2008年10月16日 Butterflyとは? Volatility Smileの存在理由 
でコメントが集中したので、別の解説記事をご用意させていただきました。
Butterflyが持つ基本性質 VegaとVolgaについて、
“VolgaはOutなものが強く、ATMは弱いゆえに”
に対しての解説を全くしていなかったので、直感的な方法で説明します。絵と想像力。
現値100 Strike 100、110、120の3つのコールオプションを考えます。
横軸xをVolatility、1%~100%、縦軸yをPremiumというグラフを書いてみます。
グラフを実際に書く前に、まずは、短いコールオプション、1ヶ月ものの動きを想像してみましょう。
Volatilityが1%の場合、1ヶ月で120までは、到底、到達することはできません。
1Month1σ=1ヶ月で到達できそうな範囲は、Volatility÷√12です。√12は面倒なので3としましょう。
Volatility = 1%だと、1%÷3なので、0.3%くらいが妥当な範囲なので120どころか110にも到達することは
ないでしょう。
Volatility 2%だろうが、0.6%です。3σでふれても2%もいかないので、110も120もプレミアムはZeroです。
ところが唯一、100=ATMだけは感応度がありそうなことが想像できます。
では、実際にグラフを見てみましょう。
1m-prem.JPG
Volatility 1~10%くらいの範囲まではOTMのOptionは感応度がZeroです。
で、下に凸で、かつ、曲がり具合が一番強そうなのは、120というのがわかります。
さて、もう一度Greeksの定義に立ち戻って、
Vega=PremiumのVolatility感応度==Volatility σの1階微分
Volga=VegaのVolatility感応度==Volatility σの2階微分
ということは横軸Volatility、縦軸Premiumの上記グラフにおいて、上に凸ならVolga Negative
下に凸ならVolaga Positive
だということがわかります。
見えにくいという人のために、今度は縦軸をVegaにして引きなおしてみましょう。
1m-vega.JPG
ぉぅ・・・ファンタスティック。
そして、想像力の世界の拡張の手助けのグラフのために、
現値100 Strike 100、110、120の3つのコールオプション。今度は、満期まで10年
つまりオプション価格=Premiumが、上限値である現値Sに漸近していく姿を想像して欲しいのです。
10y-prem.JPG
上限値Sに漸近するということは、その領域では確実に上に凸。つまりVolga Negative。
ATMはOTMに比べて、早くその領域に到達するということです。
ご参考までに同様に10years OptionのVegaのグラフを。
10y-vega.JPG
ですからATMはOTMよりもVolgaが弱いと想像できます。これはオプションに慣れてくると
ブラックショールズやグラフ無しでも自然に想像できるようになってきます。
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