業界第2位の地位にある。
ニューコアの製鋼の理由を「破壊的技術」の採用に見る向きが多い。つまり「鉄鋼大手」に代表される、過去の巨大企業を転覆させる新技術を採用したために成功した。だがジム・コリンズは『ビジョナリー・カンパニー』で、こう述べている。
我々が偉大な企業への飛躍をもたらした要因を5つ挙げるように求めたとき、ニューコアCEO、ケン・アイバーソンは、技術力を1位にはあげなかった。2位にもあげなかった。第三位でもなかった。第4位でもない。では、第5位だろうか。これも違っていた。「主要な要因は、会社の一貫性、組織全体に我々の考え方を浸透させる能力、それを可能にした要因として、経営階層がなく官僚主義がない組織だ」


株式投資の未来 3/5~IPO投資の勝者は誰か?

IPO投資は儲かるか?
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IPOに投資するのは宝くじを買うのとよく似ている。一握りはとんでもなく成功するだろう。例えばマイクロソフトやインテルだ。1986年マイクロソフトが上場した年、この会社に投資した1000ドルは、2003年末には289,365ドルになっている。インテルが上場したのは1971年10月で、1000ドルが1,900,000ドルになっている。だがIPO銘柄を無条件に定期的に買うなら、既存銘柄で運用する場合に比べて、運用成績は大幅に低くなるだろう。調査では1968年以降に上場した約9000銘柄を対象に、買い持ちした場合のリターンを調べた。上場月の月末の価格か公募価格かのいずれかで購入し、2003年12月31日まで保有すると想定した。大成功する勝者もあるにはあるが、そうでない敗者の数が、どうみても多すぎる。IPO投資家の運用成績は全体に、市場平均を年率2~3%下回っている
IPO市場が高騰する時
新規発行株を買うにあたり、間違いなく最悪の時期は、IPO市場が沸き立っている時だ。こうなると投資家は「絶対に買い」といわれるセクターの銘柄ならなんでもいいと言い始める。IPO市場が沸騰するのはバブルの最中だ。1990年代のハイテク・バブルでもそうだったし、1970年代後半のオイル・バブルのときもそうだった。新規公開ラッシュこそ、バブルの明らかな兆候と言っても良いくらいだ
新興企業とは、起業家とベンチャーキャピタルと投資銀行にとっては、途方もない利益の源泉となる。だが、その株を買う投資家にとっては、そうはならない。初物をつかもうと熱狂するあまり、経済成長を牽引する主役に、過大な対価を支払うからだ。『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者、バートン・マルキールはこう述べている。「IPO株の主な売り手は、その会社の経営陣だ。経営陣は会社が波に乗った絶頂期に売り出そうとタイミングを見計らう。絶頂期とはつまり、目下の流行り物をめぐる投資家の熱狂がピークを迎える時だ


第二次フィリピン遠征 2/10~ルソン島の工業地帯

ポケットワイファイを購入。
HUAWEIというメーカーで、2500PHPと少し高めだが、製品は良いらしい。Sim Cardに1000PHPチャージすると、1ヶ月使い放題になる。場所によりけりだが、マニラでは比較的安定して使えていたが、他の地域や移動中は不安定で、つながりにくい場合もある。私が泊まるような安ホテルは、低速かロビーのみWifiも珍しくないので、これは一台持っておくと便利かもしれない。Simを替えればおそらく他国でも使える。日本はダメなんだろうな~wwまったく困ったもんだ。使い方はいたってシンプル、充電用のUSBケーブル、そしてスイッチだけだ。そして蓋を外すとバッテリーがあり、蓋にPasswordが書いてあるので、一度、登録すれば、パソコンがパスワードを記憶するので、ずっと使える。
ベルトを購入。
ジャカルタで買った20,000IDRのベルトが2ヶ月で壊れた。200円でスライド・バックルは、やはり高機能を求めすぎたようだ。普通に穴の開いたベルトを200PHP(約500円)で購入。レジで、「ベルト、カットできる?」と腰に巻いたらなんと、長さが足りない!! フィリピンではベルトにサイズがあるらしい。自分に合う長さのベルトに選び直し、切らずに使用です。
ルソン島、マニラの南にある工業地帯を見学。
ラグーナ・テクノパークは、マニラの南方に位置する工業団地群の一つで、インドネシアとまったく同じ構想で、商社と大企業が組んで、工業地帯のインフラを商社が整え、大企業がそこに入っている。
ラグーナの「ラグーナテクノパーク」は三菱商事
バタンガスの「第一フィリピン工業団地」は住友商事
カビテの「ファースト・カビテ工業団地」は丸紅
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株式投資の未来 2/5~時価総額とリターンの違い

株式の市場価値の増減を、投資家リターンを測る物差しと取り違えたところだ。市場価値とは、一般に時価総額と呼ばれる指標、投資家のリターンは時価総額とはまるで別の概念だ。リターンは株価の変動だけでなく、配当が支払われている限り、その水準にも左右される。リターンと時価総額を混同している投資家は多く、専門家でも取り違えることがある。短期的に見れば、日次ベース、週ベースで比較すると、相関性はほぼ完璧と言っていい。だが期間を長く取ると、相関性はずっと弱くなる。長期投資家の立場から見て、リターンの最大の源泉となるのは、配当だ。
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IBM株の値上がり率は、年率11%超と、スタンダード・オイルのそれを約3ポイントも上回っていた。だがリターンで比べると、IBMの成績は、スタンダード・オイルにかなわなかった。1950年から2003年にかけて、スタンダード・オイルの株価上昇率は約120倍だった。IBMでは約300倍だ。だが1950年にスタンダード・オイル(現在のエクソンモービル)株を買って、配当を再投資し続けた投資家は、2003年の保有株式数が当時の15倍になっている。IBMではわずかに3倍だ。投資家にしても投資アドバイザーにしても、配当再投資がどれほど長期的なパフォーマンスを左右するか理解していない向きが多い。短期的な値上がり率ばかりが注目を集めて、肝心な長期的なリターンが見向きもされなくなっている。これも、成長の罠にはまった兆候の一つと言える。


株式投資の未来 1/5~成長(グロース銘柄)の罠

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1999年4月、わたしはインターネット銘柄の株価水準について考えをまとめて、ウォールストリートジャーナル紙のコラム面に発表した。タイトルは『インターネット株は高すぎか? そのとおり』だ。当時のハイテクセクターはまさに沸騰状態で、セクターの時価総額がS&P500の全体の1/3に近づいていただけでなく、ナスダックの売買高が、史上初めて、ニューヨーク証券取引所を上回っていた。2000年3月、私はジャーナル紙にもう1本論文を寄稿した。タイトルは『大型ハイテク株はポンカス』だ。この論文で私は、シスコ、AOL、サン・マイクロシステムズ、JDSユニフェーズ、ノーテルといった銘柄を挙げ、今の株価水準が続くはずがなく、いずれ大きく下げると指摘した。
> 懐かしい銘柄ですね。ノキアは無いんだ…。
「買って永遠に持ち続ける」だけなのだから、長期的リターンの算出は簡単だと思えるだろう。だが実際にやって見ると簡単どころではなかった。個別銘柄のリターンについて、研究者や機関投資家が利用できるデータは一定の前提に基づいていて、そこには交付された株式やスピンオフされた子会社の株式は、すぐに売却し、売却代金を親会社に再投資することになっている。だがこの前提通りに行動しない投資家も大勢いる。1950年頃にAT&Tを買った、友人の父親がそうだった。私は半世紀を遡り、長期リターンを算出した。配当は再投資し、交付された株式もすべて保有することを前提としたリターンだ
成長の罠
成長の罠にはまった投資家は、革新をもたらし、経済成長を牽引する企業や業界に、過大な対価を支払う。ひたすら成長率を追い求め、話題の銘柄を買い漁り、胸躍る最新技術を探し回って、なるべく成長率の高い国へと資金を振り向ける。こうした投資アプローチは、低い投資収益率(リターン)しかもたらさない。それどころか長期的なデータを見る限り、過去に際立った運用成績を達成してきた銘柄は、斜陽業界や低成長国に属しているケースが多い
先端技術を導入することで莫大な経済成長がもたらされる一方で、なぜ投資家が大火傷を被るのか? 理由は単純だ。新たなテーマに熱狂して、話題の銘柄に手を伸ばす投資家は、そのたびに、過大な値段を支払わされる。やみくもに成長性を追い求めるあまり、変化が速く、競争が激しすぎる業界の銘柄を過大評価する。こうした業界で勝ち残るのはごく一握りにすぎず、この一握りにすぎず、この一握りでは、敗者の群れが残していった損失をとても穴埋めできない。
創造の過程から借り取る果実など無いと言っているのではない。新製品の技術や新技術を発明して、億万長者になった人はたくさんいる。だが、この成長の恩恵が流れ込む先は、個人投資家ではない。流れ込む先は発明者と創業者であり、開発資金を出したベンチャーキャピタルであり、株式公開を仕切った投資銀行であり、最終的には、より良い製品をより安く手に入れた消費者だ。個人投資家は、世界経済を牽引する輝かしい成長の分け前にあずかるつもりで、実際には損を引き受ける仕組みになっている。
> 個人投資家ではなく、機関投資家でも場で買えば同じわけだから、少数株主なり、一般株主とか表現すべきだね。そして、成長の恩恵を最大に受けているのは、投資銀行ではなく、消費者であることは間違いないだろう。
長期投資に最適の銘柄
1950年に戻って、オールド・エコノミー陣営のスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(現在のエクソンモービル)とニュー・エコノミー陣営の巨人、IBM。その後半世紀、どちらのセクターが相手以上に成長するだろうか? ハイテク・セクターだろうか、エネルギー・セクターだろうか? さいわい、過去をざっと振り返れば、答えは簡単に出てくる。50年前と言えば、ハイテク企業の急成長がこれから始まるところだ。IBMのEPSの伸び率は、向こう50年にわたって、石油大手、スタンダード・オイルを年率3ポイント以上上回っている。情報技術が進歩し、コンピューターが経済で果たす役割が格段に広がった結果、ハイテク業界が市場で占める比率は、50年前の3%から18%近くに拡大した。1950年、石油セクターは米国株の走時価総額の約20%を占めていた。2000年、この比率は5%を割り込んでいる。しかも原発推進派の予想に反して、原子力が電源の主役になることは無く、化石燃料が引き続き主流を占める中で、ここまで縮小している。だが、石油会社に投資した1000ドルは、126万ドルに増えている。IBMに投資した100ドルは、96万1000ドルだ。スタンダード・オイルのそれを24%下回る。
【投資方針】
2014.08.27 新オプション取引戦略の考案 1/3~暴落対策の難しさ
2014.05.29 アジアの動乱の収益化と高度経済成長時代へのタイムスリップ
2014.01.06 2013年の投資一族 勝つこと、勝ち続けること、それが一番大事
2013.09.19 初フィリピン・マニラ編 2/14 ~炸裂したアジア一国一愛人構想の説明
2013.09.04 ジャカルタ・リラクゼーション・アワー 10/16 ~人生初のプロポーズ
2012.03.13 株メール Q12.PERとPBRのリスト
2011.05.27: 株メール Q10.PBRの計算 ~LYNAS編
2010.09.30: 株メール Q9.俺が言ってるのはStrategyではなくTacticsだ
2010.09.08: 株メール Q6.株価を買わず会社を買う
2010.08.04: 無駄遣いを止める方法
2009.12.28: よくある素人の資産運用=老後の心配 
2009.05.14: 2009年度予算案 
2009.04.15: 貯蓄率にみる人々の自信度合い 
2008.10.17: 最近数ヶ月の投資総括 
2008.07.04: 投資人生の必要条件
2008.05.14: 自分自身の財務諸表






現金同等物と現金

四季報に載っている現金と実際の現金に相違がある。
と言ってきた人がいましたので、これまたネタにしましょう。私はデリバティブのプロであって、株や会計の専門家ではないのですが、アジア放浪記はいいかげんにしろ!という声もヘビーユーザーからいただいていることもあり・・・。ただ一方で、この程度は常識なので、常識とはWikipediaにも載ってるレベルだと、あえて書く必要もないとも思うのです。私が想定してる読者は、金融機関でプロとしてトレーディングしている人、なわけですが、コメントを下さる人は個人の方も多いように思えます。またこの報告をしてくれた人も個人投資家(ただし富裕層w)です。
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一方で、ウィキどころか、“金で買えるあらゆる本”にも載っていないこと=つまり本来ならば価値があること、について書くとオタクすぎてシーンと静まり返ってしまうのですよね。デリバティブの専門書に載っていること=せいぜい価値としては5000円程度の知識=勉強すること です。専門書にも載ってないこと=経験すること、必要なこと であって学者さんのごとく勉強することではありません。デリバティブを勉強するのは大学で、マーケットにおいては、デリバティブを使ってくださいw 静まり返る系記事の代表格である新株予約権系の記事ですが、新株予約権は、日経225のIVのBehaviorの100倍以上、株価に影響あるものですからねっ! だからデリバティブ・プレイヤーだけでなく、株のトレーダーにも関与する非常に重要な話なのです。


外資系金融の終わり 2/2~トレーダーはケチかバブリーか?

異常にケチが多いトレーダーという人種
僕の給料は、上場企業の雇われ社長よりもちょっと多いぐらいで大したことなかったが、前述したように非常に気前が良かった。好きな女のために1万円のディナーぐらい大盤振る舞いしていたのだ。

いや、ですからねぇ…作家先生…、女も1万円のディナーで”大盤振る舞い顔”されても困るでしょうw そう言いながらも、僕は基本は割り勘なんですけどね!!w ただそれを断ったうえで、僕のシンガポールでの三大無駄遣いと批難されるうちの1つ、「ヤリもしない女に一晩で600SGD(約48000円相当)を奢った」という話を紹介しよう。


敗者のゲーム

資産運用と呼ばれる「マネーゲーム」も、最近数十年で「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」へと変わってしまった。証券運用の世界で根本的な変化が起きたのだ。1970年代から1980年代にかけて、市場より高い成果を上げようと懸命に努力する機関投資家が多数出現し、市場を支配するようになってきた。この変化がすべての原因である。もはやアクティブな運用機関は、初めて市場に顔を出す用心深い保管業者やアマチュアと競争しているわけではない。いまや、彼らは他の優秀な専門家と敗者のゲームを戦っており、そこで勝ち残る秘訣は、競争相手より失点をできるだけ少なくなることなのだ。ヘッジファンド、投資信託、年金基金など、何千にも及ぶ機関投資家が一日も休むことなく激しい運用競争を繰り広げている。こうした最大手の機関投資家50社の中で、50番目の者でさえ、証券会社に対して世界中で年間通常1億ドルもの注文を出している。
個人投資家がマーケットの90%を占めていた1950年代から60年代に、プロの投資家が大きな利益を上げることができたのはある意味で当然だった。しかし、今日ではマーケットは一変した。過去50年間、投資信託や年金基金、ヘッジファンドが飛躍的に拡大し、しかもこれらの機関投資家の売買回転も増加した結果、今では個人投資家と機関投資家の比率は完全に逆転し、ニューヨーク証券取引所における売買取引は、機関投資家が9割、個人投資家が1割となった。さらに、取引総額の75%はトップ100社の機関投資家によって、また取引総額の5割はトップ50社によって、それぞれ占められているのである。


三田氏を斬るステージ2 3/8~教養の無いトレーディング・フロア

第3節 何もしなくても…投資信託
為替スワップによるプレミアムって何だ?
毎月分配型の次のヒット商品は、通貨選択型です。新興国通貨のブームに乗った通貨選択型投資信託がヒットしました。しかし、これには非常に難解な説明がついていて・・・、目論見書には、収益源泉(リスク)を以下の3つに分けた説明が載っています。
・ハイイールド債への投資
・米ドルから選択した新興国通貨との為替スワップによるプレミアムもしくはディスカウント
・選択した新興国通貨の価格変動リスク
この説明で、為替スワップによるプレミアムを理解できている購入者がいるのでしょうか?さらに恐ろしいことに販売したセールスも理解していたのでしょうか? 投資家全員は無理として、もし、セールス全員が理解しているとしたら、これは衝撃的です。若い頃は勉強したもんだよ~と自慢していたおっさんセールスが読んでいたのは、実は『四季報』ではなく、ハイデガーの『存在と時間』だった、くらいの衝撃的事実です。…それくらい、ありえないということです。

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これ、セールス部門ではなくて、トレーディング・フロアでも『存在と時間』と言って、「あー、あれ俺も読んだねぇ」なんて反応するトレーダーは1人も居ないだろうねっていう三田さん流の嫌味ね。わかる? 学歴は一応、名が知れた大学ばかりなんだけど、大して勉強して無い奴ばっかりだからねぇ。芸術とかも理解できない下賤の者が多いな。
僕? 存在と時間? 読んでませんw


三田氏を斬るステージ2 2/8~トレーダーって何?

第2節 マーケット部門
トレーダーは、担当の商品を売ったり買ったりする役割の人です。…余談ですが、ある種の人々はトレーダーのことをディーラーと呼んでいるようです。どちらが正しいというつもりではありませんが、英文誌でStock dealingとかequity dealingとかbond dealingという表現はあまり見たことがありません。いずれもtradingとなっている気がします。ちなみに、ある種の人は地場証券に多いです。
あと、ややこしいことにセールストレーダーという人々がいます。彼らはトレーダーではありません。純粋にセールスで、ブックを持っていません。取引時間中、頻繁に顧客と接触し、注文を取り、その執行を専門にしている人たちです。

でも三田さん、トレーダーが商品を売ったり買ったりする役割の人 ならセールストレーダーもトレーダーじゃないですか? 確かに、セールストレーダーは、”自己の勘定で”売ったり買ったりする役割の人ではないですけどね。それからバイサイドにおけるトレーダーもセールストレーダーと同じく執行者であり、投資の意思判断・決定権は無く、それはFM(ファンドマネージャー)あるいはPM(ポートフォリオマネージャー)の役割です。私の知り合いのシンガポール人は、”トレーダー”と名乗ってしまったばかりに、株のファンダメンタルズや投資戦略について聞かれて困っていました。彼女はバイサイドのトレーダー、元SGX(当時はSIMEXかなw)の場立ちなんで、投資戦略とか言われてもw
確かに三田さんのおっしゃる通りで、Derivative Dealingともあまり言わないかもしれないのですが、日本だと、ネット・トレーダーまでいるじゃないですか。どうすか? ネット・トレーダーも略して、ネット上でトレーダーって言ってるんですよ。この前、日本で「トレーダーのエキゾさんです」って紹介されて思わず「いえ、トレーダーじゃなくてインベスターです」と訂正したほどです。ディーラーという根拠は、証券外務員試験に出てくる証券会社の主要業務、ブローカレッジ、ディーリング、アンダーライティング・セリングに起因するものだと思います。日本語による「ディーラー」という表現で、自己の勘定によって取引する人と定義づけることに対して、私は寛容です。


自分のアタマで考えよう 2/4 ~結論を出す、それは決断と責任なのだ

情報ではなく「意思決定のプロセス」が必要
「超重要プロジェクト」の検討会議が、今日も日本中で行われているでしょう。日本のスタッフは有能でよく働くので、情報はいくらでも集まります。完璧に分析された調査レポートができあがります。しかし、何も決まりません。十分すぎる情報があるのになぜなにも決まらないのでしょう? 理由は、「誰も考えていないから」です。みんな「情報を集めて分析する」作業に熱中しています。しかし意思決定のためには「どうやって結論を出すべきなのか」を先に考えることが必要なのにそのための思考を怠っているのです。プロジェクトリーダーの企画室長が指揮を取ったのは「各部門への調査作業の割り振り」にすぎません。各メンバーはそれに応じて情報を収集し、分析し、レポートにまとめ上げました。しかし、技術や米国の情報、法務や財務の分析、顧客に関する情報がばらばらに集まっても意思決定はできません。必要なのは、「どの情報がどうであればわが社はこのビジネスに進出する。どの情報がどうであれば、進出すべきで無い」という意思決定のための思考プロセスなのに、それが存在していないからです。
私たちが何かを決めるときには「情報」とは別に「意思決定のプロセス」が必要です。たとえば、ある洋服を買おうと思ったけれど価格を見て買うのをやめたとしましょう。その意思決定ができるのは、「その洋服の価格」という情報を集めたからではなく、「この質、このタイプの服に関しては、1万円以下で無いと私は買わない!」という意思決定プロセスを自分の中に持っているからです。この思考プロセスに”洋服の値段”という情報を放り込み、「これは買う、あれは買わない」と決めているのです。意思決定のプロセスを持たないまま、どれほど多くの洋服の価格情報を集めても特定の洋服を買うべきか買わないべきか、決められません。先ほどの社長直轄プロジェクトも同じです。彼らは情報ばかり集めていて、「どういう情報があれば、どんな結論を出すべきなのか?」という意思決定プロセスについて何も考えてきませんでした。だから情報が集まっても何一つ決まらないのです。

日本の企業で行われている会議の99%がこのパターンだよねw ちきりんは、厳しく「何も考えてない=意思決定のプロセスが無いから結論が出せない」と指摘している。しかし、私の見方(言い方)では少し異なる。日本人全般で見れば、確かに論理的に考えるのが苦手な民族であるのは間違いないが、優秀なビジネスマンたちは、何も考えていないわけではない。


意外に最適行動するバカお嬢様

バカお嬢様とは、実家暮らしの女たちのことを指す。彼女達は、生活コストが0なので、気紛れで働いて手にした金をすべて自分の好きなように、わがまま消費でき、その金額はいわゆる普通の男性会社員より遥かに多い。実家が特別な金持ちでもなければ、本人に才能があるわけでもないのに、カネが余りまくってて使えないほど持っている。その理由は、持っている金額自体は小額でも、使う金額が異様に小さければ、簡単に実現することを前回、示した。
2014.03.18 未来の働き方を考えよう 3/4~最もケチな人たち
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バカお嬢様のおバカっぷりが、投資・ギャンブルの世界でも、意外なほどに最適行動を引き起こし、結果的に勝ち、さらにカネが余ってしまうというムカつく事実を書くことで、今日は毎日会社に通う労働者諸君にイライラしてもらいたいw
数少ない女性読者達に告ぐ「私、実家暮らしじゃないし、実家フツーだし、バカお嬢様じゃありませーん。」と思っているだろうが、恵まれすぎてて、恵まれていることすら認識していないお前のことを書いてるんだ! よく嫁!


素人がハマっている必負法 3/3 ~上がったら細かく利確する株式売買の行く末

株式市場の市場参加者はFXに比べると、資金量的に質が高い。100万円未満は稀で500~1000万円程度が多く、そこから永遠に成長しないので、2000万円超になると急激に数が減るw なぜ、いわゆる個人投資家の多数が500-1000万円で停滞しているのか? 株で勝ちきれていないから成長しないのではあるが、その原因は、FXのゴミと同じ、ちょっと儲かったら売る というチマチマした取引をしているからである
私の独自の調査によればw(周囲の負け組君たちのやりかたにすぎないのだが)、株の場合、FXのようにレバレッジがかかっていないので、利益確定の幅は2%~30%程度と報告を受けている。FXの数十銭抜き売買が引き起こす、負けるまで止めない=高値掴みするまで止めない、という要因は共通しているが、株はFXよりも奥深いものなので、“ちょっと儲かったら売る”という愚行が、より広範に悪影響を及ぼしていく
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日本全土落下傘計画 東北編 3/4~石巻の産業

翡翠社長「石巻にある産業は水産加工と介護ヘルパー・病院だけだ。」と言っていたが、今ひとつ信じられないので自分で調査してみた。
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石巻の産業
三陸河北新報社の1Fにヤフーの事業所がある。広告をとりに企業をまわる”営業所”は全国大都市にあるが、“事業所”を地方都市に出すのは石巻が最初の試みだったようだ。被災地最大の都市は、いわき市 35万人だが交通インフラの問題で、石巻に事業所を構えることにしたようである。同様の理由で、NPO法人なども多く設立されている。


素人がハマっている必負法 1/3 ~日経レバ2の行く末

日経レバ2、ブル(=Long=買い)とベア(=Short=売り)がセットで同時期発売されているにもかかわらず、運用期間が長くなると、いずれも悲惨な基準値になっていることがほとんどである。これはマーケットとレバレッジが持つ性質が、必然的にもたらす結果なのだが、その原因をわかってないならば、完全に負け組だ。
プロ向けには、既に過去の記事で説明した。今回はアマ向けに同じ内容を書き直しただけなので、プロフェッショナル諸君には時間の無駄となろう。
2014.02.25 株のBuy&Hold戦略が持つGamma Long性
レバレッジをかけた投資信託(ファンド)が、どのように運用・売買するのか=どのようにポジションをリバランスするのか、から説明していこう
株価が100、10000の資金を預かったと仮定しよう。
レバレッジ2なので、ブル型は、運用初日は20000の株式(先物)を保有する。ベア型は20000の株式を売却する。
次の日株価が110(通常、インデックスが一日で10%も動くことはないが、わかりやすくするためにオーバーに表現している。)になると20000の株式が22000になるので、ブルは12000、ベアは8000の基準値となる。そして、ここでリバランスを行い、ブル型は2000買い増しして、24000の株を持ち、ベア型は6000を買い戻し、-16000を持つことになる。
そして、次の日、株価が100に戻ると、ブル型は24000×(100/110-1)=-2182の損が出るので、基準値は9818になる。ベア型は-16000×(100/110-1)=1455儲かるので、基準値は9455となる。
この動きを簡単にまとめた図を添付しよう。株価の動きを100->110->100->90->100 と拡大したので、その基準値の推移も見てほしい。右は振れ幅を2倍100->120->100->80->100 とした時の基準値の動きである。
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株のBuy&Hold戦略が持つGamma Long性

純粋な株式投資の話です。オプションは関係ありません。「ただ、株を持っているだけなのですが、私には損益曲線が曲がって見える。」 また意味不明な基地外発言に聞こえますか? どういうことなのか説明します。
2014年の1月末から2月に向けての下落で、世の中や周囲の人間が「暴落だ、下落だ」と騒いでいるのを聞いて、「この程度で騒ぐとは、お前NISAデビューか?」という印象です。このチョイ下げで動揺する民と、ロングオンリーなのにむしろもっと下げるのを待っている私と一体何が違うのでしょうか?
私もバリュー投資だ、中国元だ、米国債だ、S&P500のオプションだと、ゴチャゴチャ言っているのですが、
私個人の10年の運用成績は、S&P500と株投資比率(資産に占める株の割合)だけで説明が付きます(S&P500が、わかりにくければ日経平均でもドル円レートでも良いでしょう)。ちなみに私のメインの株エクスポージャーは日本株なのにです。
プロの運用で、フルインベストメントのロングオンリーの場合、S&P500だけで十分に説明可能で(というとアクティブ運用全否定で乱暴すぎると怒られそうですが)、一般的には、そうなります。一方で、個人の場合、私は多通貨だったり債券・デリバティブも入っていたりと色々あるわけですが、「株以外を現金」 とこれまた乱暴に定義し、資産を現金と株の2種類に強引に分けます(不動産がある場合は株と数えるのが妥当でしょう)。なので総資産は必ず株(正確にはリスクアセットですが)+現金になります。株÷(総資産)が株出資比率(略して株比率)となり、キャッシュで株を買う個人投資家の場合は、0%~100%、信用取引、先物取引などでレバレッジを効かせている人は100%超となります。


2013年の投資一族 勝つこと、勝ち続けること、それが一番大事

あけましておめでとうございます。数値が出揃ったところで2013年の世界の株式市場を振り返ってみます。年末にも少し触れたようにエマージングが壊滅、特にエマージング通貨がほとんどドルを下回り、ドルを上回った通貨は、EUR、CHF、CNY、GBP、KRWとなっています。円はインドネシアルピア並みに下落しています。日本居住の皆さん、いいですか? あなたの円建て資産は18%も下落しているのです。「円安で外貨預金が儲かった」などと言っている閉鎖的な見方をしている諸君はこのグラフをよく見て世界で何が起きているかを認識すべきです。アベノミクスなど起きていない。米国主導の世界景気に引っ張られているだけの結果であり、日本株はS&P500を下回っているのが現状なのである。
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2013年最も読まれたニュースと株式市場

記事を書く都合で12月20日のデータを前提としています。12月30日20時のリアルタイムを持ってしても、2013年のリターンには少し足りないので、正確なデータは来年以降。
2013年 ブルームバーグで最も読まれたニュース
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私の個人的見解では、バーナンキの量的緩和縮小宣言と日銀黒田総裁の未曾有の量的緩和の2つが大きいと思うのだが、大事なニュースと読まれたニュースでは意味合いが若干異なるのでね。1位が5月23日のバーナンキ・ショックの15番、2位が4月4日の黒田バズーカーの14番だと思うのだが、最も読まれたのは日付は同じであるものの、米国量的緩和には一切触れていない株が下がったとだけ言っている記事。
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英語版では、ボストンマラソン爆破事件が1位だという。くだらない結果と思うのだが、インターネットで適当に検索するともっとおぞましいニュース、ニフティ?かなにかで最も読まれたニュースのタイトル「コーラの味は何味?」ですよ・・・。ちょっともう次元が違いすぎてついていけませんw
2013年 世界の株式市場と通貨
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おおむね好調ですね。米国・欧州・日本ともにドル中立で公平に見ると、+25%と言ったところでしょうか。
ところが気になるアジアは・・・壊滅。
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5/23のバーナンキ・アタックを皮切りに、株価・通貨ともに下げたまま回復せず。アジア株式市場は日本を除き全滅、アジア通貨は日本を含めて全滅、ただし中国人民元はアジア唯一の対ドル上昇通貨である。不思議なことに私は、アジア唯一の上昇通貨である人民元を持っているので、それ今年を売っていたw こうして見れば、私の取っている行動、すなわちアジア一国一愛人構想は遊びか? 相場変動に応じた理にかなった行動だろう? 
2013年 アジア一国一愛人構想
2月 日本 歯の治療と健康保険
4月 タイ ソンクラン バンコク・シラチャ・ウドンタニ・バンコク・パタヤ
6月 インドネシア ジャカルタでアパート暮らしをしてみた
8月 フィリピン ボラカイは投資一族の継承、マニラで初フィリピン
10-11月 タイ バンコク・シラチャ・ナコンファノム・サコンナコン・ノンカーイ・リー・チェンマイ、バンファイパヤナークとロイクラトン
11月-12月 中国 香港・広州・(香港・羅胡)^3 中国の石市場と人民元
中国、日本、インドネシア、タイに2013年からフィリピンを加えてみたが、やはり5カ国フォローとなるといくら私が暇人とはいえスケジュールが限界に達してしまっており、シンガポールにほとんど滞在できないほどである。そしてこうして見ると、タイや中国では国内移動が目立ち、自由に飛びまわれる環境が整いつつあるのに対し、日本、フィリピン、インドネシアはまだ一箇所にとどまって様子をうかがっている状態であるのが明確に分かる。フィリピンとインドネシアはまだちょっと怖い、経験・人脈が狭いことが要因と言えよう。2014年も継続し、長い目でこれら5カ国の中で行動範囲を広げていく予定である。
2013年の株式市場においてアジアが出遅れ感があるとはいえ、実弾にはまだ早すぎる。もっと深刻な状態が近い将来必ず来る。その時、アジア一国一愛人構想が火を噴くことになろう。
【ニュースにいちやもん】
2013.04.30 わが闘争 上 民族主義的世界観 6/7 ~国際金融資本
2013.01.10 安倍氏カムバック賞、今年のアジアの受賞者一覧-ペセック
2012.08.28 「長く付き合った恋人」に、こだわってしまう理由
2012.02.23|SGP 4Q GDP -2.5%がなぜかメシウマ
2011.12.14: 今年最も読まれたニュース 2/2 海外編
2011.08.01: 九州新幹線全線開業のCM
2011.06.02: AIG株87億ドル相当を売却、1株29ドルで-米財務省
2010.12.10: {わかりやすさ}の勉強法
2010.02.26: 日本の新興企業 アジア市場が上場誘致
2009.12.21: 君は日本国憲法を読んだことがあるのかね 
2009.12.02: 金融犯罪に手を染めた元米ミス・ティーンの転落人生
2009.09.15: OptionのNewsはどうしてこうも気色悪い書き方なのか
2009.03.26: 中国人民元先物?
2008.01.02: いきなり暗い 元旦の日経トップ記事













お下品極まりなく見える日本の株式市場

アメリカのS&P500が史上最高値を更新しながらも非常に落ち着いた動きをしていることに対し、日本市場のバタバタとした落ち着きの無さに、いささかの嫌悪感を覚える。私の言う株式市場の質、つまり下品な株式市場とは、客観的な言葉を使って言い換えるならば、Volatilityが高い市場を指す
日経平均のウェイトに大きな偏りがあり、ユニクロ指数と化しているという指摘もあろう。日経平均という指数は確かに問題がある負の遺産であることは私も否定しない。日経平均は極めてクラシカルな単純平均と想定額面という計算方法に問題があるのであって、それは日経新聞社のセンスの話だから、市場としての質や信頼性とは直接関係ない。但し、その指数を好んでみている市場参加者が多く、最もメジャーな指数というのは市場としての質が問われる! しかし、日経平均に問題があるならば日経平均だけが乱高下するべきであるが、TOPIXも似たような振る舞いを見せている。
3つの観点から、市場としての質や品について述べようと思うが、
1.アメリカ市場(S&P500)と比較した日本の株式指数の振る舞い


米カジノ当局、ユニバーサルの岡田会長らを聴取 ~Wynnの10K

カジノ産業でもめごと、今日はユニバーサル(旧アルゼ)ともめているWynn Resortsに焦点を当てつつ、この問題を見ていこう。日本の読者にお勧めしたいのはアメリカの上場会社のディスクローズ資料の10-K(有価証券報告書)は何かしら読んでみると良いだろう。10-Kのメリットは
1.SEC準拠なのでフォーマット(記載すべき内容と順序)が各社同じなので、色々な会社を読む時は比較しやすい。一方、カラフル、図付き、写真付きのアニュアルレポートが一見読みやすいように思えるが、この理由から比較がしにくい。字と数値だけの白黒の10-Kは利用価値がある。アメリカの場合、四半期決算も充実しているので10-Qでも差し支えは無いが、最初、ざっくり見るのなら、1年のデータをまとめてみることができる10-Kが良いだろう。
2.日本の有価証券報告書を読みなれていれば、これまた記載すべき内容と順序が、”似ている”ので、私のように英語が嫌いな人でもかなり読みやすい。大きな違いというと、株主構成が抜け落ちている(これは14Aというまた別の資料に載っている)こと、それから”コンペティター企業”の名前も遠慮なくビジネスリスク要因などのところに登場するのが面白い。日本の場合、他社の名前は、せいぜい掛けの取引先と、株主構成にしか登場しない。
3.Yahoo Financeからでも簡単に取れる。SEC Filingと書いてあるところを押すだけでリンクがつながってしまう。

米ネバダ州カジノ当局、ユニバーサルの岡田会長ら4人を聴取へ
[東京/サンフランシスコ 8日 ロイター] 米ネバダ州のカジノ規制当局が近くユニバーサルエンターテインメント(6425.OS: 株価, ニュース, レポート)の岡田和生会長と取締役3人を呼び、聴取をすることがロイターの取材で明らかになった。フィリピンでカジノリゾートの建設を計画するユニバーサルは、同国カジノ規制当局首脳の側近に巨額の資金を支払っており、同社が娯楽関連事業の免許を持つネバダ州の規制当局は調査を進めている。
 複数の関係者によると、呼ばれているのは岡田会長のほか、取締役の徳田一、麻野憲志、澤田宏之の各氏。聴取は非公開で3月13日、14日に予定されている。ネバダ州でカジノ運営などの免許を持つ事業者を監督する同州カジノ規制委員会(NGCB)は、聴取の予定の有無についてコメントを拒否。ユニバーサルの広報担当者もコメントを拒否した。4人とも、NGCBから不適切な行為があったとは指摘されていない。
 ユニバーサルをめぐっては、同社からフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)の会長の側近に4000万ドルが流れていたことなどをロイターが報じている。これに対しユニバーサルは、フィリピンの事業は「法令を順守する体制で遂行している」とコメント。昨年末、ロイターを提訴したと発表した。
 複数の関係者によると、米国とフィリピンの捜査当局もこの資金について調べを進めている。
 ユニバーサルの岡田会長は昨年来、ビジネスパートナーだった米カジノ大手ウィン・リゾーツ(WYNN.O: 株価, 企業情報, レポート)のスティーブ・ウィン会長と、互いに不正行為があったと訴訟合戦を繰り広げてきた。ウィンは2月22日の臨時株主総会で岡田氏を取締役から解任する議案を諮る予定だったが、同総会前に岡田氏自ら辞任した。岡田氏はウィン側の主張に反論しており、ウィンが岡田氏から自社株を大幅なディスカウントで強制的に買い戻したことに対し、係争を続ける姿勢を示している。

ユニバーサル vs WYNN Resortsで時価総額を見ると、1500億円 vs 1兆1000億円(11.7bil USD)でWynnが圧倒的なのだが、Wynnの株主構成を見ると、様子が変わってくる。
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岡田一族で67.9%+自社株8.4%を占めているユニバーサルに対して、Wynn親子は8%+7.8%、さらに筆頭株主は岡田氏19.6%なのである。アルゼ時代は個人名だった気がするが、一族企業を作って死ぬ準備か?ちなみに岡田氏が筆頭株主だったのは去年の話で、最新の状態では0株でニュースのとおり取締役も辞任している。
フィリピンのカジノリゾートと言ってしまうと想像が難しくなるので、今起きていることを、あえて平易に言えば、博打のシマの親分同士の抗争なのです。そんな時にコーポレートガバナンスだなんて甘いこと言っていられると思いますか? 株主と経営は一心同体で、即断即決で勝負していかないと生き残っていけないのです。グローバルに上場大手のカジノは大体そうなってますので、ご確認くださいw
カジノの売上がMacauがLas Vegasを抜いたとよく言われている。この文言に2つの注意点があるのでそれを挙げておこう。まず簡単な方から
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2011年Las Vegas 訪問者数39.7mil Macauは28milとあり、訪問者数はまだVegasが上というのはホテル・宿泊施設とカジノの広さを比較するだけでもよくわかり、Macauは観光というより、より鉄火場的な要素が強いことをデータが示している。
もっと重要なのはカジノの売上の定義である。
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よくある勘違いは、プレイヤー諸君らが投じた金額が売上になっていると思っているが、そうではない。売上はカジノ収益、つまり、カジノの売上={お客様が投じた金額-お客様に返した金額} なのである。もしカジノが零細だったりフェアギャンブルならば、売上はマイナスもありうる状況下で、売上マイナスのカジノなんて見たことが無い! つまりカジノが負けるなんて財務諸表はこの世に存在しない! カジノで賭けたくなるような歴然たる事実がこんなところにもあるね。
売上と還元率までディスクローズされているので見てみよう。
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1. Slot Machineの還元率が一番わかりやすいので、Las Vegas 6.09% Macau 5.26%となっていて、これらがSlot期待値である。
2. VIP CasinoというのがVIPテーブル席における期待値と言える。VIPテーブルではチップはNon-Negotiable Chipといい、各カジノテーブル上で買うものではなく、かごから買うものである。そして賭ける時にのみ使い、客が勝った時はCash Chipをもらうことになる。この方式で、Cash Chip/Non-Negotiable Chipで総収入から還元率が計算できる。
3. 一方、Drop=一般席におけるテーブルゲームの箇所に記載されている22%という数値は期待値ではない。これは各テーブルでチップを買い、賭ける時も勝った時も同じチップを使っているので、キャッシュ・カウンターの出て行った金÷テーブルの”ドロップ”に入っている金=還元率、1-還元率でここの22%というカジノ側のWin Rateになるのである。この方式ではVIP Tableで計算できたTurn Over、期待値はわからない。
Wynnに関してはSlotはマカオの方が還元率が高い。Dropは還元率や期待値ではないのではあるが、Vegas 22%に対してMacauが30%なのは、回転率が良いバカラが主体だからである。何度も繰り返すが、この数値はWin%と書いてあるが、期待値を意味していない。
【Casino・カジノ】
2012.08.31 カッシーノ2
2012.06.20|シンガポール、政府援助を受ける低所得者のカジノ入場を禁止
2012.05.14|シンガポール:日本人男性のカジノ顧客がS$200万ドル負ける
2010.06.03: Marina Bay Sandsに行ってきました
2010.05.07: 二代目、カジノに新風狙う マカオ ローレンス・ホー
2010.03.25: カンボジア Phnom penhは安全地帯
2010.03.11: 遅ればせながらカジノに行ってきました 
2010.01.13: マカオ将来像 中国に戸惑い
2009.06.25: Bellagio ~Con Te Partiro
2008.11.12: お願い つぶれないでSANDS
2008.11.04: Macau入境規制の理由の推測
2008.10.31: Craps@MGM
2008.07.25: Casino業界懐事情
2008.06.10: ドイツのCasino
2008.01.12: Macau for Family ~香港に住む男のための同伴者と行くマカオツアー









世界の株式市場・指数2012年

あけましておめでとございます。今年もよろしくお願いします。
2012年を振り返って株式市場を眺めると、
2012-World-Equity-Index-Performance.png
指数の単純なPrice Return(配当を含まない)をドルで統一したパフォーマンスで比較する(円で統一しても良いが)とアメリカ S&P500は+13%。これを標準とするとユーロ圏16%、イギリス10%が大体似たようなレベルで、ドイツが30%、スペインが-3%というのがユーロ圏経済の象徴的な動きと言えよう。
気になるアジア圏の動きを見ると、好調なのは東南アジアのフィリピン42%、タイ40%、シンガポール27%、一方不調なのは、中国(CSIで+9%、上海総合で4%)、日本、TOPIXで+5%、それからインドネシア+5%である。日経平均の円建てリターンで見ると+23%で、S&P500をしのぐ勢いに見えるが、国際比較の場合には、通貨を統一しないと意味が無いので、このような見方になる。
日本市場はREITが好調で19%、Mothersが不調-9%。Core30も11%とまずまずなので、外国人投資家が有利で、我らがジャスダックも2.2%奮わないことから、個人投資家には厳しい1年だったかのように思える。
私個人としては、株式は好調で、日本株は円建てで22%なので、ドル建てで統一すれば11%程度で、日本市場の株式プレイヤーとしては、そこそこ頑張ったと言えよう。全体としてはS&Pのドル建て+13%を下回り+8%程度にすぎない。マイナス要因は、円安とMF Globalの倒産・回収劇が一段落したので、怪しげな不良債権の評価の損を確定させたことによる。(痛いっす、うっうっ、誰か僕にズボンを買ってください。下着・トランクスも常時募集中です。それからバス・タオルも酷い状態だな、大穴があいていて二つに分裂しそうだ。実家から盗んでくるか・・・)
ドル建てリターンで計算すると日本居住者諸君は今年はなかなか厳しい結果になったのではないだろうか? いかがでしたか?
ついでに主要通貨とアジア通貨の2012年の動きも観測しておくと、
好調なのは韓国ウォン+8.3%、フィリピンペソ6.9%、シンガポール・ドル6.2%不調なのは日本円が-10.7%、インドネシア・ルピーは-7.4%、米ドル0%(ドルに対して下がった通貨はほとんどなかったという意味で)である。高いシンガポールドルを売って、インドネシアで遊んでいたのは正解であるが、こうしてみると日本で遊ぶの悪くないな。
というわけで、安い円をエンジョイしに(ってほど安くないが)、来年は久しぶりに日本に帰ります。為替というより今年は民事上の問題を抱えていて、帰りたくなかったのです。綺麗に片付いたので、そろそろ凱旋帰国でもしようかというだけなのですが。あくまで民事上の”問題”であって、民事訴訟・民事裁判を抱えていたわけではありませんから、その点はご心配無く。
今年のマーケットの象徴と言えば何ですかね?
ブルームバーグの最も読まれた日本語版は、JPMのトレーディングの損だ、野村のインサイダーだと、相変わらずの下品すぎる業界の内輪ネタがトップに上がってきてしまうので無視して、個人的な見解を述べると
グローバル:Facebookの上場騒動
日本:AIJ投資顧問

かなーと思っています。
期待はずれの超大型IPOでメシウマだったというだけなのですけどねw (もれなく私も”人の不幸と噂”が好きな下品な証券業界人だ)
AIJはねぇ・・・、私もファンド業界は素人並みの知識しかないのですけどね、職業柄デリバティブでしょう? お客様からその存在は教えていただいてまして、「デリバティブのファンドありますよ。かなり大きくて、なんでも負け知らずだとか・・・」と去年かおととしには聞いていて、聞けば聞くほど怪しいなーと思ってました。ただ、まったく情報公開していないので、「これ詐欺っすよ」とは大きな声では言えませんでしたが、仲の良い人だけに小さな声で、「公開資料が見当たらないので、確定的なことは言えませんが、負け無しってのは大体・・・。僕を見てください!僕は普通に負けたり勝ったりです。」って妙な負けてるアピールしたことをはっきり覚えてます。去年ニアミスして、運用グループの人に会うか?ってことになりそうだったので、暇なくせに「スケジュールの調整が困難」と逃げてました。
一部の人には、事件発覚前からAIJには警告を発していたデリバティブ専門家として、ご評価いただけたのですが、全般としては風評被害と言うか、はたから見れば「デリバティブ運用を謳っているオフショア・ヘッジファンド」という観点では同一視される傾向が強く、私は間接被害にあった一人であると言えましょう。
【市場概観】
2012.09.07 金融崩壊 昭和経済恐慌からのメッセージ 1/4~1910年大戦景気
2011.01.25|政治と株価 総理就任期間と株価の相対パフォーマンス
2010.09.21: 株メール Q8.レバレッジの効用と弊害
2010.05.12: 中国株先物が取引が開始
2010.03.30: 日経平均配当指数 そもそも日経平均が変な指数
2009.12.14: HとAどっち?
2008.10.15: 製造業至上主義的産業構造分析
2008.07.17: 車業界勢力図
2008.06.19: 原油先物の取引高
2008.01.14: またも出た 異なる時価総額ランキング
2007.12.29: 時価総額の計算方法
2007.12.21: 小型株は一部割安感有り
2007.11.30: 中国株はチキンレース




ソントン食品(2898)MBOで非公開化1株1,000円

久しぶりにMBOに当たりました。思えば、2008年の10月、リーマンショックで大暴落している時に買った銘柄の一つです。香港で遊んでいる時でしたねぇ、大暴落が起きたので、お遊びを中止して、泊まっていたお友達の家に籠って取引してしまいました。
記事化のディレイがあるから、実際の日付はもうちょっと前のはずだが、多分、この日だろうな・・・
2008.10.24|走る円! 走る俺
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ソントン食品(2898)MBOで非公開化1株1,000円
製菓・製パン向けフィリング首位のソントン食品工業(2898)は、マネジメント・バイアウト(MBO)により株式を非公開化する。石川社長が代表を務めるダイショー(渋谷区)が株式公開買付(TOB)を実施する。ソントンの役員会は、賛同意見表明と株主への応募推奨を決議している。買付期間は8月6日から9月18日まで、買付価格は1株1,000円、買付代金は最大15,612,778千円。公開買付者は、TOB成立条件に、野村HD(8604)傘下の野村キャピタル・インベストメントから176億円の買収ローンを受ける。菓子パン市場の成熟化、人口減少による国内消費の縮小、為替相場や原油価格の急激な変動による糖類・油脂類や包装資材等の原材料コストへの影響、需給逼迫によるフルーツやピーナツ等の原料相場の影響等、外部環境の不透明感が高まる中、非公開化により抜本的な事業構造の改革と経営意思決定のスピード化を図る。また、上場の最大のメリットであるエクイティ・ファイナンス活用による大規模な資金調達の必要性は乏しく、上場維持コストの増加が見込まれる中で、上場を維持するメリットが薄れたこともMBO決定の要因としている。

うーん、1000円が安すぎると株主代表訴訟できるかどうか・・・
完全社長の息がかかった株主 35.7%
主要取引先で内諾が取れていそうな株主 16.6%
50%超えてる・・・もうこりゃだめかも知れんね。1000円確定かな。

【株主】 [単]2,170名 12.3万株
(有)紳興商会 	279(15.0)
自社(自己株口) 	197(10.6) 
三菱商事 		111 (6.0)
山崎製パン 	100 (5.3) 
(株)イシカワ商事 	95 (5.1) 
(株)榎本武平商店 	62 (3.3)
丸紅 		60 (3.2) 
石川紳一郎 	51 (2.7)
自社取引先持株会 	42 (2.3) 
ダスキン 		40 (2.1) 

外国 1.7% 浮動株 29.2%
投信 0.0% 特定株 56.8%
バリュー株投資において、MBOは想定している。しかし、MBO狙いではなくMBOはどちらかというバッドエンドとして想定している。MBOが起こるのは、株価が異様に安いから。(会社の資産価値に対して安い) だから、私が買うのだが、当然、経営者や筆頭株主も安いと思っているので買ってくる。MBOがバッドエンドというのは強制終了で上場廃止だから、今回のソントンの場合は儲かったけど、下手したら損して終わってしまう時もある。怪しげな安い会社はMBOが実は”リスク”になる。下方修正連発した後、MBOで終わらせるなんていうアコギな会社は珍しくない。
MBO価格の算定根拠なんてのはこじつけだからいくらにでもなりうるので、アコギな経営陣でないかどうか見極める必要があるわけだが、ソントンは比較的良心的なMBOだったと言えるだろう。その臭いは、株主に対して、ソントンの筆頭株主である紳興商会の財務諸表をも公開していたあたりが、誠意ある経営なのではないかと期待させるものがあった。
倒産しそうもなく、成長もしそうもないバリュー株・割安株の典型的なリスクの事例でした。
【個別株日本株】
2011.12.13|今年最も読まれたニュース 1/2 国内編
2011.08.02: プロ向け市場「TOKYO AIM」一号案件 上場後値段つかず
2011.05.16: 東京電力の平均給与は電力10社中9位
2010.04.12: 日本の軍需産業
2009.10.29: 9651 キャッシュリッチカンパニーのキャッシュフロー計算書
2009.01.16: 財務諸表と金のありか
2008.09.11: その他有価証券の分析@9748
2008.05.31: カツラ会社の経営陣の退陣
2008.03.25: 一族家における投資教育 ~株式 動く時価、見える時価
2007.12.25: 9955 安いな、出動じゃ
2007.12.06: 財務諸表基本レッスン 売掛金と買掛金



ファンド運営 どんなお仕事?

> ファンド運営! どんなお仕事なのかもっと知りたい
ということなので説明いたします。
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※写真はイメージです。実際とは異なる場合がございますw AKB48みたいなもんで、いっぱいいるから存在感あるけど、一つ一つよく見たら手作りのしょうもないエクセルとか、そのマクロ書いていたりとか。しょうもないチャットしてたり、報告メール書いてたりとか。現場で働く諸君は否定できんだろう?
ファンドについて
これまた意味が広くてとらえにくいのですが、ヘッジファンドに明確な定義がありません。アメリカのMutual Fund、日本の投資信託は、各国の金融監督庁から承認された金融商品で、定義・規定することができます。ヘッジファンドとはその定義からあぶれたファンド形式、その他ファンドみたいなものだと思ってください。
Mutual Fundは金融監督庁に承認された金融商品で、原則として投資家保護の観点で運用されているので、一般投資家、小口投資家、銀行窓口で買えますが、そのためのコストが多くかかっています。例えば、毎日時価を公開し、毎日売買でき、投資家保護の観点から長い長いディスクローズ資料を作る必要があります。また、ファンド運営に関わる人が増え、日本の場合は投資信託ならばアセットが信託保全される必要がありますから、少なくとも3つの会社、運用会社、信託会社、販売会社が必要です。運用会社自身も求められる規制が強く、最低資本金、人数、内部管理体制など、取引する運用者だけでは済まず、多くの人員を必要とされます。
一方、自分で投資判断ができる大口投資家(Qualified Investor)は、このような高コスト体質を嫌い、金融監督庁に守ってもらう必要が無く、自己責任でもっと効率の良い、低コストな運用を望むことがあります。例えばもっと小さな構成で、運用会社、プライムブローカー(証券会社)、アドミニストレーター(第三者・時価評価機関)だけで運用します。さらにファンドマネージャーをうんと信用していて、第三者評価機関も必要無いと言うならば、もっとコストを落とせます。
ファンドというのは会社型の場合、バランスシートの左側に証券がある会社でその株を投資家に売るという形式になります。なのでファンドも会社、運用会社も会社でその会社の維持費、つまり弁護士費用と監査費用がかかり、そのコストもまた投資家負担になります。それも嫌だという場合は、Managed Account(一任勘定取引)という形式で、お客さんの口座で運用者が直接売買するということになり、登場人物は、運用者と証券ブローカーだけになる最小形式です。ただ、一人のお客様(お客様名義の口座だから当然ですが)しか運用できないので、ファンド運用とは言えません。
運営について
というと運用と経営が組み合わさった言葉になると思いますが、運用会社の経営に関しては、設備も労使の問題も持たない会社なので、一般企業の会社経営をショボくしたようなものだと思ってください。運用部分が、主として興味の対象だと思うのでそちらにフォーカスします。
1)取引対象
1-1)Asset Class
株・債券・デリバティブ・不動産などです。ヘッジファンドの8割が株(もしくは先物)です。最近はFX Fundなるものも聞きますが、日本で起こっている特殊なブームで、大手FX Fundは存在しないので、一般的ではないと思っていいです。
1-2)地域
株ならば、どこの株を運用しますか? アメリカ、日本、その他新興国なのか。また上場会社かプライベート・エクイティか。そのくらいまでは公開するのが常識です。しかし運用制限を設けたくないと言う理由で、全世界の上場・PE含むみたいな言い方をしているところもありますが、蓋を開ければ日本の上場株式だけだった、みたいなことはよくあります。
2)取引戦略
Long Short, Long Only, Global Macro,Managed Futures,Volatility Arbitrage
ちょっと古いカテゴライズですが、こんな感じのイメージです。要は株と先物をドタ感で売買しています、ということなのですが、名前があった方が体裁が良いということで名付けた戦略名にすぎず、ほとんど意味はありません。一番笑えるのがVolatility Arbitrageで、実際にArbitrageをしているファンドを見たことがありませんw
何度もしつこく書いているのですが、Arbitrageとは一物多価の解消を指し、市場リスクを取らない売買戦略です。Arbitrage=裁定取引=鞘取りの明確な定義です。一方、ネット社会や一般人、つまりノンプロ・アマチュアの世界ではこのArbという言葉を非常に気軽に使ってくれていて、語彙力の無さを感じるわけですが、彼らがArbと言っている取引には明確な言葉があり、Spread取引と言います。株が下がるとやられる取引戦略はArbではなく、Spread取引ですw
ファンドというのはお客様はアマ、素人なわけで、それが主体なので、このような稚拙な言葉遣いがまかり通っている不思議な世界です。
思ったよりカッコ悪くてがっかりしましたか? カッコいい仕事なんかありませんよw
【エクデリ・デスク、現場の光景】
2012.06.14|Facebookのアカウントを定量的に分析しよう
2011.11.09| 独身女性1人に対して40歳代の独身男性が23人の割合
2011.08.30: マハティール アジアの世紀を作る男3/4 ~自国民批判
2010.11.30: シブすぎデリバに男泣き ~女っ気もなく派手でもなく
2010.10.18: 三田氏を斬る ~今回は同意、でも笑える
2009.10.06: Black-Scholesは間違っている2
2009.09.29: Black-Scholesは間違っている
2010.08.05: 証券検査官Ⅱ インサイダー
2010.05.06: とても難しいImplied Volatilityの計算
2009.04.23: ウキウキする新人
2008.06.13: 腐れ社員の功罪
2008.05.28: 腐れ社員の告白




Facebookは買いか?売りか?

何かと話題のFacebookですが、公募価格の適正さの議論は、とりあえずさておき、どうでしょう? FBは買いですか、売りですか?
FB株、怖いですねー、買うのも売るのも。
買うのが怖い理由は、いくらでもネットに転がってるからいいでしょう。一方、売りもGoogle(ネット上の広告代理店という意味で、私の中では同じ位置づけ)の上場後の上げを見ているととても怖くてショートはできません。
私の見解で、GoogleとFBの違いを述べさせていただくと、Googleはアメリカの国家産業として認知されている気がするのです。Google Earthってあれ、衛星写真使わないと不可能だと思うのです。アメリカの軍事衛星の画像を使ったソフトウェア開発をしているという意味でGoogleは、情報局との親密さ、ロビー活動の跡が窺え、アメリカの国家産業として良いのですが、FBはそれに近いものを感じません。
FBのビジネス・モデルについての疑問の声もありましょうが、私は意外にも肯定的です。
ある人が 「ベンチャー企業やら新しい事に対して否定し過ぎじゃねぇかな。やって見ないとわかん無いこといっぱいあるよ。」 とつぶやいたことに対して、私が
「パチパチ同意。でもFBの株は買わない。夢は高い。だから買うものではなくて、売るべきなのです。」
と書いたら、「夢は買うな、夢は売るものだ。」というところばかり強調されてしまい、FBを全否定しているようなコメになってしまいました。ツイッターの字数制限により、色々と書けなかったのですが、ブログではこの同意という部分についても、もう少しだけ詳しく書けるなと。
ネット上の広告代理店というよりは、新しいメディア媒体と言うべきなのでしょうか? ユーザー負担0、GoogleもFBもG-Mailも全部無料。ですがタダより怖いものはなくて、要は「個人情報全ていただきます。」ということです。メールの中身やコメントの中身、検索している内容の全てを彼らがおさえているので、「我々のユーザーに対して適切な広告を打てる」と言えるわけです。私も一度ブログに書きましたが、
2011.04.21: Facebookのむかつく広告
FBは私が男で独身でSingaporeに住んでいると思っているから、あのような「Singapore Single Lady….うんのす・・・」という広告が右端に出てくるのです!
私はビジネスの構造として、完成形たる損益計算書というのは、売上(客)と純利益(株主)がおいしい状態に持っていくことだと思っています。
完成形から程遠い構造で、もっともありがちな零細ビジネスの高収益の源泉は、客を食うことです。情報の非対称性を利用して、無知なお客様に割高なものを売るから高収益、という話で、これはどの業界でもよく聞くパターンです。お客様が無知というならば、客の質が悪く、持っている金が知れてる、数が必要、数やると面倒だし、リスクが高まります。それにお客様自体からお金をむしり取る話なので、むしり取ると終わるという継続性の疑義も加わります。
損益計算書が完成形構造を持つ代表企業はやはりマクドナルドで、
2011.02.21: マクドナルドの繁栄の秘密? 研修不要、損益計算書から読むよ
上記でも少し触れていますが、あれだけ安くハンバーガーを売っているのに、高収益です。繰り返しになるので、ここでは超端的に表現してしまいますが、売上にからくりがあり、「米国マクドナルド(MCD)はハンバーガーを売っているのではなく、マクドナルドを売っている」のです。ハンバーガーを売っているのは各店舗。だからマクドナルドの本当のお客様は各店舗、なのですが、一応ビジネスとしては最終ユーザーは、ハンバーガーを食べてる人なので、この人から金を取らないという完成形。入り口に安く提供しているから継続するという鬼のビジネス構造。ついでに言うと規模の経済で有利な仕入れ、従業員の宗教的教育、そして有利なファイナンスと、損益計算書の真ん中のステークホルダーに対してはかなり厳しい態度で接していることがわかります。
ここでようやくFBに戻りますが、FBも売上は、広告主からもらうもので、ユーザーからはお金を取りません。この売上の部分は、マクドナルドと同じ完成形ビジネス構造になっていて継続性に疑問がありません。真ん中部分はこれから上場した後で、さらに鍛え上げていくものになるでしょう。
ユーザーの経済負担なしで個人情報を取りまくって、適切な広告が打てるビジネス。素晴らしい将来性があると私は思っています。
最後に、最初の質問に対する私の答えといこうか・・・、株は買いも売りも怖いのでノーポジとするが、オプションが上場されているではないか。オプションは何でもできる、どんな相場観でも実現できなければプロとして失格と常に言っているので、例えFBであっても、相場観はオプションで表現できなければならない。
5月31日アジア時間現在 Lastは28.19だが、
July 25P 買い (結局ショートかよ! w)

June-July 28P カレンダー売り
-1.30 + 2.60 -1.50 = -0.20 というコストで25以下を狙うというお洒落なポジションだ。しかもボラを売りながらPut買い。
それにしても、アメリカのyahoo financeマジで充実してるw だまされたと思って一度見てほしい。
http://finance.yahoo.com/q/op?s=FB+Options
FB-Put-Options.png
【個別株デリバティブ】
2011.12.20: 秋の夜長の東証デリバティブ祭り オンデマンドTV
2011.07.20: 欧州銀行ストレステストとADRの株価
2011.05.19: 東証マスコットキャラ「かば子」募集要項
2011.04.11: 史上最大のボロ儲け ~一人で笑うポールソン 5/6
2010.11.05: 米ゴールドマン、バフェット氏への50億ドル返済を検討
2010.06.23: 年収9億円 7201 2009年有価証券報告書によるストックオプションの評価方法
2010.04.21: AIGの前社長が株を売った
2009.11.25: 米スリーコムのオプション取引、SECが調査-HP買収発表前に急増
2008.09.10: Put Option Ecstasy @LEH US
2008.07.02: 私好みの株価予想
2008.04.24: ESOP Valuation (従業員の視点から)
2008.04.12: 一族家における投資教育 ~他社株転換債















欧州大陸系銘柄の配当落ち 

日本銘柄の配当落ちは終わりました。配当落ちしてるので意味ないんですけど、ちょっとウキウキする配当支払シーズンですねw
弟子達が自分の大事なカネなのに、管理が甘く、証券会社にいくら払っているのか認識していないようだったのでお小言。
配当金はいくら振り込まれているか? (本来いくらで、源泉徴収でいくら取られて、その後証券会社が無駄に取ったりしてない??)
私が付き合っている証券会社は、配当ハンドリングチャージと称して日本株だと500円、アメ株だと5US、徴収しています。日本株は年2回配当だからまだ良いのですが、アメ株は年4回配当なので、5US×4 も取ってきます。
どういう理由で取ってくるかわからないので、とにかく口座のカネの流れを見ることです。自分にわからない“マイナス”が記録されているなんてことがないように!!
異常なまでに神経質な私はアメリカの配当税制は外国人に不利だからアメ株買うなら配当の後が心持ち気分が良いと言ったら
>アメリカ株は年に4回配当があって、配当落ち日に株価が落ちるので株を安く
>買うタイミングの一つは配当落ち日に買いを入れるということだけども・・・
ちょっと誤解を生みそうなので、軽く解説。アメ株の配当は我々は源泉徴収で30%持っていかれる。アメリカ国内の投資家はそれより低税率。配当率が高い企業ほど、外国人は不利なので、わざわざ配当落ち日の前に買うことはない、ということであって、株を安く買うというよりはなるべく不利を取らない程度のおまじないです。
配当落ちと税金の話は誤差みたいに小さい話で、モンサントの配当率って1.6%くらいだから、一回当たり0.4%その税金が30%としても0.12%の無駄な支払いを嫌うというほとんどおまじないの世界だからね? それよりも、手数料(特に口座管理手数料!!)。ちゃんと確認しましょう。
配当には4つ日付があります。時系列でいうと
発表日 配当いくらなのか宣言する日
落ち日 配当受給権が落ちる日
基準日 この日の株主に配当される。(落ち日+セトルメント)
支払日 配当が支払われる
アメリカ・日本の場合T+3
で、買った後、株が来るのが3日後という意味です。お金も3日後までに用意すれば良い。落ち日の1日前を権利付最終日と言い、その3営業日後の株主が配当受給権を持っています。
という常識が通用しないのが大陸欧州人です。昔、このことで、アラーン・シャネシャネってフランス人と大喧嘩したことがありました。ではフランス銘柄トタルの配当テーブルを見てみましょう。
fp-fp-dvd.gif
わかりますか? 07年の配当をよく見て下さい。配当落ち日=支払日なのです。つまりTrade Baseで配当受給権が発生する仕組みなのです。Settlement Baseで配当受給権が発生する標準型(アメリカ、イギリス、アジア全部)と大きく異なることがご理解いただけたかと思います。08年以降はフランスもSettlement Baseに切り替えてますから時系列を比較して下さい。ですから当時、このTrade Base配当受給権を常識として(というより彼はそれしか知らなかったが、私は2つあることを知っていた)、私と配当落ちとForward価格について議論すると噛み合わない噛み合わない。説明したのだが想像ができないようだったね。オラ、おめーの国はオランダの次に降伏して、Settlement Baseに切り替えたようだぞ。
大陸欧州系のTrade Base配当受給権の運用実態
ドイツ Xetra 現役
スペイン Continuous 現役
イタリア BrsaItaliana  11年より迎合
フランス パリ 08年より迎合
オランダ アムス 07年より迎合
大陸文化の中心ではないフィンランド、アイルランドは昔から標準型Settlement Baseの時系列です。
【セクショナリズム全開系関連記事】
2010.07.15: 数学を使わないオプション解説 Gammaって?
2010.06.16: 数学を使わないデリバティブ講座 ~株価のマルコフ性 
2010.03.29: 貸し込み
2010.02.17: Equity至上主義的 EquityとFX Optionの違いの説明
2009.05.12: FX Optionの 25Deltaって?
2009.03.18: 歯磨き粉の買い物と債券Arbitrage
2009.03.04: オタク適正テスト
2009.01.15: 株投資家から見たインフレ連動債TIPS
2008.01.31: ガンマ無き者はデリバティブに非ず
2007.12.17: 債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い





インドネシア株はいかが? 

インドネシアの成長力に投資したいという声を聞いたので、大きく2点に分けて説明していこう。
1.投資効率と金融市場 : ETFとIndexの比較>(トラッキングエラー)
2.対外債務と外資依存性 : ETF同士の比較(通貨調整)、Index同士の比較
先進国市場の完備性も美しいが、エマージングの爆発力と成長力に賭けたいという気持ちは非常によくわかる。だが一方、効率性すなわちマーケットアクセスにすでにコストがかかるということも忘れてはならない。
その意味でまず第一弾、インデックスとETFの乖離を見てみよう。
Market Vectors Indonesia ETF(IDX US)はMarket Value Indenesia Tracking Index(MVIDXTR)をベンチマークとしている信託報酬0.5%の上場投資信託である。
MVIDXTRは、ジャカルタ総合指数 JCIのドル建て指数と思ってよく、相関係数0.98の完全トラックである。
ところがジャカルタ総合指数(JCI)のドル建てとインドネシアETF(IDX)の相関係数を見ると0.888まで下がる。
jci-vs-idx.gif
相関係数がわかりにくい場合は、真ん中の黄色の線は、JCIとIDXの比率を示しているので、これが一定だと完全トラックとなる。黄色の線(比率)のブレを見るとよくて0.014を中心に0.013~0.016の範囲で動いているということは、10%くらいの乖離があり得ることを示している。(Indexが4倍になっているのだから10%くらいは気にするなと大らかな人は行って下さい)
大したことないと思われるかもしれないが、S&P500とSPDRの間のTracking Errorと比べると無視できるレベルではないほどの乖離となる。
ちなみに信託報酬0.095%S&P500(SPX)とSPDR(SPY)のRatioも同様に眺めると・・・相関係数0.994の怪獣トラッキング
spx-vs-spy.gif
S&P500とSPDRの比率(つまり黄色ライン)を見ると、10を中心に9.9-10.1の範囲で動いているので、1%しか乖離しないということであり、この規則的な波は四半期の配当落ちの影響がくっきり出ており、配当が終わればまたTrackするという恐ろしいまでの美しさを持った市場である。
またアジアにおいてインデックスはプライスインデックス(株価だけで計算しているので、高額配当があれば株主としては損していなくてもインデックスとしては下がるという実態に合わない問題点を含んでいる)一辺倒であり、欧州では意識されている配当を考慮したトータルリターンインデックスなるものは皆無に等しい。
インドネシアは、対外債務問題と外資依存体質から抜け出しておらず、デカップリングなどと言いながらも、金融危機が起こればグローバリゼーションの余波ももろに受けることを忘れてはならない。特に1997年のアジア通貨危機、日本では「タイバーツの暴落が・・・」と言われるが、実際に被害が大きかったのは対外債務が多いインドネシアであることも理解しておいたほうが良い。インドネシアがサブプライム証券を保有していなくても、リーマンショックをきっかけとする信用収縮がインドネシア経済を激しく直撃したことも記憶に新しいであろう。
ドルベースで取引されているETF同士(SPY:S&P500 ETF, IDX:JCI ETF)を比較すると…
spy-vs-idx.gif
どうだろうか? ほとんど同じ動きじゃない? という印象を受けたのではないだろうか?
通貨安と株安が同時に起こる問題、特に金利が高いインドネシアでは顕著な通貨安、米ドル中立で見た場合のボラティリティは高くなるので、単にSPYをレバレッジ取引すれば十分にDuplicateできてしまいそうなくらいの動きなのである。とはいえ、相関は0.65程度、0.65でもかなり似ているでしょう? Ratioは10から5までなので2倍のパフォーマンスというのも事実だが、IDXが上場されてから、つまり2009年からのブル相場しか反映されていないグラフであることを意識しておいたほうがいいだろう。
では最後に、嫌味なグラフを載せておこう。インドネシア経済20年の歩み、は実はアメリカと一緒だった。(笑、ワハワハ、マジで面白い)
ジャカルタ総合指数(JCI)とS&P500指数(SPX)の比較
jci-vs-spx.gif
安易に株式インデックスで比較せず、通貨を統一して見れば、実はまったく同じなんですねぇ・・・チャンチャン。それでも0.5%の信託報酬を払ってインドネシアに投資したいですか?
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株メール Q13.倒産銘柄、詐欺銘柄の見分け方

どうやら弟子が、怪しげな会社に引っかかったようで、NYSE上場廃止基準に抵触し、整理ポスト行きの銘柄をつかんでしまったようです。
1.倒産銘柄の傾向
1)赤字(純利益)続き、去年過去最大の赤字を出している。
2)借金が多い。(自己資本比率10%未満)
3)フリーキャッシュフローが赤字続き。
それって、ノムさん? あ、いえいえ、副島君じゃないのでね。私は断定的なこと言ってませんので、「法的手段」お控えください。
2.詐欺銘柄の傾向
1)エクイティファイナンスが多い。
2)上場来、株価が下がり続けている
3)監査法人が無名。
4)社員が居ない。(電話しても出ない)
5)売り上げがない。
これに◎がいっぱい付くような銘柄は、避けた方が無難。株価が急落しているような銘柄は当てはまることが多いと思うが。
どうすか? もうちょっとあるかな? 詐欺銘柄の4と5は、日本ではあまりないかもしれませんが、Nasdaqのバイオベンチャーなどは売上0とか普通にあるから見極めが難しいですが、いくら夢を語っていても、売上0の会社を紙だけ読んで買うのは危険な行為と思いませんかという警告です。
>iRobotって、去年の2月18日に10K出たみたいなんだけど、今年いつ頃出るとか判るの?
>あと、このキャッシュフローだと、本業で利益出てて、設備投資に廻してるってことでよいのかな?
http://investor.irobot.com/phoenix.zhtml?c=193096&p=irol-fundCashFlowA
3つの財務諸表、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で私が触れたのはわずかに3項目だけ。
貸借対照表の株主資本(Total Equity)
損益計算書の純利益(Net Income)
キャッシュフロー計算書のFinacial ActivityのCash Flow
見方は、株主資本が過去数年間でどれだけ増えているのか?
それが純利益の積み上げに一致していない場合、その差額はEquity Finance(増資)の量になるはずである。
(このブログで書くにはちょっと不正確か・・・。配当や役員報酬の分だけずれるはずだが、ベンチャーで売上倍増しているような会社の場合は、原則的に・・・というくらいの意味合いで解釈してください)
会社が成長していても、新しい株主が増えていれば、既存株主はその成長の全てを取れるわけではないということ。
Financial Activityは借金、株式、配当などの受け払いの金額で、その会社の経営陣の経営戦略が一番見えやすいところ
超大手企業は公器ですが、小さい会社の場合は、会社は経営者によって蹂躙されていることが多い。あくどい経営者によってどのようにコントロールされているのか数値から読み取れる知識と経験がないならば、小型株は避けるべき。少数株主は、経営陣にカモられる運命にある。
>おつです。
>いやー、昨日はまじで勉強になりました。
>指摘にもありました通り、IRBTは株価暴落直前にForm4を連発しており、その内容を興味深く確認してるところ。
>Form4はストックオプション行使の公表で、昨日の指摘の1つにあったのは、経営陣がストックオプションで
>がっつり抜く為に、意図的に株価を吊り上げオプション行使→その後下方修正=何も知らない個人投資家のお金が
>経営陣に流れるというものでした。
>あと、SC 13Gは大株主の持ち株比率の変更でよいのかな?
>昨日出たS8にこんなの↓があるんだけど。
Initial registration statement for securities to be offered to employees pursuant to employee benefit plans
Filed on 02/21/2012
Title of Securities Amount Proposed Proposed Amount of
To Be Registered To Be Maximum Maximum Registration Fee(3)
Registered(1) Offering Price Aggregate
Per Share(2) Offering Price
2005 Stock Option and Incentive Plan Common Stock, par value $0.01 per share (including rights to acquire Series A junior participating preferred stock pursuant to our rights plan) 1,224,745 $25.00 $30,618,625.00 $3,508.90
>これは、一般社員向けに$25.00で行使できるオプションを1,224,745株分発行するってことでよいの?
>もしそうだとShares Outstanding が27.12Mなので、結構でかく感じるんだが、どうなんだろ。
ちょっとこの情報からだと行使価格と株数がわからないけど、10-Kにもストックオプションについては書いてある。少なくとも株数は書いてあるはず。
27.12M Sharesに対して1.2M Sharesでしょう? それはでかくないね。
あくどい詐欺会社は27.12Mに対して5~13Mに相当する優先株やオプションを発行していることがある。
【個別株外国株】
2011.12.28: ギリシャ株って何あるの?
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2011.02.21: マクドナルドの繁栄の秘密? 研修不要、損益計算書から読むよ
2010.11.18: 知られざる技術大国イスラエルの頭脳 ~イスラエル企業
2010.09.02: 株メール Q5.具体的な銘柄選び
2010.02.18: ロシアの軍需産業 ~軍事国家の下の軍需産業
2009.03.27: 私の株式営業 ~Fiat Moneyの裏打ち
2008.11.12: お願い つぶれないでSANDS
2008.11.03: ドイツのこまったチャン VOLKSWAGEN AG
2008.04.07: 一族家における投資教育 ~ITバブル本場Nasdaq
2007.12.22: 株主還元とは?チャートに見る株主重視経営





マルキールが言えないインデックス投資の欠点

バートン・マルキールを読めば、インデックス投資の魅力については理解したと思うが、私がインデックス投資をしない理由は、つまらないというだけではない。それを説明しようとした文章を書いているので、余裕資金をインデックスにぶち込もうとする気持ち、ちょっと待ってね。
>いやいや、今のところインデックス投資をするつもりはないのでご心配なく。
>エキゾさんが昔おれにそれらの商品は詐欺に近いからやめとけーって忠告してくれたので、それからはまったく見てません。
あー、あれは日経平均連動”ワラント”。日経平均連動が詐欺なのではなく、”ワラントが詐欺”なので誤解ないように。
SPYDERやETFは健全な商品なのでご推奨銘柄。
一方、ワラントは、買っちゃいけない3商品に入っているくらい醜悪

富くじ、ワラント、ダイヤモンド。
インデックス投資=パッシブ運用は、バートン・マルキールの言うように信託報酬やノーロード(初回手数料無料)というコスト面で最強の投資ツールで、特にETFは、時価の透明性という意味でもリアルタイムで、株と同じ感覚で取引できる。そしてスパイダー(SPY US、S&P500の上場投信)の運用規模は世界最大で、かかるコスト・トラッキングエラー(インデックスの動きとの乖離)も極小にまで抑えられ、流動性(売買代金・Ask/Bid Spread)も十分で、Arbitrageが効いているので、リアルタイムの取引においても現物・先物と乖離することがない。
ではその盤石の体制であるインデックス投資に私が投資しない理由は何か? インデックスと全く同じパフォーマンスなので、みんなと同じなので面白くないというのもあるが、投資したくない理由がもう一つある。
時代の流れとともに発生する企業の興隆、新しい産業の台頭、そして消えてなくなっていく産業もある中、企業の寿命というのは永遠ではない。そうするとインデックス、例えばS&P500ならアメリカでもっとも勢いのある会社500社をS&P社が独断と偏見で選ぶというプロセスが介在し、そのBest500をメインテナンスする、銘柄入替というイベントが不可避である。この銘柄入替というのがインデックス=パッシブ運用の隠れたコストになっており、かつまたそれを利用して儲けた経験があったりすると、インデックス投資に積極的になれないのである。
インデックスの銘柄入替というイベントにおいて、インデックスファンドの行動はどうなるであろうか?
インデックスを作っている会社、例えばS&P、ダウ・ジョーンズ、日経新聞社が構成銘柄の変更を発表。
そしてETFの運用会社、バンガードや野村アセットマネジメントが、計算開始日にその会社の株を買います。
身近な例として日経平均と日経新聞社の関係を具体的に見てみましょう。
日経平均の30銘柄の大入れ替えの発表があったのは、2000年4月15日(土)午後3時のことです。
週明けの17日(月)から21日(金)までの5営業日を告知期間として、21日の終値を基準に入れ替えを行う。
15日に発表して、インデックス組入れ=計算開始日=21日です。21日になったら新規採用銘柄を買ってくるヤツがいる。そして除外銘柄を売ってくるヤツがいるということを知ったら、みんなは何をしますかね?
nky-name-change.gif
17日と21日合わせて10%くらい指数が下がってますね。
17日に除外される銘柄を先んじて売り、新規に採用される銘柄を先んじて買ったのです。新規に採用される銘柄は17日に上がったと思いますが日経平均にはまだ採用されていないので、日経平均は大きく値を下げるということになります。
新規採用銘柄は買占めを行い、不当に値段をつり上げます。21日からはチキンレース。21日引けにはインデックスファンドが買ってきて、その後の特需はありません。でもとにかく21日にインデックスファンドに高値掴みをさせ、誰よりも早く売り抜ければ勝ち。
インデックスファンドは、みんなに先回りされて売買しても、インデックスには完璧に連動しています。彼らの仕事は連動することであって、儲けることではない。そこに目をつけてカモりにいくのが我々プロの仕事です。
昔聞いてきたね。「俺みたいな素人がカモなんですか?」と。違う。プロこそがカモなんだ。これはその一例。
ちなみに日経平均というのは株価の単純平均で計算するもっともクラシカルなインデックスで、その後、時価総額加重、時価総額加重+浮動株比率考慮と商品開発が進み、このような銘柄入替による株価操作がしにくくなっています。日経平均もこれにこりて30銘柄同時入替とかアホなことはやらなくなっていますし、S&PやTOPIXに関しては、このような株価操作による影響は非常に軽微(0.1%未満)なものとなっています。(但し0ではない)
【アービトラージとは、裁定取引とは】
2011.06.03: リチャード・ギア新作映画「アービトラージ(原題)」
2011.02.09: 最強ヘッジファンド LTCMの興亡 ~天才たちの誤り特集
2010.10.21: トップレフト ウォール街の鷲を撃て
2010.08.26: 株メール Q4.複数上場の場合の株価と為替の連動性
2010.05.13: 中国株先物の裁定可能性の検討
2010.01.08: 50% Knock-In PutのPremiumって実現できるの?@理想的な世界にて 
2009.12.14: HとAどっち? 
2009.12.11: Early RedemptionとCouponの関係 
2009.10.06: Black-Scholesは間違っている2 
2009.07.28: Exotic Parity2 
2009.03.18: 歯磨き粉の買い物と債券Arbitrage 
2009.02.27: VolatilityとCredit Spreadの関係 
2008.10.14: 日経225オプションの誤発注 
2009.01.26: Exotic Parity
2007.12.14: 久々のお買い物 C 5.875 FEB 2033





株メール Q12.PERとPBRのリスト

「株価の割高・割安を判断する投資指標として、PERとPBR」というのは妥当な言葉であるのだが、その逆を言われると可愛い弟子たちに「ちょっと待て」と言わざるを得ない。つまり、
「PERが7倍だから安い。PERが100倍近いアマゾンは高い。アップルやマイクロソフトはPBRが高く、日本の家電メーカーはPBRが低いから割安」
というような発言を聞くと、「うーん、そりゃ大きな勘違いだな」と言わざるを得なく、「そうじゃないんだ」と苦労して説明している様子をご覧いただこう。
四半期ごとに発表されるEPSが市場コンセンサスと比較してどうなのかで株価がJump Diffusionを起こす米国市場において、”PERのE”は確かに重要なのであるが、PERが低い会社というのを一度見て欲しい。PER・PBRが異様に低い、あるいはROEが異常に高いでも良い。その会社、本当に買いたいと思うか?
PERとPBRのリストの入手ができないというので私がプレゼントしたのが、下記の表である。(あまりに美しいので載せてみた)
US-Major-PER.gif
確かにアマゾンは目立って高いPERであるわけだが、赤字予想なだけで計算不可能になる単年度EPSを基に計算したPERにどの程度意味があるのか? という教育のために、Estimated EPSから計算される期待純利益と去年の実績純利益を載せ、さらにここでは割愛しているが過去10年の純利益も載せてあった。
セクターで言えば、安いのは金融セクターになるが、一発デカイ損失出せばぶっつぶれてしまう銀行買いたい?
PBRが80倍もあるフィリップモリスが割高かって、アルトリアからスピン・オフの時に剰余金に当たる資本をアルトリアに置いてきた、”いびつな過小資本状態”で、圧倒的なブランドバリューにより倒産リスクなど誰も考えていないので、PBRよりはPERでバリュエーションされているに過ぎない。
> P.E.というものは見なくてよいということでOK?
P.E.は割高・割安の判断指標として、一番よく見られている指標なので重要です。Price Earningsだから、そのEarnings=Net Incomeはどんな意味があるのか?ということを考えずに見てはいけない数値ということです。
> これを底値と見るかどうかって判断はPBRとか見ないとならんの?
おっ、陰ながら勉強しているようですね。
仮想的買収可能価格 (今考えた言葉)
「PBRは2倍が標準」 = 2倍未満だったら、全部買って(51%)、会社を売ればいい
この根拠は、株を51%握ればその会社を蹂躙できます。なので、その会社を手に入れるのにかかるコストは時価総額の半分。それが株主資本(PBR=Price Book ValueのBook)より小さければ買収すれば儲かるという妄想です。
あくまで総資産と負債の売却時価がバランスシート通りにいけばの前提ですが、そうではないことを市場は知っています。ですから、日本の電機大手がPBR1倍を割る水準ですが、それは安いか?今年入ってから各社数千億円の赤字決算見通しを発表しました。純利益が赤ということはその分、株主資本が欠損します。数千億円も減ると株主資本は数十%の単位で削られるということを市場は知っているレベルで取引されているということです。
P.E.が低いという理由で買う気がしなくなるリストを作ってみた。
今度はNasdaq Compositeをユニバースとして、0<PER<5でスクリーニングした結果があまりに笑えるのでご覧いただきたい。
Nasdaq-Low-PE.gif
なーんかChinaとか中国を連想させる名前が多い。コイツら、買いたい?
名前だけしか見ておらず、ただの一つの財務諸表もチェックしていないので、中国系銘柄が全部詐欺銘柄と言うわけではないが、国家統計ですら怪しい中国の企業が、会計基準・経営者の倫理観・情報開示の観点で信用されていないのは周知の事実である。
【投資方針】
2011.05.27: 株メール Q10.PBRの計算 ~LYNAS編
2010.09.30: 株メール Q9.俺が言ってるのはStrategyではなくTacticsだ
2010.09.08: 株メール Q6.株価を買わず会社を買う
2010.08.04: 無駄遣いを止める方法
2009.12.28: よくある素人の資産運用=老後の心配 
2009.05.14: 2009年度予算案 
2009.04.15: 貯蓄率にみる人々の自信度合い 
2008.10.17: 最近数ヶ月の投資総括 
2008.07.04: 投資人生の必要条件
2008.05.14: 自分自身の財務諸表