本書は、君主論ではなく、マキアヴェッリそのものの人生を追っている。塩野七生氏によるイタリア・フィレンツェの表現がオタクっぽくて面白い。
当時は、国家が都市を作るのではなく、都市が国家をつくる時代であった。都市国家とは、フィジカルな現象を表現するだけの、名称ではない。イタリアがルネサンス運動の発祥の地になりえたのは、国家が都市を作るのではなく、都市が国家を作るというこのことに、古代以来、はじめて目覚めたからである。そして、フィレンツェ人はヴェネツィア人と並んで、この意味での都市を作り出した民族なのであった。海の都といわれたヴェネツィアも、花の都とたたえられたフィレンツェも、いずれも、「はじめに都市ありき」で共通している。都市が先に生まれ、国家はその都市の持つ性格の延長線上に、自然な勢いのままにつくられたのである。マキアヴェッリはこの「都市」で、生まれ育ち死ぬ。生粋の都会人として生をうけ、生をまっとうする。
マキアヴェッリの山荘への道から、アッピア街道、レスピーギ「ローマの松」の傘松、キャンティ・クラシコ(ワイン)、サンタ・マリア・デル・フィオーレ。七生ちゃん、語る語るw 一緒にイタリアを歩いて、彼女より楽しい日本人は居ないだろうね。オタクって男が多いけど、女でもいるという証拠だな。