三和銀行 プロジェクト開発室
行内でプロ開と呼ばれ、不動産開発から政界工作にいたるまでこなす。渡辺頭取の直轄部隊でした。プロ開発長の清水美博はバブル期、夕刊紙にミスター三和と紹介された銀行界の有名人でした。バブル当時、プロジェクト開発室の取引先として有名になった企業が、ナショナルリースである。ナショナルリースは松下電器産業が設立した100%子会社のノンバンクだった。松下グループとの取引については当時、住友銀行の牙城であり、なかなか三和が食い込めなかったという。「ただし松下グループには金融ノウハウがない。設立されたばかりのナショナルリースは、住友を切り崩す狙い目でした。リース会社は、ノンバンクなので、預金者がなく資金集めが難しい。そこで三和がナショナルリースの資金元となった。そうしておいて、プロ開で融資先を紹介していったのです。おかげで、設立されたばかりのナショナルリースに短期間で融資を延ばせた。あっという間に融資残高が800億円に達し、評判になりました。」
清水が率いたプロジェクト開発室は、三和銀行にとってリスクの伴いがちな新規事業に切り込む部隊となる。銀行の別働隊だ。この清水が、小西邦彦の経営するキタ新地のサウナをテナントビルにしようと目をつけたのである。「プロ開にはプロ開の目論見がありました。こうした不可解な不動産開発の際、一枚噛ませていたのが、ライトプランニングという地上げ業者です。サウナあすかの時も同じ。ライト社が仲介業者として登場し、そこに利益を落とす仕組みです。そうしてライトプランニングは、三和銀行の中でも得体の知れない取引先として知られていきました。まさにブラックボックスの会社です。」