昨今、消費税増税が議論されていた中、97年の消費税増税後に、石弘光税調会長が税金をとる立場から最も民に嫌われる消費税をはじめ、税全般の必要性や制度の素晴らしさを語ってくれている。個人的には消費税増税賛成論者で、他の金融資産・金融所得課税が非課税化するならば、消費税は100%でもかまわないのだが、労働者諸君だけでなく、日本の資産家階級にとっても特にメリットがないから、もとい、金融所得課税の非課税化などの日本の隙の無い税制に穴をあける愚行を大蔵省が認めるわけ無いので、実現することは無いであろうw
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国家権力の象徴
税金を支払うのが国民の義務ということは、裏返して言えば税金を徴収するのが国家の権限になる。この場合、税金は国民の自由意志により任意の額を拠出するというのではなく、ある社会的ルールに従い国家が強制的に賦課するという性格のものになる。封建時代あるいは今日ではいま急速に市場経済化が進められている新旧の社会主義国(中国、モンゴル、ヴェトナム、旧ソ連、東欧)などでは、税金に関するこの社会的ルールが確立していない。税金の支払額は、政府と納税者の間の交渉ごとで「値切れる」という慣習が残っている。ある強制力をもって徴収しないと不公平が生じ、かつ必要な額だけ調達できないからである。
タックス・ペイヤーの意味
国民は通常、タックス・ペイヤー(taxpayer)だと云われる。そしてこの英語は一般に「納税者」と訳される。これまで税金を支払うのは国民の義務だと強調してきたが、このタックス・ペイヤーの背後にある意味内容が重要となる。我々日本人は、税金を「納める」のではなく「取られる」と表現する。「取られる」という発想の裏には、自分の意思とは無関係にお上に無理矢理、むしり取られるというイメージが介在する。少なくとも国民の義務をすすんで果たすといった気持ちが込められていない。したがって、支払った税金が政府によってどのような使途に充当されるのか、あまり問題にされない。どれだけの税負担をして政府にどのような公共サービスを要求するのか、という本来のあるべき視点が欠落している。そこで税金は極力軽く、政府支出からのサービスは極力大きくといった矛盾した主張が、選挙の折などに平気で登場することになる。タックス・ペイヤーとは本来、税金をすすんで「納め」何に用いられるのかその使途面まで監視する者ということを意味している。市民革命を経験し自分達で社会を築いてきたという西欧社会の市民意識にもとづく発想である。

> 日本人は、税金を「納める」のではなく「取られる」と表現する。「取られる」という発想の裏には、自分の意思とは無関係にお上に無理矢理、むしり取られるというイメージが介在する。
> どれだけの税負担をして政府にどのような公共サービスを要求するのか、という本来のあるべき視点が欠落している
おっしゃる通り過ぎて反論の余地がないなw 日本に住んでいないから消費税増税に対する民の反応が今ひとつつかめていないが、89年第一次、97年第2次の「ダメなものはダメ!」というような感情論的拒絶反応は少なくなったのではないだろうか? 「年寄り増えるししょうがないよね」という国民的理解が16年の時を経て、民の意識に芽生えたことは進歩のような気がする。
私の父は、国庫に貢献することはまずないほどの小額納税者であり、そうであるから、自分がいくらの税を支払っているかも認識していない、しがない”民”だが、「俺の払っている税金では俺が歩いている道路の建設費用や、お前の学費にも満たないだろう。」と発言していた。父は何度説明しても国立大学の学費はタダ同然と信じ込んでいるので、私の学費に関しては明らかな過大評価をしているのは間違いないが、父は支払った税金以上の国家サービスの恩恵を受けている側の納税者であるのは事実であり、謙虚で正しい納税者意識を持っていたといえよう。(発言が過去なだけで父は存命です)
そこの民。私の父を見習えw 「増税の前に無駄な支出を減らせ」とか文句を言う前に、その無駄な支出の恩恵を受けているのはお前だということを知れ
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