定時株主総会の基準日までにニッポン放送株の過半数を取ることができた。その間たくさんの人たちが「和解の仲介をする」と申し出てきた。基本的に断っていたのだが、「日興コーディアルグループ」はライブドアの主幹事証券会社でもあり、有村純一社長の仲介は断りづらく、何度も話をさせていただいた。皮肉なことに、有村さんもその仲介を実質的に仕切る形になった「日興プリンシパルインベストメンツ」の社長も後に日興粉飾疑惑で辞任することになった。対するフジテレビ側についたのは「大和証券SMBC」と後に述べる「ホワイトナイト」北尾吉孝氏率いる「ソフトバンクインベストメントホールディングス」なのだが日興や村上ファンドなど、フジテレビと敵対した勢力だけが検察やSESC(証券取引等監視委員会)にコテンパンにやられているというのは偶然の産物なのだろうか。釈然としないことが世の中には多い。
私はフジサンケイグループにおける産経新聞の役割を過小評価しすぎていたため、結局、仲介者のオファーを無視してしまった。産経新聞はフジテレビから広告名目で大量の財務支援をしてもらっているくらい経営基盤が脆弱である。私の業界で言えば、頭が上がらない存在だ。そのことが常時頭の中にあった。とはいえ産経新聞は”新聞社”だ。古い世代の中には未だにテレビよりも新聞社の方が格上というヒエラルキーを信奉している人もいる。私を頭ごなしに批判するような社説を展開したことを見ても、新聞は未だに権威と影響力を持つメディアだと言える。さすがに100年以上の歴史を持つメディアだ。その現実にもっとナーバスになるべきだった。もしもあの時、私が仲介者のオファーを断っていなかったら・・・。私の置かれている立場はどう変わっただろうか?

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