Chiang Raiから南東に約60kmほど行ったThoeng(トーンと発音する)という地区に潜伏していましたが、
標高は約1000mほどあるので、シンガポール・バンコクと比べ、朝・雨の時は若干涼しい気候です。
飛行機の中から見える空港の周辺風景は緑一色と、山の中、自然の中の都市です。
White Temple、PHAYAOのパレード、川の真中にある寺院(500年前は全部水上にあったが、今は殆どが水面下
にあり、一部だけが残っているという神秘的風景)、WAT ANALAYOと色々行ってきました。
しかし、私が最も感銘を受けたのは、上記のような立派な寺院でも、美しい自然の光景でもなく、そこに住む人々
とその振る舞いです。
私が1週間お世話になっていたのは農家です。農家といっても田んぼの真ん中にポツンとあるのではなく、村・集落
があって居住区になっており、田んぼはバイクで10分ほど行った所にあります。集落内はみんな顔見知りのようで
家々の心理的垣根は低く、誰かがしょっちゅう敷地内に入ってきて、井戸端会議に加わっていました。
朝がとても早く6時に起きて、既に誰も居ないなんてこともあり、朝から寺にお祈りに行っていた日もあるようです。
果物・野菜は家庭菜園から調達。香草だけでなく、マンゴスチン・ドラゴンフルーツまで庭に生えています。
昼間からブラブラしているのは、夫が農業に従事していない主婦、妊娠中の女、おばあちゃんと女ばかりでした。
ガスコンロ(屋内)と天然炭火焼(煙が出るので屋外)の2つを大体どの家も常備。
もち米とオッガイ(チキンスパイシー漬け)、炭火焼で作る焼き豚は相当おいしいです。
家族全員で夕飯を作ります。基本的に全ての料理は塩味濃い目、脂少な目、香草強めです。
夜は毎日近所の農家の人たちと宴会です。私は酒は弱いのですがタイ人に負けず毎日ブイブイでした。
基本的に料理はおいしいのですが、これだけはダメとタイ人に伝えました。彼らもあまり食べないようです。
左上からイモムシ、左下は黒いタマムシ、右はデカイコオロギ・バッタ君です。
タイ北部は比較的裕福な農村地帯と言われており、生活必需品、例えば、パソコン・電話・バイク・車などは普通
にあります。でも冷房はありませんし、水洗トイレの水はマニュアルです!
一方、イサーン地区(タイの地図の象の耳にあたる東部からカンボジア国境の地域)はかなり貧しいようです。
タイ人の農家の方から、「ここは安全だから良いが、お前はティントン(タイ語で愚か者でわきアマ)だから、タイの他
の地域には危険だから行かない方が良い」と言われました。
田んぼ農家だったので、田んぼを見学させていただきました。
田植え、手で直接植えます。一日一人150THB。Tryしようとするも「やめとけ危険だ」田んぼの中には蛭も居るし、
何が落ちてるかわからないし、怪我でもされると困るということで制止されました。
ここでは、どれだけ苦労しているか手を見ればわかるらしいです。我々の世界では手にそこまで個性は無いですね。
帰りには、酒造所に寄り、試飲をしてまいりました。酒造所といっても山小屋で全工程を済ませる簡素なもので、
そこで取れるRice Whiskyは、味は日本酒に近く、度数は45度、後味に若干米が、あらく香ります。
農業に勤しみ、神に自然の恵みを感謝しているその姿に、農業の尊さを感じました。弁護士・医師としての地位を
捨て、イスラエルの地で嬉々として地を耕すユダヤ人が居ると聞いたことがありますが、気持ちがわかるような気も
いたします。
農業は自然からの恩恵を受け、農産物を生産する業であり、究極の製造業であると同時に聖職である。
と農作業に感嘆していたのですが、現実はそんなに甘いものではないようです。
賃金は極端に安く、肉体労働であり、超早朝で、外働きで冷房もなく、休みは天候・自然が決めるものです。
今回初めてだったのであまり触れることが出来ませんでしたが、ちらりと垣間見れた農村の暗部の一部として
インターネット規制(私のブログは見えなかったし、相場関係も制限されていた)、軍はミャンマー・ラオス国境防衛
ではなく、モスリム対策として存在している。農家の借金と小作農の話とか・・・。
農家の方は自分たちの子供に農業を継がせたくない、農家に嫁がせたくない、とりあえず農業以外なら
“なんでも良い”と思っているようです。ここにタイで売春が盛んな理由を見ます。農作業を一日もやった
ことがない我々の感覚からすると、聖職農業はダメで売春OKというのはおかしな感覚に思えるかもし
れませんが、農作業を10-20年やっている人たちに言われると何も言うことが出来ません。
それほどまでに、一年を苗と稲と共に過ごすという自然との闘いは厳しいのです。
嫁入りも愛人も売春もやることと実質的効用は同じなので、社会的対面など気にする余裕が無いならば
非常に合理的な判断なのかもしれません。
私は元々ご飯を米粒一つ残さず食べる習慣があり、その理由は同じ金を払うならReturnを最大級に引
き出すという経済合理性の追求の名の下の大義名分があったわけですが、聖なる大地の恵みと農作業
をしていただいている方々への感謝と敬意に理由を変更したいと思います。
当初の辺境の地の不便さと距離から来る物理的な断絶による非Globalizationの傍観という目的から、
金融と資本主義に浸かった不浄の者が、聖なる大地と農業を感じる旅へと変わっていくのを感じていました。
タイ旅行 究極の製造業である農業
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