日本人は自国通貨が下がると喜ぶという世界でも稀な民族(唯一ではなく、もう一つはスイス)であるが、グローバルに経済がつながっている以上、円安は日本人にとって日本の地位が下がることを意味していることを再認識しておきたい。ちなみに私は円高になると「円高で日本はだめになる」、円安になると「円安で日本はだめになる」と言っている人たちとは異なり、首尾一貫して、円高は円資産の価値を相対的に上げると、超当たり前のことを言っているのだ。例えば
2009.03.12 ゆっくり見ると為替(FX)が通貨(Currency)に見えてくる
の記事でも、2009年、1ドル90円の時代から一貫して述べていることだ。円高のメリットを日本人に言っても通じないか? 円でしかものを見れない、円のみを尺度としてしか価値判断ができない、そんな円を信仰している信奉者には、アジア通貨はどう見えているだろうか?
アジア通貨がFree-Floatではないことは今まで触れてきたが、もう少し簡単な話をしよう。アジア通貨の値動きそのものをご存知かな?
アジア通貨の値動きと言えば、1997年のアジア通貨危機で大暴落した通貨群という印象があろうが、最近1年、3年、5年でどのように動いているか、知っているかね? アジア通貨は値動きが荒く、先進国の金融政策や景気変動に影響を受けやすく、米国の金融緩和停止、利上げを織り込みつつあるマーケット環境で大きく下落している? これがアジア通貨など見たこともないのに、そう思い込んでいる日本人の一般的な感覚ではないだろうか?
では実際に、基軸通貨であるUSDに対して、アジア通貨がどのように動いてきたか見てみよう。ドルに対する1年間のパフォーマンスとDailyで計算したVolatilityである。(Cocos債だトヨタAA種類株式だと緊急アップしたのでちょっと情報が古くて申し訳ない。計算時点は2015年6月15日)
Asia-Ccy-Perf-Vola-1y.png
中国人民銀行による作為的相場形成で自国通貨をドルに固定している中国元が1位だ。HKDはカレンシーボード制で固定しているのでVolatilityは無いに等しい。えーっとぉ…一番下がってる通貨は…何か見えるかね? 一番値動きが荒い通貨はどれかね?