一族家では、相続・贈与税がらみのネタが夜な夜な真剣に議論されていた。
一般家庭では、このような話題を口にすると、親御様が
「自分が死ぬことを想定して、生前贈与なんて言語道断。わしゃピンピンしとる!
貴様に残す金など一銭も無いわー!このボケッ!」
と怒られることもあるらしい。
そこで出てきたのが割引金融債
 ワリコー、ワリチョー、ワリトーと呼ばれた、今は無き興銀、長銀、東京銀行が出していた
 無記名式の割債である。
 キャッシュを銀行の貸し金庫に突っ込んでおくこともできるが、それは金利が貸し金庫代分
 だけマイナス。
 一方、割引金融債は金利が付き、紙一枚で1万円額面から上は一億円近くまでありコンパクトにまとまる。
 これ、許されてたんですよ。昔は。名前、住所、ハンコ、保険証一切不要。
興銀に金持ってくだけで証書くれるのよ。
すごいでしょ?
 しばらく、金を名義不明のまま、眠らせておいて利息がつくという。
 (この利子は課税対象(18%でちょいと有利)で、最初の買い付け価格に織り込まれています。)
一時払い養老
 マル優という言葉をよく耳にした。利子に対して20%のIncome Gain Taxが徴収されるらしいと。
 基本廃止になったマル優は、実は今でも一部残っている。
 障害年金・児童扶養手当受給者(母子家庭)は受給者1人につき350万円までIncome Gain Tax非課税。
 この低金利下では、あまりおいしくないが、高金利になった暁には、年金資産分与離婚ならぬ
 マル優離婚が勃発してもおかしくない。
 尤も、経済合理性を求めるなら、相手の女性には結婚せずに母子家庭になっていただき、
 児童扶養手当、生活保護、公団住宅優先権をふんだんに行使しながら、自分の名義の
 ベンツを乗りまわしてもらうのが、一族としては、家庭の主婦で安住されるより潤う。
 話を一時払い養老に戻すと
 これは生命保険であるから、貯金ではないという触れ込みで、実質貯金と殆ど同じエコノミー
 を保険ビークルに載せる事で租税回避するという商品であった。
 5年を超えると生命保険とみなすということで、きっかり5年超の商品ばかり一杯あった。
加えて50万円以内だと非課税だから、名義分散はこういう時に役に立つ。
 「6%だろ?銀行金利に直したら、7.5%と等価よ?」
 と利回りはこんな感じのレベルでした。
 それに加え、当時はこの保険の競争が厳しく、各社が競って高金利を出していた。
 実際詳細は覚えていないが、おそらく、各社のクレジットリスクは取っていたのだろう。
 弱小保険会社ほど、逆ザヤの温床を増やしたがるスパイラルでかなりな高金利を提示していた。
 そんな中、今は無き千代田生命の一時払い養老に手を出していた。
 破綻が噂され始め、一族家では殆どが無事償還を迎えたが、数本は、支店長の「わが社は大丈夫です。」
という太鼓判を押しのけ、強引に途中解約した。素晴らしい相場観だ。
実は、投資一族というWebの名前の由縁はこの投資である。
株式バリエーションだポートフォリオ理論だも良いが、実戦では税制が絡む。
消費節約から節税を駆使した一族投資は一族の資産をMaximizeすることに
基を置いている。
悲しいことに、一族の中でも、これを理解している人間は少ない。
私の妹は、幼少の頃、親の財布から金を盗んだ。
一族資産運用に携わる人間としてあるまじき行為であり、私は一生忘れることはない。
この盗みの手口も実に、こすずるかった。
妹と私が母君に呼ばれた。母君が我々に訊ねた。
「私の財布から金を抜いているヤツがいる。一度にまとめてではなく、十円百円単位で
何回かやっている。こんなことを親父がするはずが無い。お前ら二人のどっちかだ。
誰だ?」
数十円ならバレない?
そんな、アマくねぇって。俺は子供ながら、体で知ってたよ。