国家エネルギー委員会は、国際レベルで、エネルギー供給確保、地球環境問題への対応・調整に取り組もうとしている。さらに外交部、国家安全部、軍の主要責任者を委員とする目的は、海外からの石油・天然ガスなどエネルギー輸送のシーレーンおよび南シナ海、東シナ海あるいは海外において、エネルギー生産・輸入などをめぐって紛争が生じた際、速やかに対応するためであると考えられる。周風起中国エネルギー協会副会長によれば、「エネルギー問題はいつも国際紛争を誘発します。中国の海外でのエネルギーの利益は最高の基準の保証を得なければならず、常に政府の間で簡単に交渉して解決する問題ではありません。必要な時、軍隊は介入し、特に海軍は介入する。もし私たちが砕氷船をもって他の国の軍艦と対抗するならば、明らかに劣勢なのです。」 また、中国石油経済委員会の汪国良主任が、「世界で数多くの国がエネルギー安全保障を強化する中、日本はなぜ政府系の『石油公団』(04年、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構に改組)の組織・機能を縮小し、他の組織と合併しようとするのですか?」
中国政府と石油企業は過去の人海戦術の開発の政策を転換し、今は積極的にメジャー等の外国企業の投資を受け入れ、探鉱・開発技術および管理方法等を取り入れることで、現在の原油生産水準をできる限り維持し、新規油田を発見することを目指している。
外資導入による開発政策 80年代に入って以来、中国政府は石油生産の水準を維持・発展させるため、既存油田の老朽化に備え、沖合い大陸棚の探鉱・開発政策を実施し、82~92年の間に3回の海洋鉱区国際入札を行って、外資導入による海洋石油開発政策を推進した。その結果、渤海南部および西部の日本の開発協力、どう中部でのElf(米国、のちにトタルに買収された)、北部湾(海南島の北西、トンキン湾)でのトタル、鴬歌海(同島の南西海域)でのARCO(米国)の協力などが限定的ながら実現した。
中国の三大石油メジャー
98年以来、政府主導の大幅な統合・再編は何のために行われたか? 第1に、国営企業の効率化推進によって、中国の支柱産業とも言うべき石油産業の成長と収益安定化、石油・エネルギーの安全保障を図ること、第2に複数企業による競争体制を確立し、市場原理・メカニズムを導入して石油産業の活性化を促進すること、第3に国際メジャーのような総合的石油企業を創設し、国際競争力を高めることである。従来、上流・下流部門をそれぞれ統括していたCNPCとSinopec2社が、上流下流事業を垂直的に統合し、競い合う2代企業体制に編成された。
CNPCをはじめとする3社はIPOを通じて、総計80億ドルを越す大量の資金を調達した。そのほとんどはメジャーによる大規模出資である。
Petro Chinaは北部と西部などの地域の油田の探鉱・開発を担当し、Sinopec Corpは主に東部、中部地域などの油田の探鉱・開発を担当している。一方Cnoocは海域の石油・ガスの探鉱開発を担当させている。
輸入先と輸入ルートの多様化
90年代後半以後、アフリカのアンゴラ、中東のオマーン、イラン、欧州のノルウェー、アジアのベトナムなどの国・地域からの原油輸入を拡大し、石油供給地域は過去に比べてかなり分散化された。にもかかわらず依然として、かなりの度合いで中東原油に依存している。その背景には急速に増大する原油不足をまかなう輸出余力があるのは主に中東地域であること、そして原油輸入の多いSinopecが競争力強化のための脱硫設備導入・改造などに伴い比較的低いコストの中東原油に転換したこと、などがある。09年、輸入量が1000万トン以上に達した国は6カ国(サウジアラビア4186万トン、アンゴラ3217万トン、イラン2315万トン、ロシア1530万トン、スーダン1219万トン、オマーン1164万トン)でその合計で1億3631万トンと、輸入全体の67%を占めている。
> ちなみに日本は2億トンで中東が87%程度。87%がマラッカ海峡を通っているのだが、ホルムズ海峡もイラン分を除けば通っているので80%は近いであろう。それに対する問題意識は? 原発停止とはエネルギー問題、エネルギー・アメリカ一極支配に対抗する気は無いということだ。
中国が輸入する石油はほとんど船舶で輸送し、ほんの一部、1割ぐらいをカザフスタン-新疆のパイプラインおよび鉄道で輸入している。輸入量の増加と輸入先の多様化に伴い、輸入ルートもマラッカ海峡経由を主とした多ルート化が検討されている。中国の石油輸入ルートは南・北・西の3つ方角が形成され、海運、陸上のパイプラインを含む四大輸送ルートが計画・利用されている。すなわち、①マラッカ海峡ルート、②マラッカ海峡ルートを通らず、ミャンマーを経由(パイプラインを敷設)する中国西南地区へのルート、③ロシア極東のイルクーツクから中国東北部の満州里に接続し、既存の大慶油田の輸送パイプラインと連結し、東北をはじめとする地域へ輸送するルート、④中央アジアのカザフスタンから新疆ウイグル自治区さらに中国内地へのパイプラインの輸送ルート、である。
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