嫉妬の法則―はっきり言って暴言です (角川文庫) | |
ビートたけし
角川書店 1998-08 |
管理された性的な商売はよくないけど、一般の奥さんだって、ほとんど売春
婦に近い。要するに父ちゃんから給料もらって、何をしているかっていうと、
売春婦と同じようなことしてんだから。それでかみさんの商品価値がなくなる
と、亭主は家にも帰りたくなくなるし、お金もあげたくなくなっちゃうんだよ。
結婚は犬とか猫もらうのと同じ
要するに、かみさんをもらうってことは、どうしてもらうかっていうと、タダでお
手伝いさん雇うのと同じだね。家帰って汚きゃ掃除してくれるとか、色々身の
回りの世話をやいてくれるもんでしょ。そのかわり家にお金を入れること。
そのぐらいのもんだけど、エライ高くつくよ。高い買い物だね。あれ。
猫やなんだかだと昔はもらってきて、残りもん食ってりゃよかったのに、今は
チャムだとかなんだかわからねえ缶詰の人間より高いもの食う。
もらうって、ホラ、野良猫みたいに居座っちゃう人いる。あれが困るんだよね。
「しっ!」って言ったって帰ってきちゃうしさ。
高い買い物。だったら「タダでお手伝いさん雇うのと同じ」は嘘ですよね。
商品価値がなくても居座っちゃう人。しかも高い。どうなの?
黙って帰ると、お父さんのありがたさがよく分かるみたい、しみじみと。
驚いちゃうよ。待遇がよくって。ああいう刺激もたまにはいいって。
いつも家にいる親父よりも、いつもいなくてたまに帰ってくる親父のほう
が、子供心にいい刺激になるからね。
家でゴロゴロしてて、クサイ。いわゆる一般のお父さんには見えないでしょう。
たまに帰る(行く?)立場としては、家は休むところではなく勝負するところです。
帰ってから風呂に入るのではなく、行く前に風呂に入るのです。
お父さんってより、異次元の世界からたまに遊びに来る隣のおじさんに近い
ステータスになるのではないでしょうか。
なんせ殴り込みの実績あるからウチは子供の教育には厳しい
「もし悪いことしたら、軍団連れて、お前半殺しの目にあわせるぞ」って
言ってあるから、もう恐がって何もしないよ。
これは単なる私の推測ですが、実際子供たちに対し、そんなことは言ってないように思います。
私は子供の頃、親から拳骨で殴られましたが、今、大人になって思うのは、子供の教育に
は、黙って座っていても伝わる気迫があれば、暴力や言葉による恫喝は必要ありません。
「この親父、普通じゃない!」ってのは、犬じゃあるまいし、3歳の子供だって直感でわかる
ものだと思います。父親がタケシとあらばなおさらです。
また、親がそれなりの修羅場をくぐってきた経験があれば、多少の悪さなど気にならない
という面が大きいと思います。
私の両親は二人とも真面目で、学校や警察から電話がかかってきたことがないような
人生を送ってきたから、息子の悪さに対し、「怒り」という動揺を露にしてしまうに過ぎません。
悪い事をするのが良い事だとは申しませんが、何事も人生経験であり、「子供の振る舞い
に対する親の反応」は、「子供が親の度量を問うた質問」に対する「親の答え」です。
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