ナゴヤの真ん中にあるFormosa Hotelにチェックインして荷物を置き、Formosaからほど近いショッピングモールNagoya Hillに向かった。
2013.05.21 バタム・ナゴヤ 2/3 ~攻略難易度高めのバタム
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前回泊ったPacific Place HotelからNagoyaへの道のりが地図上に載っているが、その雰囲気に比べると、「意外にバタムは発展してるじゃん。綺麗?」と連呼してしまうほどだ。綺麗と言っても、オーチャードのIonを想像してはいけない。あくまでもジャカルタ、Blok MのPlaza Blok M(綺麗なショッピングモール)とBlok M Square(古い・汚いショッピングモール)の中間くらい程度のクオリティ。モール内、コーヒーは一杯20,000IDR、フードコートの食事は30,000~50,000程度なので、KFCは2ピースチキンミール(添え物はライス)は45,000IDR程度と激安ではないが、シンガポールよりは若干安い印象だ。スーパーで売られているコカコーラは1.5リットルで10,000IDR程度とかなりお安い。
民が生きていくための最低限のお食事という観点では、バタム、ジャカルタ、シンガポール、バンコク、上海、どこであっても大して変わらない。土地代の高いシンガポールであっても、ホーカーセンターは、シンガポールの高度経済成長についていけないシンガポール国民のために用意された雇用創生の場でもあり、シンガポール国民特権、すなわち、シンガポール国民がホーカーの枠、テナント料を格安で得られる権利があるゆえに、シンガポールのどこでも3~5SGDで、一食を提供できるのである。最低限の食事はどの国でも似たような価格で得ることができるが、ちょっとした贅沢な要求、高付加価値商品に対する要求、これがどのように価格付けされるかで物価の差がつく。シンガポールや東京は、高付加価値商品が割安に手に入れられることを示す、バタムの事例を順次示していこう。


夜、ハルモニホテル(ナゴヤ南部のハルモニスイーツとは違う)をのぞいてみました。ホテルの2Fに二つの日本食屋があり、くりの屋は有名なようですが、既に閉店しています。隣に同じく焼肉屋があり、同行者の機転で「日本人らしき客が一人で飲んでいるから話しかけてバタム住民としての情報を聞き出そう」ということになりました。バタム在住10年の日本人のおじさんで、「10年ですか、大変ですね」と私が言ったら、「何が大変?シンガポールはなんでも高いから大変でしょ?」と返されてしまいました。10年でバタムがどれほど発展したか、昔は車はボロボロ、床が抜けて道路が見えてしまうような車も平気で走っていましたが、最近ではブルーバードタクシーなども運ばれてきており、確かにボロイ車など見かけることはありません。今では日本食屋も複数あるなど、大分充実してきているようです。ただし、奥さんや子供を連れてバタムに駐在している日本人は皆無に等しく、教育・美容関係のインフラもまた充実していない様子がうかがい知れる。
この店はシンガポールの焼肉のあおちゃんと仕入れは同じで、お薦めはホルモンでしたが、頼んだら「無い」と言われてしまいました。
これとても重要な一文です。外食の顧客が払う価格を100としたら、30食材+30人件費+30地代+10儲けとざっくり仮定しましょう。シンガポール100とするとバタムでは35食材(シンガポールからキャリー分がのる)+25人件費(シンガポールでもシンガポール人を使っている飲食店は無い)+10地代+7儲け(売上の1割想定とすると)、結局、77となり、若干安い程度です。土地代や人件費がシンガポールに比べて圧倒的に安いとしても、最終的な価格には、その差ほどは反映されない方程式と言えましょう。
一方で、このおじさんのように観光客としてシンガポールに来た場合、シンガポールがどのように見えるのか考えてみましょう。まずホテル代です。シンガポールで100SGD以下で泊れるホテルは81クラスしかなく、バタムの約2~3倍です。また煙草はマルボロ一箱18,000IDRのバタムに対してシンガポールは13SGDなので約10倍。ちなみに2015年3月時点でバタムのサンポルナマイルドメンソールは16,000IDRであるが、2年前の前回、2013年5月では13,800IDRであった。実に16%もの値上がり、年率8%のインフレだ。しかしシンガポールドル慣性系から眺めると、現在の交換レートがSGDIDR9440に対して2年前は7800だったので21%の安くなっていることを考えると、この2年で煙草は5%の値下がりしているように見えるのである。
シンガポール住民はシンガポールのホテル代を考えないので、バタムとシンガポールの物価の差に対する意識が異なるのだが、日本食のような高付加価値外食の価格は、ホテルや煙草ほどの差は無く、10~20%程度しか違わないのである。我々は結局カルビとハラミを頼んだ。重要なので繰り返すが、日本風の焼肉などの高付加価値商品は結局シンガポール経由で入ってくるため、シンガポールからバタムへのキャリーが乗るので、原価は逆に上がってしまい、それほど安くならない。おじさんは飲食店の客だが、後に出会うことになる飲食店サイドの観点からみると厳しい事情がある。またおじさんが薦めてくれたホルモンはメニューにあっても実際は出てこない。客が少ないので、在庫のリスクが高く、メニュー通りの提供、焼肉の種類の充実も難しいのである。ホテルの焼肉屋だが、客は我々二組しかおらず、夜になれば満席になるシンガポールのあおちゃんと客の回転率・売上総額も違いすぎる。ほとんどがら空きのテナント料も価格に転嫁せざるを得ないわけで、地代は1/3でも回転率が違いが効いてしまう。
ただ、バタム住民がシンガポールで遊ぶのはホテル代が直撃してしまうので難しいが、シンガポール住民がバタムで遊ぶのは容易である。まずはホテル代が安いこと、それからシンガポールドル中立測度で見れば、インドネシアのインフレもカバーできる。さらにジャカルタと同様、イスラームの影響で酒の入手が難しいので、店が酒の持ち込みに寛容である。この店も酒の持ち込みはフリーである。よって、バタムへ向かうシンガポールのフェリーターミナル内で酒を買って持ち込めば、タックスフリー・小売価格(飲食店価格ではない)で酒が飲めることになることになり、日本食+酒で考えればシンガポールの約半額で楽しむことができる。
シンガポールでは酒は不当に高く、食事に対する酒代はほぼ等価なので、シンガポールのお食事代が100とするならば、酒を含めると支払総額は200となる。バタムはお食事が80、酒はタックスフリー+小売価格なら店舗価格100に対して20~25くらいで入手可能で、100~105となり、半額が実現する。酒を飲みながら食事する人は、酒の持ち込みは必須であり、我々は言わずもがなウイスキーを1ボトル持ち込んでいる。
外人バーエリアへ。前回と同じなので、場所や価格イメージの詳細は上記のリンクで確認して欲しい。英語が通じ、比較的攻略がしやすい所です。非常に狭い領域で、バーが20軒ほど連なっています。ウイスキーはグラスで50,000IDRとリーズナブルです。一杯飲んでからビリヤードでもやるかと、ダラダラして居たら…、「日本人ですか?」と声をかけられました。
日系企業の工場で働く、おじさんと若い衆、それと飲食店をマネージしている女性の3人組です。「工場で何を作っているのか、バタムで作る優位性はあるのか?」などの質問をしながら話したのだが、内容は後でまとめる。若い衆や女性がバタムに居ることは意外だが、若い衆は少ないが居ないことは無い。今のご時世だと日本企業も20代で海外に出すのは珍しいことではないようだ。「バタムに日本人女性は居るの?」と聞くと、飲食店の女性曰く「私が知っているのは3人だけです」という。そりゃそうだよな…、日本人が200人前後と聞いているが、20人も居ないことだろう。そして若い衆に「女性関係、彼女とか問題ないの?」と問うと、「相手が日本人であって欲しいとかこだわりは無い」とはっきり。うんうん、そういう人じゃないと派遣されないよねw
女性単身でバタムに突入とは、なかなかなフロンティア精神。しかし、彼ら3人と飲んでいてとても好印象だったのは、誰一人、バタムの不満を言わないことだった。文句を言おうと思えば無限に出てくる環境であるはずだが、さきほど焼肉屋で会ったおじさんも、一切の文句を言わなかった。「住めば都」の面もあるだろうが、バタムくらいのエマージング状態の都市だと、「日本と違って当たり前」という覚悟ができているのだろうか。シンガポールや香港、あるいはニューヨークやロンドンで「日本との違い」を不満としてブツブツぼやいている駐在員諸君は、彼らの爪の垢でも煎じて飲みたまえ。
二次会の外人バーでジンのボトルを入れて飲んだが、会計を見ると、150,000IDR程度。安い…。変だと思って調べてみたら、バタムは特別な地域なので酒税が免税、もしくは極端に低く抑えられているようだ。ただイスラームなので、小売店で買うにしても種類を期待しない方が良いだろう。ハラミとカルビは出てきてもホルモンは出てこないように、シーバスとJWブラックラベルは置いてあっても、山崎は置いてないことは間違いない。
女性が同伴だったせいか、バーの女の子たちも一切、レディースドリンクを要求してこなかったことも大きい。前に座っていた中華系インドネシア女性に至っては「いや、私、お店の人じゃなくて客だよ。日系企業でアカウンタントやってる」と言っており、楽しければ商売は二の次という東南アジア気質あふれる雰囲気でした。
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