言論の修練にあずかる期間としては、持続的かつ集中的にそれに専念して他のことは一切行わず、修練するとするならば5年間。その期間が終わった後で、戦争に関する事柄の統率などの若いものに適した役職を義務として課さなければならないことになるからだ。そうした実際の業務の中でさらにもう一度、あらゆる方向への誘惑に対して確固として自己の分を守り続けるか、それとも動揺して脇へそれることがあるだろうかということを、試さなければならない。15年間。そして50歳になったらば、あらゆる点で最も優秀であった者たちを最後の目標へ導いていかなければならない。魂の眼光を上方に向け、すべてのものに光を与えているかのものを、直接しっかり注視させるということだ。そして彼らがそのようにして善そのものを見て取ったならば、その善を模型(模範)として用いながら、各人が順番に国家と個々人と自分自身とを秩序付ける仕事のうちに、残りの生涯を課すように強制しなければならない。彼らは大部分の期間は哲学することに過ごしながら、しかし順番が来たならば各人が交代に国の政治の仕事に苦労をささげ、国家のために支配の人につかなければならないのだ。

自分に代わる国家の守護者を後に残したならば、彼らは<幸福者の島>へと去ってそこに住まうことになる。国家は彼らのために、公の行事として、記念碑を立て犠牲をささげる儀式を行うことになろう。ピュティア(デルポイ)の神託がよしとされるなら神霊(ダイモーン)として祀り、そうでなければ、祝福された(エウダイモーン)神的な人々として讃えながら。

後の国家元首の「任期」である。

彼らのうちで哲学においても戦争に臨んでも最も優れている人々が王となること。支配者たちはその任に着くと、兵士たちを我々が先に述べたような住居へ連れて行って住まわせるのであるが、そこには誰にも何一つ私有されるものは無く、それはみなの者に共同の住居であるということ。彼らは誰も、こんにち一般の人々が所有しているようなものを何一つ所有してはならず、いわば戦争の専門競技者であり国の守り手であるから、他の人々から守護の任務に対する報酬として、仕事に必要なだけの糧を1年分受け取り、自分自身と他の国民の面倒を見ることに専念しなければならない。

4種類の国制、僕が言おうとしている国制は一般に通用している名称を持ったものばかりだからね。すなわち、まず、多くの人々から賞賛されているところの、かのクレタおよびスパルタふうの国制(名誉支配制ティーモクラティアー)がある。それから、二番目の国制で第二番目に賞賛されているもの寡頭制(オリガルキアー、財産の評価を基準とする有産階級による支配制))と呼ばれている国制があり、これは実は多くの悪をはらんでいる国制だ。それから、その敵対者であり、それに続いて生じてくる民主制。そしてこれらすべての国制にたちまさる高貴な僭主独裁制。これが第4番目にあって、国家の病として最たるものだ。世襲王権性だとか金で買われる王制だとか、またこれに類するさまざまの国制だとか言ったものは、いま挙げたものの中間的なところに位置づけられるものだろう。

あなたの言われる寡頭制とはどのような制度のことでしょうか?

財産の評価に基づく国制だ、つまり、金持ちが支配し、貧乏人は支配にあずかることのできない国制のことだ。各人が持っている、。彼ら自身もその妻たちも、法に従わずにね。

デュポン家のGM売却と譲渡益課税非課税。あるいはマイクロソフトの初の配当とブッシュ減税などがこれに当たる。

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寡頭制から民主制への変化は、およそ次のような仕方で起こるのではないだろうか。寡頭制国家の支配者たちがその任にあるのは、多くの富を所有しているおかげなのであるから、彼らは若者たちのうちに放埒な人間が出てきても、これを法によって取り締まって、自分の財産を浪費して失うことができないように禁止することを欲しない。というのは、この支配者たちには、そういう者たちの財産を買い取ったり、それを担保に金を貸したりすることによってもっと富を増やし、もっと尊重されるようになろうという気があるからだ。

金を儲けている者たちは、身をかがめて仕事に熱中し、そうした貧乏人たちのことは目にも入らぬふりをして、その他の人々のうちに言うことを聞くものがあれば、そのつど金銭の毒針を差し込んで傷つけ、そして親金の何倍もの利息を取り立てては、雄蜂と乞食を国のなかにますます生み増やしていくのだ。支配者たちは支配される者たちを、国の中にいま言ったような状態に置いているのだ。

痩せて日焼けした貧乏人が、戦闘に際して、日陰で育ち贅肉をたくさんつけた金持ちの側に配置された時、貧乏人は金持ちがすっかり息切れして、なすすべもなく困り果てているのを目にするだろう。-このような場合、彼は、そんな連中が金持ちで居るのは自分たち貧乏人が臆病だからだ、というように考えるとは思わないかね? そして自分たちだけで集まるときに「あの連中は我々の思いのままになるぞ。何の力もないのだから」ということを、お互いに口から口へと伝え広めていくとは思わないかね?

貧しい人々が戦いに勝って相手側の人々のうちのあるものは殺し、あるものは追放し、そして残りの人々を平等に国制と支配に参与させるようになった時、民主制というものが生まれるのだ。そして大ていの場合、その国における役職はくじで決められることになる。

2200年後のフランス革命である。