金権選挙を支えるPAC 米国政治はPACに牛耳られている
政治家の悩みは選挙に金がかかり過ぎることである。だから政治献金はロビイングの有力な武器になる。そこで調べたら、1990年選挙で一番政治献金額が増加した政治活動委員会(PAC)は、保険業界であった。前年比94万ドル増の450万ドルもの大金を議員たちに配ったことになる。なぜか。保険業界は80億ドルの負担増の税金問題を抱え、軽減措置を求めるロビイングの必要に迫られていたからだ。実際税制を担当する下院歳入委員会所属の13議員にそれぞれ5万ドル以上の献金を行っている。
そもそもPACは連邦議会選挙や大統領選挙運動を取り締まる「連邦選挙キャンペーン法(EECA)」にもとづく産物である。1971年に制定された連邦選挙キャンペーン法は、企業や労働組合による選挙キャンペーン用の寄付集め組織の、結成・運営を許可した。ただし、政府と契約関係にある企業とか団体にはPAC設立を禁止した。1974年になって法律改正が実施された。企業のPAC結成許可条件を緩和したのである。しかし、ウォーターゲート事件の結果、政治浄化の潮流が表面化して、政治献金のルール自体には厳格な規制が要求された。たとえば、PACによる寄付は、寄付の総額に制限を設けられていないが、予備選・本選挙通して1人当たり5000ドルが上限と決められている。政党に対しては15,000ドルが上限と規定された。