インドネシアのエコカー「ローコスト・グリーンカー(LCGC)」政策
燃費の良い小型車で、環境対策というのは建前で、インドネシアの自動車ロビイストの目論見は減税である。インドネシア自動車業界としては、安い車を作って、現在、自動車を買えない層への普及を狙っている。自動車の質を下げれば(色々と手を抜くことで)、販売価格を下げることができるが、街中で中国製・インド製の車はほとんど見かけないことから、インドネシアの民の車に対する要求は、もはや走れば何でも良いというレベルを超えている。また日産が出した「Evalia」も売れ行きが今ひとつだそうだが、売れない理由は「後部座席の窓が開かない」ということにあるらしい。後部座席の窓を開かなくするというかなり小さな質の低下の分だけ値段が下がる。この積み上げで価格の安い自動車を生産することはできるのだが、インドネシアの民の触手は動かないのである。
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こうした実績から、インドネシア経済に強烈なインパクトを持っている自動車業界のロビイストたちは、減税による低価格化を望んだのである。


自動車の販売税だけでなく、部品輸入の関税なども含めた総合的な優遇税制政策のようだが、これがなかなか実行されず自動車業界は困っている。推測であるが、燃費が良くなることで、ガソリンの消費が減ると予想し、今度はオイル・ロビイストが怒り出したという複雑なシナリオではなく、政府自身が税収が減ることを危惧してなかなか踏み切れないだけであろう。法の施行に合わせて生産ラインを用意してきたインドネシア自動車業界は、インドネシア政府のこの気まぐれな政策に振り回されて当惑している。このようにエマージング諸国でありがちな、不安定な政治要因は(税制だけでなくビザの有効期限を急に変え、一時的に退国しなければならなくなるなど、通常業務に支障をきたす政策もある)、せっかく来てくれた外国企業(インドネシアから見た)に不安材料を与え、経済成長の足枷になることは間違いない。政府自身が近視眼的に税収減を気にしていること、それから、民主化傾向=民に権利を認める=民の利己的な主張が、利益相反を生み出し、機動的な全体最適の政策決定を阻害している。
激しい増産に対応できていない国家組織がある。税関である。インドネシアは自動車部品の自給率が低いので、国内での増産は部品の輸入増を招く。倍増する輸入品に対して、税関職員の数は同じなので、輸入品が港で止まってしまっている現状がある。法制度、税制度、高速道路開発・鉄道開発(地上げ問題)だけでなく、挙げるときりがなく出てくる、インドネシアの国家としての弱点の一つである。日本政府としては、このような在インドネシア日本企業の問題点を集約し、ODAという切り札を使いながら、インドネシア政府の背中を押す、官民一体の体制が欲しいところだ。国がODAでカネを出し、公共事業と雇用創出でインドネシアの民に一度はカネがばら撒かれるが、結局、民は消費するので、インドネシアの民を導管として、日本民間企業が事業でカネを回収し、所得収支の黒字という数値をもって日本政府に還元されるのが理想的なサイクルだ。
作られた言葉 インドネシア語
1945年からインドネシアで公用語指定されているインドネシア語は、従来ジャワ島で話されていた言語より、驚くべきことにマレー語と類似している。タイ50万万平方キロメートル、マレーシア30万平方キロメートルと、両国合わせてもわずか80万平方キロメートルの領域で、あれだけ強烈に言語が違う中、200万平方キロメートルという広大な国土面積を持つインドネシア全国民が、同じ言語で話していたはずももなく、公用語指定というのがどれだけ無理があるかお分かりいただけよう。大国が持つ悩み、アメリカや中国も、言語と民族問題が共通して存在するわけであるが、中国は漢の時代から2000年かけて文字だけは統一している。北京語なる言葉を公用語指定しているが、全く異なる言語と民族が存在する。アメリカも英語で統一して200年と少しだが、人種差別、エスニックグループが存在し、各エスニックグループは母国語で話しているはずである。これに比べるとインドネシア語の統一の歴史はわずかに70年で、まだまだ多くの軋みが存在することが想像できよう。
言語と民族はほぼ同じと見なしてよいが、インドネシア人を細かく記述するとジャワ島内の二大勢力、西のジャワ人と東のスンダ人に大別できる。島が違えばこれまた民族と言語が異なり、リゾートとしても有名なバリもまた、独立した民族と文化が存在する。たまたま発見したWeb Siteに詳しく書かれていたので紹介すると

☆ Thankyou - your wellcome ありがとう:どういたしまして
Indonesia Terimakasih - sama sama  トゥリマカシ - サマサマ
Jawa       Maturnuwun - sami sami  マトゥルヌフン - サミサミ
Sunda      Haturnuhun - sawang surna  ハトゥルヌフン - サワンスルナ
Bali       Matursuksma - sami sami  マトゥルサクスマ - サミサミ

このようにインドネシアの中心地、ジャワ島のマジョリティであるジャワとスンダ民族のどちらかの言語に寄せるのではなく、両民族間に劣等意識や優遇措置の前例を作らないために、マレー語に寄せたのである。ジャワ語に統一し、ジャワ島を二分するスンダ族が一斉に反旗を翻せば、警察はおろか軍をもってしても抑えられない人数に膨れ上がり、スンダが独立してしまう恐れがある。独立運動が各島に飛び火したら、インドネシアは瞬時に崩壊し、各地で独立国家ができてしまうだろう。
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