当時の戦争ときたら、天候の都合で春から秋にかけて行われるのが普通なのだが、そのような仕事に絶好な季節に、「市民」たちを戦場に駆り出すわけには行かない。ならば戦争などしなければよいとなるが、20世紀の今日に至るまで、非合理的だからという理由で戦争回避に成功したためしは無い。それで仕事に絶好な季節に、仕事に絶好な年頃の男達を戦争に借り出して経済の疲弊をまねくより、彼らには仕事に専念してもらって、その仕事からあがる利益の一部を徴収し、それでもって傭った戦争専門屋に、そちらのほうは任せるということにしたのだった。この制度の普及のおかげで、イタリアの戦争と言えば、傭兵同士が戦うものになったのである。海軍は自国の人間で固めたヴェネツィア共和国でさえも、陸軍は、イタリアでは支配的だったこの制度を受け入れている。
わが友マキアヴェッリ 4/6 ~傭兵ではない自国の軍隊の必要性
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