5章 合併・買収
A.ひどい動機と高値

私たちの買収の決定は、現実の経済的利益を最大にすることを目的としたものであって、事業領域や会計上の数字を最大にすることを狙ったものではありません(長い目で見れば、経済的な実体以上に会計上の見栄えを重視する経営者は、ほとんどそのどちらも達成することはできません)。即座に収益に影響するかどうかは分かりませんが、素晴らしい企業Tの株式を1株当たり2Xで、100%購入するより、私たちは1株当たりXで10%を買う方を選びます。たいていの企業の経営者はまさにその反対のやり方を好み、その行動を正当化する理由は無限にあるように思われます。

武田の役員さーん、全株取得の正当性ホントにあったのかな?

フォーチュン500に入る企業の経営者の一人に、彼の会社がその有名なリスト上のどのあたりに位置しているか聞いてみると良いでしょう。すると必ず、売上高ランキングにおける順位そのままの数字を答えるはずです。しかし、収益性によるランク付けを尋ねたら、彼は自分の会社がフォーチュンのリスト上のどこに位置するのかは答えられないと思います。

私も同意見だ、前から
「素人は、株を買う時でさえ、商品と売上ばかりに注目し、収益構造と純利益を見ない。」
と言っているが、日経新聞の論調も例外ではないな。

新設された企業や創立から間もない企業が過去10年間に生み出した真の価値は膨大な額に上り、これから先もさらに価値が生み出されることについて私たちも喜んで認めましょう。しかし、中間時点の価値がどれほど高くても、企業の存続期間全体では損失が生じているのであれば、価値は生み出されるのではなく、損なわれてしまうのです。このような場合、実際に起きているのは富の移転であり、それも大規模なものであることが多いのです。最近、プロモーターは、恥知らずにも鳥のいない藪を売買することで、何十億もの資金を一般大衆の懐から自分の財布(さらには友人や同僚の財布)へと移しています。バブル市場がバブル企業を誕生させたというのが事実です。バブル企業は、投資家のため利益を生み出すことよりも、投資家から利益を吸い上げることを目的に作られたものです。企業のプロモーターにとって、最大の目標は利益ではなく、IPOとなっている場合があまりにも多く見られます。実際のところ、こうした企業の「事業モデル」は時代遅れのチェーンレターであり、報酬に飢えた投資銀行家が熱心な郵便配達人の役回りを演じているのです。

しかしあらゆるバブルにはそれを弾けさせる針が待ち構えています。そして両者が最終的に出会ってしまった時、新たな投資家たちは昔ながらの教訓を学ぶのです。第一に、ウォール街の輩たちの多くは-そこでは品質管理が褒められることはありません-、買ったものを全てを投資家に売りつけるということです。第二に、投機というのはたやすくできるように見える時が一番危ない、ということです。

私の中のバブル信号、IPOの数はそのうちの一つ。