月: 2007年12月

時価総額の計算方法

本日の日経新聞に金融機関時価総額が掲載されていますが、先日私が計算したランキングとの
相違にお気づきでしょうか?

相違点についての釈明
中国の銀行は以下のような種類株が存在し、日経新聞はunlistedを計算に入れていません。
一方、私の算出方法は、株数を全部取り出して和を取って株価をかけます。
中国工商銀行でいえば、発行済株式数334018M×A株Priceと計算します。

BERKSHIRE HATHAWAYに関しては、上記のように計算しているので異常な値になります。
中国にフォーカスしたとはいえ、説明無しで勝手に削除しました。大変申し訳ありませんでした。

Ticker        種類                      株式数        株価 で表記します。
中国工商銀行
601398 CH A Share listed        12065M    8.7538
601398 CH A Share unlisted   238897M  
1398 HK     H Share                83056M    5.59

中国建設銀行
601939 CH A Share listed         6300M    10.58
601939 CH A Share unlisted      2700M
939 HK       H Share               224689M    6.59

中国銀行
601988 CH A Share listed          5208M    7.0885
601988 CH A Share unlisted   172611M
3988 HK       H Share              76020M    3.78

Chine Life
601628 CH A Share listed           900M    61.8524
601628 CH A Share unlisted    19924M
3988 HK       H Share                7441M    40.3

BERKSHIRE HATHAWAY                                  Voting Rights  Par Value
BRK/A US CLASS A              1.0857M 137800    1.0                 5.0
BRK/B US CLASS B            13.8556M     4573    0.005             0.1670
※Voting RightsとPar Valueを追記しています。

中国株の時価総額の定義としては、unlistedも含めるでそれほど違和感はないのですが
皆様いかがお考えでしょうか?
NTTの時価総額を計算するときに、財務大臣の持分は減らすの??
中国政府は、絶対売ってくるって。

日経新聞も書き方として、政府保有株、A株、H株、全部 議決権は同じなのに、unlistedを
まるごと切り捨てて、なんの説明も無しはいただけないような気がしますがね。
しかも、HSBCとのこの若干の差はなんだ?中国の銀行がTopと認めたくないと解釈できます。
さらに2007年3月末にもこのようなランキングを発表しているがその時は中国の銀行
が3つ。中国工商銀行は時価総額21兆円で中国系のトップ、世界でも4位に掲載され
ていたのに、今回はなぜランキングから除外されたのでしょうか?
計算方法かユニバースを変えたとしか思えないのですが私の勘違いでしょうか。

本来は、各種類株ごとに、Σ株数×時価が良いのでしょうが、時価の無い優先株などが含まれて
いるとかなり難しくなるので、潜在株式数的な観点で全てのShare Classを算出し、それに普通株
の株価をかけると計算方法ですので、多少のエラーは入ります。


Jump Diffusionと市場効率性

決算発表などのニュースによる株価の動きを比較することで、各マーケットの市場効率性を考察したいと思います。
私が思うに、効率性の高い市場では、株価がニュースを織り込む際に、ニュース(新しい情報)を基に、
即座にバリュエーションされ、マーケットコンセンサスが一瞬で出来上がり、そこに株価が修正されます

これがJumpとなって現れます。
一方、エマージングでは、市場参加者が少なく、レベルも低いので、株価自身に迷いがあり、一瞬でJumpして
そこに落ち着くという動きは見られず、コンセンサスが出来上がるまでフラフラと数日かかります
2006年になっても、Holderの株数を全部足すと、発行済み株式数の10倍とか言ってる
会社が存在してしまう巨大エマージング日本マーケットは、当然、このような動きは弱い。
2003年-2004年の各主要マーケットの代表的なIT系で動きを見てみます。
一つは日足チャート、もう一つはVolatility Chartです。
ノキア 最も顕著なJump Diffusionで、株価チャートを見ているだけでJumpを感じます。
すごくないですか?4半期の決算発表ごとにJumpしてるという�。
NOK1V FH GPL D.GIF
Historical Volatility Chartで、白が20日(1ヶ月)、赤が60日(3ヶ月)です。
Jumpが入ると、一時的にVolatilityが興隆している様が見てとれます。
NOK1V HVG.GIF
マイクロソフト 普段のVolatilityに埋もれる感はありますが、若干Jumpを感じます。
MSFT GPL D.GIF
Volatilityで見ると3M(赤)の動きあたりがJumpっぽい。6M(黄)でもJumpは観測可能。
MSFT HVG.GIF
ソニー 1点見られるJumpはソニーショックと言われた点です
上がる時も下がる時も、途中で値がつきながら動く。株価が一意に定まってない様子がわかります。
6758 JP GPL W.GIF
Volatilityはより顕著。3M(赤)の滑らかさを見て下さい。ソニーショックを除くとJumpはありません。
6758 JP HVG.GIF
チャイナモバイル イントラデイ(日中)で5-10%動いてしまうエグエグマーケット。
941 HK GPL D.GIF
3M(赤)は滑らか、6M(黄色)に至っては、ほぼ連続関数。
941 hk HVG.GIF
ちなみに、香港も東京も世の認識としてはエマージングではありません。(念のため)


Global Basket Correlation

1.営業日問題
2つのペア、例えばトヨタとホンダなら、上場している市場が同じなので、特に問題はありません。
yokokenさんのWebのようにGoogleとトヨタの場合はどうでしょうか?
流石に彼はその問題をわかっているせいか、Toyota(ADR)を使っているので、同じニューヨーク
市場なので営業日計算の煩雑さを考える必要がありません。
ただ、東京に上場しているトヨタとGoogleを比べた場合、2つは、営業日が違います。
Date Stock A Stock B
12/24 100 100
12/25 101 X’masで休場
12/26 100 102
この場合、2つの方法が存在します。
Stock Bの25日の株価を100として計算。
25日はサンプルとして扱わず、26日のStock AのReturnを26日株価/24日株価で計算。
トレーディング感覚にあうのは後者です。なぜならばStock Bは25日に100でトレードできないから
です。またCorrelationは、ペアに対して存在するので、2つの株価が同時に存在しない25日は
サンプルから外すことに違和感がありません。
2.影響度合(主導権)問題
個別企業同士のCorrelationは、影響を見るのは難しいかもしれませんが、Indexの場合状況が
変わります。例えば、日経とS&P500の相関を計算するケースを考えましょう。
上記のように営業日を考慮しながら計算したとしてももう一つ考える必要があるのです。
日本における朝の行動を思い出しましょう。
ニューヨークダウがいくら上がったのか?って気にしていませんか?
一日は、東京から始まって、アメリカで終わるのです。
アメリカが上がったら日本も上がるというのは、正確には
昨日のアメリカが上がったら、今日の日本も上がるということになります。
それを反映させるためには、同じ日のログリターンの変わりに、アメリカの株価の列を一日ずらし
て計算すると面白いほど相関が変わります。
この違いはアメリカには日本は全く影響を与えていないと言う悲しい事実を示すものですが�
(ご参考)
3.Correlation(相関)の計算の仕方
(1)統計学上の定義
http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/~ohwaki/fluctequation/correlcoef/correlcoef-1.html#correlcoef
(2)株式市場における計算方法
株式の相関を計算するときには、通常、株のログリターンln(S(i+1)/S(i))をペアで入力します。
株の観測という点で、トレードする頻度や期間に応じて以下の2つを決定しなければなりません。
周期 Daily、Weekly、Monthly と 期間 20Days,250Days、52Weeks
ちなみにWeekly計算は、簡単に上記の営業日問題を回避することが出来ます。
Weeklyの株価の定義ってのは人によって違うかもしれないので注意が必要です。
Weeklyって何曜日の株価ですか?
採用した曜日、例えば金曜が休みだったときは、いつの株価を入れるか?(木曜or月曜?)


9955 安いな、出動じゃ

クリスマス、関係ないぞ、株は動いとる。
小型株は割安か?という話をしているとき水面下では私は具体的な銘柄を出していました。
とある先輩より
投資一族銘柄にしては売上高ー利益率が低いのと、今期PERが高いのと四季報のコメ
ントが気になりました。あと財務諸表を見たら、売掛金が結構あるイメージでしたが、やはり
キャッシュリッチという見方なのでしょうか。
私の答え
事業内容(鮮魚販売と養殖用飼料販売) と単調減少の売上(350億円)と
利益(1.7億円、一株当たり12.3円)を見たらこの会社は買えないでしょう。
私が注目しているのは、手持ちの金とキャッシュフローです。
売掛金はキャッシュではありません。単にPBRが安いという理由で計算している場合、
資産全体を見なければならないので売掛金の信用性をチェックする必要があります。
私の場合は、全体ではなく、評価できる部分だけを見る方法をとります。
実際に有価証券報告書より財務諸表の資産査定をして見ましょう。
1.現金及び預金 100億ちょい
現金は当座、普通、定期預金などが中心のピュア預金。
2.流動資産の有価証券 6億
日本国債(231回、234回)
3.固定資産の投資有価証券 10億
伊予銀行を中心とした四国関連上場株式とグロソブ。
ジャフコV1-B号ってのはわけがわからんので0円評価としても合計5億は固い。
4.負債合計 50億弱
よって、時価が計算できる資産が合計で111億。負債を引いた解散価値は現金と有価証券
以外のアセットは全て0だとしても、65-70億以上は残る。
そして発行済み株式数が1156万株だから、一株辺り余剰資金が65億÷1156万で562円
この株が600円で取引されているとしたら約94%は余剰資金で出来ているわけです。
今回の投資理由のまとめ
1)50-60億のNet Cash(有価証券除く現金)を貯めるだけの実力は”過去は”あった会社である。
2)この手のキャッシュリッチカンパニーは、余剰資金を抱え込んでいるので、みために資本効率
が悪い。しかし、余剰資金を全て株主還元したと仮定すると違うものが見えてくる。
PERを計算するときは、株価は600円とすれば、600円のうち562円が余剰資金なのでそれを
控除して考えると来期の一株辺り純利益(会社予想ベース)が12-3円だとしたらPER3-4倍と
いうのが私の計算です。


株主還元とは?チャートに見る株主重視経営

前述の私が危惧している日本人の中に根付いた株主軽視経営。もちろん物言わぬ株主の責任もあります。
ちょっと話がそれますが、税金を取られた後の納税者の態度も良くないです。
国民性として、一度決めた(取られた)ものを後からガタガタ言うなという論調なのかもしれませんが、
ガバナンスのためにはある程度の牽制も必要だと思います。
以下に超長期月足チャートを通常とログリターンで比較し長期リターンの成長の違いを示します。
100万円投資する時、100円×10000株->200円で売るのと10000円×100株->20000円で売るのはリターンが同じ。
つまり株式投資において、価格差は意味が無く、比率に意味があります。
私が愛用するログチャートは100円から200円の距離と、10000円から20000円の距離が同じ
なので非常に投資家向けなチャートなのです。
ソニー 87-07年 安値 1675 高値 16950 そうは言っても10倍!!
ITバブルがあったのねという通常チャート
6758 JP GPC M.GIF
ログチャート ソニーの場合、通常チャートと何が違うの?と思う方も多いかと。
6758 JP BPL M.GIF
↑こういう株ばかり見てると、チョコマカ売買するようになってしまうので、下記を見てください。
マイクロソフト 87-07年 安値 0.2778 高値 59.9688 うーん200倍!!
通常 やっぱりデカかったITバブル
MSFT GPC M.GIF
ログチャート 結構形が違いませんか? 見よ!ずーっと成長するアメ株右肩上がりチャート
MSFT GPL M.GIF
ちょっと上がったら売る癖のある人はこの単調性を心に刻みましょう。
この20年で何倍になってますか? ここが売り時!なんてこのチャートから言えないでしょう?
売るタイミングなど無いのです。
最も危険に思えて、最も安全な道。それは株を保有し続けること
ノキア 91-07年 安値 0.099 高値 65.0 おっ?600倍ぞ!(って俺はこの株で半分になったが�)
通常 これもITバブル。
NOK1V FH GPC M.GIF
ログチャート 失礼 アメ株だけじゃないよな。この成長に株主還元を感じないか?
NOK1V FH BPL M.GIF
これは単に株価のリターンで、実は配当が含まれてないので、実際の投資とは違います。
マイクロソフトは無配の会社として有名だったので差は小さいです。普通は、配当リターンを
入れるとさらに凄まじいリターンになります。これぞ、究極の株式投資。
問題は20年前にマイクロソフトを探せたかどうかなんですが。
またもグラフはBBGより。


小型株は一部割安感有り

とある先輩より  株価の予想はしないと言ったら�
 個人的には、今の株価が実態に対して割安か割高か、という観点はまた別個の
 ものでそれなら論じてもよいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
 今売られている日本株が果たして割安なのか、妥当な株価に近づいているのか?
 売られ続ければ、当然どこかで買い出動するわけなので、妥当な株価の予測と
 いうのは誰もがやっていることなのではないかと思います。
私の答え
日本株は、全体としてはまだ。市場に絶望感は無いでしょう??安いと思ったらなにか
書きますし、実際何か買うでしょう。
ただ、個別としてみれば、ちらほら安いのが出始めてると思います。小型は2003-5年
の小型バブルがライブドアをきっかけに崩れ、それ以来かなり売られているので、
安く見えています。その様子を下記に示します。
TOPIXとTSE2(東証2部指数)の相対グラフ 週足5年程度
つぶれてるのでガイドラインを書きますと
上段が株価指数そのもの (縦軸 1000-5000で1000刻み)
TPX 現値1500近辺、 高値 1800 安値 780
TSE2 現値 3400辺り、高値 5400 安値 1400
下段がレシオ (縦軸 0.3-0.6で0.5刻み) 数値が下がるほどTSE2が高くTPXが割安。
TPX/TSE2 現値 0.453、高値 0.626 安値 0.309
TPX TSE2 GR.GIF
グラフはBBGより引用
にしても、TPXはボトムから2.3倍、TSE2は3.8倍だから、小型株投資家であった私は
2003-5年は、儲かったわけです。(俺は銘柄選定の天才だーと勘違いしとった。)
私が小型を仕込んでいた2002-3年は、絶対的な水準も安かったが、大型-小型(TSE2/TPX)
の相対水準もこのグラフで見る限り0.5以上ですから、かなり安かったんですねぇ。
今は0.453だから、まあまあの度合い。
小型株は特に顕著に出るので、注意が必要な重大な問題があります。経営陣の保身
行為による市場原理と相反する稚拙な買収防衛策や使い込みなどのモラルハザード。
根源は会社は株主のものであるという意識が日本人(これは経営陣だけの問題では
無く、それを監視する株主も)の中で弱いことにあるわけですが、これはマーケットとし
ても国民性としても私が失望している部分です。


ターキー、喜び勇んでお持ち帰りするも

hikikani.jpg久しぶりに日本の友達に電話したら、このブログはコメントしにくいと言われてしまいました。
確かに、債券投資、デリバティブはマニアックで、突っ走りすぎたかもしれません。
ただ、日々の生活はこれといって書くことが無いのですよ。
今日は職場はなぜかクリスマスムードで、ターキーが振舞われたので、残りをお持ち帰り
しましたが、味が薄くてパサパサしてるな。量多いし。ハムはうまいんだけど・・・。
3日前にお持ち帰りした喜記の蟹(といっても蟹の周りにあるニンニクチップ)と合わせて食えば
うまいかもしれないな。


円保有のリスクって? イギリスで学者街道を進む後輩より

日本には強い円信奉があり、日本銀行券の価値を疑う人間は誰も居ない。
一方、アジアの投資家(特に金持ち)は、自国の通貨の弱さを知っている。
ドルなり金(Gold)に資金を逃がすのが王道だが、日本ほど、金のショップが
街中に無い国は珍しい。(最も先進国は、少ない気がするが)
香港に来た時は札をよく見つめてみて欲しい。HSBC、Standard Chartered
Bank of Chinaと、どれも普通に株を買える民間金融機関。
香港の札は民間の銀行が発行する銀行券。
英語訳もBank Noteってホントそのまんま。この前買ったCiti Bank社債と同じよ。
札見てるだけでも、HKDって信用できねぇなって気になって来るでしょ?
最も日本的感覚で見直さなければならないのが、為替の損益計算。
全体で1億円持っていて、そのうち9000万円を円で、1000万円相当をドルで
持っているとする。円安ドル高に進むと、円建て見ると、ドル資産が増えて儲かった
ように見える。これ本当に儲かっているのか?
ドル建てでみるとどれだけやられていることか?
元日銀の速水総裁が「円高が悪者のような風潮があるが、今の日本の世界における
経済的な立場は円高がもたらしたことを忘れてはならない」
的なことを言っていたがその通りだと思う。
海外には出ないから関係ないという人が居るが、日本国内で生活するにしても
資源、食料が無い日本はどれだけ輸入に頼っているか考えると、円が弱くなれば、
物価がそのままで居られるはずが無いのは明らか。
日本は、一国だけではやっていけないことを忘れてはならない。


株式市場の将来の方向性

とある先輩から
 相場が暗いから最近元気がないんだよね。
 まあ、休むも相場だから、好転するまでは買い控えることにするよ。
 やはり、今後は日経平均が幾らに向かうのかとか、そういう情報を書いてくれる
 と読者は喜ぶのではないだろうか。
というリクエスト。
私の答え
株価予想は、極めて不確実であり、かつ意見として空虚なので私は書きません。
未来の株価の予想ができる、あるいは人よりも若干高い確率で当てることができる
などという市場を冒涜する発言は、私はしないことにしています。
将来の株価を語る人に出会ったら、聞いてみてください。
「将来の株価がわかるなら、なんであなたはビルゲイツよりお金持ちでないの?」
プロは、「相場を扱うものとしての意見を言うべき」というのが私の考えです。
日経は将来上がる というような予想は、抽象的過ぎて意見とは言えない気がします。
この予想は50%以上当たります。なぜならば、投資期間について言及していないから
一瞬でも上がれば当たったことになります。
ただ、それを実際の投資行動に当てはめたらどうなるでしょうか?
日経先物で考えればTickが約5-10bpsだと思うから、投資を始めてから1tick上がれば
売るという投資行動になります。9勝1敗で負ける投資法のできあがり。
1tickも上がらずにズルズルと下がる瞬間に出会うまで、5bpsのGainを積み上げても
一回のロスで全てを失うこととなるでしょう。
 それに対して
1.日経先物を買いました
 動きは少なくとも十分に利食える手段ゆえに、短期的に相場が上がると思っている。
2.日経ETFを買いました
 Ask-Bidなどの取引コスト、信託報酬などを考えれば、先物がETFより効率的である
 が、長期で見れば悪くない。つまり長期的に相場が上がり配当も受けたいと思っている。
など、他にも株価上昇に賭ける商品、投資スタイルは色々あると思いますが、具体的な
手法を書くことで、投資期間や期待リターン、許容リスクなどがわかります。


債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い

業者引合を実際自分でやってみて、非常に勉強になりました。
勉強になったこと3点
1.US Stripsの取引は圧倒的にBOA(Bank Of America)が強い。
今回は、Stripを売って、社債を買う取引のため、最初にStripの買い手を見つける必要があった。
ところが、どの業者もRetailやってないとか言って、なかなか取り合ってくれなかった。
ストリップス化までする業者は本当に限られており、Asia時間のMarket Makeは一社独占状態。
税制を意識する必要が無い今でも、割債が好きなので、BOAとはお付き合いが続きそうだ。
2.Market参加者は基本Leveraged Trader。
私が前述の割債が好きな理由は、儲けを売値ー買値で考えているので計算しやすいと言うこと。
これは確かにEquityの世界では当たり前なのだが、Bondの世界は違う。
トレーディング期間 × (自分の運用金利 - 自分の調達金利)
基本、期間×Yieldで考え、値動きが小さいから当然、Leverageをかけており、自分自身の調達
コストを如何に上回るかと言う世界。うーむ�。
「随分前に、30で買った割債が、半年で36になって、大儲けじゃ!」
なんて自慢を債券トレーダーにしたら、
「Yieldしかみてないから、価格で言われても�」
「利付債の実際の精算金額なんだけど、わかりにくいClean Priceは勘弁して欲しいよな?」
「実際の約定価格なんて見ないよ、Yieldを見てTradeするんだ�」
理屈ではわかるもの、やはり体にはしみこまず、私は今でもディスカウントファクターで
Yield Curveを見ている�。30年金利が10ベーシス上がったよりは、30年の割債が3%
下がったの方がわかりやすい。
3.Settlement delay (TradeからDeliverlyまでの間、何日必要か?)
 Treasury T+1
 Currency T+2
 Corporate Bond T+3
ということなので、なかなか面倒です。国によっても違うのかな?
社債を売って、国債を買うなんていう時は、Cashが無いとできないかも。


満期繰上特約付円定期預金

これも昔話ですが、とある先輩からの質問
満期繰上特約付円定期預金、これすごい儲かりそうなんだけど裏教えてくれや~。
3年または5年満期の仕組預金、期間延長特約付 金利1.0%
とか書いてあるわけだな。
”とある先輩” 財務諸表レッスンの題材で、早とちりして、キャッシュリッチ会社発見!
といった人ですが、色々聞いてくるので、話をしていて、面白いんですよ。
答え
5年で年率1%台のリターンで満足なら日本国債でも買ったらいかがでしょう?
日本政府が元本保証してるし、預金保険機構よりも安全?
これが答えなのですが、さすがにウラの仕組の解説になっていないので。
先輩は自分で3年または5年が選べると思っていたようなのですが、違います。
銀行が選べるのです。通常の5年定期よりも若干高い金利は、その権利の値段です。
その価値は以下の例で簡単に説明できます。
5年定期が1%、特約条項付が1.2%とし、3年後に金利がまた0金利に下がった場合
特約条項付仕組預金は、3年で償還します。5年間で見たとしても2年間は0金利なので
 1.2%×3年+0%×2年=3.6% にしかなりません。
一方、5年定期にしておけば、その後、どのような金利になろうが
 1%×5年で5.0%はもらえるのです。
金利のVolatilityの売りなので、金利低下時には3年定期になってしまうことへの対価です。


俺もフケたか 時差ボケが直らん

ロンドンから帰って1週間も経つというのに、時差ぼけが直らない。
夕方に眠くなるのだが、夜に目が冴え、睡眠時間が減る。
睡眠不足のはずなのだが、眠りにつけず、ブログを書いておる。
あーつらいのぅ。年を取るというのはこういうことなのかもしれない。
ところで昨日食べた老上海の蟹粉獅子頭は激ウマだったな。
sisitou.jpg
http://www.sinp.jp/tour/oversea/hong8/r-old1/old1-c.html
に詳細は載ってる。
留園飯店のも美味しいらしい。


久々のお買い物 C 5.875 FEB 2033

買っちゃった♪やっぱり買い物は楽しいですね。今回は色々と勉強になりました。
Buy C 5.875 02FEB33 91.588 6.561% (Dirty Price93.49738)
Sell Strips 15NOV15 83.7 3.655%
Sell Strips 15MAY20 55.3 4.830%
5年、15年の国債を売り、25年の社債を買いにより、Credit Spreadと最近steepening
したYield Spreadを両方取ったお洒落な取引です。
CreditがさらにWideになるシナリオでは、金利が低下。
金利が上がるシナリオでは、CreditがTightening。
と読んでいるので、この債券価格は比較的落ち着くのではないかと考えています。
今回この投資に踏み切った理由は、T-L Spread (国債とインターバンクの信用リスクの差)
の拡大は言わずもがなですが、CDSとCash Bond Marketの価格差が最も大きな理由です。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の解説
貸付債権の信用リスクを保証してもらうオプション取引です。従来の銀行保証をデリバティブ
に作り変えたもので、貸付債権にデフォルト(債務不履行)が起こった際に、その損害額を保
証してもらいます。
今回Sub Prime騒動で、CDSがWideningしたとは言え、100bps近辺です。
ところが私の買った債券は約200bps開いています。
国債+CDS Premium(100bps) と 社債(200bps) を比較すると社債が安いのでArbitrage
できるのではと思うのですが、Arbする業者もまた債券を買うために資金調達が必要。
Citi Bankですら資金調達コストが上がっている状況で、Arb業者も当然、同時に上がっている
ので、このArbが成り立たず今はCashを出せる人が一番偉いという状況。
というわけでCashの価値を一番に評価してくれている社債Marketにお金を置いてきました。


債券税制 ~これを知った上で買えるか?毎月分配

日本の税制でなぜ割引債が流行らないか不思議です。小額投資家にとっては、実質非課税。
これ、どれだけデカイか?
5%と言ったら、5%もらえるんですよ。税引き後5%もらうためには6.25%ですよ。
1.25%のイールドエンハンスリスクが、タダで手に入る。これどう考えても美味しいでしょ。
損益計算も売値ー買値なので、配当や手数料を考慮しないでよい分、株よりも簡単です。
税金部分については税金の本を軽くまとめてみました。
国外公社債の税金
1.利子
外国にて課税、あるいは租税条約の税率により課税
国内にて、外国税額と合計して20%を限度に源泉徴収(差額徴収方式)
・租税条約による制限税率が10%ならば、国内で10%課税され、Total 20%になります。
課税される利子の換算レート(TTB)は
記名式 支払開始日と定められている日
無記名式 現地保管機関が受領した日
・無記名式で、現地保管機関が受領した日と、証券会社から利子が支払われた日の為替差益
 (差損) は雑所得になります。
2.償還
雑所得として、総合課税。為替差損益は償還差損益に含まれます。
3.期中売買
一般利付債 非課税
新株予約権付社債 申告分離課税
ゼロクーポン債 総合課税
ゼロクーポン債の課税
保有期間 5年以内 短期譲渡所得 譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-(50万円特別控除)
保有期間 5年超 長期譲渡所得 {譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-(50万円特別控除)}/2
ディープディスカウント債、ストリップス債、デファード・ペイメント債はゼロクーポン債の税制
が適用されます。
ディープディスカウント債とされる利率 (平成15年6月13日以降に発行される公社債)
7年未満 0.1%未満
7年以上 8年未満 0.2%未満
8年以上10年未満 0.3%未満
10年以上15年未満 0.4%未満
15年以上 0.5%未満


金利0、配当0(0Drift) ATM Call のDELTAは50%? 50%超? 50%未満?

幾何ブラウン的にはDeltaはN(d1)で、d1の中身がσ√t/2が残るからとも言えるのですがね。
それではただ単に本の内容を覚えているに過ぎない。

私がDerivativeの経験者として、求める答えは、直感的解法。

Zero Driftだから、将来の株価の期待値は現値に等しい。Volatilityを無視すれば、つまり、
Volatility->0にすると、絶対ATMの上にいるから、ATM越えの確率はピッタ50%でDeltaは
1×確率50%で50%と言える。

一方、逆の想定を考える。
Call Optionの最大値は株に等しい。(Volatility->∞ならPremiumはSに近づく)
ゆえに、ボラが高ければ高いほど、株になるわけで、株は当然Delta1だから1に近づく。
Volatitlityが非負である以上、Deltaは0.5から1の間に居そうなので50%超。

これがマーケット的にスマートな説明だと思う。

ちぃと理論的なので、私にとってはベストではないがこんな風にも答えられる。

Volatility無限大と同じような効果で、長~いオプション見てると株価が幾何ブラウンという
想定が直感的に相当キモいんだがあえてそれを考える。

幾何ブラウンを想定して、100年後の株価はどういう分布になっているか?
長くすればするほど、モンテカルロで発生させたほとんど全ての株価は0近辺に張り付き、
一点だけアホみたいに成長しているというようになるだろう。
0Driftだと期待値100%、そして、Volatilityを100年間維持するためには上と下にかなり触れて
なければならない。下は0で抑えられてるから、平均から外れた異常値は上で取るしかない
ので、一点だけ上にぶっ飛ばし、ほとんどが下に集中することでVarianceを保つ。

これは究極の状態だが、Volatilityが高い、あるいは、期間が長い状況下では下に居る確率
が99%になる。だから確率は50%ではなく、下に居る確率が高いからATM Strikeは50%を
超えるともいえる。


やっちまった。飛行機乗り遅れた。

パディントンの駅って空港行きだけじゃないのね。知らなかったよ。完全に思い込みで
乗ったら、なんか違う感じ。途中の駅で気付いたとき、ドアが閉まりかけていた。
まだ18時台。飛行機は20:30。なんとかなるだろ? 次の駅に着いたら、折り返して�、

�おーぃ! 何分走るんだ?

Padington、Reading、から次。駅の名前は忘れたが、走る走る、なげーなげー!
しかも、降りたわ良いけど、全然、電車来ねー! 電車着たときには、19:30。
パディントンの駅に着いたときは、既に絶望的な時間だった記憶があるから30分以上
乗ってたのだと思う。

空港内で何とか最速の便を手当てしてくれぇ!と祈っていたら、
受付のネーさんが美しい発音で 「18:40」
俺「あー、ソーリー、エイティーンフォーティ?トモローイブニング?アラウンド24アワーズ!」
と意味のわからないクレームをして、モア、アーリータイム、プリーズ?
受付「今日の便はもうありません。」
俺 「おぅ!ラウンジは?キャヌアイステイラウンジ?
   (わしゃ、そこに泊まるぞ、風に言いたいところだが)。」
受付「Sorry、threw the nightはやっておりません」

男一人でSheratonに泊まったさ。承認降りなかったら自腹だよ。200ポンド。
Sheratonって高級のイメージあんだけど、値段は高級だったが、超ボロかったぞ。

今日の教訓 電車に乗るときはどこ行きなのか、確認してから乗ろう。
土曜着で日曜日に時差ぼけを取るつもりが、香港に着いたのは日曜の夕方でした。


財務諸表基本レッスン 売掛金と買掛金

とある先輩より銘柄相談 (面白かったのでそのまま投稿)

 1904 大成温調

http://www.taisei-oncho.co.jp/06ir/pdf/kessan/ir20070810.pdf
 現金90億に対して、時価総額58億なのですが、計算合ってる?
 配当とかPBRで数字だけ見ると条件の良いやつはたくさんあるんだけど、
 買い手がいないから全然上がらないんだよねー

私の回答

PBRが低すぎる会社って怪しいのばっかりでしょう?Assetがまともなものではないはずですよ。
ありがちなのは、
商品在庫:価値が専門家で無いとわからないのでなんとでも評価できる)
売掛債権:怪しい会社(主に社長が100%株主の子会社)との取引+計画倒産
子会社株式:これも同様ですが、時価の無い株式なので価値が不明、親会社と大体運命
共同体のはずなので、つぶれたときは紙くず同然のはず。
建物・設備などの減価償却方法が怪しい場合もある。

キャッシュ以外は信用しないことです。キャッシュですら、持ち逃げする奴が居るくらいだから。

上記に当てはまる典型的な例です。
現金90億持っていますが、同時に負債が250億あります。しかもその負債の内容は買掛金
が200億近く。そして資産側は売掛金が240億。この会社のお客である会社でつぶれると
この会社もつぶれる危機があることを示していることがわかりますでしょうか?
この会社の客がつぶれる、売掛金を回収できない。すると現金90億しかないから、200億の
買掛金を仕入先に払えない場合は倒産です。存続のため、売掛金240億のうち110億は
絶対に回収しなければならないのです。

PBRが安い理由は、この売掛債権の価値が財務諸表より無いと思われているのでしょう。
ずっと高いままでなかなか減らないですよね?なんか怪しい。それが減るあるいは絶対回収
可能であることが確信できるまでは、これは安いとは言えませんな。


ロンドン 狂気の物価、以外のことを書こう

一番気にしている物価について触れてもよいのだが、不満にしかならないのでポジティブに。

地下鉄がとても静か。みんな新聞や本を読んでいる。

町並み景観にはかなり気を使っている。金だけじゃないよな。

エレベータは閉まるボタン連打しない。落ち着いていていいんじゃない?

これって毎度やっぱりアジア人はせっかちなのではと認識させられる瞬間です。

そしてそれは、デリバティブの商品性向にも顕著に現れており、欧州でありがちな5年の

コールオプション素ロングなんていう気長なストラクチャーは、アジアでは見たことが無い。

なぜか私は、ロンドンで食事に対して不満を覚えたことは無い。(もちろん値段は除く)

昨日食ったアルゼンチン料理も悪くなかった。

 

また、だめだろうけど、禁煙に挑戦しています。

タバコが残り10本の状態でロンドンに来ました。途中で切れることはわかっていましたが。

一箱6-7£というアホな買い物できないというケチ心は、禁断症状に勝るという想定の元。

昨日ついに切れた。最後にすってから12時間が経つ。キューキューと禁断症状がでてきたわ。

さぁ、あと3日。ロンドンで高値のタバコに手を出すかどうか? 乞うご期待。


重慶大厦 ~香港における為替取引~

今夜ロンドンに向けて出発。一週間の出張ですわ。でもキャッシュが無い。
£ポンドくれ。ポンド。
100£もあれば十分か。

日曜だからどんなレートなのか知らんが、チムサァチョイで楽器を吹くことに
なってるから、ついでに近所の有名どころの重慶大厦(チョンキンマンション)
で交換してみることとしよう。

重慶大厦はいわゆるインド人街(ってよりただのビル)でちょっと怪しいが
コンペティティブな為替レートを提供してくれる。

HSBCはOffer/Bid Spreadで大体2%。
日本と比べてみぃ! このSpreadの狭さ。
Currency     Telegraphic Transfer   Banknotes      
 Pound Sterling  16.06000 15.97000    16.14000 15.81000

で、実際の重慶大厦の交換レートは、16.07! おいしー! HSBCより良いぞ。
ただし、HKD売りのレートは15.7だった。外貨買いが有利な気配のようだ。
あ~でも空港で日本円換えると死ぬほど抜かれるからご注意を。

 
一応、重慶大厦を舞台にした映画『恋する惑星(重慶森林)』
http://www.cinemajournal.net/bn/33/chungking.html

その他、香港の映画の舞台
http://colorfulland.hp.infoseek.co.jp/movie-stages.html

こうしてみると、香港って税金以外にも結構魅力あるところかもしれないな。


初めて会った時から好きだった

デリバティブ、これこそ私が一番自信のある分野なのですが、
世に広く知られているわけではないので、少し遠慮気味に始めてみました。

私が出会ったいくつかの面白い問題を投稿していくつもりです。
金融関係者は面接の時に使ってみて下さい。問題はシンプルですが
答え方次第で、デリバティブをどの程度理解しているか簡単に見抜けます。

「私は、確率微分方程式は使わずにデリバティブを説明できる。」
というとみんな「ホントかよ?」って顔をします。
多少の数学は使いますが、これからそれを実践して見せます。

今日は、初めなので問題には触れず、私とデリバティブの出会いを紹介します。

日本で証券会社に入社すると証券販売員としての外務員資格を取らされます。
1種と2種があり、2種は、株や債券などに対する資格です。

1種は、先物・オプション取引などいわゆるリスクの高い商品についての資格�
と仰々しく書いてあり、なんだかとても怪しげな存在でした。

なんだ? 先物・オプションって? 小豆・とうもろこしとかかな?
って思っていたのです。

入社して数ヶ月目、支店研修中、「先物・オプションってなんですか?」
って聞いてみました。そこで、先輩社員がおもむろに日経新聞を取り出し、
「オプション・ワラントは、俺の得意なやつだ。バブルの時はよくやった。」

見ると、日経の マーケット総合欄の下の方に、株価指数先物・オプションとある。

「コールは、株が上がったら儲かんだよ。例えばこれな。」
コール 行使価格 16500 終値 30 のところを指差してる。
「月の第2週金曜に日経が17000円になったとしたら、17000引く16500で
500円貰えんだよ。30円が500円だぞ。今日経が15500円だろ?
株が10%しか上がらなくても、オプションは10倍以上になるんだ。
レバレッジが効いてて面白いだろ?」

次は プット 行使価格 14500 終値 70 のところを指差しながら 
「プットはその逆な。10%下がったら14000円だろ?14500-14000で、また
500円貰えるわけ。70円が500円ね。儲かるだろ~?
でもな、コールもプットも、もし第2週金曜までに上がらない(下がらない)と
紙くずなのよ。つまり0円な。紙くずなるか?10倍か? すげーリスクあんだろ。」

これを聞いて、�惚れた。一瞬で惚れた。
「あっ!これだ」って思った。

そして、7年近く経った今でも、デリバティブを愛している。
この言葉に、一点の揺らぎも無い。

おそらくこれから書くであろうデリバティブの内容はデリバティブ業務従事者
意外には理解できない内容かもしれないが、それでもあえて書きたい。
読んでもらえば、私のデリバティブに対する思いが本気であることが
わかってもらえると信じている。