今回の上海旅行のテーマは「原点回帰」
預金、ハンドキャリー、両替など、株式投資以前の段階についてこれまで触れてきたが
最終日はその原点回帰の最後を飾るにふさわしい「証券会社見学」で締めくくりたいと思う。
中国の証券会社では、
投資家が開店前から、列を作り、開店ともに開くシャッターを潜り抜けて中に入っていくほどの熱狂だと聞いている。
それを見たい。
上海在住5年の日本人の方に「それは、地場証券で無いと見ることができない」というアドバイスを頂き、
その方の案内でその熱狂を見てきた。
薄暗く、煙草の煙がモウモウで、カーペットなんか無い床には吸殻。
所狭しと並べられた端末、電光掲示板とベンチ、殺気立った顔立ちの投資家達の株話で騒然としている。
何百銘柄もの株価の推移を示しながら、忙しなくチカチカ光る電光掲示板。
各端末には投資家達が肩を並べ、一斉に食い入るように株価とチャートを見つめている。
VIPルームがあるのだが、端末を座ってみることが出来るというだけの簡素なものだ。
ほとんどが年寄りだ。金を持っているようには見えない。
財務諸表?バリュエーション?そんなことを考えたことがあるような人達には見えない。
百聞は一見に�ということで、これ以上、書いても意味が無いだろう。
株価は数値ではなく、人間そのものの一次元空間への射影である。
それを体感するに、これほど適したものは無いとだけ言っておこう。
似て非なるものだが、俺も日本で、電光掲示板の前に立っていた。
電光掲示板を支店から取り除き、新人研修で日銀見学をしている日本の証券会社は、実に嘆かわしい。
株価ではなく、それを作るナマの投資家を一度は見つめるべきだろう。
そこには、投資の原点である投資家の渇望がある。
株屋としての誇りと魂を忘れてはならない。