ライバルに読んで欲しくない麻雀の本、読んで強くなる麻雀の本かも。なので内容を具体的に書かずに超要約してまとめると
第1章 変な格言信じるの止めない?
第2章 大事なのはとにかくスピード(リーチと良形待ち)
第3章 攻守分岐点、聴牌Go、イシャテンStop
第4章 おりる時はとにかく現物。
第5章 何切るクイズ
第6章 配牌悪くともないてあがりにこぎつける
第7章 強さの規定
とまぁ、こんな感じで、非常にシンプルに、データを元に定量的な姿勢で書かれている。面白いことに、近代麻雀に代表される麻雀漫画やドラマは、この本の対極、やたら高い手(3900点じゃドラマにならないからだが)、スピード軽視(とにかく即リーでもドラマにならない)、一点読みの強気打牌(合理的に考えて無理だろ)、などが散見される。
巻末のプロ雀士たちの反論も気持ちは理解できないでもないが、この本はコンピューター雀士最強の可能性を示唆している。パターン認識と最適戦略を実行し、読みや流れと言った偶然性を持たないブレない打ち方をする雀士だろう。オセロ、チェス、将棋の世界でもコンピューターが人間を打ち負かす中、麻雀は例外ととらえる方が不自然だ。競技人口の偏りから、最強プログラムは日本で生まれると予想する。麻雀の本家の中国の経済規模は、GDPで追いついているのだが、こういう開発や文化的なレベルでは日本に追いついていないということを証明することになろう。ソースコードのByte数はオセロ<麻雀<将棋 の順になろう。
いつの時代、どこの世にも、伝統的手法の信奉者たちがおり、おそらく我々の世界も同様である。切った張ったの”相場観”が支配的で、様々な無意味な格言がある(けっこう名言が多いので個人的には好きだが)。そこにコンピューターや数学が導入された時、まったく理解できない長老たちが拒絶反応した。
「数式で将来の株価が導けるのなら、世界で一番の金持ちは数学者になるはずだ。」という抵抗勢力の戯言はよく聞くが、そもそも株価は予想するものではないというArbitrageの発想なのね。実際、Arbitrageは四則演算と機械でできるものも多いので、Arbitrage Opportunityなどほとんど存在しないのが現実で、よりタイトにMarket Makeするために、数学を利用するという程度のことだ。
なかなか面白い本でしたと褒めておきましょう。今までこういう本がなかったのが麻雀の狭さですね。「理系の専攻で銀行で何するの?」みたいな発想がまだあるので、麻雀界でも早く数学を導入し、とつげき東北の次世代は、最強プログラムの開発に勤しんで欲しい。コンピューターの処理速度次第だが、全員プログラム雀士なら東南回しで数秒で終了というシュミレーションも不可能ではなく、1000半荘の統計も容易に取れるであろう。これが基盤開発。プログラム雀士は、基盤から情報をもらうだけなので、開発の参入障壁はかなり低く、多くの優秀なプログラムが集まると思うが、最強ロジックはかなりシンプルなものとなろう。解く前に、解の存在と一意性から、ということで予想すると、一意性はあると予想する。つまり、相性(相手)によって結果が激しくぶれてしまい、最強プログラムが一つに規定できない状態にはならず、どんな相手でもムラなく勝てるロジックが作れてしまうであろう。
真面目な話をしている最中、非常に申し訳ないのだがプロというのはこういうことだ。

おしえて!科学する麻雀
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