ヤンデレな兆候は、歴史的にもそしてGlobalにも広く存在し、インターネットで調べきれないまでも多くの
書物に架空・現実含め記録が残っていることでしょう。
例えば、歌劇TurandotのTurandotとLiuについて検証してみましょう。
トゥーランドットは花婿候補に謎かけをし、答えられなければ、相手を殺すということを繰り返しました。
3つの謎を解いたカラフは、「夜明けまでに私の名を明らかにできたら、命を捧げよう」と返しつつも
自ら自分の名前をトゥーランドットに明かします。夜明け、トゥーランドットはカラフの名を知りながらも
「彼の名は愛」と叫び、二人は結ばれるという物語です。
「彼の名は愛」とか呑気に言っていますが、拷問で人を殺しておきながら、その翌朝の告白です。
トゥーランドットは明らかに病んでいますが、最後までデレていないと言えばデレていません。
物語は結ばれた所で終わってしまうので、カラフが離れようとした場合、トゥーランドットの狂気が
発動すると想像しますが、それは私の勝手な想像に過ぎません。
一方のリュウは、夜明けまでに名前を明らかにしたいトゥーランドットに拷問にかけられ、
沈黙を守るリュウに対し
Turandot お前の胸に誰がこのような力を与えた? Liu 皇女さま、それは愛です。 Turandot 愛? Liu 告白することもできないひそやかな愛...
とLiuは語り始め、ついには
Liu あの方(Kalaf)にあなた(Turandot)の愛情をおくることになるからです。 Liu あなたを彼に差し上げます、皇女さま、私は全てを失うのです。全てを失うのです! Liu 不可能であった希望まで
と言って、自らの命を絶ちます。
ヤンデレに共通する脅威の攻撃性はありません。トゥーランドットに命をかけて挑戦するカラフに対し、
「お止めください王子様」と歌うだけで、刺し違えはしなかったところには奥ゆかしさを感じ取ることが
でき、ヤンデレに相当しないとも言えましょう。ただし、過激な自傷には該当します。
リュウはカラフの奴隷であったことを勘案すると、この台詞は聞き逃すことはできません。
「あなたを彼に差し上げます、皇女さま、私は全てを失うのです。」ってどこまで上からですか?
失うって、既に得ていたことになっているのですね? リュウちゃんの中では。
沈黙の自己犠牲愛という解釈もありましょうが、私はこの台詞にリュウの病魔を感じます。
もう一つの作品、有名どころのサロメですが、最古のヤンデレとネット上で囁かれております。古代パ
レスチナの実在上の人物とされ、紀元前37年-紀元前4年に王位にあったヘロデの妃ヘロディアの娘。
オスカーワイルドによって戯曲化されたのは1893年と最近のことですが、いずれも他のヤンデレたちに
比べ圧倒的に歴史が古いのは間違いないところです。また関連する芸術作品や物語の多さも他の追従
を許さない状況です。
サロメはTurandotに近く、最初から最後まで自己中心的な強い欲望に駆られており、献身・自己犠牲
的な部分は微塵もないタイプです。気の毒にも意中の人、ヨカナーンには「おまえは呪われている」と
嫌われまくり、ヨカナーン生存中には、その姿すら見ることができなかった悲運の美女です。
海外作品なので大和撫子精神はかけらもなく、日本での評価は低くなることでしょう。しかし狂気のレ
ベルもまた群を抜いており、私はそれを高く評価したいと思います。
対照的な現代の日本のヤンデレ山岸由花子の危険な兆候を再度検証してみましょう。
それは「あたしのためにりっぱな男の人になれないわよ」の一言に凝縮されており、自己中心的発想
と依存症の始まりです。自分が能動的に動くことを想定していない他力本願な受身気質を示しています。
かつ、縁の下の力持ちに徹するのが大和撫子と「奥様」の真髄でありましょうが、縁の下に治まりきるこ
とができない狂気の意思が共存していることがよくわかります。
【この世の良い女・ヤンデレ特集】
2009.12.07: 一度は言われてみたい口説き文句ランキング
2009.10.28: 女の好みも時と共に成長する
2009.08.31: Madoff’s Other Secret 愛、金、バーニー そして わ・た・し
2009.07.06: 職業Investment Banker? 男と女のM&Aで100mil
2009.05.08: 私はカネ目当てじゃない ~怒りの代償
2009.04.27: 最近オケが楽しい
2008.09.29: 一族の覇権
2008.09.08: いい女発見!
2008.08.20: 久しぶりに小説を
2008.05.12: 夢をアツク語る女
2008.05.09: LiuとTurandot
2008.05.08: サロメ
METライブビューイング 歌劇「トゥーランドット」
1月22日、新宿の松竹ピカデリーで「METライブビューイング」プッチーニ作曲、オペラ「トゥーランドット」を見ました。
ニューヨークのメトロポリタン・…