昨今、同社が発行したCB。
CBの表面金利1%がCDSに対して低すぎるという感想を抱いている投資家が多いと聞いています。
私の親のところにも勧誘があったらしいが、親「株で良いんじゃねぇの?」の一言で電話を切ったらしい・・・。
毎日読んでる会計士先生のブログで、
CBの金利部分について、チョコッとだけ触れられていましたが、当ブログではもう少し触れましょう。
日本でのCB Financeは二重苦を背負っています。
1)投資家がCall Optionの価値を理解しない。
投資家が無知だと言っているのではありません。
日本人(ひいてはアジア全般に言えますが)の、Protectionを買うのが嫌いという、投資性向のことを言っています。
「株で良いんじゃねぇの?」発言の根源にあるのが、この発想「オプション料を払うくらいなら株をダイレクトに買うわ」です。
2)投資家に、CB > Warrant+Bond であることが理解されていない。
これは、残念ながら、無知によるものです。
CBの価値について言及する時にあたかもCB=Warrant+Bondであるかのように想定し、高い安いを論じている
記事などが散見されます。
CBは、オプションと債券がくっついていること、株価が上がったら転換して株になるというところが重要です。
具体的な例をもって計算してみましょう。
CBもワラントも25%上の行使価格としましょう。
両者に相違が出るのは、株上昇時ですので、株が2倍(発行当初100としたら200)のケースで考えましょう。
CBは、即座に行使しTime Valueを無視した場合でも、200の株を125で手に入れることができるわけ
ですから、200/125=160円以上です。
一方、Warrantは、元本部分100円を除いた、上昇分だけになりますから160-100で60円
元本部分(Bond)は、相変わらずCredit(10%としましょうか)が乗っていて、100円を金利とCredit
で割り引いた価値
で、残存5年としたら50円弱です。Warrant+Bond=110円にしかなりません。
まとめると
CBは株価上昇時には、Credit Riskがなくなり、株になる。
一方、Warrant+Bondは、株の上昇・下降にかかわらず、Credit Riskが存在し続ける。
であるから、株価上昇確率だけ、Credit Riskの「効き」が弱くなり、CBの価値は高くなって当然です。
現在のようにCredit Spreadが大きい相場環境では、両者の違いもまた大きくなります。
先ほど具体例で計算した50円の差が、株価の推移確率加重で効いてくると想像できると思います。
投資家のことを考えて、1%のナケナシのCouponつけるくらいなら分離してファイナンスすれば良いと思うのですが。
できない理由は、またも被差別対象のデリバティブ税制かな?