博打は人間性(癖)があらわれるとよく言うが、トレーディングも全く同じである。
2013.04.04 投資・投機・ギャンブルの違いを述べよ
より

投資とは、リスク・プレミアムを受ける行為、ギャンブルとは、リスク・プレミアムを払う行為。
投資とは、資産価格で認識する取引態度、投機とは、損益だけで認識する取引態度。

を念頭に置くと、トレーディングは投機であり、トレーディング(投機)と投資は若干違い、ギャンブルに近い。トレーディングの癖、タイミングによって結果が大きく異なるのは、Buy&Holdの”投資”とまったく違う点であろう。私の株取引は、Buy&Holdが原則だが、相場観でエクイティ比率(株比率)を変動させるので、純粋なBuy&Holdに比べるとトレーディング(投機)性を持った投資なのである。
2014.02.25 株のBuy&Hold戦略が持つGamma Long性
で詳しく述べているが、「相場観でエクイティ比率(株比率)を変動させる」と言ってもそれほど高級なものではなく、株の水準が下がったら株比率を上げ、水準が上がったら株比率を下げるという超単純なものである。言いかえれば、下がったら株を買い、上がったら株を売るという当たり前のことをしているだけなのである。


一方でGPIF見てよ。みんなが大好き、日本の株式市場の主人公のGPIFの株式の構成割合の推移!アベノミクスだかなんだか知らないけど、株が上がったところで株比率を上げてるでしょ? それはGPIFの運用担当者に責任ある? 株式市場が上がったら、世論に押されて株式組入比率を上げざるを得ないGPIFの運用担当者はどんな思いなのか? もし株式市場が下がったら、危険だから株比率下げろって言われること間違いなし。
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上がったら株を買い、下がったら株を売る。それが他人のカネを運用するプロの基本で、GPIFだろうが、ヘッジファンドだろうが、証券プロップだろうが、理由は多少違うけど結果として取る行動は全部同じ。彼らがどんなにうまくて優秀でもそれは全く関係無い金主側の都合で、下がったところでリスクアセットを減少させる=株を売らざるを得ないのである。これが私が純粋投資のBuy&Holdを基本に、株比率を変動させるというトレーディング性を持たせている理由であり、プロ・機関投資家(GPIFをはじめとするファンド)の下がったら株を売るという動きが収益の源泉なのである
株のプロ(市場関係者)として、収益の源泉は株式市場の存在に寄るモノでなければならない。つまり、バイサイドでよく聞く2つ、「銘柄選定眼に優れている」と「景気の良しあしの判断に優れている」は、自らの優位性を示す”論理的な理由”にならない。エキゾチックのデリバティブズ・トレーディングの収益の源泉は、対顧客取引全てに通じるが、セールスが連れてきた顧客が払うスプレッドw という低次元のものなので、これもまた個人投資家としては相手にしなくて良い。
2014.08.11 三田氏を斬るステージ2 7/8~理論値と期待収益に対する疑問
上記の記事でも述べているが、エキゾチック・デリバティブズのトレーダーが株式のトレーダーに比較して劣っているのではない。ただ、対顧客では無いプロップ部隊の場合、顧客基盤・セールスを使わない分、独立性が高いというのは事実である。マーケットメイクやアービトラージを基本軸に、わかりやすいスペキュレーション取引の例は、コバンザメ(指数組入れの先回り売買)やティック幅の変動点など、取引所の上場制度・売買制度が収益の源泉となっている。まさにプロの取引と言える。株式市場が存在することによる収益源泉で、逆に株式市場が存在しなければ、このような取引もまた存在しない。
証券プロップの弱点は、収益の源泉が上場制度・売買制度なので確度が高い取引だが、制度に依存しているので、制度変更で徹底的に封じられるという歴史がある。パッと思いつく限りで
指数組入(TOPIXの浮動株比率加重)、新株・旧株アーブ(レギュレーションM)、分割後吹き上がり(新株即発行)、ストップ高安(比例配分変更)、アローヘッド、J-Gate、TOPIX100の呼び値変更もしかりである。
このような制度変更で、収益が激減したり、取引機会そのものが消失してしまう繊細なトレーディングなので、彼らは自分たちの取引手法や収益源泉について言及したがらないのも無理は無い。一方、この私の収益源泉は、プロフェッショナル諸君が、株が下がると売ってくれることに起因している。だから私には、無知な個人投資家相手への風説の流布や、資金力に限りがある投資家に対する相場操縦という不法取引は必要ない。ファンド、証券プロップ、各々事情があるだろうが、彼らの共通する行動原理は、
時価評価とレバレッジ
である。時価評価は株式市場、レバレッジ(広義の意味で、負債だけでなく、他人のカネを預かる都合上、信用収縮で資金をひかれてしまうバイサイドも含む)は金融業界・市場関係職が存在する限り、消えることは無い必要悪なのである。取引所の売買制度や金商法も関係無いので、収益源泉を公言してもまったく揺らぐことは無い。ただし、確実性の薄いスペキュレーションであり、アービトラージを基軸とする証券プロップと比べると、収益源泉の論理性も薄いw という決定的な問題があるのだがなw
株式市場が無い世界を考えよう。信用収縮が起こり、債権者か株主が資金を引いて、倒産か清算に追い込まれる会社があるとしよう。株式市場があっても、このような倒産や清算、あるいはそれに一歩近づくための事業縮小があるならば株価は下がる。これは本質的な動きなので、この下げで儲けるためには”ダメな会社”を見抜く力が必要となる。ダメな会社を見抜く力≒良い会社を見抜く力でもあるので、「それができたら苦労は無いよ」ということで、本質的な動きで下げる会社は外す。
だが、株式市場が30%以上下落したら、GPIFは株比率を現在のまま保てるだろうか? 「株なんかに投資するから我々の年金資産が減った。もっとコンサバに運用しろ」と言われ、下がったところで売ってくれると俺は信じてるw GPIFだけではない、金融機関もファンドも売ってくれる。バリュエーションもクソもない、これ以上の損失を食い止める強制終了という形でな。株式市場と時価がなければこんなことは起こらない。時価評価に縛られていない個人投資家は現金で買う限り底値で売ってこない。だがショックで株式市場を見なくなるw 時価評価に縛られていない強い立場にいて、2008年に株を買ったのは、財務省とバフェットとこの俺だww
【投資方針】
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2010.09.08: 株メール Q6.株価を買わず会社を買う
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2009.12.28: よくある素人の資産運用=老後の心配 
2009.05.14: 2009年度予算案 
2009.04.15: 貯蓄率にみる人々の自信度合い 
2008.10.17: 最近数ヶ月の投資総括 
2008.07.04: 投資人生の必要条件
2008.05.14: 自分自身の財務諸表