国際法については古くから法ではないとする法的性質否定説があり、プーフェンドルフ、オースチン、ラッソン、ツォルンといった人達が知られているが、今日でもそのように主張する人は決して少なくない。彼等の主張はおおむね「法は違反者に対して権力による効果的な罰則が加えられなければならないが、国際法にはそのような上位の権力も効果的な制裁も存在しない、国際法は特に力のある大国によってしばしば無視され、違反状態は放置される。」というものである。国際法学者の反論は「国内法であっても独裁制のもとなどで、権力者は法を無視し、それに対して強制力が加えられない場合があるから、法的性質を否定するのはおかしい」という主張もある。