去年のクラッシュでシコタマやられたWorst of なんとかオプションは現在勢いは相当弱まっているものの
Multi UnderlyingのOptionはもはやMarket Standardと言っても良い状態です。

では、Multi UnderlyingのDeltaの定義はどのような方法で与えられるでしょうか?

それを考察するに一番良い究極の状態(オプション)をここに記します。

満期まで一日の10銘柄のWorst of Forwardを考えます。

今日が値決めなので、全てのAssetのperformanceが一致しています。

Worst of Forward:=Min(Pi); Piは各銘柄ごとSi(t)/Si(0)

満期まで一日ですから、driftもVolatilityも無視して0と考えればので、Forwardは1=100%
(Si(t)=Si(0))です。

それでは定義通り各Underlyingの偏微分(実際には差分)でDeltaを計算してみます。
Underlyingごとに差分をとりますので、とあるUnderlying ”S1″をあげた場合をS+と記述すると
S+は+0円、S1-は-1円なので、全てのUnderlyingでDeltaは0.5と出ます。

もう少し具体的に書くと
Min(101%,100%,…100%)-Min(100%,100%,…100%)=100%-100%=0
Min(99%,100%,…100%)-Min(100%,100%,…100%)=99%-100%=-1%
よって上側は0で下側にDelta1(1%下げに対して価格1%の変化なので)であることからDelta=0.5=50%
10Asset worstで全てのAssetに対して対称なのでTotal Deltaは500%になります。

ここでHedged Portfolioを想像してみます。

もし、全体が1%下がると、Hedged Portは、株が-5.0円で、Worst Fwdは+1円となり、-4円のLoss。
一方、全体が1%上がると、株が+5.0円で、WorstFwdは-1円で、やはり+4円のGain。
よって、上がっても下がってもこのDeltaがOver Hedgeであることがわかります。
これに確率分布がのったとしても、Performanceが近い時はDeltaが大きく出る傾向があることは明らかです。

理由はDeltaの偏微分という計算プロセスが0Correlationを想定しているので、上で示したように全体が
同時に動く1Correlation Deltaとの差があるのです。よって偏微分定義とは別に1Correlation Delta
をWatchし、多角的に判断していく必要があります。

ちなみにこれ、Multi UnderlyingだけじゃなくてQuantoでも同じことが言えます。

去年Derivativeで損したデスクが多いでしょう?
偏微分で定義したDelta見てたなら、それは単なるOver Hedge
去年のマーケットだったら、大損するのは必然でしょう。

Correlationで損したって説明を色々な方面から聞きますが、それが間違ってるとは言いません。

でも2weekのオプションをショートしてぐわんぐわんに株が動いた時、Vegaでやられたって言います??
Gammaでやられたんすよね?

その感覚で言うならば、Crossed GammaOver Hedgeでやられたというのが適切な表現なのでは??