Category: デリバティブ

抵抗勢力、イノベーションを拒む人々

「価値はゼロではないが、明らかに手間暇に見合ってない仕事」は、ひとつひとつは小さくても、積み重なるとグループ内の1割から2割の業務量に達することもあります。恒常的に皆が残業しているような部署で、「ゼロよりマシ」なレベルの仕事を行い続けるのは、明らかに不合理なのです。1年に一度、仕事の閑散期に「部門内の仕事の洗い出しと、不要な仕事の廃止」を行うことを慣習化すれば、他にも多くのメリットが得られます。

ただし、突発的に「どの仕事を廃止しようか?」という話を始めると、自分が担当しているすべての仕事に価値があると言い張る人が出てくるので注意が必要です。こういう人は、「自分の仕事がなくなり、自分自身が不要になること」を恐れています
伊賀泰代.生産性

ハハハ。こういう人が出てきますじゃなくて、過半数どころか8割くらいそれだろw

2013-03-07女帝 ドキュメンテーションのプロ

ドキュメンテーション&リーガル部門の彼らは数学的表記やxmlが理解できないんじゃないの。効率化されて自分の仕事がなくなるんじゃないか?という不安で、俺に抵抗してたんだよ。だから、テクノロジーを受け入れる気がないわけ。フィンテック?AI? この「効率化されて自分の仕事がなくなるんじゃないか?」って恐れてる連中を説き伏せてからやらなきゃいけないのが、日本が後進国よりテクノロジー採用が遅れる理由だよ。単純平均とみなし額面なんて計算してる日経平均先物ラージにまだ最高の流動性があるのも、あるいはDMA・個人投資家がAPIでプログラミング売買している時代に電話で発注してるセールストレーディングなんて部門が存在してるのも同様だ。

東証が一場制(前場・後場ではなくぶっ通しで行う)に移行しようとした時だって、大変な抵抗勢力があったんだ。「昼休みが無くなる!」「昼間のバスケットのクロス取引はどうするんだ!」とか言って。「あ~ん?知らねぇ。アメリカにはそんなのねぇよ」で終わりだと思うんだけど、もう超必死で怒りまくってる人続出なわけ。もしこれ読んでたら是非、昼休みの取引の重要性について書き込んでくれたまえ。二場制の取引所はかなりなマイノリティーで、それは必要ない! んだが、そうやって自分の仕事が少しでも減るのを恐れて、烈火の如く怒る奴を相手にしなきゃいけない東証もご苦労なこった。

「あの人にしかできない仕事」は、当人の高い評価につながっていることも多いのですが、一方でその人は、「自分の仕事を伝達可能な形に要素分解し、他の人でもできるようにすることで、組織の生産性を高めるという貢献ができていない人」ともいえ、組織としては、その人の急な病気や退職、休暇取得の際の多くなリスクを抱えてしまいます。

一子相伝の職人の世界とは異なり、そういった仕事やスキルの抱え込みは、組織の生産性向上より自己保身や職場における自身の心地よさと優先する身勝手な働き方であり、高く評価されるべき働き方ではないのです
伊賀泰代.生産性

うぉーーー、耳が痛い。思いっきり俺だ。馬鹿でもデリバティブのプライシングモデルを作れるようにすべきだった。「微分方程式くらいは高校でやりましたよね?」、「『線形代数って何?』って人は、まぁ気にすんな。」 この発言が悔やまれる。イトーのレンマを知らなくても、フィナンシャルエンジニアリングに何が書いてあるのかも全く理解できないような奴でも、プライシングモデルを構築できるようにするような環境を作るのが俺の仕事であるべきだった。

2014-06-10 自分のアタマで考えよう 1/4 ~新興国から先進国への思考の還流 

「台湾ドル(TWD)NDFが絡むエクイティ・デリバティブのプライシングをどうすればいいか?」とトレーダーに問われた際に、私が即座に答えた。「TWDNDFを実際取引しているトレーダーとも既に話をしていて、TWDNDFのボラティリティ・流動性・取引コストがどの程度か?オンショア・オフショアスプレッドを確定するための取引手法。それを反映したうえでプライシングとヘッジ行動はどうすべきか?ブルームバーグやロイターでどうやってTWDNDFのレートを見るのか?、当時、アジア通貨のオフショア金利はマイナス金利となっていることもあったのだが、ディスカウントファクターが1以上=マイナス金利を許容できないブッキング・プライシングシステム上でどう対応するのか?」 といったトレーディングとプライシングに必要なことを、事細かに説明したら、同チームのトレーダー連中全員が、薄笑いを浮かべていた。なぜかというと、本来は「TWDNDFのディールがありそうだから、どうプライシングするのか検討してみてくれないか?」と言われてから調査するのが、通常だ。だが、頼まれてもいないTWDNDFについて゛個人的な趣味゛で何か月もの時間を使って水面下で「勝手」に調査していて、それを全員の前でプライシングポリシーとして一気にプレゼンテーションしてのけた俺に対して、ここまで公然と業務外行動=サボりを明らかにしたことに、全員薄笑いをしたのだ。怒らなかったのは、良いように解釈すれば「ビジネスの先を読んで言われる前に調査していた」とも、解釈できたからだ。

批判されたことは無かったが、

組織の生産性向上より自己保身や職場における自身の心地よさと優先する身勝手な働き方

なのは間違いない。俺がどうしてもTWDNDFのディールが欲しかったという完全なるわがままだ。もしディールの気配が一ミリでも表れたら、即座にディールできるように香港から、ロンドンや東京にまで手をまわして、極めて自分勝手な理由で準備をしていたのだ。当時としては熱意をもって業務に取り組んでいたつもりだったが、今思えば完全に越権行為だ。俺がトレーディング・ヘッドだったなら正当化されるのだが、末端のくせに自分の意思でトレーティングの方向性を決めるのは、まともじゃないと反省している。

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 8/9~クレジットアーブ・割安状態の解消

バブルの歴史

これも日米の資本市場格差を見つめる上では、非常に参考になる本だ。

ウォールストリートの歴史 2/8 ~南北戦争 

でも引用しているが、日本の株式市場は、米国で言うならば、ロバーバロン(The Robber Barons)の時代、グールド、ヴァンダービルト、ダニエル・ドルーといった「相場師」が活躍していた買占めと相場操縦という150年くらいの手法で止まっているのが現状だ。

時代は一気に飛ぶが1980年代、ジャンク債の帝王「ミルケン」がやったことは、詳しくはミルケンの本でも読んでほしい所だが、端的に言えば、ジャンク債の引受先を探すことだけではなく、LBO、割安な銘柄が放置されているならばジャンク債を発行することで資金調達し、株を買い占めて乗っ取ってしまえばいい、KKRによるナビスコ、ということなのだ。ミルケンや金融機関だけではなく、つい最近までGEがやっていたことは、クレジットのアービトラージ、GEの信用力で資金調達し、被買収企業の有利子負債を借り換えするだけで、収益性が上がり、それを金融ではなく製造業の人件費で行っていたのだ。

日本株ブルーチップにおいてPBR1倍割れみたいなことが平気で起きている日本市場は、ミルケンすらまだ現れていないことの証明だ。ブルーチップだよ?財務に嘘があるのか?株価が間違っているのか?持ち合ってるから買占めができない、まぁ、どんな理由が背景にあるにしても合理的で健全な価格形成・資本市場とは言えないだろ? 少なくとも30~40年以上、米国市場に遅れを取っている。日銀・GPIFという政府保有が10%を超える企業も珍しくない、いまだに持ち合い解消とか言ってる、買収対抗策ポイズンピル条項大好き企業、挙句の果てに優良企業のMBO、銀行が買付資金を貸して優良企業を上場廃止にしてしまっている、健全な資本市場の形成の真逆な方向に進んでいる慣性系ではなく、詐欺師が跋扈する米国市場の進歩と改善を見つめてみるべきであろう。

話が関係のない方向に行っている? 違う。これも米国市場の進化と発展に対する三田さんの時代錯誤発言に対する俺の批判の伏線だ。

P.117 ”借りた株を売る”場合は、売り手が自ら株を借りた場合である。株券消費貸借取引で株を借りることになるのだが、一般投資家には縁のない取引である。

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

いや、今、オンラインブローカーでも一般信用は選択肢にありますよ。まぁ、彼らが消費貸借契約を意識しているとは思えないですが。

P.124 アウトライトのショートなのか、ヘッジのためのショートなのかは、日々の空売り量の変化を見ていればわかることもあるだろう。ダイナミックヘッジをしているのならば、株価変動によって空売り数量が微妙に変化するはずだ。

空売りを伴うガンマトレードって一般的なのかなー? CBはそうなると思うけど、後は原則、スペキュレーターが株の買いの方向、すなわち、顧客のコール買い、プット売りに対して、受けて発生したポジションの”ヘッジ”だと、株は買いのガンマトレードがほとんどだと思うけど。スペキュレーター(ヘッジをしない客)が株売り方向の”オプション”を組むことはかなりレアケースのはず。

P.125 金融機関にいる人間ならば、「燃料価格のヘッジを先物で行って、結果、損を出したのだろう。それが何か問題か?」となるのだが、

いつの話なのだろうか? 前にも書いたが、ヘッジが有効なのは競争相手がいない場合だけだ。

燃料価格のヘッジを完璧に行っている会社は、燃料価格によらず、一定の価格で提供できる。だが、自由競争下で、ヘッジを行っていない競争相手がいる場合どうなるだろうか? 燃料価格が下がったら、安く提供しているアンヘッジの競争相手に客が流れ、燃料価格が上がった場合のみ、ヘッジして一定価格で提供できる会社に客が来る。よって、ヘッジをして価格を動かさなくても、客数の変動のリスクがあり結局ヘッジに意味はない。価格ヘッジが有効”だった”のは、ナショナルフラッグなどと言い、国際線を独占していた時代なら可能だが、少なくともこの10年、LCCなども入り込んでいる中で、まだヘッジをしているとしたら、JALしか飛ばしてない便の分だけの量が適切だ。

ついでに、電力自由化で電気代が安くなるなどと安易に言っているが、空のグローバリゼーションと同様、ヘッジができなくなれば、エネルギー国際価格に電気代が振り回されることになることを、日本人は理解した方がいい。

エンロン内部告発者 5/6~電力自由化の下の悪意ある供給者

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 7/9~期待値負のギャンブルに挑め

P.52  筆者個人の話だが、チャート分析家の意見・コメントを気にしたことは無い。新聞では、そういったコメントは必ず読み飛ばすことにしている。

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

それは俺も同じwだが、

ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち

的発想は無視できない。この本では、クオンツのロジックにまでは踏み込めていないから読んでも明らかにはならないが、彼らの挑戦はサイコロの癖、確率は1/6ではない、ということを見出そうとしていたのは間違いないだろう。この本で出てくる「エド・ソープ」が何をやったのかは後述するとして、その前に、三田さんの

(1+2+…+6)/6=3.5として計算して答えを出す。

この発言が罪なのである。もちろん理論的に正しい。おそらく三田さんの人となりは酒もタバコもギャンブルもしない性格であろう。酒とたばこはどうでもいいが、「ギャンブルは期待値が負の時間の浪費」と決めてかかっていることだろう。ブラックジャックというカードゲームがあり、最適行使をすれば、期待値99%とも言われているが、でも99%。1%はカジノの取り分として設定されている。と考えるであろう。だが、エド・ソープは、「ラスベガスをぶっ飛ばせ」でおなじみのカードカウンティング、すなわち、ディーラーの手元にある残りのカードに何が残っているかを記憶し、有利であれば賭け金を増やすという賭け方で、ラスベガスに革命を起こした張本人である。我々が一度でもカードカウンティングの可能性を吟味したか?

(1+2+…+6)/6=3.5として計算して答えを出す。サイコロが、均一になるように精巧に作ってあるかは疑ってみるべきかもしれない。

この発言が罪なのはお分かりいただけよう。理論屋ではなく実務家を名乗るならば、俺も三田さんも「実務家」としての努力怠っていると反省すべき具体的事例だ。ここのところずっと米国市場の取引がメインになっているが見れば見るほど、米国市場と日本市場の資本市場としての質の差が大きいのが分かる。その原因として、

1.市場としての時価総額や流動性
2.市場参加者の多様性
3.市場参加者のリテラシー(フィナンシャルリテラシーの意味か)

が違いすぎる。というのがもっともな説明だろうが、それは我々の責任逃れの言い訳に過ぎない。

P.18 トレーディングでの失敗談を書かれたデリバティブズトレーダーが、一生に一度しかない失敗を本に書かれたと憤慨していると聞く。そこで、彼の話題を再び紹介しよう。(後は略、本を買って読んでくれw)

P.89 モンテカルロシミュレーションの誤差より
「なぜ、試行回数が10万回なの。そこで止めた理由は?」この質問に対して統計的な用語を使った説明ができなければ、ソイツはもしかしたら・・・いつも銀座の1番窓口で宝くじを買うために朝早くから行列に並んでいるヤツかもしれない。

この憤慨している彼と、銀座の窓口で並んでいる彼には罪はないのだ。もうちょっと言うと扱う価値もないどうでも良い存在だ。

つまりね、ラスベガスの収益を向上させるためには? 客を増やすことだ。中国人なり、石油王なりを連れてくることだが、それは営業マン、三田さんの言う所のセールスの仕事であり、我々には関係ないことだ。だが、エド・ソープはたった一人で(正確にはMITの連中を大勢連れて行っているのだが、考えた張本人という意味で)カードカウンティングを行い、シングルデッキから6デッキ、さらに現在では、オートシャッフルのローリングの機械がテーブルに備え付けられているのをギャンブラー諸君は見ているだろう? カジノにおいて期待値1以上のプレイをすれば、カジノには革命がおこり、すべてのオペレーションが変わったのだ。

中国人や石油王をたくさん連れてくれば、カジノの収益は上がるが、カジノのルールと運用は変わらない。

我々(とは三田さんと俺であり、憤慨しているトレーダーと宝くじを買うために並んでいるヤツではない)がすべきことはシングルデッキから6デッキに変えさせる革命なのだ。日本市場では、ホリエモンがそれを行った。デリバティブはあまり関係ないが、分割の際の新株発行や、メディアにおける親子のねじれの解消には一役買ったわけで、彼は一人で「ルールを変えた」=革命を起こしたのだよ。ホリエモンは頭は良いが株式市場に関してはアマチュアだ。だが、プロたる我々が、彼ほどの革命を起こせていないこと、そのものが「罪」なのだ。

憤慨しているトレーダーや宝くじを買うために並んでいるヤツにデリバティブを理解させるのは、カジノで脳みそ垂れ流している馬鹿なギャンブラーに「ソフトセブンティーン(エースを含む17)の場合はヒットしたほうが良いですよ。単純に考えて、ソフトセブンティーンが悪くなるのは、5~9が出た場合のみ。その確率は5/13なのだから有利ですよね?」と滾々と説明するくらい意味がない。エド・ソープがカウンティングしていた同じカジノにバカギャンブラーが100人以上居ただろう。流動性だ、参加者の多様性だ、リテラシー? そんなもんは一切ルール変更には関係ない。

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 6/9~裏か表の確率は50%ではない

2-3 モンテカルロシミュレーションの悩み
P.75 ~76 
サイコロを振るとやめらない
確率計算ができる人ならば、1から6までの目は等確率で出現するから (1+2+…+6)/6=3.5として計算して答えを出す。これが、解析的に解く場合に相当する。解析的開放は常にエレガントだ

サイコロが、目の穴の質量×重心からの距離(モーメント)も含めて、均一になるように精巧に作ってあるかは疑ってみるべきかもしれない。実際に”サイコロを振る”という試行をして、答えを推定する方法がモンテカルロシミュレーションである。

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

三田さんの気持ちは痛いほどわかるが、「時代錯誤」と言わざるを得ない。三田さんを批判すると120%自分に返ってくると言ったが、それはなぜか? 俺の方が若いからだよ。テクノロジー、文で書くと同じだが俺の言葉を実際聞けばかなりイライラする発音だ。専門用語はアクセントが後ろに行く。専門用語・業界用語にみるシングリッシュとの共通性 ITや機械学習の専門家がテクノロ”ジー”とIT業界人っぽく発音するのはやぶさかではないが、私のような、「にわか」は”テクノロ”ジーとアクセントは前にもってきて発音すべきなのである。書いてある意味がわからん諸君は次回俺に会った時に「テクノロジーって発音してみて」と言ってくれ。相当に「イライラする」w「テクノロジー」の発音をお聞かせしようw

テクノロ”ジー”と発音しても許される人のテクノロ”ジー” 開始20秒で聞けますよ。

話が脱線してしまったが、テクノロ”ジー”の進化によりモンテカルロの計算コストは劇的に下がった。そして解析的に解けるエキゾチックは相当に限定的なことから、いかに効率よくモンテカルロするか、が非常に重要なのである。私も解析的手法こそが最も美しいと信じてはいたものの、実際に私が最も使ったのは皮肉なことにモンテカルロである。それを一般的に一冊の本にまとめたのが、

統計学が最強の学問である 

そして三田さんの発言で最も罪なのは、

(1+2+…+6)/6=3.5として計算して答えを出す。サイコロが、均一になるように精巧に作ってあるかは疑ってみるべきかもしれない。

で話を終わらせてしまっていることだ。三田さんもお気づきのとおり、サイコロはおそらく均一ではない。1兆回ほど振ってみれば2が1/6をわずかだが優位に上回る結果が出るかもしれない。1と6が最も軽く上に出そうだが、対面にあるので、2と5の組が最も質量に差がありそうというかなり強引な推測だがw ま、俺のくだらん推測が合っているか間違っているかは話の本質ではない。

ただ1兆回サイコロを振るのはあまり現実的ではないので、実現可能な例を示そう。乱数を使って、0か1をランダムに作り出すことにしよう。仮に(0,1]区間の一様な乱数なら、乱数>0.5なら1、そうでないなら0という乱数「裏か表」である。この結果を機械学習に食わせて、裏に賭けるべきか表に賭けるべきか、判定させようというわけである。もちろん、結果の数が10とか100個であれば機械が間違った判定をするのは当然だが、それを億、兆と増やしていけば、乱数裏か表に対してどっちに賭ける方が優位というのはないはずである。ところが、私の友人の専門家に聞くと、「実際にやったことはありませんが、データセットの数を増やせば増やすほど、機械はどちらが優位かというのを答えることになると思いますね」と答えた。

彼が何を言っているのか、今なら翻訳できるので三田さんでも分かるように翻訳すると、乱数>0.5なら1なのか、乱数≧0.5なら1と設定するのか、あるいはそもそも(0,1]区間で発生させる「一様な乱数」と言っているが、この乱数も所詮はプログラムで作られた乱数であり、本当に理論通りのランダムを実現できてはいない。エクセルのRand関数程度であれば乱数周期が短いのは周知の事実であり、1兆回もコインを投げることなく、その癖は露呈するだろう。機械学習は乱数生成プログラムが確率0.50000000000000001の癖を持っていれば、データセットが多ければ多いほど、それを有意とみなすだろう、ということなのだ。

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 5/9~トレーディング業務でのAI活用

ついでながらに、「にわか機械学習」病の俺の発言をさらに加えると、当時、ブロックのプライシングモデルは、市場データ、つまり、今日の株価や出来高なども考慮するので、参照データは動的ではあったが、算出ロジックが固定的な数理モデルであった今ならまさに「機械学習」、日経新聞的に言えばAIの出番で、参照データ、トレーニングセットの数=ブロックのディールの実績数が増えれば増えるほど、少しずつ精度が増していく設計で作るだろう。固定的な数理モデルでは、過去の株価と出来高と、相関と・・・などを取ることが決まっていたのだが、今ならもっとダイナミックに参照データも拡張可能にし、例えば離散的な顧客属性、生保・信託・ヘッジファンド・銀行・事業会社・個人などの情報を加えても良いし、意味はないかもしれないがインプライドボラティリティの情報も食わせてみても良いかもしれない。いずれにしてもUnsupervisedな機械学習を取り入れて算出することになろう。

また職人芸のインプライドボラティリティの推定にに話を戻すと、機械学習などにこだわる以前の次元だ。そんなものは使わずとも、短期で計算したヒストリカル・ボラティリティと長期で計算したヒストリカル・ボラティリティの2つを使えば、IVの推定はかなり説明できる。完璧ではないが、この2つは大体のボラティリティの水準とVol of Vol、ボラティリティのボラティリティが「大体」分かるからである。先ほど三田さんが指摘しているように短期のHVとか長期のHVといういい加減な言い方ではHVは全く計算できないのだが、それでもその2つ、あるいはもう一個加えて3つくらいの期間のHVを見ながら、「職人芸」で推定しているのが現状だろう。それはそれで良い。ただ、それをモデル化せずに、「アホみたいにデカいオプション」をディールして、その価格の根拠、IVはどう推定している?と聞かれて、えーーっとーー、HVいくつか見ながら「職人芸で」w なんて言って監査通ると思うか?

OTCでワイドめに気配出して、取られなかったから真の値はその間にあるだろう、というのがデリバティブで取られている手段だが、それは各トレーダーが月末に業者に保有していてかつOTCで全く気配のない全銘柄の気配を出すという苦労の下で実現したものであって、三田さんや俺の努力不足によって、彼らに発生してしまった「雑務」の一つであることを我々は反省しなければならない。月末の「祭」と呼ばれる売り買いの気配を出して、どこかの業者にバシッと約定されたりして、「何をアマイ気配出しているんだお前は!」と怒られるのは、その担当トレーダーであって我々ではない。しかし、その責任は我々にあることを認識しなければならない。

いくつかのHVなどを参照しながらIVを推定するモデルを作ることはできるだろう。だが、「機械学習かぶれ」の俺からすると「お洒落じゃない古典的なこじつけ数理モデル」に思えてならない。

原則は機械学習でも「古典的なこじつけモデル」と同じだが、どうするかというとまずIVが存在する銘柄のIVを可能な限り取り出し、それらに対して「古典的なこじつけモデル」によってどのように推定・回帰すれば良いかで決める。Supervised Learningを想定するならば、短期のHVと長期のHVを使って、IVの存在する銘柄のOTMの価格が極力説明できるような回帰ロジックを探し出すのである。Unsupervisedの方がより冗長で「お洒落な感じ」もするが、ブロックのプライシングのようにニュースや文字情報なども加えられる拡張性までは必要ないであろうから、IVの推定程度なら2つのHVとあともう一つくらいで悪くない推定モデルが作れるだろう。

いいかね? 俺は職人芸そのものを否定したり、マーケットにないIVの推定は機械で完璧にできる、と言っているわけではないのだぞ。暗算ではとても出来そうもないエキゾチックデリバティブのプライスを評価モデルが出す値を「信じる」という行為が問題なのだ。宗教じゃねーんだよ、信じるんじゃない、考えるんだ!

それから、俺も自分でウザイのはわかっているがこの「にわか機械学習病」に関しても一つ言及しておこう。俺がかつてツイッターで、

トレーダーならATMオプションの価格は大体σ√t/2πになることを経験的に知っている。私はそれをブラックショールズで示したののが以下だが、http://ichizoku.net/derivatives/20080425/1yatmvolatility3070/ … AIはBSを教えずともその経験、σとtとオプション価格を教えるだけで、同じものを導出できる。

とつぶやいている。このつぶやきを、いいねしたり、リツイートしたりしてくれた素人のフォロワー諸君には申し訳ないが、この私の発言は、「完全に機械学習の誤用である」。ここに書いてあるように「大体σ√t/2πになることを経験的に知っている。」ものをわざわざ新たに推定ロジックを作る意味はないんだ。明確ではない「職人芸」をキチンと対外的に説明できるようにモデル化すること、そして、その精度を上げることが機械学習を使う意味なのである。

俺のことを「にわか機械学習病」と思うだろうが、それでも書いているのは、こういう新しい要素をドンドン取り入れて「発展・変化」していかない限り、デリバティブのトレーディングは斜陽産業から脱出することはできないのだ。

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 4/9~職人芸の非論理性

P.73~74 そもそも、オプションマーケットが存在していれば、取引価格から逆算されたボラティリティ(インプライド・ボラティリティ)が参考になるから価格評価するのに、ヒストリカル・ボラティリティなど見なくともよい。これといった推定法が存在しない中で、推定をしていかなければならないデリバティブズトレーダーは、やはり職人なのだ。

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

うむ、俺も自らをデリバティブ・デザイナーと言ったり、寿司職人みたいなもんだ、と言っていた。しかし、それは2015年までの話だ。今はもう考え方が違う。こういった推定法が存在しないのは事実だが、その中で、適当にプライシングして、それを「職人芸」と言ってしまった時点で、それは”思考停止の罪”だ。2015年までの私なら、こんな一文は全く気にせず、読み飛ばしていただろうが今は違う

少し話は長くなるが昔話を思い起こそう。私が入社1年目の最後、課長から「何か希望は?」と言われたので「やはりデリバティブを扱う仕事を…」と言ったら、課長が「では自己ポジションの管理システムの担当にしよう。しかし、あくまでも自己ポジションのシステムであり、デリバティブのシステムではないッ!」とくぎを刺された。しかし、いざ担当すると99%の仕事がデリバティブであった。というのは株の取引は自動的に約定が入力できるのだが、OTCデリバティブは業者間だろうが対顧客だろうが、1個1個の契約なので、それを入力するのが私の最初の仕事だった。それを1か月くらいやった後だろうか、課長から「株の引当金の計算やって。これ、超重要だからねっ!デリバティブよりも!」と言われた。私はヒラ中のヒラだったので、私ー上司(主任?)-課長ー部長というラインになるのだが、日本の会社はこのツリー構造というより網の目のようなネット構造なので、ヒラに課長や部長が直接的な指示を与える所があるのが面白いw

株の引当金の計算とは何のことかというと、1000円の株を50万株持っていたら、その価値は1000円×50万株で計算されると思うかもしれないが、その株の流動性次第では50万株も売ると株価が下がってしまう。そのマーケットインパクトを引当金として計上する株の評価モデルを作れ、ということなのだ。ただ、これは引当金計上の目的なのだが、同時に、ブロックトレードの際に、お客様にお支払いいただくスプレッドのモデル化でもある。ブロックトレードのプライシングを数理モデル化するということだ。もちろん、現株のトレーダーが私のモデルに従って取引していたわけではない。ただ、トレーダーのプライシングと引当金の差が、そのトレードの収益としてその日は計上されることにはなる。

何の話をしているのか、何がつながっているのか理解できたかね?

つまりブロックのプライシングなんてのは現株トレーダーの「職人芸」なわけだよ。だけど彼らは20年も前に、モデル化して、対外的に説明力のある「評価」をしたいと私のところに言ってきたわけだ。彼らは私のモデルに従ってプライシングしていたということを意味しない点をしつこくもう一度強調しておこう。一方のデリバティブは? インプライドが存在しない銘柄や行使価格の「評価上のインプライド・ボラティリティ」は、どう決めてる? 未だに「職人芸」だろ? 

ま、株のトレーダーの連中も、意識が高いというより、ポジションがでかすぎて、会社全体のPLにも影響あるので、そこに「職人芸」の要素が入ってしまうと上場会社として会計的に問題があるからという必然性はあったのは事実である。だが、それは鶏と卵だ。そういう努力をしてないから、デリバティブ部門は、そんな職人芸が許されるポジションしか持たせてもらえないんだ! 「MSCBの引受を株の部門に取られた!」と憤慨していたのは私だが、今なら「当然だ」と理解できるよ。

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 3/9~正規分布と対数正規分布

2-2 ボラティリティは何を選ぶべきか?

20年以上前のことだが、会社の研修で米国人講師が”ボラタリティ”と連呼していた。今思うにこの講師は、ド田舎の出身者だったのかもしれない。

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

オージー?とか一瞬思ったけど、オージー訛りは、aを含めばエイとは読まずアと発音し、一番有名なのはtodayはトゥダーイと発音するのだが、Volatilityはiなのでその例に当てはまらない。ただ、私の友人でeightyをアイチと発音したオーストラリア人がいるので、もしかしたら可能性はある。いや、超勝手な推測で、その「米国人講師のボラタリティ」という発音を聞いてもいないのだが、間違いなくオージーと読むw

しかし10年以上海外住んでも一向に改善されない「スーパージャングリッシュ」のくせに、オージー訛りを笑うとはw

P.53 会議中に「正規分布という表現は誤りです。正しくは対数正規分布です。言い直してください」などと指摘すると本人は尊敬されると思って言っているのだろうが、逆に嫌われるものである。

確かに俺も、そこをあまり区別せずに使ってしまうこともあるが、例えば、金利とくに円物の金利デリバのトレーダーと話す時は、明確に使い分けている。彼が「どうせ1ドルの違いでしょ?大したことない」と発言した時は、「俺はお前と違って対数正規分布の人間だからなぁ」と返すわけだ。あるいは、

ブラックショールズは間違っている 
BLACK-SCHOLESは間違っている2 

という記事でも書いたことだが、よくいるブラックショールズを全然理解してないくせに「株価は正規分布してないし、BSはスキューを説明できない」とか俺の前でヌカしているヤツを見ると「まぁ、まず正規分布と対数正規の違いくらい理解してからモノを言えよ、なっ」とほぼ100%の確率で発言することになろう。

P.70 どの期間のサンプルデータからヒストリカル・ボラティリティを計算したのか、つまりサンプル期間はいつか、リターンデータは日次ベースなのか週次ベースなのか、といった点を明示しておかなければならない。

そうね、だけど幾何ブラウン運動においては、どんなに細かく切ろうが、その形は変わらない自己相似性を持っているのがランダムの特徴だ。もっとも株価は幾何ブラウン運動ではないから、こういう差も確実にあるんだがね。5分ボラティリティだって計算できるからねぇ。

何を唐突に非生産的な話をしているんだろう、

と思われてしまうかもしれないが、これは次から始まる「本格的な三田批判」の伏線に過ぎない。ただ三田さんを批判すればするほど、それは俺の身に120%で返ってくる反省の意味を込めて全力で批判しよう。

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 2/9~プレスリリースの奇怪な日本語

1-6 第三者評価機関の能力
P.43 新株予約権のプレスリリースにて 「割当先の権利行使については、モンテカルロシミュレーションによる算定の結果・・・」

デリバティブズ・ビジネスII 三田 哉 (著) – 2015/9/12

本文中のプレスリリースは、三田さんも意味不明・解読不可能と書いているプレスリリースなので、全文引用はしない。だが、もう少しまともな会社の新株予約権のプレスリリースにおいても、第三者割当の新株予約権の価格についての正当性を説明するために、新株予約権の価格は「モンテカルロシミュレーションによる算定」で、「安全利子率X%、株価変動率Y%の想定で・・・」、などという奇怪な言葉が並んでおり、しかも、どの会社も判を押したように同じ文言で書いている。

これもネタがかぶるんだが、俺流のツッコミは既に書いている。
広報担当者必見、ストックオプションのプレスリリースのひな形を見直すべき

ここでいきなりページが飛ぶが、

2-5 アメリカンオプションの計算
P.103 時点Pと満期までの間の時点Qの3回行使可能ならば、作るべき株価の経路は、

現時点~時点P、時点Pから時点Q、時点Qから満期 まで 10,000×10,000×10,000の株価を発生させることになり・・・

とあるのだが、俺も全く同じことをブログに書いているので (ご参考までにリンクを張ると・・・)

アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 1/5 ~ペイオフ・アプローチ手法・モデル
アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 2/5 ~TREEとモンテカルロの基本構造
アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 3/5 ~最適行使問題

アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 4/5 ~バミューダンのバリュエーション

n^2個の乱数と計算が必要とされるので、n=10,000で設定してしまうと、合計で100,000,000個の乱数の生成と計算をすることになる。

ぐわーーーっ。ホントに同じこと書いてるーwww

アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 5/5 ~TREEのGREEKS計算

自分でも同じことを言っておきながら、三田さんが書いた時だけ指摘するのも非常に心苦しい状況ではあるがあえて書こうw そういうクラシカルにまともにやればそうなるのだが、回帰とバックワード・モンテカルロで計算するようなソフトが、第三者評価機関=大手の弁護士事務所で、標準化されているらしい。有利発行の判断、三田さんがいう所の第三者評価機関は、大会社の新株予約権の発行の場合は、大手の弁護士事務所になるだろうが、彼らは法律の専門家であって、まともに最適行使問題を解ける弁護士は居ないことが想像に難くない。

新株予約権をモンテカルロで解くというのは金融業界では一般的ではないが、弁護士先生の間で愛用されている「ソフト」では、それが標準的であり、それを我々が指摘して改善させていないのが問題だ。日本市場を飛び交う大会社の「プレスリリース」は、実に恥ずかしい状態のまま放置されている。また強引にリスクフリーやボラティリティを奇怪な日本語に置き換えているのも、読んでいるだけで身体が痒くなる。

P.111 金商法第202条について

漢字が全体の7割を占めている。なんという文章だ。どうせならば”デリバティブ”の部分を”金融行性工具(中国ではこう書くらしい)”と書いて欲しい。

この原因は、デリバティブの日本語表記が、金融派生商品という完全なる誤訳だからだ。デリバティブの漢字表記はもちろんできるが、このあまりにも現実と異なる誤訳で定着してしまったため、「使いづらい」というのが現状であろう。やはり倉都康行さん風に「金融複製技術」と言えば、デリバティブ商品なら金融複製商品だし、デリバティブ取引なら金融複製取引と表現できる。

デリバティブズ・ビジネスII

Read More »

三田氏を斬るシーズン3 1/9~現金決済と現物決済のエコノミーの差

俺もしつこいねー。三田さんが本を出版されるたびにいちいちブログに取り上げることにしている。約1年近くブログは停止しているのだが、三田本は読んだら書かずにはいられない、ある種の「中毒症状」が私にはあるので、しつこく書こう。三田さんと俺の両方を知っている人物にとっては、この「揚げ足とり」が笑いになるのだ。何度も書いているが、三田さんと俺は同じ職場にいたことは無いし、面識もないw 俺が一方的に愛を感じているだけだ。では、こんなところにして早速斬っていこう。

P.14 デリバティブズ取引の決済には、現物決済と差金決済の2種類がある。エコノミーで考えると両者に違いはない。

いや、エコノミーに違いはあるw これ、既に書いたような気がするのだが、過去記事を検索しても見つからなかったので、もう一度書こう。ここで書かれているような株の受け渡しか、現金決済かが問われる基本的なエクイティーデリバティブ、フォワードやオプション取引の株価に関して共通するイベントは3つで、それぞれ、

値決め日 時間 0 としよう。
(支払日) (τ)
満期日 t
受渡日 T

満期時点におけるいわゆるフォワード価格=S*exp{(r-d)t} という理論値は、全く間違っていないのだが、実際には満期日から何日か経った後で株あるいは現金が受け渡される=Settlement Delayが存在する。すなわち、T=tであれば、エコノミーは一緒なのだが、時間的な違いがある場合、そのエコノミーはどうなるだろうか。

S*exp{(r-d)t}=S(t)と書いてしまうが、
差金決済=Cash Settleの場合、受渡価格は、T-t期間中の金利分が加算され、S(t)*exp{r(T-t)}となる。
一方、現物決済=Physical Settleの場合、受渡価格はS(T)である。すなわちT-t期間中のキャリーコスト分だけわずかに異なる
上場モノあるいは円モノの場合、この期間が短い・金利が低いので問題はないが、国外発行体を使ったMTNなどの場合、T+3からさらに余裕をもってT+5以上にしたり、CB(転換社債=新株予約権付社債)などに至ってはさらに長い場合もあり得る。

本質ではないので()付きで記述しているが、現金の支払が発生する契約の場合は、支払日を起点としたT-τだとかT-t-τという時間軸で割り引くことになるだろう。

これ書いたよなー? なんで検索で出てこないんだろう。書かなかったかな~…。まぁいい。

デリバティブズ・ビジネスII

Read More »

オプションの期待値は株より高いと思ってるの?

とある先輩と談義の中で。先輩は現在、株式の運用だけで暮らしている無職(失礼)だが、もともと金融業界というわけではないアマチュアの個人投資家である。アマチュアというのは理解が無い、取引が下手という意味ではなく、プロ=他人の金を動かす、アマ=自分の金を動かす、の区分である。原則、日本株ロングオンリーの健全な個人投資家で、成功なさっている方である。

そんな「株式メガネをかけた先輩」には、オプション取引はどのように見えているのであろうか? それは彼が繰り出したいくつかの質問に集約されている。

Q1.「割安な銘柄の判断は?」
Q2.「ボラティリティの高安の相場観とかあるの?」

そして極め付けが、

Q3.「オプションの期待値は株より高いと思ってるの?

だ。

A1.銘柄って…。確かにあるのですが、オプションの銘柄というのはアンダーライング×期間×行使価格×(Put/Call)、という機械的な存在です。だからS&P500の DEC18 1,800のPutとS&P500のDEC 18 1850のPutという差異はあるけども、株に比べれば没個性的です。でもDEC18のPutとMAR16 2000 Callだとかなり性質が異なるような気がするが…、なかなか説明難しいですね。

株式投資とオプション取引は次元が2つ違います。株式の場合は、売りと買いという0次元的投資判断になりますが、オプションの場合は、株価と時間という平面上に損益曲面を描くので2次元的相場観になるわけです。オプションの銘柄の一つ一つは、平面上に損益曲面を描くためのインストルメントの一つにすぎません。

A2.株式はゆっくり上がって、急に下がるという性質があります。オプション価格は、現値を中心として、その距離で値段が決まるわけですが、同じ距離なら、上昇を期待するCallよりもPutが高いというのが普通です。それが同じ値段なら、Putに割安感、あるいはCallに割高感があるわけですが、そういうプライシングはされません。

A3.株の期待値の規定は難しいが、オプションを含むデリバティブの期待値は、アンダーライングや取引戦略、計算方法によって異なると思うが、99%~99.999%程度と思ってよいだろう。コストをいくらかけるかということよりも重大なことは、オプションの期待値はコストの分だけ、マイナスであるというのが私の答えだ。彼は以前に、

(さらに…)

Read More »

日経レバ2(1570)アンダーライングのフォワードのバリュエーションについて

最近、日本市場では日経レバ2のETFが売買代金トップとなっているようだ。市場としての品位と参加者の質がうかがいしれる状態だが、フォローするならば、デリバティブと株の損益通算ができないという税制も、日経レバ2の流動性を後押しする要因となっているだろう。
規模が大きすぎて、1570の先物売買が市場を左右することもあるらしいが、今回はその話ではなく、
1570のフォワードそのものがいくらで取引されるべきか? という哲学的w な問題に切り込もう
「フハハ。フォワードなのにガンマありそうだな。面白い話題だとは思うが、これを論じたところで理解できるヤツがおらんだろう」 という私に対して
「10人くらいは居るんじゃないですかねぇ? 正解は無いと思うのですが、1570アンダーライングのデリバティブをブックしてみれば、どう管理するかは必ず対処はしなければならない問題です。この話題の供給者はゼロなので、たとえ10人しか理解できる人がいないとしても、需給のバランスは良いはずです」
と説得されたのでw 一筆書いてみることにしよう。
1570アンダーライングのデリバティブを1570アンダーライングとして認識する、すなわち1570でヘッジする場合は、
分配金のみをキャリーコストとして差し引いてフォワードを計算することになろう。ただ、1570は中身が先物で配当が無いので、分配金も存在しないようだ。
しかし、ポジションが大きい場合、これではあまりに不本意すぎる…というのがトレーダー諸君らの悩みどころだろう。
1570アンダーライングのデリバティブを日経225アンダーライングとして認識する、すなわち先物でヘッジする場合について考えていこう。
日経225のキャッシュプライスSに対して、まず考えると
ドリフト項:リスクフリー×2-配当率×2-信託報酬
拡散項:2σ
信託報酬も引いてよいと思う。だが、問題は、既に当ブログでも取り上げている日経レバ2が本質的に持つガンマロング性の評価をドリフト項にどう加えるかである。
2014.04.25 素人がハマっている必負法 1/3 ~日経レバ2の行く末
日経225のボラティリティ、ここではインプライドボラティリティの解釈で良く、それをσとする。運用会社はデイリーでリバランスするので、 簡単なケースとして、ある日+1σ、次の日-1σ動いたときの、引け値で取引したと近似してポジションと損益を実際に計算してみよう。

株価	ポジション
1	2 
1+σ	2+2σ
1	2

1日目の損益は {(1+σ)-1} × 2 = 2σ
2日目の損益は {1-(1+σ)}×(2+2σ)= -2σ-2σ^2 2日間の損益は-2σ^2となるので、1日あたりの損益は-σ^2となる。
では、連騰相場

株価	ポジション
1		2
(1+σ) 	2+2σ
(1+σ)(1+σ)

2日目の損益 {(1+2σ+σ^2)-(1+σ)}×(2+2σ)=(σ+σ^2)×(2+2σ)=2σ+2σ^2+2σ^2+2σ^3=2(σ+2σ^2+σ^3)
次、続落

株価	ポジション
1		2
(1-σ) 	2-2σ
(1-σ)(1-σ)

2日目の損益 {(1-2σ+σ^2)-(1-σ)}×(2-2σ)=(-σ+σ^2)×(2-2σ)=-2σ+2σ^2+2σ^2-2σ^3=-2(σ-2σ^2+σ^3)
連騰と続落の場合の2日分の損益を足せば、8σ^2、一日当たり+4σ^2となり、連騰や続落相場では有利に働く効果がある。
これをn日分、50%-50%でやるのかリスク中立確率でやるのかは諸君らに任せるが、これだけ引けばいいんじゃないの?
連騰相場では1570の持つガンマロング性が、S^2のPower Forwardのごとくに効いてくるので、デルタヘッジをしているトレーダーを悩ませているポイントは、Forward値よりも、このデルタエクスポージャーのブレにあることだろう。書きながら思ったのだが、その観点ではS^2のデリバティブとして処理するのが一番楽かもしれないな。

(さらに…)

Read More »

GPIFデリバティブ解禁かお悩み中? 2/2 プロ向け曲解

株の自主運用認めず、GPIF巡り社保審、政府・与党で最終判断へ。
2016/02/09 日本経済新聞
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に株式の自主運用を解禁するかを巡り、厚生労働省の社会保障審議会は8日、認めないことでほぼ意見が一致した。GPIFが直接株式を持つと、国家の企業支配につながるとの懸念が強かった。審議会の意見を踏まえ、政府・与党が今国会に提出予定の公的年金改革の関連法案に盛りこむか最終判断する。
 審議会で了承した論点整理では、(1)自主運用の全面解禁(2)部分解禁(3)見送り――の3案を併記した。このうち、日経平均株価など指数に連動した運用成績を目指す「パッシブ運用」に限って、議決権を外部に委託して、部分的に自主運用を認めるべきだとの意見が複数の委員からあったが、「一部の意見」にとどめた。
 自主運用は見送り、「早急に手当てが必要なデリバティブ(金融派生商品)の規制緩和」などに限るという意見が多かったとした。
 自主運用の解禁は経団連や連合出身の委員を中心に反対意見が強かった。GPIFが直接株式を保有して、株主総会で議決権行使をするようになると、企業経営への影響力を強めることができるという懸念があるためだ。8日の審議会でも「企業支配や市場をゆがめる懸念を払拭できない」との声があった。

はぁ…、がっかりしちゃうねぇ。株主との対話? スチュワードシップコード? コーポレートガバナンス? 形骸化した社外取締役? やる気ねぇじゃん。就職協定・定年延長・ベースアップwwwなどなど、経団連は、ろくなことを言わねぇな。健全な資本市場の形成を阻む、ガンコおじいちゃんの集まりとしか思えない。
しかし、デリバティブ解禁にはおじいちゃんたちも理解を示しているようなので、さらに俺も経団連の意見に援護射撃してやろう。日経新聞紙上で議論しているのは、為替の”先物”のことのようであるのだが、株式のデリバティブである先物・先渡にも議決権がないから、株の代わりにGPIFが先物・先渡で持ってくれれば、エコノミーは大きく変わらず、議決権は発生しない。経団連が大好きな物言わぬ株主の出来上がりだ。株主じゃねぇな、巨額なデリバティブ年金ファンドw
100兆を超える金額だと、先物のロールコストもバカにならないから、株の代わりにデリバティブで株式エクスポージャーというのは極論で現実味がないが、アロケーション比率を保つための日々の売買に先物を使うのならば、取引コストは下がるかもしれない。債券にしても株にしても、現物でやるより、先物で調整すれば、手間もスプレッドも狭いだろう。
また、アロケーション比率を固定して、日々、リバランスをする場合、ボラティリティを味方にできる。下がったアセットクラスを買い、上がったものを売るので、規模が大きくても楽な方向の取引だ。あたかもガンマロング的ポジションで、言って来いの相場展開では、Buy&Holdは不変だが、アロケーション比率固定戦略は、動きの分だけプラスとなる。一方で、売買代金がついにトップとなった日経レバ2などのリバランスは、下がったら売り、上がったら買わなければならないので、規模が大きくなればなるほど、厳しい取引(ガンマショート)となる。
2014.02.25 株のBuy&Hold戦略が持つGamma Long性
2014.04.25 素人がハマっている必負法 1/3 ~日経レバ2の行く末

株自主運用、解禁せず、公的年金巡り政府・与党。
2016/02/11 日本経済新聞
 政府・与党は10日、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式自主運用を認めない方針を固めた。株価の急落で慎重な意見が強まった。今国会に提出予定の公的年金改革の関連法案には盛り込まない方針だ。
 現在の法律ではGPIFが株式を直接持てないルールになっている。厚生労働省の社会保障審議会は2015年12月から機動的な運用や手数料の削減を目的に自主運用の解禁を検討してきたが、経団連や連合が「政府機関であるGPIFの株式保有は企業支配につながる」と反対し、結論が出ていなかった。
 政府・与党内では日経平均株価などの指数に連動した運用成績を目指す「パッシブ運用」だけ認めるべきだとの意見もあったが、「株価が大幅に下がるなかで実施する必要があるのか」との意見が強まっており、見送る方向になった。
 厚労省が3月上旬に提出を目指す公的年金改革の関連法案には、GPIFのガバナンス強化とデリバティブ(金融派生商品)の規制緩和などを盛り込む。
 理事長に権限が集中する体制を改め、労使の代表らで構成する経営委員会を設置。円高などによる損失を抑える目的に限ったデリバティブを使えるようにする。

デリバティブ解禁と言っても、議論の中心は、株の話ではなく、為替の話なんだよね。ごめんごめん。しかし、為替の上場先物というのはどういうことなんだろう? CMEのFX Futureでも使うつもりなのだろうか? たぶん、ちょっと株が下がって、円高になって、損した時だけ怒る金主に対して、場当たり的な対応をしただけなのだろうが、あえて、また援護射撃をしよう。
mia-wallace-pulpfiction-06-Basis-SWAP.jpg
当座預金に対するマイナス金利導入以降、国債金利も激しく下がったが、ベーシススワップもさらに拡張し、円がダブつき、JPY LIBOR -100ベーシスまで到達している。GPIFの為替のヘッジは方向的に、ドル売り円買いなので、先物でも先渡でもオプションでもスワップでも-100ベーシスがFavorに働く。GPIFは、このベーシススワップも取りに行く方向で、どん欲にデリバティブ解禁を働きかけ…。うん、まぁ、上場ものじゃなくて、店頭でいくらでもできるので、やっぱ言い訳か。
アロケーション比率一定というのは、日経レバ2に比べれば、はるかに素晴らしい運用戦略なんだけど、損したら、やっぱりみんな怒るんだな。上がったら売り、下がったら買うというトレーディングになる点や、ベーシスの実現で為替ヘッジと考えれば、もう少しGPIFに対して寛容になれないものなのかねぇ?
【G7 金利・国債系】
2015.12.21 坂の上の雲四 12~金策
2015.09.29 アメリカ覇権という信仰
2015.07.15 家計の金融資産残高が1700兆円を突破
2015.03.16 仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 7/7~貨幣の非国有化
2014.07.28 続・オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い、グリーク(リスク指標)の見方
2014.03.26 人民元売却計画ステージ2 10/16~ユーロマネー、オフショア人民元
2013.08.13 オプションなんて勉強するものじゃないです。まずは債券いっときまひょ
2013.01.29 金融政策の話 2/2 ~預金と規制
2012.07.04|ウォールストリートの歴史 5/8 ~第一次世界大戦
2012.02.27|告白 元大和銀行NY支店2/2 ~トレーディング
2011.10.31: 日本国債CDSが急落
2011.10.03: 日本国債5年CDS 1.3% vs 日本国債5年モノ0.35%
2011.09.09: スイスフランの介入劇
2011.07.07: モルガンS、米インフレ期待めぐるトレーディングで損失
2011.04.18: 米国債券投資戦略のすべて3/3 ~パススルー証券
2010.02.04: 日本最大の投信「グロソブ」4兆円割れ
2009.12.01: 金利系投資からの撤退 
2009.08.05: 金利をSalesに教える
2009.06.17: 暗算でやる金利計算@街頭インタビュー
2009.01.15: 株投資家から見たインフレ連動債TIPS
2008.12.25: さようならUS Strips
2007.12.17: 債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い  
2007.12.12: 債券税制 ~これを知った上で買えるか?毎月分配

Read More »

GPIFデリバティブ解禁かお悩み中? 1/2 一般向け解釈

新聞記者がGPIFの真意を理解できているのか?というのは極めて疑問ではあるが、新聞経由の情報で、将来のGPIFのデリバティブ運用を想像してみよう。GPIFが記者に対して、行間を読むという難解な言い方をせず、包み隠さず方針を述べたとしても、記者が理解できたレベルで曲解されたものが記事になるという性質上、ソースが揺らいでいるゆえに私の想像も揺らぐことになるのだが、その変化を記事とともに追っていくことにしよう。
毎日、「GPIFのデリバティブ解禁」の記事が載っているので、順に追っていこう。

GPIF、損失回避に規制の壁(風速計)
2016/02/08 日本経済新聞
 「じくじたる思いだ」。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道・最高投資責任者は1月28日の社会保障審議会で漏らした。GPIFは2015年7~9月期に7・9兆円の損失を出した。運用成績は市場平均とほぼ同じだが、価格変動リスクを避けるデリバティブ(金融派生商品)が使えれば、損失を少なくできたという思いが強い。
 今のGPIFは円高で運用資産に損失が出ないように為替ヘッジ(差損回避)をしようとしても、市場参加者の多い市場デリバティブが使えない規制の「壁」がある。店頭デリバティブは使えるものの、相対取引なのでGPIFの投資行動が市場に伝わりやすく、為替相場に影響を及ぼす可能性がある。
 社保審ではGPIFのガバナンス強化と運用規制の緩和を議論し、デリバティブの活用拡大も検討されている。ガバナンスは合議制の導入で大筋合意したものの、運用規制は年初からの相場の変調もあり、慎重な意見が複数の委員から出ている状況だ。
 調整が難航しているのは、GPIFの株式自主運用の解禁などハードルの高い施策があるため。ただリスクにおびえるあまりに、損失を回避するための方策も導入できなくなるようなら、皮肉と言わざるを得ない。(O)

> 市場参加者の多い市場デリバティブが使えない規制の「壁」がある。店頭デリバティブは使える
市場デリバティブってなんだよ、上場デリバティブだろ? Listedを市場って訳すか? と思っていたら、厚生省の説明で、
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000111870.pdf
5ページ目に、市場デリバティブ(上場デリバティブ)という表現がある。取引所だけが市場(=Market)ではないので、上場と表現するようにして欲しいものだ。口うるさい頑固おやじはまた嫌なものを発見w
厚生省同じ5ページに
為替先物取引(※1)
※1 市場デリバティブ取引を除く
コラァー!
日経新聞は先物と先渡の区別もついてないのか! 銀行の説明のせい? とか思っていたのだが、「厚生省、お前もか」
2009.03.26 中国人民元先物?
LeniWithAdolf_c.jpg
日本の役所のウェブ(いつも見ているのは日銀や財務省だが)って、しっかりしててレベル高いなぁ…、と思っていたのだが、ここだけはいただけないな。英語で言ったらFutureとForwardでね、Forwardに対する先渡って日本語までちゃんとあるの。物書きなら、そのくらいの表現の多彩さは持っていなさい。

(さらに…)

Read More »

2015年のオプション市場と私の戦略

オプションの損益とリスク認識の主観性について、前回述べたので、今回はもう少し具体的な取引、取引戦略にまで踏み込んで行こうと思う。
ではまず、結果から。
DDvsSP500-2015.jpg
オプション戦略であるDancing Dragon(以降DD)はオレンジ、S&P500が水色だが、DDはS&P500のオプション取引を開始した2013年9月の開始時を10,000として、資金の出し入れを控除したパフォーマンスベースで指数化した左軸、S&P500は単純な現値を右軸に取っている。
年初を100と基準化して比較しても良いのだが、S&P500の絶対水準、DDの2014年からの継続性を重視して、縮尺が多少違う軸を使用しつつの比較である。DDは10500~12500だから19%の範囲、S&P500は16%の範囲なので、実際のボラティリティはグラフ上の見かけよりDDが高い。
でも縮尺がどうあれ、DDはプラスで終わり、S&P500はマイナスなので、1年を通してじりじりと逆転している様がわかるであろう
このグラフで私が言っているまま、すなわち、デルタロング、ガンマショート、ベガロングのポジションを保持していることがわかった諸君は、うん、プロだなw

(さらに…)

Read More »

2015年投資一族のオプション取引の成績

オプションのリターンやリスクの定義は難しく、多かれ少なかれ、主観的要素が入らざるを得ない。2015年の成績を振り返っていて、オプションが入ると注釈をつけたほうが適切なのだが、その注釈が長すぎて、全体の説明の要旨がぼやけてしまいそうだったので、別途、本日、説明することにする。
リターンから説明しろ、という気持ちは分かるのだが、まずはリスク認識からw
1.リスクアセット比率
私の場合は金融資産のみなので、総資産のうち、どれだけ株に投資しているのか? というリスク認識について。
現金と株だけなら、その時価で比率を計算すれば十分であろう。しかし、先物やオプションなどのデリバティブが入ると、時価とリスクが乖離する。もっとも分かりやすい日経平均先物でいえば、先物を20,000で1枚買って、今現値が、20,000なら先物の時価は0になる。しかし、当然ながらリスクエクスポージャーは、2000万円相当の日経平均を保有しているのと等価だ。
と言える分だけ、先物はまだ単純だ。オプションの極端な例として、明日満期のATM Callを1枚ロングしていた場合、時価が40円で、デルタが半分として、1000万円相当の日経平均を保有しているとして良いだろうか?
もちろん、金融機関のリスク・エクスポージャーとしては、機械的に(客観的に)、1000万円相当のデルタアマウントを計上するのが適切であるが、個人として、明日満期のATM Callを1枚をNakedで保有していて、株を1000万円分、保有しているのと等価と言うことは、果たして自然だろうか? 仮に明日、日経平均が5%下がれば、1000万円分保有しているのなら、50万円の損失になるのだが、このオプションでは4万円しか損しないということがわかっていて保有しているのにだ。
1億円の金融資産を所有しているが、そのすべてが40円のオプションで、2500枚保有するというポジションもありうる。その場合、数値的には250億円の株式エクスポージャーを保有している、と個人として発言するのはまともな発言か? ただ、これは個人としての「つぶやき」を越えて、デリバティブの会計基準に対する疑問符でもあるのだぞ。
実際に私が満期まで後1日のオプションをロングなりショートなりのいずれの形でも保有していることは無いのだが、私がメインとしているスプレッド取引のデルタに対するガンマの比率は、ショートタームのNakedよりも大きくなることは当たり前に存在する。
だから、私はあえて、リスクアセット比率、私の場合は株比率だが、オプションはいかにデルタを取っていようが、株だけの時価評価の比率で計算している。私のリスクアセット比率を40%しか取っていないのに、上昇相場についていけるのは、ここに「嘘」、というか表現しきれていない真実があるからだ。オプションのポジションで発生している年間の平均のデルタエクスポージャーを足せば、株式の比率は60%~80%はあるだろう。そうでなければ、この長年にわたる上昇相場についていけるはずもない。
2.リターンの定義

(さらに…)

Read More »

オプション取引約2周年記念、トランザクション分析

S&P500のListed Optionの取引を始めて、約2年が経った。取引戦略については既に何度か言及しているので、そちらを参考にしていただいて、
2015.01.22 一族アセットマネジメント採用試験ヒント1/3~手法のまとめ
今回は、あんまり派手さはない分析をしてみよう。ちょっと面白くないかも。
まず、基本となる数値は
Net Liquidating Value=現金+オプション時価
を基準としよう。口座に1,000,000入れて、250ドルのプットを1枚売ると、1,000,000+250×100=1,025,000の現金となり、オプション時価に変動がなければ1,025,000+(250×100×-1)=1,000,000と、売買するだけではNet Liquidating Valueは変動しない。正確には手数料を考慮しなければならないので、手数料分だけわずかに減る。
現金=全キャッシュフロー(CF)=売りCF-買いCF-手数料
ネットしてしまうと小さいが、グロスのターンオーバーは200%超えてるのね・・・。わずかに売り越しと。手数料は・・・、まぁ、小さいですね。
SP500-Transaction.jpg
取引の回数も計算してみました。一部出来で一つの注文が値段変わらずタイミングだけ分かれた場合は1とカウント、一部出来で値段を変えて約定した場合は、別のオーダーとしてカウント。だいたい年間100回、1ヶ月8回くらいのペースで取引しているようです。でも実際は売りと買いを組み合わせたコンビネーションで取引することが多いので、半分の週に1回くらい取引しているイメージです。

(さらに…)

Read More »

一族アセットマネジメント採用試験 解答例=運用の実態

これは私自身の運用の結果なので、その実態もよく知っているのだが、細かいところまでは覚えていない。単純にグラフだけ見て、「あたかも他人の運用に対してかなり意地悪な視点でケチをつける」ノリで解説した方が面白いだろう。今日は二重人格、自己批判的に書いてみました。(筆者が二人いるわけではないぞw)
問題はこちら。
2015.01.16 一族アセットマネジメントの公開採用試験・問題
20150113DancingDragonAnaly.jpg
デルタがロングかショートか以前の問題で、右軸と左軸の非対称性、Dancing Dragonの基軸となっている左軸は23%程度の幅(9750~12000)に対して、右軸は27%(1650~2100)としている時点で、いかにも自分は上昇相場に追従しているパフォーマンスであると言おうとしている作為を”23:27″の比率で感じる

(さらに…)

Read More »

一族アセットマネジメント採用試験ヒント3/3~デリバ的米国市場解説

暴落対策であるダンシングドラゴンはただの戦略名であり、その収益は、私のトレーディングによって左右される。何度も言及しているように、私のオプション取引は、マーケットメイクやアービトラージ、もとい割高なIV(って何だ?とも思うのだがw)を売るという類”アービトラージ性”すらも全く無い< 完全なるスペキュレーションである。 span class="ichizoku_blue">スペキュレーションの収益源泉は、時価評価とレバレッジによって引き起こされるセリング・クライマックスであるとも述べた。でも一方で単純なショートで、暴落を待つという戦略は、踏まれに踏まれ、実戦的なポジションとは言えない。ダンシングドラゴンだろうが、カレンダー・スプレッドだろうが、レシオ・スプレッドだろうが、ネイキッドであろうが、どういうタイミングで入って、出るのかで大きく結果が異なる。例えば、08年リーマンショック、CDSで大儲けをしたジョン・ポールソンだが、同様のポジションを取っていたジェフリー・グリーンやマイケル・バリーが苦しんでいる様子が書かれている。
2011.03.17 史上最大のボロ儲け ~儲け損ねた男達の遍歴 2/6
2011.04.04 史上最大のボロ儲け ~タイミングの違い 4/6
暴落が起こるまでには、長い年月を必要とする。よって暴落対策は長い上昇相場に耐えなければならない。2007年からのS&P500の推移を振り返ってみよう。
SP500yearly-Return.jpg
下げた年は2011年のみ、2011年にしてもほぼ変わらずなので、年足で見れば09年3月の最安値666.79から単純に上げ続けたと言ってよいだろう。もう少し細かく月足で高値安値も合わせ
最大下落率=ピーク後安値÷ピーク時株価-1
P(t)=Min S(T>t) ÷ Max S(0~t)-1
を計算すると、15%以上の下落はわずかに2回しかなく、

(さらに…)

Read More »

一族アセットマネジメント採用試験ヒント2/3~私の手癖・収益源泉

博打は人間性(癖)があらわれるとよく言うが、トレーディングも全く同じである。
2013.04.04 投資・投機・ギャンブルの違いを述べよ
より

投資とは、リスク・プレミアムを受ける行為、ギャンブルとは、リスク・プレミアムを払う行為。
投資とは、資産価格で認識する取引態度、投機とは、損益だけで認識する取引態度。

を念頭に置くと、トレーディングは投機であり、トレーディング(投機)と投資は若干違い、ギャンブルに近い。トレーディングの癖、タイミングによって結果が大きく異なるのは、Buy&Holdの”投資”とまったく違う点であろう。私の株取引は、Buy&Holdが原則だが、相場観でエクイティ比率(株比率)を変動させるので、純粋なBuy&Holdに比べるとトレーディング(投機)性を持った投資なのである。
2014.02.25 株のBuy&Hold戦略が持つGamma Long性
で詳しく述べているが、「相場観でエクイティ比率(株比率)を変動させる」と言ってもそれほど高級なものではなく、株の水準が下がったら株比率を上げ、水準が上がったら株比率を下げるという超単純なものである。言いかえれば、下がったら株を買い、上がったら株を売るという当たり前のことをしているだけなのである。

(さらに…)

Read More »

一族アセットマネジメント採用試験ヒント1/3~手法のまとめ

勉強熱心なオプションオタクの個人投資家が多いようなので、一度まとめようと思う。また金融機関でデリバティブのトレーディングをしているプロフェッショナル諸君にも「2014年にS&P500に追従し、下がった時にクッション(微プラ)になるようなデリバティブのポジション、君に作れるかね?」とお灸をすえる意味もある。
上場オプション取引について、今まで書いてきたものをまとめてみた。分量はかなり多いが、これを全て読んで理解すれば、オプションによる暴落対策=ダンシングドラゴンを構築することは可能である。当然ながらダンシングドラゴンはただの戦略であり、盤石な(絶対儲かる)ものではない。自分のもっている手法やノウハウをネット上で無料公開したところで、理論的、スキームとして、戦略として暴落対策を講じることはできようが、私と同じパフォーマンスには絶対にならないことを私は知っているので、心配は無用だ。暴落対策を念頭に置いて、諸君らが真似をした場合、長い上昇相場に付いていくことが厳しいであろう。
1.スプレッドシートの作り方やリスク指標の見方などについて
2013.06.10 初めてのオプション取引 1/2 ~口座開設・取引まで
2013.06.17 初めてのオプション取引 2/2 ~天才が作るオプション・エクセル
2014.07.07 オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い
2014.07.28 続・オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い、グリーク(リスク指標)の見方
↑遊びで始めた米国オプション市場があまりにも有用なので、ポジションがでかくなりすぎて金利リスクが膨大になってしまった経緯。そしてその対策とヘッジについて。
2.米国オプション市場特性について
2013.09.26 S&P500のオプションも、はじめちゃいました
2013.10.11 米国オプション市場で遊んでみた 1/2 ~実質的に狭いAsk/Bid
2013.10.31 米国オプション市場で遊んでみた 2/2 ~市場特性
3.暴落対策(ダンシングドラゴン)のオプション戦略の意義
2014.08.27 新オプション取引戦略の考案 1/3~暴落対策の難しさ
2014.09.03 新オプション取引戦略の考案 2/3~基本はカレンダースプレッド
2014.09.11 新オプション取引戦略の考案 3/3~時間と供に変化する損益曲線

(さらに…)

Read More »

一族アセットマネジメントの公開採用試験・問題

デリバティブで作る暴落対策のその後として、2014年のデリバティブ運用の成績を見つめていたら、ちょっと自慢したくなった。だって暴落対策=下げて儲かるポジションなのに、2014年の年間リターンがS&P500が+11%に対して+12%ですよ! だが普通に自慢してもつまらない(マーケットなりのパフォーマンスでしかないので自慢するほどでもない)ので、クイズ化してみた。かなり限定的な情報だけをもって、どこまで運用実態に迫れるかという諸君らの経験と知性を問うものである。
一族アセットマネジメントの公開入社採用試験問題
グラフから私が取ったS&P500のオプションによる暴落対策ポジション(Dancing Dragon)がどのようなポジションか推測せよ。
20150113DancingDragon.jpg
グラフの見方
S&P500は右の軸、Dancing Dragonは左の軸で開始当初の基準値10,000として、取引手数料を含んだリターンである。基準値の計算に含まれている取引手数料は、S&P500のオプションとは全く関係無い為替ヘッジのための先物取引の手数料も含まれている(先物のPLは含まれない)が、それでも年間-0.056%程度に過ぎないので、気にしなくて良い。さすがケチだなw。
運用期間中の資金移動は、2013年9月の開始当初を100(遊んでみるか?)とすると、2013年9月末に200(取引しやすい良い市場だ)、2014年6月に300(ちょーっと本気だすか)と3倍増となっている。今後も株式市場の上昇とともに株を売却しデリバティブに資金を投入していくので増加する予定である。
途中の直線部分は業者都合でエクセルが停止していた部分があるためだが、大勢に影響ないので無視して良い。
以上の情報を元に、デルタ、ガンマ、ベガが、大局的に各々どうであったかを軸に(デルタ・ロング、ガンマ・ショートなどに言及しながら)、その推測の根拠を説明せよ
テキスト(文章)だけで推測と根拠を述べられる諸君はコメントで、グラフを見ながらの説明が必要な諸君は、グラフに説明文を加えたものをツイッターで画像アップしながら、@exo_ichizokuを入力してもらえれば採点可能である。私の個人的な連絡先を知っている諸君は、直接連絡してもらっても構わない。また私としては嘘はついていないのだが、この動きは怪しい!という主観的な指摘も歓迎である。嘘だと思うなら、「このPLは明らかにおかしい、なぜならば…」という論理的な根拠を持って言うのならば採点基準となりうる。
極端に優れた回答をした者は、一族アセットマネジメントの従業員(=所詮は労働者階級)としての待遇を考える。
18歳未満で同様に優れた回答をした者は、投資一族の構成員(=資本家階級待遇)として迎えいれよう
私のブログを熟読している者にとって、答え、すなわち、デルタ・ガンマ・ベガがロングなのかショートなのかは書いてあるので、既に公開情報であるのだが、採点基準は、このグラフからの推測の根拠である。また出題の意図は、暴落対策の公言通り、大局的なポジション取りであるが故に、DailyでのPLの記録であるものの、Dailyの細かなPLは分析・推測の対象外として良い。
※不親切すぎる出題? 回答する前の問題に対する質問も受け付けよう。だが俺ならノーヒントでわかるぞw
このポジションを取った背景と私の投資理念について、数週間かけて3つのヒントを順を追って説明していく。約1ヵ月後には、模範解を公開するので、”模範解答”を含むタイトルの記事が公開された時点で、従業員・構成員の公募締め切りとなる。
【市場と実戦:Vanilla・幾何ブラウン】
2014.10.31 アウトオブザマネーのプットは意外にヒットしない
2014.07.07 オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い
2014.04.25 素人がハマっている必負法 1/3 ~日経レバ2の行く末
2013.09.26 S&P500のオプションも、はじめちゃいました
2013.02.07 S&P500が1600を突破する確率50%超 確率を買うには?
2012.08.20 野村日本株投信(豪ドル投資型)1208設定日
2012.05.15|Calender Spreadのススメ2 ~株価と時間軸上の損益曲面
2011.12.16: FIAに行ってきました
2011.10.20: 日本のオプションは最も割安な水準
2011.02.25: 噂の真相 ドイツ銀:韓国でデリバティブ取引禁止処分
2010.11.08: 三田氏を斬る ~多彩な商品、Vanilla系
2010.07.08: 新しい読者の嬉しい努力 数学を使わないオプション解説 Vanillaって?
2010.05.14: オプションの清算値の計算方法 これは一体何の計算?? 
2009.09.29: Black-Scholesは間違っている
2009.06.16: VAR SWAPのGamma+VanillaのGammaでGamma Neutralになるか?
2009.06.09: お前VEGAの意味わかって無いだろ?
2007.12.01: 初めて会った時から好きだった




Read More »

バイナリーオプション取引講座(プロ用)

ちょっと美人が登場するとすぐに反応する馬鹿どもめ。って俺が一番反応してるかな?
azami-yoko.jpg
2009.09.01 バイナリーオプションの性質から読む市場拡張性
で既に述べているように、バイナリーはその性質上、市場拡大が期待できない代物である。貧乏人・情弱限定であり、その市場はインターネットと相性が良く、FX・ネットゲームなどと顧客層が同じであり、私とはまったく関係の無い世界なので、遠慮なくバンバン斬っていこうと思います。
話し手であるあざみさんは原稿の内容を理解しながら読んでいると思われるが、問題は原稿の書き手・作家さん、いやいや、そもそもバイナリーなんかで商売しようという経営方針が腐ってるなw
http://www.ig.com/jp/binary-option-edu
を見ながら読むと楽しんでいただける内容になっています。
私、一族エキゾが3回のシリーズで、わかりやすく解説します。
二者択一で投資するバイナリーオプション。一見単純に見えても、正しい知識がなければ投資からよい結果を得ることはできません。はじめての方だけでなく、すでにバイナリーオプション取引を経験されている方もぜひご覧ください。
1.基礎編
こんにちは、一族エキゾです。今、何かと話題のバイナリーオプション、ってもう古いと思うんだけど…。知れば納得できるその弱点と留意点を、私と一緒に学んでいきましょう。
まずはバイナリーオプションの仕組みについてです。バイナリーはバニラの株価微分、確率です。ですからバニラのデルタがプレミアムでバニラのガンマがデルタになります。確率を100倍した表記になっていることが多いので、ATMで50、勝ったら100というのが一般的です。
デメリットについてです。まず1000円単位で投資を考えている奴は、バイナリーなんてやる前に働いた方が確実に金が増えます。リスクが明確、維持証拠金と最大損失が同じなので、資金効率が悪いです。また、短期のバイナリーオプションは原資産による複製が難しいので、マーケットメイカーのアスク・ビッドが必然的に広くなります。時間があまりにも短く、一つ一つの単位もまたあまりにも小さいので、実際に業者はヘッジせず、向かい呑みになるので、アスク・ビッドを広げることでのみ、その期待値を上げようとする傾向があるのも事実でしょう。よって取引を増やせば増やすほど、確実にお金が減ります。
取引コストというのは手数料だけでなく、アスクビッドスプレッド、売値と買値の差額もまた取引コストになります。例えば、判定価格(行使価格)と現値が同じ時(アットザマネー)は、バイナリーの価格は50であるべきですが、60売り/40買いくらいでクオートされているとすると、バイナリーは60円で買えて、40円で売れることになります。この時、売りでも買いでも、60円で買って100円もらえるわけですから、40円を儲けるために20円のコスト(アスクビッドスプレッド)を払っていることになり、取引コストは50%。富くじと同程度の期待値となり、勝てるはずがありません。55売り/45買いであったとしても45円儲ける為に10円のコストを払っているので20%強の取引コストとなり、これで競馬とようやく並びます。このようにアットザマネーのバイナリーのクオートは、期待値とリスクが決まっているので、控除率の計算に使うと良いでしょう。
二者択一の投機、バイナリー・オプションは、取引方法も2択です。バニラで複製するか、バイナリーなんてやらないか。始める際は、まず給料で資産を増やしてからw

(さらに…)

Read More »

アウトオブザマネーのプットは意外にヒットしない

下げに対する備えの難しさについて、前回書いたところ、いく人かの読者から、意見を頂いた。
先物の売りやプットの素ロングは、長い上昇相場でとてもツライポジションとなる。負け続けて精神的にツライということではなく、負け続けると資金が減り、だんだん先細りになり、勝つ頃に資金が激減している、なんていうことが本当に存在する厳しいポジションだからである。
では長い上昇相場に耐えながらの暴落対策とは、いかなる形になるか?
2014.09.03 新オプション取引戦略の考案 2/3~基本はカレンダースプレッド

プット・レシオスプレッドで頑張ればなんとかなるかもしれないけど、暴落してもホントに儲かるの?ってくらい、あるいは中途半端に下げたらクソ損するほどに、手前を売らないといけないので、仕上がりとしてはけっこう厳しいでしょ?

で既に述べていることだが、やはり読者も、「内側売って、外側を買う」という意見であった。外は買っとけ、FOTMは買っとけ、という信仰がニワカにあるらしいが、私は今回、外を買うのも、厳しいというデータを示そうと思う。
私の友人に、オプション取引データを扱うプロがいるので、彼に「1M ATM Putの売りとATMから500円下のPutの2枚買いを、1Monthロールで続けたらどうなるか?」と聞くと、過去十数年のデータを使って、そのポジションの実績を出してくれるのである。しかし、彼も人間、たまに結果を間違うことがある。私は下記のグラフを見るだけで、その間違いに気づき、指摘するという彼とのキャッチボールが私が天才と呼ばれる所以なのである。正しく直された結果だけ見ている読者は、「なんかすごいお友達がいるんですねぇ」と思うだろうが、実は彼と私の合作なのである。(99%彼の貢献ですけどねw)
では「内側売って、外側を買う」=「1M ATM Putの売りとATMから500円下のPutの2枚買いを、2000年1月から2014年9月まで、1Monthロールで続けたらどうなるか?」(SQの寄りで作って、SQまで持ちきり、SQ値清算した場合の実績)を見てみよう。ちなみに日経平均は2000年1月18900円に始まり、2014年9月には15800円まで下げている
ATM-Put1Short-Minus500Put2Long.jpg
(縦軸はオプション単価で計算したものであるので金額ならば1000倍)
見るに耐えない悲惨な結果である。スタートが運良くITバブルの崩壊に当たっているので、最初こそは調子がいいが、あれよあれよと負け続け、02年にはマイナス圏に突入。以後、08年のリーマンショックに至るまでずっとマイナス圏を徘徊する悲惨な戦略である。

(さらに…)

Read More »

新オプション取引戦略の考案 3/3~時間と供に変化する損益曲線

カレンダー・プット・スプレッドの集合は結局、上がっても下がってもダメな典型的なガンマショートポジションなのに何が暴落対策なのだ?という質問に答えよう。
キーワードは”維持”である。
上昇相場で踏まれてマイナスが出るポジションは維持が難しい。維持するためのトレーディング=新規ポジションの積み重ねについては既に述べたが、さらなる維持によってこのポジションがどのように変化していくか? 想像して欲しい。常に短いオプションを売り、長いオプションを買いながら積み上げているので、短いものは満期を迎えていく。するとどうなる? 単純にカレンダー・プットスプレッドだけしかないポジションの場合、売りと買いの枚数の和は常にゼロだったのだが、売りが満期を迎えると同時に、徐々に買い越しに転化していく。長いアウトのプットの素ロングが少しずつ立ち始め、損益曲線の下方が立ち上がり始めるのである。
Dancing-Dragon-01.jpg
実際に取引すると、長期が取引しやすいDECやJUNにポジションが集中する。それが一気に満期を迎えるとリバランスが面倒なので、1年を切っていて、ポジションが集中した場合は、それより短い期間のカレンダー・プット・スプレッドを組んで散らしていく。例えばDEC16 +10、DEC15 -10と入っていたら、MAR15 -5 DEC15 +5を組んで、さらにDEC14 -3 MAR15 +3、とOCT14 -1 DEC14 +1というように相場変動や時間の経過と供に、上昇相場の場合は、ストライクは上方に動かしながら、カレンダーの期間を短くして、集中したポジションは散らしていく。

(さらに…)

Read More »

新オプション取引戦略の考案 2/3~基本はカレンダースプレッド

前回、暴落対策というのがプロ・アマともに如何に厳しいか示したのだが、長い上昇相場に耐える暴落対策はいかなる形になるかの答えを言おう。
※今回は、かなり内容が難しく、単語はWikipediaに載っているはずですが、実戦経験による前提知識の説明が足りてないかもしれません。わからないことがあったらコメントかツイッターで質問してください。
GreeksがDelta Long, Gamma Short(Theta Long)となっていて、かつ、イントリンシックバリューによる損益曲線の下方が左肩上がり(=右肩下がり)になっていてプラスにまで突き抜けている形である。後に分かることだが、この形は必然的にVega Longを伴う。プット・レシオスプレッドで頑張ればなんとかなるかもしれないけど、暴落してもホントに儲かるの?ってくらい、あるいは中途半端に下げたらクソ損するほどに、手前を売らないといけないので、仕上がりとしてはけっこう厳しいでしょ?

(さらに…)

Read More »

新オプション取引戦略の考案 1/3~暴落対策の難しさ

新戦略をダンシングドラゴンとする。このダサいネーミングセンス良いでしょ? 真面目っぽくて。当然だが、ダンシングドラゴンなんていうオプション投資戦略名はこの世に存在しない。俺が去年考えて、最近命名した戦略だからだ。
2013.09.26 S&P500のオプションも、はじめちゃいました
で書いているということは、実際の時間軸では記事発表の一ヶ月前には私は始めているので9月頭くらいから米国市場におけるオプション取引を始めている。(思い出した、フィリピンで遊んでいたので、書類、手紙等の手続きが進まず、開始が遅れたんだw)
2013.06.10 初めてのオプション取引 1/2 ~口座開設・取引まで
上の記事で
「オプションをやるからには、先物で代替できるようなエクスポージャーは意味がない」
と述べているように、私にとってオプション取引の意義は、手短に言えば暴落対策である。私が暴落対策に固執する理由は、プロ(=証券自己を含む機関投資家)として取引していると、暴落対策を講じるのが難しく、何度も悔しい思いをしているからである。プロが暴落対策を取れない理由は、組織の事情によって多少異なるが、金融機関の場合は資本効率、リーマンショック以降のバーゼル3対応で最近はさらに厳しい資本効率、ヘッジファンドの場合はマーケット・アウトパフォームという使命を背負っており、ことの本質は、暴落対策という”保険”にカネをかけることができないというのが共通の事情である。
それどころか、プロは逆暴落対策、つまりプロは資本効率の追求やマーケットアウトパフォームのために、暴落対策保険を売らざるを得ないという事情がある。サブプライム問題や中国の陰の銀行問題などが主たるものだが、基本的にローンという銀行の生業は、逆暴落対策、リスクを取って金を貸すという宿命である。もっと拡大すればそもそもリスクを取って事業をするのが企業の役割なので、その逆の暴落対策をとることは、そもそも事業活動として矛盾するとも言えるかもしれない。またCDSやノックインプットを売るといった金融商品など、わずかなアウトパフォーム、すなわちポジティブキャリーの創生を求めて、将来の見えざる時限爆弾を引き受けている例である。金額加重で言えば、市場参加者の9割がポジティブキャリーを求めてレバレッジをかけているので、大暴落が引き起こされる。

(さらに…)

Read More »

三田氏を斬るステージ2 8/8~デリバティブを内包するエクイティファイナンス

第6章 第三者割当ビジネスの隆盛と衰退
第1節
MSCBとはMoving Strike Convertible Bondの略で、日本では2000年頃にはすでに発行されていました。株価2桁(100円未満)の企業がMSCBを発行し、すでに投資の了解をもらっている特定の投資家(海外ファンド)に割当をして資金調達をしていたのです。北の家族、シントム、昭和ゴム、イタリヤードなどいくつもの企業が発行しました。資金繰りが苦しく、資金調達手段が他に無い企業がラストリゾートとして利用していたため、ほとんどの発行企業は、発行後、努力むなしく倒産しました。その後、2004年にいすゞ自動車が300億円発行したのを皮切りに、日本でMSCBの大ブームが巻き起こりました。MSCBを発行する企業は以前のような瀕死の企業ではなかったのです。またMSCBの買い手となったのは海外ファンドではなく、国内の証券会社でした。

(さらに…)

Read More »

外資系金融の終わり 1/2~ファンマネとセルサイド・トレーダーの違い

またイタい本です。なんかもっと真面目な本読めよ! 中国のエネルギー問題とかインドネシアの歴史とか…という感じですが、まー、息抜きね。サブプライムとかギリシア危機を素人向けに分かりやすく解説した良い本だとは思うが、私は、そんなことの解説には全く興味が無いので、年収5000万円の外資系トレーダーw という部分を中心にイジっていきたいと思います。

筆者の略歴には、欧米の研究機関にて、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身し、マーケットの定量分析、トレーディングなどに従事。

とあるんだけど 欧米の研究機関 ってなんだ? 東京大学理科Ⅰ類卒業くらいの不自然さを感じるぞw アメリカの大学で博士号を取得した後、欧米の研究機関で多数の論文を という文なら分かるんだけどw 欧米の研究機関で博士号取ったヤツいるのかよww ダブルメジャーは可能性あるけど、だったら理論物理学となんとかで博士号って書いて欲しいよねぇw
ついでに外資系投資銀行 ってなんだ? ゴールドマンサックス以外もう無いだろ? モルスタはMUFJの資本入ってるから日系だぜw さすがにJPモルガンやシティを投資銀行とは言わないだろ。
とまー、読む前から突っ込みどころ満載なのだが、内容は誰かが監修しているのか極めてまとも。つまらないので1章のサブプライムとかリーマンショックのくだりは、飛ばします。

(さらに…)

Read More »

三田氏を斬るステージ2 7/8~理論値と期待収益に対する疑問

今日は三田氏を斬るステージ2のクライマックスで~す。トレーダー諸君(ネット・トレーダーじゃねーぞw)、特にデリバティブ関係の読者はよく読んで勉強するように。

例えば、先ほどのやり取りのあった仕組債ディールにおいて、嘘つきトレーダーは、限界だと言いながら、実は自分の取り分が1%と見込んでいたとします。一方、セールスの取り分は削りに削られて0.5%だったとします。約定をして、正直にポジションをブッキングすると、合計の1.5%の利益が計上されてしまいます。セールスはそこから0.5%もらう権利があるわけですが、トレーダーには1.0%の利益が残ることがバレてしまいます。そうなると面倒なので、トレーダーはどうするかというと…、利益を圧縮するのです。例えば、全体利益が0.7%となるようにパラメーター調整(ボラティリティとか相関係数とか、客観的には決まらない、トレーダーの主観で決めても良い数値。一応、リスクマネージャーのチェックがあるので裁量の幅には限界がある)をして、本来1.5%の利益を0.7%に圧縮しておくのです。それならば、トレーダーは本当にギリギリでやっているなと思ってもらえます。当然、利益が隠されているポジションですから、パラメーターを本来の数値にゆっくり戻せば、利益がジワジワ出てくることになります。これは当のトレーダー以外気づきようがありません。セールスがトレーダーのポジションの損益を毎日モニターしていたとしてもわからないでしょう。このジワジワ現れてきた利益は、トレーダーのトレーディング能力によるものだと認識してもらえるのです。

三田さんには釈迦に説法なのは、よくわかっているのですが、ここで言及していないので、私が突っ込みを入れましょう。
レーダーが見込んだ1.5%の利益って何ですか?
こういうこと言うトレーダーも居るんです「97円の仕組債を99円で売る詐欺みたいな仕事」。この例ではセールス(販売会社・販売部門)は99円で買って、お客様に100円で売りますから1円の儲けがディール時点で確定している、これはお金です。でも97円って何ですか? 誰が決めたんですか? 差額の2円はどこにあるんですか?
正確に表現するならば、97円だと仮定して「97円」と言ったのがトレーダー。
97円は理論値と呼ばれ、社内の関係各部署にオーソライズされた評価モデルが、指し示す数値にすぎません。その評価モデルって何ですか? それは市場の動きを色々な仮定・想定をした上でモデル化して、デリバティブの条件の期待値を計算する”単なるプログラム”です。
誰が作ったんですか? 答えは三田さんであり、私です。同じ仕事だから分かるんですw だから、モデル化の際の仮定が、現実の市場の動きと違う、違った時にどんなことが起こるのか?ということもよく知っています。でもセールスと毎日価格交渉する役割、これは間違いなくトレーダーですが、ジュニアであることが多く、それをわかってない。ヘッド・チーフトレーダーは理解していますが、ヘッドは細かい毎日のディールに直接関与しません。
差額の2円のありかは、もしモデルの想定通りに市場が動き、「ヘッジ=株と債券による複製」が実現して、初めて手に入るお金であり、ディールした時点では、2円なんてどこにもありません。実際の市場の動きと想定が違い、2円の儲けが、3円になることもあれば1円になってしまうこともあるでしょう。極端なリスクをトレーダーが張らなければ、普段の平常時のマーケットならこのくらいのブレなので可愛いものです。でも、理論上の想定からすると100年に一度の大暴落が数年に一度は起こります。そうすると…、-5円、-10円となる可能性もあります。
例えば、決定論的ボラティリティ、ボラティリティがストライクによって異なることは認めているが、時間によって確率変動することを認めていないモデル化で評価していると…、株価の暴落によってボラティリティが爆発した場合、Vegaは減少して、高いところでVolatilityを買わなければいけない状態に追い込まれた時のことを知らないモデルです。Volga Longなら高いところでVegaを売れるわけですが、実際にはVolga Shortな状態になるような金融商品が多いこともよくご存知のはず。実際のヘッジコスト(益)が、実現しないことは当たり前に起き、その2円の危うさがあるからこそ、デリバティブデスクで損失が出たりするのです。(まぁポジション隠しの詐欺に比べると可愛い金額だったりします)
では、絶対負けないようにするために-5円、-10円を想定して、評価上85円の商品を99円で売れますか? そこまでやるとさすがにみんなにバレてしまい、ディールになりません。リーマンショックなどの大変動では大損を出してしまうトレーディングデスクもあり、トレーディングヘッドの首、トレーディングデスクの損失・廃止、あるいは会社の倒産を引き起こすことがあり、トレーディングのリスクに対する対価であるマーケット・バリューが2円なのです。この2円を確実に実現させることができるならば、ディーリングでの損など出ません。
2円の収益がどのくらい危ういものかよくご存知の三田さんが、「デリバティブズ・トレーディング部門が、顧客・セールスから搾取している」と発言していることに私は大きな疑問を感じていますトレーダーが責められるべきは、顧客やセールスからではなく、その危うい期待収益2円を根拠に莫大な報酬を”もらっていた”ことを、会社、その株主からであるはずです。それはリーマンショック後に実現しており、ショック前に比較すれば明らかにその報酬・待遇は悪くなっていて制裁されています。
さきほど販売会社とセールスは99円で買って、顧客に100円で売るから1円のお金が実現すると言いましたが、私が扇動し販売していたとある金融商品の元本部分(利息部分はギャランティーなので確保)が0に近い値段まで落ち込み、訴訟問題になったことも小さく新聞に取り上げられたようでした。またアジア(ことに香港・シンガポール)でも、リーマンのミニボンドなる仕組債が、デリバティブの条件、株価が下がったら損失をこうむることについては説明を受けていたが、債券の発行体であるリーマンのクレジットリスク、リーマンが倒産したらゼロになるリスクについては聞かされていなかったとし、訴訟問題に発展しました。
ここで第1章の「後の三田さんの発言においても、百戦錬磨の”たたき上げの中小企業の社長の実力をわかってない”ように感じられるので、後で厳しく追求します。」について言及します。1ショット1億円以上の仕組債を買うようなお客様は、販売会社が少しでも隙を見せたら(例えばリーマンのクレジットリスクに対する説明をしていなかったこと)、訴訟して金を取ってやろう、というタヌキです。確かに金融工学は知らないし、”理論値”は計算できないでしょうが、デリバティブ契約以外も含めた上での総合判断、例えば、IPOの割当をもらう、娘が勤めている、自分の会社が上場する際は主幹事証券会社として、学校法人なら学生の就職先として…、などなど、様々な思惑込みでお付き合いいただいています。
確かに顧客やセールスが、理論値を知らないことを良いことに、理論値をごまかして利益を隠したり、コミッションの按分を有利に振り向けたりすることはありますが、そもそもの理論値、さらに理論値と売却値のスプレッドである期待収益を正確に予想・実現できない以上、デリバティブ・デスクもその価格をわかってない。ですから、1.5%の収益を0.7%とうそぶくトレーダーを、セールス・顧客を騙して自分だけが儲けているという発言は、金融工学至上主義のように思えてしまうのです。まったく金融工学を理解していないトレーダーがそういう勘違い発言をするのは、よくあることなのですが、作り手である三田さんが金融工学・モデリングの不確実性を理解していないはずは無いので、三田さんはセンセーショナルな文章を書きたかったというのが本音なのでしょう。なので、そこの部分の乖離を今ここで「ツッコミ」とさせていただきました。
hanzawa-owada-iihanashi-01.jpg

デリバティブズトレーダーに求められる能力は
リスク管理能力 反対売買できないものを、いかに他の商品を使ってヘッジしていき、最小限のコストでリスクを落としていけるかという能力
バリュエーション能力 取引対象の価格算定能力。反対売買できるものならば、反対売買価格を参考にして決められるが、反対売買ができないものは、ヘッジポジションの構築に要するコストを積算していくことで価格算定していく。よってリスク管理能力と密接につながっている。ヘッジが不可能なものに対しては、価格の振れ幅を見込んで、最低の採算ラインはどのあたりかを見込むことも求められる。
トレーダーなのに、取引対象物の価格(例えば株価)が今後上がるか下がるか?ということにはほとんど関心が無い人が多いのです。ヘッジするのが行動の基礎となっているからです。例えば、彼の言い分はこうです。「株価が上がる確率と下がる確率は半分半分なので、デルタにベットしても有意に勝てません」と、オプション理論の教科書に書いてある通りの”株価はランダムに動く”という考えに基づいた返事が返ってきます。もちろん、自らリスクを取りにいって稼ぐデリバティブズトレーダーもいますが。顧客取引で楽に稼ぐことに慣れてしまったデリバティブズトレーダーは自力で稼げといっても無理なのです。他のトレーダーとは求められている能力が違うのです。顧客取引から受動的にのみ稼ぐことしか知らないデリバティブズトレーダーは、仕組債のフローが減ってしまった今では数少ない取引から搾り取れるだけ搾り取らないと生きていけないのかもしれません。セールスが汗を流して集めてきたディールの上澄み液を、デリバティブズトレーダーがチュ~チュ~吸い上げている音が今日も聞こえてきます。

> 顧客取引で楽に稼ぐことに慣れてしまったデリバティブズトレーダーは自力で稼げといっても無理なのです。
事実です。まったくの事実で否定しようもありません。
> 他のトレーダーとは求められている能力が違うのです。
“他 “というのは何を指しているのかわかりませんが、少なくともプロのトレーダー、金融機関で働いているトレーダーならば、取引対象が株でも為替でも債券でもデリバティブでも、対顧客取引、流動性を提供することで顧客から得られる対価が収益の源泉なのでは無いでしょうか(って三田さんご自身も株式トレーディングの章で書いていたような・・・)。もちろん顧客取引が一切無いプロップもありますが、ご予算的には小さいものだと思います。それから顧客から頂いたスプレッドを基に、リスクを取ってさらなる収益を追求する、ということはありますが、それはデリバティブデスクも同様に努力していることだと思います。自分で稼げる人ってのは、運良くw生き残っているネット・トレーダーと、自称・天才の私くらいではないですか?
> トレーダーなのに、取引対象物の価格(例えば株価)が今後上がるか下がるか?ということにはほとんど関心が無い人が多い
これはダメですが、
> デルタにベットしても有意に勝てません
これは批判に値しないと思います。デリバティブのトレーダーなのに、デルタの勝負に出る人は、隣のエクイティのトレーディングデスクに異動してください。もちろん、ガンマなのかデルタなのかよくわからない領域の範疇ならば、”株価変動要因”のリスクは取らなければなりませんが。ガンマもないのに、デルタ取ってたら、デリバティブのクセに何してんの? 越権行為です。デリバティブデスクにおいてデルタリスクを取るのは、そもそもデルタをどのように規定するかであるべきで、「なんか安いと思うから買う」という判断が許されるのは株の部隊です。

証券会社の「儲け」の構造
証券会社の「儲け」の構造 三田 哉

中央経済社 2013-04-06
売り上げランキング : 34302

Amazonで詳しく見る by G-Tools

【Valuation関連記事】
2012.11.01 アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 4/5 ~バミューダンのバリュエーション
2012.05.09|銀行の戦略転換 2/2 ~証券化に向けて
2011.05.30: 株メール Q11.PBRの計算 ~DRI Corp (TBUS)編
2010.06.09: 数学を使わないデリバティブ講座 ~Arbitrage Portfolio 
2009.12.28: よくある素人の資産運用=老後の心配
2009.11.03: Green shoe optionの評価
2009.09.29: Black-Scholesは間違っている
2009.08.25: 離婚した妻に渡した金を取り返そうと画策する金持ち男
2009.08.04: Barrier Option Pricing
2009.03.04: オタク適正テスト
2009.01.21: アナリストの前で言っちゃいけないこと









Read More »

三田氏を斬るステージ2 6/8~現物株でもありえる怪しい評価益

スワップ取引をブッキングした瞬間に真の評価益が出るから、インチキが周囲にすぐばれるはずだ、と思うでしょう。いやいや、デリバティブズの場合はごまかしが可能なのです。あげればキリがないほどありますが、その中の1例として2011年にある証券会社で評価損が1000億円以上発生してしまったデリバティブズのポジションが話題となりました。突如、1000億円以上の評価損が現れたのです。トレーダーが、自分の巨額損失ポジションを意図的に評価益が出るように操作していたことを、社内の誰も気づかなかったのです。これだけの規模のごまかしが可能なわけですから、ましてや、日々の小さいディールで、しかも、利益を過小評価、すなわち保守的に評価するのであれば、まぁ気づかれることは無いでしょう。

身内に厳しい三田さんのご意見に異論はありません。デリバティブズにそういう面があるのは事実です。デリバティブズであっても、先物や上場オプションにはAsk/Bidがありますので、評価値はその間になければなりません。非常に狭いAsk/Bidなので、そこを動かしても大して大きく損益をごまかすことはできません。また上場モノ以外でもOTCで取引されているものも同様ですが、Ask/Bidが広い場合は若干の裁量権が発生します。三田さんが言及しているのは対顧客で発生したエキゾチックデリバティブはこの世で顧客とカウンターパーティであるデリバティブ・デスクにしか存在しないので、価格を取るのと反対売買はほぼ不可能です。この場合、かなりアウトなボラティリティのレベル、相関係数などで評価を動かせます。一方、損失引当金(リザーブ)のポリシーや評価モデルの変更で天地がひっくり返ることもあります。

(さらに…)

Read More »

三田氏を斬るステージ2 5/8~神がかった営業力・スーパーセールス

第5章 トレーディングの現場
第1節 上澄み液を吸うデリバティブとレーダー
証券会社のセールスは、強欲で顧客をだます悪者のイメージが持たれています。しかし、社内には彼らを食い物にしている搾取者がいるのです。それはトレーダー、特にデリバティブズのトレーダーです。社内奥深く潜んでいる彼らは、顧客と接触する機会が無いので、彼等の行動が話題になることはまずありません。それゆえどういう人間達かはほとんど知られていないと思います。
デリバティブズトレードの収益源
仕組債ディールの主導者は販売会社であり、発行体やスワップカウンターパーティーはあくまでも従属者です。ですから、販売会社は発行体・スワップカウンターパーティーを選ぶ権限を持っています。顧客をつかんでいる人が最も偉いというわけです。しかし、しかしです。この世界では偉い人が金儲けできるとは限りません。
世の中にスワップカウンターパーティーが、もし1人しかいなかったらどうなるか?販売会社はこの人にお願いするしかありません。スワップカウンターパーティーは、自分に超有利な条件で発行体とスワップ契約を結ぶでしょう。いやいや、発行体が牽制機能を持っているから、そんな一方的に有利な条件でスワップ取引はできないはずだ…と思いますか?可能なのです。スワップ取引の条件はすべて仕組債に転嫁されるので、発行体はスワップ取引内容の影響を受けません。だから、発行体はスワップ取引の条件がフェアかどうかのチェックをする気など毛頭無いわけです。いやいやそのまえに販売会社がチェックするだろう、と期待するかもしれません。しかし、彼らには自力でチェックできるだけの能力・情報・経験が無い場合がほとんどです。ということで、スワップカウンターパーティーのうまみがここにあるわけです。
当然こんな状況であれば「スワップカウンターパーティーは大儲けできる。そんなおいしい商売を1人でやらせるわけには行かない」ということになり、「スワップカウンターパーティー候補に俺も入れてくれ」と、多くの業者が販売会社に群がってきます。そうなると、販売会社はスワップカウンターパーティーをコンペにかけて選ぶようになります。やっとこれで、販売会社がスワップ取引の条件をチェックできるようになります。
ここまでは、販売会社とスワップカウンターパーティーが別人として説明してきましたが、販売会社がスワップカウンターパーティーを兼ねることは禁じられていません。。むしろ同一会社であるほうが自然です。こうなるとスワップ取引のコンペをしなくなり、牽制機能が働かない状態になります。しかし、ほとんどの仕組債は複数業者が扱っているので、投資家からすると、とんでもない条件で取引させられる可能性は低いかもしれません。つまり、投資家には販売業者を選択する権利があります。ところが販売会社のセールスには自分の会社がスワップカウンターパーティーも兼ねていると、スワップカウンターパーティーの選択の自由がありません。ここで、セールスが搾取されるのです。

(さらに…)

Read More »

続・オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い、グリーク(リスク指標)の見方

プットを買いまくって、金利リスクがえらいことに
米国で得意の暴落待ちポジションを作る、Volatilityを買いながら、GammaはShort、Deltaは若干Longくらいのポジションが心地良いため、プット・カレンダースプレッドを中心にポジションをバシバシ重ねていくと、何が起こるだろうか?
ここから先は一般・アマチュアの人のために少し丁寧にいうと、まずこれを理解していないと無理なので、読んでいなければこっちをお先にどうぞ。
2011.09.01 %Gammaとは何か?
%Gammaがわかった上で、%Vegaやその他と合わせてみる見方については以下。
2014.07.07 オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い
↑に基本的なことは書いてあるのだが、その実戦編・続編としてこの記事があるので、早速、具体的な話に入ろう。

(さらに…)

Read More »

三田氏を斬るステージ2 4/8~大崎さん、巻き添え食らわしてごめんなさい

第4節 日本で流行するか、ライツイシュー
エクイティファイナンスの手法として、日本では公募増資が大半を占めており、第三者割当増資をたまに見かけるという感じです。その大半を占める公募増資に対して、既存株主の不満をよく耳にします。現実の世界で起きていることは、理論的背景はどうであれ、公募増資->株価下落、発行される新株の数が多いほど1株当たり利益の現象度合いが大きくなり、より株価も下落するのです。一方で、第三者割当増資でも同様に、足元でEPSの減少が起こるのですが、あまり株価下落が生じません。第三者割当増資だと、新旧株のアービトラージチャンスが無いから希薄化効果が潜在的に存在するものの、現出しにくい。新株を手に入れる新しい株主にとっては、どれだけ株価下落が生じたかはまったく関係ありません。むしろ、より下落したほど、安く買えるので嬉しいかもしれない。このように新規株主と既存株主との間で著しい不公平感が存在し、既存株主は無防備なのです。これが、不満のもとなのです。
不満を解消するライツイシュー
日本では公募増資が主流ですが、欧米では大規模増資の場合は、公募増資よりもライツイシューが選択されます。ライツイシューは、既存株主と新規株主の不公平感を減らすよう設計されており、その点では公募増資よりも優れていると考えられています。ライツイシューを一言で言うと、『既存株主の持ち分に応じて、新株予約権を株主全員に無償で割り当てる』ものです

さあ、俺はライツイシューを何と説明した??
2014.06.17 日本市場のライツイシューの歴史(2014年5月時点) 1/2 より
ライツイシューとは、増資に応じる権利の発行である。もう少し細かく表現すると、有償増資に応じる権利の無償発行である
うーん、俺の説明短くて良いと思うんだけど、三田さんがいま問題にしている、既存・新株主間の平等性を主軸に考えると、「株主全員に対する」という言葉が必要だね。

(さらに…)

Read More »

オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い

金融機関のマーケット・トレーディング部門で働く諸君らにとって、私のオプションの取引手法は、想像に難くないつまらないものだと思うが、個人投資家としてオプション取引をしている友人の取引手法と比較すると、プロ・アマ両諸君らにとって、面白いのではないかと思い、書いてみることにする。
ちなみにアマである私の友人らの手法が劣っていて、プロの見方・やり方が優れているということではなく、単純に違うということを言っている。ただし、後半では、中途半端にプロの真似ごとをしているアマは、見直すべきところがありますよ、と書いている。
まず、見ているものがまったく違う。優先順に書くと、
彼ら オプション・プレミアム -> 証拠金 -> 損益曲線 -> SQ値(清算値)
俺  Greeks -> Implied Volatility -> 損益曲線 -> 証拠金
面白いでしょう? まずプレミアム見てるのよ? でも収益=売値-買値なわけだから、彼らは基本に忠実なのね。
「証拠金どのくらい?」とか聞かれて、「証拠金率とかあんまり意識して無いです」というプロ発言w
彼らはなぜGreeksやIVを見ないのか? それは取引対象が
彼ら オプション・プレミアムが株価の1%以下の1Week程度の非常に短いオプション
俺  オプション・プレミアムが株価の10%~20%の1~3yearの長いオプション
1Weekのオプションとかやる? 1週間の相場観とかある? 満期まで3日のオプションをどっかんどっかん売ったり買ったりしているのです。損をしても得をしても、とても収益の説明責任を果たせそうにありませんね。ただ、あくまで個人投資家ですから、説明責任は無いし、こんな短いオプションでGreekとかIVとか意味不明ですよね。彼等の主たる注目ポイントはオプションの最大の特性であるTime DecayとGammaのみをかなり高い資金効率と時間効率で実践する手法です。

(さらに…)

Read More »

三田氏を斬るステージ2 1/8~信者が居るほどに偉大な三田氏

デリバティブ業界のことをまったく知らない人のために解説すると、三田氏はミタではなく、サンダと読みます。三田氏は日本のエクイティ・デリバティブ界の大御所です。ちなみに私は面識ないのですw それでも知ってるくらい大御所ってことね。三田氏は、知名度とか経歴だけではなく、おそらく、デリバティブのトレーディング部隊において、三田氏がデリバティブの不理解をツメられたりしたことはないでしょう。「三田君、わかってないね。」「三田君、間違ってるよ。」こういうセリフは、トレーディング・デスクには存在しない“はず”です。(あくまで推測ですけどね、でも誰もそのセリフ聞いたこと無いでしょう? まぁ三田氏本人は「いや、一度だけ言われたことがある」と反論があるかもしれませんが。)
プライスはさておき、バリュエーション、モデリング、金融工学の理論的な側面について、三田さんに楯突ける者はいない。少なくとも私の知人には一人もいない。「三田さんの信者・ファン」が多く、私は、三田さんの過去の遺産を廃するのに手を焼いたのでよくわかる。当の三田さんにとっては「そんな昔に作ったものをまだ使っているの? うん、いいかげん作り直したらどう?」と言うであろう。でも、まだ三田さんの遺産を使っている人が居るかもしれないw
「日本にいるのなら三田さんの本が出ているはずなので買ってきてほしい。ついでに読んで書評書いてくださいよ。」
「普段はお前のブログ読まないんだけど、三田さんを斬っているのは読んだよ。あれは面白かったね。」
これは三田さんにはとても自分では楯突けないプロのトレーダーたちが、私に代弁を期待しているのであるw 彼らは、「三田さんに対して、理論的な側面で異議を唱える」という現実的には見ることが難しいドラマを見たがっているのである。
これが「三田氏を斬る」シリーズの起源、ゆえに一般読者やフィックスドインカム系の諸君にはまったく面白く無い、エクイティ・デリバティブ業界の内輪ネタ・ギャグなのね。今回のネタ元は、「証券会社の儲けの構造」という三田氏が2012年11月に書き終え、2013年4月に出版された本なのだが、証券会社をご退職され、自由な立場でお書きになっているので、斬るのがかなり難しい内容となっている。基本、この本に書いてあることの解説・説明はしないので詳しく知りたい人は、三田さんの本でも買って勉強してくださいw

(さらに…)

Read More »

日本市場のライツイシューの歴史(2014年5月時点) 2/2

4.ライツイシュー発行後の株価の推移
日経新聞の記者如きにライツイシューの説明は無理なので、この私が、実際に計算方法を示そう。
結果的にどうなったかを確かめるために、発表日と行使最終日を比較してみよう。行使最終日なので、ライツの価格W(行使最終日)は既に存在しないわけだが、イントリンシックバリューをもって計算できる。
W(行使最終日)=N(行使最終日)-権利行使価格A となるので、
(N(行使最終日) + Max(N(行使最終日)-権利行使価格A),0)・Y/X) ÷ S(発表日) -1
を計算すると…、平均リターンが -21% となり、この数値の体感・印象が、ライツ乱発による希薄化という批判の温床である。
Rights-Issue-History.png
レカム+66%、タカラレーベン+24%と株価は上昇している銘柄が5銘柄あるので、-50%半額以下、半額近くになっている銘柄も多い。ここで全体情報の図を示そう。図の中の株価リターンが、上記で計算した数値である。ITM率とは、行使価格A÷発表日株価S、行使率は実際にライツが行使され、お金が払い込まれたライツの率。

(さらに…)

Read More »

日本市場のライツイシューの歴史(2014年5月時点) 1/2

ライツイシューとは、増資に応じる権利の発行である。もう少し細かく表現すると、有償増資に応じる権利の無償発行である。ついてこれるか?
日本市場では約25件ほどの実績がある。新株予約権系ファイナンスは、ライツイシュー、ワラント、転換社債の3種に分けて、トレースしているが、2010年タカラレーベンのライツイシューを皮切りにデビュー。その後はなりを潜めていたが、2013年に堂々復帰したので、ここで言及しておこう。
「これだけの情報や知識を公開してしまって良いのですか?」とよく聞かれるが、全然問題無い。ここで書く私の情報元は、無料で誰でも取れるものだから、情報元のありかを言及しよう。ぐぐればそんなものはすぐわかるはずなのだが、情報元のありかだけでなく、プレスリリースの見方まで公開しよう。
nyokeikazoku-ep08-B1530.jpg

(さらに…)

Read More »

第5次タイ攻略 後編 10/14~鬼の農協

リーラムのご家族の喫緊の課題はコーンの値段、政府(おそらく農協だが)買い取り価格が去年9THB/kgに対して、4.2THB/kgと下がっているのが深刻な問題のようだ。シカゴのコーンだと1ブッシェル660セントが420セント程度まで下がっているので、それと比較すると、随分と酷い下落となる。ただ1ブッシェルはコーンの場合は25.4kgのようなので単価が16-17セント/kg、つまり5THB/kgとかはするはずなので、大体、同じような価格変動はしている。昨日、リーラムの弟がトラクターから下ろしていた量が20-30袋だったということは、1袋30kgとして一日当たり1トン弱。一ヶ月収穫し続けて30トンだが、約10-20トンくらいを生産していると推定できる。仮にコーンの価格変動をCMEのコーンでヘッジしたとすると、先物1枚で13トン相当になるので、1枚売るだけで、リーラムのご家族、一農家の年間生産量になってしまっているため、万が一不作になると、ショートで踏み上げられてしまった時のリスクも高い。生産者としての利点があるから、私よりも優位に先物の売りができると説明したところでご家族の理解は得られないからここで書いておくが、こういうご家族が傘下に何家族かあるのなら、私がその生産のリスクをセントラライズした先物取引を実行することも可能であろうw
Hanzawa-ep10-3251.jpg

(さらに…)

Read More »

2013年の投資一族 勝つこと、勝ち続けること、それが一番大事

あけましておめでとうございます。数値が出揃ったところで2013年の世界の株式市場を振り返ってみます。年末にも少し触れたようにエマージングが壊滅、特にエマージング通貨がほとんどドルを下回り、ドルを上回った通貨は、EUR、CHF、CNY、GBP、KRWとなっています。円はインドネシアルピア並みに下落しています。日本居住の皆さん、いいですか? あなたの円建て資産は18%も下落しているのです。「円安で外貨預金が儲かった」などと言っている閉鎖的な見方をしている諸君はこのグラフをよく見て世界で何が起きているかを認識すべきです。アベノミクスなど起きていない。米国主導の世界景気に引っ張られているだけの結果であり、日本株はS&P500を下回っているのが現状なのである。
2013-World-Index-Perf.jpg

(さらに…)

Read More »

米国オプション市場で遊んでみた 2/2 ~市場特性

・激しいVolatility Term Structureと低ボラティリティ
S&P500 Index Optionsの世界では、Weekly Optionsが毎週上場されるため、1week、2weeks、3weeks、1MonthのVolatilityが恒常的に観測できる。さらに長いところでは2年まで、Put/Call、OTMからITMまでばっちりAsk/Bidが取れるほどのジャブジャブの流動性がある。そこで、1weekから2yearsまでのATM Mid Volatilityを観測することにしよう。
Sp500-Vol-TS.jpg
10%~18%という美しいコンタンゴを描いていることがお分かりいただけよう。最も短いものは、常に5営業日未満が提供されており、残り3営業日の状態だと、10%を割り込んで、6-8%程度にまでのImplied Volatilityで取引されている”効率的市場”である。この激しいIVのコンタンゴは、来るべきクライシスまで、保たれる傾向があるので、オプションの売り手は、短いオプションは激しく低いIVで取引されているので、1週間以下の超短期を売ることで、年率ベースで激しいプレミアムを得ることが難しいという理にかなった形状である。一方、普通の短期、1Month未満に関しては、ボラティリティが時間変動しないという想定の基で計算される単なる時間微分∂/∂tよりも大きいTime Decayを得られる。逆にTime Decayが小さい長いオプションを買ったとしても、時間に応じてIVがわずかながらに下がる効果と大きなVegaによって、予想以上のDecayを喰らいそうなカーブ形状なのである。
美しいコンタンゴと言いながらも、よく見ると、タームストラクチャー内で、単調増加でない”歪”が存在していそうに思えるが、全てが10セント幅(日経225の1円単位相当)で取引されるS&P500においては、その原因はTick幅やAsk/Bidの偏りではない。通常のオプション、毎月第3金曜日で満期を迎えるオプションは金曜の寄付の価格でセトルされるAM Settleである。一方で、WeeklysやQuarterlysなどは、週末の15:00、月末最終取引日の15:00でセトルされるPM Settleと丸・一営業日の取引時間分だけの差が存在する。それに加えて、私が取引している業者の満期日の表示方法のルール、AM Settleは満期日当日で表示されるが、PM Settleは土曜日満期、Quarterlysは翌月満期(例えば10月1日など)と表示されている。そして時間を連続的なNow()ではなく、「夜、エクセルを開いた瞬間に、セータが落ちましたw」という離散的なToday()で見ているため、PMとAMのセトルの違いを私の主観によって不適切な調整をしていることが最大の原因なのである。短いオプションは調整的に取引する立場である私は、そこの違いを細かく追求してはいないが、短期専門でGreeksが大好きな個人投資家諸君は、ここの違いは意識しないと怪我をすることになろう。

(さらに…)

Read More »

米国オプション市場で遊んでみた 1/2 ~実質的に狭いAsk/Bid

初めての米国市場のオプション取引なのだが、やはり実際にやってみないと、わからないこともあるので、それを書いてみようと思う。
私は扱い慣れたEuropean Cash SettleのS&P500 Index Options、Index Point×100倍(CBOE上場)を取引している。
http://www.cboe.com/Products/indexopts/spx_spec.aspx
Tick幅は10セント、オプション価格が3ドル以下はTickは5セントであるが、Market Makerが出している気配・スプレッドは、短い期間で1~5tick、数ヶ月ものだと10tick(約1ドル、対インデックスで7ベーシス)、1年もので2~3ドル、2年ものでも7~9ドル。
ちなみにもっと高い流動性があるAmericanのFutureによるPhysical SettleのE-Mini OptionsはIndex Point×50倍(CME上場w、取引所間競争もマジで激しいわ、これw)でTick幅は25セント、短いもの、アウトなものは1tickの25セント、長いものでもアウトならば、1~1.5ドルのスプレッドでEuropeanの約半分くらいのAsk/Bid Spreadで常時提示されているというイメージである。
http://www.cmegroup.com/trading/equity-index/us-index/e-mini-sandp500_contractSpecs_options.html
・実質的に狭いAsk/Bid
AmericanのE-Miniに比べると、多少ワイドなスプレッドに見えるEuropean Index Optionではあるが、見かけよりも実態はタイトに取引できる。
2013.07.24 誰が見てる? 長期のボラティリティ
で詳細は述べたが、Market Makerはヘッジの都合で、常時出している気配はそれほどタイトには出してこないが、真ん中ちょい高めで出せばほぼ買える(真ん中ちょい低めで出せばほぼ売れる)。
真ん中ちょいを、具体的な例で示すと、

(さらに…)

Read More »

S&P500のオプションも、はじめちゃいました

東証・大証併合、Listed Option的には、行使価格が125円刻みになってからしばらく経った時期から、中・長期(3ヶ月より長いくらい)のAsk/Bidが閑散としている。最も短い限月では取引高も増えているためか、Market Makerが最短限月に集中しているようで、中・長期が軽視されている。1M未満のGammaとTDが好きな個人投資家にはウケは大変良いようだ。
一方、私は長め(3ヶ月以上)のオプションを中心に組むので、新規のポジションはおろか、以前組んだポジションの時価評価すらできない状態にまで追い込まれている。日によっては、長いところは完全にAsk/Bidが無いようなことも起きており、時価とリスクが計上できず、マニュアルで適当なIVを入力している状態である。(尤も長いオプションは日々の変動にはあまり影響されないのではあるが、DailyのPLをつける際に、自分で作為的にIVを入れる行為に嫌悪感を覚える) この記事がアップされる頃には中長期のMarket Makerも復帰をしているかもしれないが、数週間、この閑散とした状態を見ていると、日本の上場デリバティブ市場に対しての失望感が抑えられなくなっている。
sekachu-ep7-041.jpg
先物miniとか行使価格125円刻みとかそういう細かいのどうでもいい!!

(さらに…)

Read More »

最適行使モデル主題による交響的変容 2/2 ~離散配当

1.離散配当
2.転換時期制限(これが無ければ全ての点で、行使価値と継続価値を比較するわけだが、一般に個別株のアメリカンオプションの新株予約権やストックオプションは、転換できない時期があるので、これも加えよう。)
3.キャッシュ・フロー(オプション自身期中に何かのキャッシュフローが発生することは普通は無いが、転換社債・債券型に拡張するために、期中、評価するデリバティブが生み出すキャッシュ・フローも評価できるようにする。)
4.セトルメントディレイ(行使してから株が来るまでの期間が0ではないことに対応)
これだけならバイノミアルでも対応できるのであるが・・・、パラメーターの期間構造やVolatility Skew、モデル・パラメーター的に、そこまで拘らないにしても、配当・転換時期・キャッシュフローなどというイベントに焦点を当てて、イベントごとに時間を区切ったり、現在に近いところを細かく刻んだり、という拡張性に向かない。バイノミアル・ツリーの本質は先ほども述べたように、u・d=1で、元に戻りながら進んでいくところが肝であり、そこが大きな制約条件となる。
期間構造、Skewや主観的な時間区切りなどへの拡張性を意識しているので、三項間確率漸化式、Trinomial Tree(トリノミアルツリー)を登場させよう。拡張性、つまりTreeの格子の大きさを変えることを意識しているので、ここでは有限差分法(Finite difference method)と呼ぶのが適切だろう

(さらに…)

Read More »

最適行使モデル主題による交響的変容 1/2 ~商品性と必要性

新株予約権、アメリカン・オプション、従業員ストック・オプションなど、最適行使モデルによるバリュエーションが必要なデリバティブ群であるが、これらを、ちょっと扱う可能性があったので、また職人VBA関数を作ってしまった。プレーンバニラ、いわゆるヨーロピアンのブラックショールズならば、グリークの計算からIVの逆算ロジックまで含めて2-3時間で完成、VBAのソースコードもプリントアウトしたら、A4用紙約1枚で収まる程度の長さである。それに比べると、解析的に解くのが難しいアメリカン・オプションの評価モデルは、簡易モデルとは言え、数日かかった。
ここまで時間をかけて対応しているこの私に対して、とある金利系の後輩が、「そんなん、わざわざ作る必要あるんですか? c=Cって書いてあるし。」と、”のたまった”。c=Cだけを見て、出展がわかる諸君は、日本には珍しいデリ・オタレベルにあると言えよう。答えはJohn Hull、配当の無い株式のアメリカンオプションの価格Cは、ヨーロピアンの価格cに等しい。 というような記述があるはずだ。この教科書通りの文言をもって、”金利系”デリバティブの人間が、「アメリカン・オプションなんて、ヨーロピアンだと思ってバリュエーションしておけば良いんじゃねーの?」的な主張をしているように聞こえたので、この場を借りて、徹底的に斬っていこう。
まず、John Hull自体も、当然ながら配当の”ある”株式のアメリカン・コール・オプションの価格>ヨーロピアン・コール・オプションの価格 とはっきり書いてある。これは既に、この金利系デリバティブの後輩に対しての説明記事を書いているのでこちらを参照して欲しい。

(さらに…)

Read More »

広報担当者必見、ストックオプションのプレスリリースのひな形を見直すべき

従業員の株式報酬型の新株予約権系、すなわちストックオプションのニュースは、ファイナンスが絡まないので素通りするのだが、気紛れで読んでみたら相当に突っ込みどころが満載だ。ショックなのは、怪しげなファイナンスを行っている”怪しげな企業”なら、資料の不備も人材不足なのだろうと思うのだが、不動産業界トップにある三井不動産のような大会社のプレスリリースでこのレベルなのである。
新株予約権の割当に関するお知らせ – 三井不動産
yamada-takayuki-byakuyakou-ep1.jpg
見てくれ・・・なんじゃこりゃ? でしょ? この原稿を書いているのが広報なのか経理なのか、はたまた弁護士・会計士・コンサル事務所にアウトソースしているのか、日本の会社事情に詳しくないwので知らないが。とにかく、デリバティブに関することになると、日本は全体的にかなりレベルが低いのが、新聞等メディア以外でも目立つ。ストックオプションはかなり広く多くの事業会社で取り入れられているので、広報担当者なり、新株予約権の原稿を書かされて困っているなら、俺に言ってくれれば、面倒でない限り、無料でアドバイスしてやるぞ。面倒とは何かというと、守秘義務契約の締結の必要性や、インサイダー情報にあたるかどうかだ。「プレスリリースを発行する前に全体的にチェックしてくれ。」とかいうお願いは、この観点から言うと”面倒”な話だ。
まずは理論的な部分から斬っていこう。

(さらに…)

Read More »

プロが書いたブログを斬る、証券業界人は今日は読んで笑って

面白いブログを見つけました 感情的にムッとしないでくださいね、私はファンですから。ちゃんと読み込んでいないと、ここまで書けないという内容になってます。素人ブログいじめてもしょうがないので、ちょっとピリッとした記事になっていますが、”プロ”として尊敬しているからです。
くらい書いておけばいいかな? じゃ、斬ってこうか~♪
著者であるアッシュ氏の主張に相違はありませんが、投資一族のブログの一部のオタク読者のために、細かく解説していこうと思います。アッシュ氏の師匠?にあたる九条氏のブログも同時に読み始めたのですが、九条氏は年の功か、バシッと軸がぶれない姿勢を貫いていらっしゃるので”つっこみどころ”はありませんし、いつも「あー、同じこと思ってました」という内容が多いです。一方のアッシュ氏はプレーンバニラのプロであることとその経験は十分に伝わってくるのですが時折、「ぉあ?大丈夫?」という迷言が目立ちますので、ここに列挙してみましょう。
Jotaro-Okuyasu-s.jpg
繰り返しますが、私はアッシュ氏が間違っていると言っているのではありませんよ。結果として間違ったことは言っていないのですが、「?」という感想を抱くことが多いと言っているのです。アッシュ氏のブログは毎日欠かさず読んでいるほどのファンなのですよ。スポットの定義すらもできていないのに必死にIVを計算している素人衆のブログには、つっこむ必要も無いとは思いますが、仮にもプロの香りがするアッシュ氏のブログならば、私が自ら斬っても問題ないでしょう。

(さらに…)

Read More »

誰が見てる? 長期のボラティリティ

読者さんよりコメントいただいたので、説明いたします。貴重なご質問ありがとうございました。

長期のVolatilityのトレーダブルな指数があると特にエキゾチックのヘッジや商品化に活用できる可能性もあるのかなと思うのですが、日本ではlistedの流動性がほとんどないので難しそうですよね。欧米などは長期のlistedでも流動性ありそうですが、VIXなども短期で長期が話題になることはあまりないように感じます。そもそも長期のVolatilityを知る、トレードするというニーズ自体があまりないものなのでしょうか。

> 長期のVolatilityを知る、トレードするというニーズ自体があまりない
そんなことはありません、ニーズはあります。エキゾチックのヘッジなどでw

(さらに…)

Read More »

ボラティリティ・インデックス、VIXとは何か?

既に書いたことだが、あまりにも誤った記述が氾濫しているボラティリティ・インデックスについて、再度、書こうと思う。
ボラティリティ・インデックス(以後VI)やVIの先物(Futures)の計算方法や清算方法を見れば明らかだが、ボラティリティ・インデックスとはオプション・バスケット(オプション・プレミアムの和)である
VIX Futures:S&P500の上場オプションの和でセトルされる。
日経ボラティリティ・インデックス先物:日経の上場オプションの和でセトルされる。
上場オプションの和とは、上場オプションプレミアムを加重平均で足すだけである。このオプション・プレミアムの加重平均は、幾何ブラウンを想定すると、分散(Variance)=標準偏差(Volatility)^2になる。細かい式はLog Contractをキーワードに検索すると得られるが、今回はArbitragerとHedger諸君が対象ではなく、Speculatorとしての市場参加者を想定しているため、あえて数式を省略しよう。Speculator諸君にとっては
ボラティリティ・インデックス=オプションプレミアムの加重平均=Volatility
という理解でかまわない。ただし、ここでいうVolatilityとはImplied Volatility(IV)を指す。このIVに関してもHistorical Volatility(HV)と比べて、割安・割高などという意味不明な記述が多いので、これも改めて書くが(既に書いているのだが)

(さらに…)

Read More »

新株予約権付社債のリパッケージとは(SONYソニー、2017年満期、転換価格957円)

新株予約権付社債=旧称・転換社債=英訳・Convertible(以降CB)ですが、CBの行使価格は2017年満期ソニーの新株予約権付社債の場合(以降はソニーの場合)、957円で株に転換できる社債ですから、株価が十分に上がった場合は、株と同じ経済効果になります。逆に株が下がった場合は行使できないので、単なる社債(ソニーの場合ゼロクーポン債なので、満期に元本が返ってくる割引債)と同じ経済効果なります。CBは一つの商品で、株(配当、貸し株)、オプション性(Volatility)、債券(金利、クレジット)など、全ての要素を持ったハイブリッド商品なのです。
投資主体によっては、CBのハイブリッド性を嫌い、オプション部分のみが欲しい(ヘッジファンド)、あるいは債券部分だけが欲しい(三井住友銀行)というニーズがあります。CBの債券部分は、株に転換できるという性質上、負債の中で最もエクイティに近い劣後部分となるので、通常のCredit Spreadよりも高くなる傾向があります。逆に言うと、オプション部分だけが欲しい投資主体は、これを標準的な(シニア債もしくは劣後債の)CDSでヘッジすることはできません。発行量があまりにも多い場合は、CB専用のCDS(CBのCreditを引き受けてくれるCDS)が出てくる場合もあります。
そうした複数の投資家と発行体のニーズを満たすためのリパッケージですが、
CB-Repack.jpg

(さらに…)

Read More »

初めてのオプション取引 2/2 ~天才が作るオプション・エクセル

ここで言及している計算方法は、いわゆる業界標準の計算方法とかなり異なる。しかし、“いわゆる業界標準の計算方法”とは、業界でも傍観者的にオプションを見ている人が多数派で、その傍観者標準と言えよう。何を言っているかというと、BBGや各証券会社などで計算されている”日経平均株価”を現値Sとして捉えているような計算方法のことを言っている! 傍観者的にオプションを眺めている連中は、せいぜい日経平均株価でも見ていて構わないが、実際のオプション市場、すなわち、Market MakerやArbitragerたちは、確実に、”日経平均株価”など見ていない。では実際のオプション市場はどのように形成されているのか? を知るために、下記を参考にしていただきたい。ほとんど職人技、いやもはや芸術の領域に近いだろうが。
1.先物価格とフォワードプライスの規定

(さらに…)

Read More »

Qualia Systems Inc. 2016 | All Rights Reserved. Theme by Flythemes