旧正月にオープンしたシンガポールカジノ。色々と忙しくて行く機会が無かったのだが、ついに行くことができた。日
曜の午前中だったせいか、友人から伝え聞いて懸念していたタクシー・駐車場の渋滞、外国人入場口の混雑も一
切無く、実にスムーズに入場することができた。 PR・Citizenは入場料が100SGD。私は外国人特権で無料である
カジノは、天井が高く、非常に清潔で、客層はアジア人が中心ではあるが、マカオの中国系カジノのような雑然とし
た「賭場」のような感じは全くなく、マカオの米系カジノより、さらにラスベガスに近い雰囲気
と言って良いだろう。
バカラ・ブラックジャック・テキサスホールデム・カリビアンスタッド・ルーレット・ビッグオアスモール(大小)など定番
商品が中心のラインナップで、ミニマムベットは50~100SGDの設定である。(ルーレットは5SGD程度)
スロットマシーンは2-5セント台と随分とチープな感じで、客数が少なく、MEGA BUCKSのような10mil Progressive
Machine(=累積賞金型でネットワーク接続したマシーンが大当たりが出るまで、大当たり総賞金が累積されるタイ
プ)は置いていない。
残念ながら、私の大好きなCrapsは、あの風呂のような台を見つけることすらできなかった。おそらくディーラーの技
術を要請するのに時間と手間がかかるため、このプレオープンでは斬られたか、コストカットのためしばらく置かれな
い可能性もある。マカオの米系カジノですら、Crapsの導入には慎重で、Sands、Wynnともにおいておらず、後発の
MGMにようやく数台置かれた程度である。兼ねてから言っているように、CrapsのPayoutとBetの対称性はアジア人
には必ず受けるギャンブル性
ゆえに、もっと積極導入が望まれるが、ゲームをハンドルできるディーラーの要請だけ
がネックになっているのだろう。
テーブルゲーム・スロットマシーンは、半分以上がService not availableとなっており、若干寂しい感じはあるものの
稼動しているテーブルを、客が二重三重に取り囲み、プレイするのも一苦労。アジアらしく整然と並ぶなどということ
はありえず、どうやって空きを待つのかもよくわからない状態である。よく見るとブラックジャックテーブルの7つのス
ペースのうち、一つが空いているようだったので、後ろ側に立ちながらチップ交換をし、軽くやってみた。
Dealer must stand 17なので、気持ち顧客側有利の設定だ。
Dealer must hit soft 17=Aを含む17の場合、Dealerはもう一枚引かなければならない。
Dealer must stand soft 17=Aを含む17の場合、Dealerはそこで止めなければならない。
の違いだが、must standが顧客に有利な設定となる。
シャッフルは当然Automatic Shuffleで、Deckの数は不明。
Single Deck:カードは一つの組、52枚を使ってゲームを行う。
Double Decks:カードは2つの組、合計104枚を使ってゲームを行う。
Deckが少なければ少ないほど、カードカウンティング(Aや絵札の残りの数を数えながら賭け額を変える方法)が
有効となる。ラスベガスの標準は6Decksで、6DecksやAuto Shuffleの場合、カウンティングはほぼ無効となる。
ミニマム50のテーブルで、ミニマムを賭ける。
1回目、ディーラー4のこちらの手札9。すかさずダブルダウン。
ダブルダウン:ディーラの1枚とこちらの2枚を見た後で、後1枚しか引かないから、倍賭けさせろという顧客側の権利。
これを使わずしてBJの勝ちはありえないとされる貴重な権利。
ダブルダウンはところにより11のみ可という制限のカジノもあるがシンガポールでは全てOKなので顧客有利
スプリットも何でも可だが、Aの場合のみ一回しかHitできないという標準的なルールである。
結果は、ディーラーバストで+100SGD。
2回目、またミニマム50。ディーラーAのこっち13。死亡確定だが、サレンダーは認められず
サレンダー:ディーラの1枚とこちらの2枚を見た後で、負けを認めるから掛け金の半分返してという顧客側の権利。
マカオでは一般に認められ、ラスベガスでは一般に認められない。これも非常に重要な権利。
案の定、負けで-50SGD
3回目、またミニマム50。こっちBJでちゃんと1.5倍の75SGDが返ってきた。+75SGD
3回で、一通りの役が確認でき、結果が+だったので終了した。
テーブルの周りを囲む客に紛れ、立ちながらプレイせざるを得ず、座っている客はいつまでも立つ気配が無かったことも
止めるきっかけとなった。水とコーヒーのサービスはあるようだ。カジノで水とコーヒーとはまったくシンガポールらしいが
カジノで酒を無料配布する意味は、酔って気分を大きくしてもらい一杯賭けてもらうこと。ま、シンガポール人は飲まない
から意味の無いサービスなのかもしれないが。
嬉しいことに、この嫌煙国家シンガポールが、喫煙者領域を作っている。禁煙コーナーと引けを取らないスペースが確保
されており、これに対する評価はしたいと思う。喫煙者が禁断症状が出るたびに席を外して、煙草を吸いに言っているよ
うでは回転率も下がるし、外に行っている間に冷静になられて勝ち逃げされては、商売上がったりだからだ。
カジノ横の食堂はホーカーセンター並に安く、3-5ドル程度の食事が並んでいる。これも法外な値段に設定すると顧客が
カジノの外に飯を食いに行ってしまうことを防ぐための設計
である。
長い時間、何回も繰り返しお客様に賭けて頂くように作り、期待値に収束させるよう努めているのがわかる。
監視カメラの設置も対ラスベガスに比べると甘く、テーブル周辺に集中的に配置されているように見えた。ラスベガスでは
カジノ域内の全てに死角があってはならないという規制があるが、コストカットと効率重視の経営スタイルなのか、見る限り
シンガポールでは、全域には無いように思える。
勝った顧客からも徹底的に毟り取るためのシステムであるブランドショップ・しゃれおつなレストランの誘致、そしてマカオで
ありがちなアジア全域からの美女軍団が待ち受けているようなお風呂屋さんがカジノから出た瞬間にある気配は全く無い。
総評としては、ルールと商品ラインナップは非常に標準的で、まずまず良心的な設定と言えるだろうが、稼動テーブルが
少なく、落ち着いて座ってできないのだけが難点と言えよう。
【Casino・カジノ】
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2008.11.04: Macau入境規制の理由の推測
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