海外だったらありそうな風景と思われるかもしれないが、アジアではほとんど見かけることは無い。日本食の経営や店長、あるいはホテルの寿司などの高級店だとバイトは、いる。だが、私がパリ・オペラ地区南部にあるリトルトーキョーで見たのはラーメンや食堂といった大衆店だ。アメリカのニューヨークやカリフォリニアでも見たことあるような気がするが、アジアでは皆無。
どうして、パリでは、日本食屋で日本人がバイトしていて、アジアでは居ないのだろうか?
現地人の給料が日本人より高い。それは香港やシンガポールでは当てはまらない。だから香港・シンガポールでは外国人、主として中国人やマレーシアなど周辺国からの外国人労働者が飲食店の基本だ。
では、どうしてパリでは、外国人を呼ばないのか?
多いのはアフリカ系移民であり、中華系と違い、日本料理の作り方などを教えるのに時間がかかる、あるいは不可能。ダシの概念が中華には…とかそういう細かいことじゃない。箸も使うことと、味噌や醤油などの発酵食品を使うこと、米を食うこと、乳製品が無いこと、など大きく見れば日本料理もアジア料理の特徴である共通項が多い。だから、パリの偽物日本食屋のオペレーションは中国人が行っている。
それならば、厨房に日本人を使って、サービスはアフリカ系でも良いじゃないか? ところがサービスも日本人である。パリでは日本人のきめ細かいサービスが求められている? 絶対違う。露骨な片言のフランス語と、サービスもアルバイトレベルなのがわかる。クレジットカードを切ったら、カードリーダーの使い方も知らない素人レベルだったぞ。俺もカードリーダーの使い方など知らなかったのだが、フランスではカードリーダーは自分でスキャンするので、2日目で覚えたよ。つまり、クレジットカードを持ってないような日本人だってことだ。
この現象で需給が分かった。学生、ワーホリ崩れ、芸術志望?現実逃避など、理由は様々だろうが、憧れを抱いてやってくる日本人がいる。一方、職の供給面で、特殊能力の無いワーホリ崩れが現地で職を得ることはできない。別にフランスだからではなくアジアでも同様なのだが、誰でも持っている特殊能力は、海外では日本語が話せることだけになる。そこで対日貿易量が絡んでくる。
http://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/country_tmp.html
ヨーロッパだとドイツ、イギリス、オランダなどが上がっているが、ヨーロッパトップ3国であってもシンガポールやタイにも劣る貿易量なのだ。ましてや、フランスとなるとほとんど付き合いが無いに等しい。よって「特殊能力である日本語」を駆使して日本企業に勤めるという規模がシンガポールよりも少ないのだ。「憧れてくる日本人の数≫日本企業の日本人求人枠」なのである。香港シンガポールで供給が絞られているのは、単に憧れが少ないとも言えるが、それだけでなく、香港大学やNUSなどは必要とされる学力も高いので、ワーホリ崩れの学力では相手にされず、カネだけで入れる美術系の専門学校も皆無であることから学生がいないことも大きいだろう。
フランスの労働基準法上ではバイトという概念は無く正規雇用のみ。解雇が難しくフランス経済の足を引っ張っている元凶だ。私が生活しているうえでもこの上なく迷惑、電車、飛行機などの移動手段がストで止まる・延期などの被害がある。中国では人民解放軍が空を支配し、民間の移動を妨害してくるが、フランスだと労働基準法とストが移動を妨害してくるw パリ市内の電車だけでなく、エアフランスや長距離電車など国際移動も入るので要注意だ。
ただし、零細の飲食店などは労働基準法のお目こぼし対象なので、パリの日本食屋はそれをチャンスに生き残っていくしかない。フランスの労働基準法に則らない、日本流のブラック方式で、バイトを雇っているのが現状だろう。
香港やシンガポールに比べて、マニラやバンコクは物価が安い。どうしてコスト削減のためにそっちに住まないのか? 現地人に文句はないがね、そこに住んでいる日本人を含む外国人と話が合いそうにないからだよ。
香港やシンガポールにおいて、「デリバティブ」と言えば、金融業界以外の弁護士や会計士、あるいはまったく別の業界であっても、「デリバティブとは何か?」を説明する必要ないことが多い。だが、バンコクやマニラでは、デリバティブなんてのは日常用語たりえない。デリバティブなんて時代遅れなものを今となっては知らなくても気にしない。
じゃ、日本人が大好きな小説に話を合わせよう。罪と罰、ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフの殺人を正当化する論理についての議論にしようか。バンコクやマニラでドストエフスキーを読んだ上で内容論じられる日本人って探すの相当難しそうじゃない? パリで探すのはどうかって? 聞くなよw 俺がワンピース読まないと話に入れてもらえそうにねーよw