アーサー・アンダーセンは1913年「真っ当に考え、率直に話す」をモットーに、監査法人を設立した。大恐慌の間、同社は企業幹部のためではなく、株主のための監査で名を上げていった。アーサー・アンダーセンの監査と言えば、非の打ち所のない財務諸表の代名詞になった。しかしやがてその評判は大きく変質していった。例えば1950年代に、同社のあるエンジニアは重要な発見をした。コンピュータを使って簿記を自動化したのである。同社はこの方法を顧客にも教えるようになった。この結果、同社はコンサルティング業に傾倒した。80年代の競争激化のなか、監査料金は下がっていき、アンダーセンは新たな収益源を探していた。同社のパートナーたちは、コンサルティング業務を監査業務に接木する必要に迫られていた。1990年代、これは非常に素晴らしいアイデアに思われた。実際、監査の売上は横這いだったが、コンサルティングは急発展していた。問題は、コンサルティング部門が売上の大半を担うにつれて、分け前を監査部門に分配するのをしぶり始めたことだった。かつて業界のトップだったアンダーセンは、この頃には5位にまで低落していた。コンサルティングが発展するにつれて、監査員には仕事を取ってくることや、なりふり構わず顧客を維持する重圧が強まった。これ以上業界での地位を落とすわけには行かなかった。経費節約のため、56歳での早期退職も実施した。これは若手の勇み立った、しかし実質的な仕事の技量には欠ける若手監査員が増えていくことを意味していた。1990年代初頭、スティーブ・サメックという世間ずれした叩き上げの監査員が担当していたクライアントのボストン・チキンが倒産したにもかかわらず社内で権勢を誇るようになった。彼は社内公演でマーケティングの力を力説した。マーケティングは古めかしい監査などよりもずっと楽しくて儲かる。監査など退屈だし、いずれにせよ、これでは食っていけない。今やアンダーセンの暗黙の新たなモットーは、「やっちまえ」、つまり顧客の望みどおりにしろ、だった。
アンダーセンはもともとインターノースの監査法人だったが、大手好みのケン・レイは、合併に当たってこれを変える必要を感じなかった。生まれたての会社にとって、アンダーセンの監査を受けることは箔付けになった。アンダーセンは80年代はヒューストンで最大の監査法人であり、ベンゾイルやテネコなどの一流クライアントを抱える石油業界の御用達監査法人だった。その監査は、一応は厳格と言われていたが、その実、不況時に必要に迫られると、創造性を発揮してクライアントを延命させていた。エンロンの規模とプレステージが成長するにしたがって、両者の力関係は変わり、より共生的になっていった。例えば、アウトソースされたエンロンの社内監査チームはアンダーセンが引き取った。エンロンのヒューストン本社に開いたアンダーセン分室は、他の支社並みの規模になった。両者間のキャリアルートはすっかり確立し、プレッシャーがきつく給料の安いアンダーセンから、プレッシャーはさらにきついが自由と高給の得られるエンロンへと、人は続々と移っていった(リック・コージーやシェロン・ワトキンスは、このルートをたどた数百人のごく一例に過ぎない)
エンロン内部告発者 3/6~会計士と評価方法
ハイデガーの思想 1/4~理解するために
「存在と時間」でハイデガーが何を言おうとしていたのか、未だ理解できずw まぁ予想通りだが、何冊か買ったので、何度か読んで理解を深めていこう。
噛み合わない論争
ハイデガーの著作や講義を丹念に読んでいる人たちは、一様にその思想によって震撼され、その崇拝者ないしは信者になり、ハイデガーの言うことを一言一句ありがたがって、それを口まねすることしかしない。こうした人たちにとっては、ハイデガーのナチス加担もそれなりに考えのあってのことか、少なくとも時局のしからしめる不本意な出来事で、その思想の本質には関わりない、免責されてしかるべきだ、ということになる。一方、ハイデガーの批判者は、ほとんどその著作を読んでいない。多少は読んだというかもしれないが、おそらくそれは、読まないで済ます理由を探すために読むといった読み方であろう。当然この人たちにとっては、ハイデガーのナチス加担は、その著作がいかに読むに値しないかを示す絶好の材料でしかない。ほら、やっぱり、というわけで、事実の摘発だけに奔走することになる。どちらもどちらなのである。信奉者たちのようにあからさまな事実に目を閉ざすのも問題だが、その思想を無視して事実の暴露だけに専念する批判も、それでは有名人のスキャンダルの暴露と変わりはない。
> ハイデガーの批判者ではないが、俺の読み方はまさに「読まないで済ます理由を探すために読むといった読み方」だw
グッドウィルで380億円を稼いだ男 3/3~ソチ人工島計画
クリスタルは昭和49年に林純一が設立した株式会社綜合サービスを前身とする会社で平成15年には主に人材派遣や業務請負等を行っていた200社の純粋持ち株会社だった。林は一代でクリスタルを売上高5000億円を超える企業へ発展させた。この売上高は平成18年時点で上場していた主要人材派遣会社と比べても圧倒的に大きなもので、株式会社パソナ、テンプスタッフ、そしてグッドウィルグループもすべて売上高は2000億円クラスでクリスタルの半分でしかなかった。しかし、一方で上場もしていなく、日本人材派遣協会や日本生産技能労務協会というような業界団体に加盟すらしていないという謎めいた部分も多かったため、周囲からは疑惑の目で見られていた。一代でここまで事業を拡大した林がクリスタルの売却を決意したのは、健康上の理由からだった。三和銀行を平成11年に退職した茶床信輝は、同行の先輩から相談を受けて、クリスタルの林純一オーナーから事業再構築の依頼を受けていた。茶床は当初人材派遣というクリスタルの本業に関係の無い子会社の売却を進めようとしたが、思うように進まなかった。
その後、クリスタルの子会社の株式会社コラボレートが偽装請負で行政処分を受けてしまった。大阪労働局はコラボレートが偽装請負を行ったことを理由に平成18年10月3日に労働者派遣事業停止命令および労働者派遣事業改善命令を出した。偽装請負とは契約上こそ請負という形をとっているが、その実態は労働者派遣であり、労働基準法に抵触する行為のことを言う。特に当時は製造業で多用されていた。そのため林は平成18年10月上旬に茶床を滋賀の自宅に呼んで「クリスタルを売ってしまおうと思うんや。ただしデューデリはなしや」と言った。林は一代で築いたクリスタルという会社に人一倍思いいれも強く、求心力を持って会社を引っ張っていた自分が、クリスタル株を売却することを役員や社員に知られてしまったら、彼らがクリスタルを辞めてしまって、会社が空中分解してしまうことになるのではないかと恐れていた。
クリスタルは当時連結で1000億円前後の純資産があり、売却金額もそれに見合ったものになる。デューデリができない、ということは本来ありえないことだ。そのような中で、茶床が頼ったのが中澤だった。売上高3000億円以上のみ上場の人材関連の会社といえば、クリスタルくらいしかないと思ったが、社会的評判が悪すぎる上に、デューデリできないとなれば無理だろうと思っていた。それでも、社名を伏せて知人の新生銀行の行員に検討可能か聞いてみたが、やはりデューデリなしでは不可能ということだった。中澤は私以外にも必死に出資者を探していたが、デューデリできないということでかなり難航しているようだった。
投資家が決まらない中で、中澤が頼ったのが緋田将士だった。中澤は知人の海老根淳司を介して、平成18年5月ごろに知り合っていた。その当時、緋田は国際空手道連盟極真会館松井派の館長である松井章圭と一緒にM・A・コーポレーションと言う会社を経営していた。
「グッドウィル・グループとかに買い取りを持ちかけられませんか」
「松井館長は折口会長と親しいですから、松井館長から話をしてもらいましょう」
「緋田さんにも分け前を渡しますから」
「当然、松井館長にも分け前を差し上げることになると思いますが、いいですか」
「ええ、それで結構です」
松井と緋田とグッドウィル・グループとの会議の際、グッドウィル・グループサイドらは、折口の他には、常務取締役管理本部長の金崎明、執行役員広報IR部長の大迫一生、法務部長で弁護士の資格を保有していた鎌田智が同席した。この場でグッドウィル・グループへ伝えられた内容は、クリスタルの発行済株式総数の約9割を中澤が取得することで話を進めていて、その約半数を600億円でグッドウィル・グループが取得しないか、というようなものだった。出席していた全てのグッドウィル関係者にとって、顔にこそ出さなかったが、この提案は非常に衝撃的なものだった。グッドウィルにとってクリスタル買収は悲願であった。折口会長はクリスタル子会社のシーテックの買収を試みたが林オーナーに会うことすらかなわなかった。しかも45%で600億円ということは、逆算した企業価値は100%で1330億円ということになり、この金額は想定していたクリスタルの時価総額4500億円の1/3にも満たない好条件だった。グッドウィルグループはクリスタルの価値を当期純利益200億円の30倍の6000億円からコラボレートの偽装請負によるディスカウント分を1500億円と社内的に見積もって差し引き約4500億円と見込んでいた。そのため折口は勢い取引への熱意を露にしながら、「最低でもクリスタル株の51%、できたら67%を取得したい」と松井に伝えた。
そしてその日のうちに中澤がグッドウィル・グループへ行って具体的なミーティングをすることになった。中澤はその席でクリスタル株の構成と林の希望を伝え、折口と次のように交渉した。
「林さんは、同業他社へは売却したくないという意向を持っていますので、御社が表に出ないスキームが必要になります。そのために、コリンシアンパートナーズが出資しているコリンシアン弐号というファンドが、林さんから買い取ります。御社はもう一つ別のファンドに出資して、その別のファンドがコリンシアン弐号に出資して、コリンシアン弐号から組合財産の分配としてクリスタル株とバンテクノ株を取得すると言うスキームでいかがですか」
「弊社としてはスキームにこだわるつもりはありません」
中澤はグッドウィル・グループからの出資金883億円の中から500億円を使ってクリスタルの株式51,825株を取得した。グッドウィルグループは883億円を出資し、クリスタル株38,190株を取得した。残った現金383億円とクリスタル株13,635株は、この取引を仲介した中澤と松井、そして緋田の3人で山分けされた。しかし中澤の怖いもの知らずの本領は、この松井と緋田との利益分配に発揮された。グッドウィル・グループからの出資が871億円で、林からのクリスタル株の購入代金が600億円で、差し引き271億円の現金と13,635株のクリスタル株がコリンシアン弐号には残っていると説明した。ここで林が600億円と言ったのは当初グッドウィル・グループへの仲介を依頼したときの金額が600億円だったからだ。また、クリスタルとバンテクノ株の67%で計算したため、その計算による合計金額が871億円となっていた。そのためグッドウィル・グループがみずほ銀行へ依頼していた融資金額も871億円だった。しかし、グッドウィルグループがバンテクノが保有していたクリスタル株5500株を取得するためには、バンテクノ株の全株を取得する必要があり、それを前提に出資金額を計算しなおすと、合計金額が883億円となった。
中澤が配分を受ける予定を指定分から7.5%分、松井と緋田は7.25%分を合計した22%分を271億円でグッドウィル・グループに売却したことを前提に、中澤分92億4000万円、松井及び緋田の分は89億3000万円とした。海老根淳司に対する手数料を18億2000万円とし、10億円を中澤が負担し、8億2000万円を緋田が負担することとしたため、中澤の取り分が82億4000万円で、緋田81億1000万円となった。
「(中澤)先生、分配はいつになりますか」
「コリンシアン弐号の決算期までは組合財産を分配することはできません。そこで松井さんには89億3000万円を、緋田さんには81億1000万円をコリンシアン弐号から貸付、コリンシアン弐号の決算期に貸付金を分配金と相殺することにしたいと思いますが、それでよろしいですか。それからコリンシアン弐号から松井さんと緋田さんに貸し付ける方法ですが、松井さんと緋田さんにそれぞれファンドを準備してもらって、それらのファンドにコリンシアン弐号から送金すると言うことにしたいと思うのですが、よろしいですか」
決算期まで分配することができないと言うことは無く、また貸付先をファンド名義にすると組合に出資していることになっている松井と緋田の名義と異なってしまうために相殺の手続きも面倒になる。私の見立てでは中澤がいたずらにスキームをややこしくしたものと思われる。これらは実際にコリンシアン弐号に残っていた現金383億円との差額112億円について、松井や緋田に悟られないようにするためのものだったに違いない。しかし緋田はこのことに感づき中澤と交渉し、分配される現金を33億7000万円増額させており、クリスタル株も720株増加させている。また、このころには中澤と緋田の間で海老根に対する手数料は無しとすることの合意ができていた。
澤田が中澤に持ち込んだのは、2014年ソチ冬季オリンピックに合わせてロシアのソチ市に人工島を作るというものだった。この計画に合わせるように平成19年中は低迷し、平成20年1月17日に最安値19円をつけた東邦グローバルアソシエイツ(当時の商号:千年の杜)の株価は、その後同月21日以降、急騰し始め、最高500円を超え、約25倍にまでなってしまった。ロシア内の登記簿謄本によれば東邦グローバルアソシエイツはホマル社の授権資本における持分の80%を取得している。東邦グローバルアソシエイツにホマル社を紹介したのは、レオニード・モストボイと山本丈夫という人物だった。一方、中澤にこの件を持ち込んだのは澤田であり、澤田に話を持ち込んだのは駒栄と紙屋だったと私は効いていた。平成19年、2014年ソチオリンピック協力委員会が設立され、久間章生元防衛大臣が委員長に就任し、ホテルニューオータニで団結式が行われた。ソチ人工島計画事件に関し、風説の流布の疑いがあり、これに久間元防衛大臣が関与していたのではないかというものだったが、そもそもソチ人工島計画は詳しく記載したように実際に進めていたのだから、風説の流布になるようなものではなかった。
> なんかこのプレスリリース読んだことあるような気がするわw
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九州キャバクラナイト1/4~中洲へのアクセス
アジア6カ国生活圏構想 博多編
日本ではグローバルスタンダードの最安値が存在しない例として、「スカイマークのCAに笑顔が無い」と怒っているアフォがいたり、ついにスカイマークは倒産してしまったことが挙げられる。もう日本にはLCCは無いのかと思いきや、空や海は世界中つながっているので、グローバルアービトラージが効き易い。スカイマーク亡き後はピーチありw スカイマークが倒産すれば、即座にアービトラージャーが発着枠を狩りに来る。ピーチは、3月末から北海道、九州を結ぶサービスを開始。新しい便のご紹介価格なのか、とにかく不当なまでに安い。新横浜-博多間、新幹線で行くと28,000円(去年)に対して、ピーチは、東京-福岡間をいくらで提供していると思いますか?
去年は永住者特権を活かし、JRパスを買うことで、高い交通費を回避しようとしたのだが、博多までの新幹線は意外に不便であった。JRパスは「のぞみ」以外は新幹線も乗れるのだが、のぞみは博多-新横浜の直行があるのだが、ひかり以下は直行は存在せず、大阪で乗り換えで、30~60分の待ち時間がある。JRパスで移動することを思うと、空路を使ってしまったほうが安いのだ。ただし、羽田ではなく、成田。しかも私が手に入れたのは、成田9:00発だ。この条件だと・・・驚くなよ・・・成田-博多間、ピーチフライトの価格は・・・、全部込み込み(カード支払い手数料も込みで)5050円!
来たッ。日本に居ながらにして空はグローバルアーブで最安値価格移動。どうダッ!
成田 ピーチのチェックインカウンター。LCCらしく案内員は居るものの、自動チェックインのみだ。Booking Codeを入力すると、安っぽい印刷チケットが出てくる。これを出して荷物チェックゲートを無音で通り過ぎ・・・、搭乗。うーむ・・・、何かあった時のためにとパスポートを鞄の中に忍ばせておいたのだが、一切提出の必要が無い。国内フライトだから当然なのだが、私にとって国内フライトは初なので、フライト=パスポートの図式が初めて崩れた瞬間でもあった。
福岡空港、あんまり大きくない空港なのだろうか・・・すぐ出口、そして5分ほど歩けば地下鉄の福岡空港駅、Suicaも使える優れものだ。なんだか有効のカードがズラズラならんでいるのだが、東京のJRはどのくらい対応してる? SuicaがJR東日本の資本力と政治力を持って全国対応しているのは大いにけっこうだが、JR東日本はどこまで排他的なのか興味があるw さっと調べたところではICOCAも使えるらしい。ということはいいかげん統一管理にしてしまっても良いような・・・。
エンロン内部告発者 2/6~集まるスタッフたち
マークレベッカは、1982年にファースト・シティを退社、その破綻を予期していた。同行が潰れたときには、彼女はすでにコンチネンタル・リソーシズの経理副部長になっており、この会社がヒューストン天然ガスに買収された。彼女はここでウィングと出会った。二人の間に何があったのかはともかく-二人は関係を否定していたが信じる者は少なかった。マークはすべてから教訓を学び取り、自己防衛の術も身につけ、時間を見つけて社費でハーバードのMBAを取った。ウィングが勢いを失うと、それに代わってレイや他の幹部とのパイプを強化した。彼女は人の話を熱心に聞き、社交に努め、矯正した歯、話し方教室、ブロンドのタテガミの威力を行使した。「驚いたわ」と彼女はのちに語っている。「ちょっと同情を示しただけで、男たちがどんなに簡単に自分をさらけ出して大きな秘密を話してくれるかは」
マーク・レベッカ
ジェフ・スキリングはガスバンクというシンプルなアイデアをエンロンに持ち込んだ。天然ガスの採掘や売買は、規制緩和がもたらした価格の不安定さのお陰で信用を失っており、これがまた業界を脅かす理由の一つだった。スキリングはこれを逆転する方法を考え出した。ちょうど銀行が預金者を束ねるように、エンロンがガスのサプライヤーである採掘会社を束ねる。そしてエンロンは、預金者に融資する銀行のように、ガスの買い手に売るのである。エンロンは売買の両方からサヤを取る。これは良いアイデアだったがリスクを伴っていた。しっかりした商売をするにはエンロンは単なるブローカーでいるわけにはいかなかった。ガスを供給するにはまず所有しなければならなかったし、買い手には一定の安定価格を保証しなければならなかった。つまりエンロンの市場に関する知識と支配力は絶対的なものでなければならないのである。エンロンはすでにガスの供給源となる石油やガスの事業部門を持っていた。そして競争相手もいなかった。ガスは石油のように魅力的な事業ではなかったからである。
1989年には、ルイジアナのアルミ精錬業者が、エンロンのガス運搬料金が高すぎると交渉を蹴った。しかしこの商談は、結局は実った。顧客はエンロンに固定価格を支払い、エンロンは顧客の近くのガス採掘会社から変動価格でガスを買い付けて、供給することにしたのである。これによってルイジアナの会社は望みどおりの料金でガスを手に入れることができ、エンロンは相反するニーズを持つ顧客を組み合わせることで商談をまとめた。これはのちに、最初の天然ガスのスワップ契約として知られるようになった。そしてエンロンはガスのトレーディング・ビジネスへの進出を急ぎ、大手の一社になった。1990年、ガスのトレーディング人気に目をつけて、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(ナイメックス)はガスの先物市場を開いた。つまり将来のある時点にある価格でガスを売買する権利を取引できるようになったのである。エンロンは市場を牛耳っていたので、価格の決定権も握っていた。ナイメックスの先物は当初18ヶ月物が最長だったが、エンロンはもっと長期の先物を売ることができた。そして先物取引に参加するためにガスの現物を売買する必要はなかった。業界内外の金融トレーダーが目をつけて、ちょっとした先物の値動きに乗じてサヤ取りをするようになったからである。
クオ・ワディス(下) 6/6~リギイ族の巨人
果たしてもう長く待つことはなかった。突然真鍮のラッパの鋭い音が響くと、それを合図に皇帝のポディウムの正面に格子が開いて、ベスティアリウス(猛獣使)の叫びの中をアレナに向って怪物のようなゲルマニアの水牛が頭の上に女の裸体を乗せて現れた。「リギア。リギア。」とヴィニキウスは叫んだ。そうしてその瞬間にペトロニウスが頭にトガを被せてくれたことさえ感じなかった。死か痛みに眼が覆われたような気がしたのである。見ようともしないし見えなくもあった。口はただ気が違ったように「信じています。信じています。信じています。」と繰り返した。
ふと円形競技場は静まった。アウグスタニが一人の人のように席から立ち上がったのは、アレナに何か並外れたことが起こったからである。というのは慎ましやかに死を覚悟していたこのリギイ族の男は、荒々しい獣の角にかかっている自分の王女を見ると激しい火で燃えるように奮い立ち、背を曲げたと思うと荒れ狂う野獣のほうへ斜めになったまま走り出した。みんなの胸から短い驚きの叫びが発し、やがて重々しい静けさが続いた。すると瞬く間にリギイ族の男は荒れ狂う牛に飛びかかってその角を掴んだ。「御覧」とペトロニウスは叫んで、ヴィニキウスの頭からトガをひったくった。ヴィニキウスは立ち上がり、麻布のように青い顔を後ろに反らせて、ガラスのような意識のない眼でアレナを眺め始めた。全ての人の胸は息を止めた。人々は自分の眼を信じようとしなかった。ローマがローマになって以来これに似たものを見たことが無い。
リギイ族の男が荒々しい野獣の角を捉まえていた。その足は踝の上まで砂の中に沈み、背中は張り切った弓のように曲がり、頭は肩の間に隠れ、腕の筋肉は盛り上がって、その厭力のために皮がほとんどはじけそうになったが、牛をその場所に押し付けていた。人も獣もそのまま動かずいたので、見ている人々にはヘルクレスやテセウスの働きを現す書か、石に刻んだ群像を見ている気がした。しかしその一見平静な中に、互いに戦っている2つの力の恐ろしい緊張を知る事ができた。水牛も人間も同様に足を砂の中に没し、その黒い毛のふさふさした体は曲がって巨大な球に似ていた。どっちが早く力が尽き、どっちが先に倒れるか、これこそ、格闘を愛好する見物人にとってはこの瞬間に、自分自身の運命よりもローマ全体よりもローマの世界支配よりも重大な意義を持つ問いであった。皇帝自身もやはり立ち上がった。「このクロトン殺しには我々が選んでやった水牛を殺させたいものだ」
グッドウィルで380億円を稼いだ男 2/3~香港での監禁、強盗
2008年9月5日
「チャカ出せ、チャカ」中澤の盟友である澤田三帆子が、男4人を引き連れて香港にあった中澤所有の高級マンション「ザ・アーチ」31階の、私が住んでいた部屋に突然入ってきた。私と中澤の10年以上の友好関係が終わった瞬間だった。思い返せばその日から遡ること1週間前ごろから異変はあった。8月下旬頃からそのマンションで暮らしていたが、中澤と連絡しようと思っても連絡が取れなかったのである。そのころ電話をしてきたのは、黒木正博だった。慶應義塾大学での私の先輩で、中澤が経営権を取得した東邦グローバルアソシエイツ株式会社の元オーナーで、ベンチャーの旗手として注目された。その黒木とは電話で
「鬼頭ちゃん、いまどこにいるの」「香港ですよ」「それならいいんだけど、キョクシンが鬼頭ちゃんをさらうって言ってるんだよ」 キョクシンと言われて空手の極真かと思ったが山口組の極心連合会のことだった。
比嘉と電話で「ちょっとおかしいんですよ。秋月(幸治)さんが5人も連れてきたんですけど弁護士の先生と四方啓二さんという人しか名刺出さないんですよ。なんか見るからに怪しいんですよ、ビジネスマンという感じではないですよ」
帰国することになっていたその日に急襲された。
澤田「鬼頭さん、あんたもワルだね、どこに金隠しんてんの」
鬼頭「どこにも隠してないです」
山本丈夫「じゃ、どうしてコリンシアンの金がなくなっちゃってるの」
山本は、背はそれほど高くはないが、筋肉質でオールバックの見た目はいかつい感じの人だった。中澤からの依頼で来たと言っていた四方は、私が不正を働いていると言う先入観を持ってきたようだが、私の説明に不自然な点が無く、肩透かしを食ったかのようだった。四方は空手をやっているとのことで、背も高くがっしりしたタイプだった。四方の説明によると他の2名は香港人で1人は弁護士、もう1人はセキュリティだと言っていた。香港人の1人はどうみてもヒットマンのような人間で、黒を基調とした身なりで全身を固め、大きな黒いサングラスをかけ、まるで映画に出てきそうな格好をしていた。
「あんた状況が分かっているの? 中澤に東邦を返しなさいよ」澤田が威勢よく声をあげた。とても女とは思えない。いつでも「極道の妻たち」に出演できそうだ。
> リアル「極道の妻たち」、妻では済まないです。「女極道」、おっかない女性も数多くいらっしゃるようですねw
マルサの関心ごとは約180億円の金の流れとグッドウィル・プレミア株の扱いだった。コリンシアンパートナーズは、この約180億円を原資に様々な投資事業を行った。コリンシアンパートナーズが行った投資は、大きく分けると、上場会社への投資と、未上場会社への投資の2つがあった。まず、上場企業への投資は単純に大口投資家からまとめて株式を購入し、その株を即日ヘッジファンドへ売却して利鞘を取る取引や、黒木正博案件のトランスデジタルやオックスホールディングスへの投融資のように3ヶ月くらいで1割の利益を確保する純投資と、東邦グローバルアソシエイツやビービーネットのように経営権を取得する2通りの形態で行われていた。経営権を取得するといっても明確な出口戦略があるわけでもなかったので、多額の資金を得た中澤が、自分の知人や私が紹介した知人を取締役に据えて、オーナーとして振舞うことを楽しむために投資したようなものだった。
だから、経営権を取得した会社の商号も、中澤が経営してきた会計事務所や監査法人にちなんだ名称に変更しようとした。千年の杜は東邦会計事務所にちなんで、東邦グローバルアソシエイツに、ビービーネットはユニバーサル監査法人にちなんで、ユニバーサル○○に変更予定だったがその前に資金が枯渇してしまった。未上場企業への投資は元シティバンクのプライベートバンカーだった竹山(仮名)という中澤の知人から持ち込まれたサイバーブレッドへの投資が起点となり、その子会社への投融資を中心に、その投融資の合計金額は20億円弱となったが、これもことごとく失敗した。サイバーブレッドは平成16年3月に設立させ、インターネット上でのファンクラブ運営などのWebエンタテインメントコンテンツ供給サービス、口コミマーケティング、フリーペーパー作成など総合的なプロモーション事業を手掛けていた会社だった。ベンチャーキャピタルの出資を受けるなどして資金基盤の充実を図りながら業容を短期間で急速に拡大させ、22億円の売上高の計上するまでになっていたが、オーナーの伊藤和訓に問題があり、上場できずにいるとの事だった。竹山は、この伊藤の株式の購入を斡旋しにきたのだった。中澤は興味を示したようで、手付金3億円を支払ったがすぐに循環取引が発覚し、サイバーブレッドは平成19年7月に破産となった。
「澤田三帆子がすごい話持ってきたで」と中澤が言った。表紙には山田洋行と日本ミライズの対立の記事が載っていた。この対立は軍需専門商社の山田洋行元専務の宮崎元伸が部下40数人を引き抜いて同業の日本ミライズを設立し、航空自衛隊時期輸送機(CX)のエンジン製造会社であったゼネラルエレクトリック(GE)と代理店契約を結んでしまったために起こったものだった。
「澤田が駒栄さんという人を紹介してくれたんや。駒栄さんは衆議院の久間先生の私設秘書をしているからこの話はカタいで」 翌日中澤と会談場所のグルジア大使館が入っているビルの1階に行くとすでに横田(東邦グローバルアソシエイツ)が来ていた。その後、澤田と駒栄博志と紙屋道雄が入ってきた。グルジア大使館の中には大沢という50代後半の紳士風の風貌だが話す内容は頗る大きかった人物がいた。
「グルジア(georgia)を英語読みするとジョージアって言うんですよ。ユダヤ人と非常に関係が深いんですよ。そして、私の古くからの友人にプライベートジェットで世界中を飛び回って投資しているジョージというユダヤ人がいるんですが、ジョージは1兆円くらいのファンドを持っていて、ユダヤ人つながりでGEとも非常に仲良くしているから代理店の件もジョージに頼めば簡単ですよ」
この件は、結局、「ジョージに契約成立前に1億円支払って欲しい」と澤田が中澤に依頼したものの、そのことを聞いた私が「千年は上場会社だから契約が成立したら、仲介手数料として支払うことはできると思いますが、ただGEと仲良しだと言っているジョージに、1億円も支払うことができるわけないじゃないですか」と言ったことで、中澤も思いとどまって、そのまま立ち消えとなった。駒栄は、平成15年の福岡県の若宮町長汚職事件で、公共工事受注の賄賂を渡した容疑で逮捕され、実刑判決を受けていた。紙屋も丸石自転車を巡る架空増資事件で、電磁的公正証書原本不実記録、同共用容疑での逮捕歴があった。
> 紙屋さん、有名ですねw で、大澤さんって誰? 笑っちゃうくらい詐欺のレベルが低いw プライベートジェットと1兆円のファンドとユダヤって何だ? この次元の詐欺師は、俺には近寄ってこないよ。
【メンヘラ・破壊的な女】
2014.06.06 別海から来た女 木嶋佳苗悪魔祓いの百日裁判
2013.11.22 バンファイパヤナーク観測計画 3/11 ~水上マーケットとハーレムナイトinバンコク
2013.08.19 ハプスブルク家の悲劇 4/8 ~正妻ステファニーvs愛人マリー
2013.07.08 春のタイ 後編 ソンクランのはしご 4/8 ~水をかけられない女inパタヤ
2013.05.15 春のタイ 前編 ソンクラン前 5/9 ~シラチャのネーさんの謀略
2013.02.21 タイ全土落下傘計画 9/17 ~シラチャのアツい夜
2012.07.19 この前の土日、プールサイドで超アグレッシブな女の子とイチャイチャしちゃった
2012.02.09|東電OL殺人事件 1/2 ~その人
2011.08.09: 金賢姫全告白 いま、女として4/6 ~軍事訓練
2011.06.08: 歴史を騒がせた悪女たち5/7 ~ロシアより愛を込めて
2011.03.11: 永田洋子追悼記念 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
2010.10.28: 破壊工作 金賢姫Forcus
2010.03.18: 海外のヤンデレ ヤンデレの研究
2009.08.31: Madoff’s Other Secret 愛、金、バーニー そして わ・た・し
2009.07.06: 職業Investment Banker? 男と女のM&Aで100mil
2009.05.08: 私はカネ目当てじゃない ~怒りの代償
2008.05.08: サロメ
円が安い、そうだ、日本に行こう 4/4~ケチは遺伝する
国家の奴隷、会社の奴隷、家族の奴隷のなれの果て。私の父との会話。
自分の健康と食事以外、ほとんどすべてのことに無関心なオヤジが、意外にもシンガポールの気候にも詳しい。「朝は26度で最高気温は32度」とか言っているので、「ほぅ、正しいよ、どこでそんなこと調べた?」と聞くと、「ラジオで世界の気候をやっていて、ニューヨークや北京、タイ、シンガポールの気候を説明してくれる」と答えた。私がシンガポールに住んでいることは意識しているのか、リークアンユー死亡ニュースも認知している。
髭剃りは一枚刃か三枚刃かで議論。オヤジは一枚刃、3つで100円のT字剃刀を使っているようだ。私はオヤジ譲りで肌が弱いので、安い剃刀では負けてしまい出血するので、ジレットの3枚刃。「剃る時泡つけてる?」「いつも付けてるよ!それでも負けるんだよ」などと、髭を剃る話は母とすることはできないのでオヤジとするメンズトーク。
カネのことは何も知らないオヤジとカネの話になる、「月3万円、月初にもらって、女房が旅行に行く時はプラス1万円!」と、とても嬉しそうな顔をしていた。100万円詐欺師に取られた男が、詐欺師に対して「あの人を悪く言いたくない、3万円もおごってくれた」という名ゼリフをはいた男が思い出される。月3万円というのは、趣味に使うカネではなく、平日の朝・昼飯はオヤジが自分で作らなければならない規則なので、飯にかかる費用である。月3万円でゴルフとか無理だよね? 知らないけど。40年間も会社の奴隷として働き続けた男、退職後、労働から解放されたと思ったら、今度は家庭の奴隷としての立場が待っていた。
エンロン内部告発者 1/6~ガスビジネス
エキゾ予想。日本における電力自由化、電力の市場化は、日本に第二のエンロンを生むきっかけになるだろう。というわけで、今は亡きエンロンを振り返ることにしましょう。
ガス事業はかつてはかつては石油事業の継子だった。オイルマンたちは当初、天然ガスは石油を得るために廃棄しなければならない厄介者と見なしていた。天然ガスが急にもてはやされるようになったのは、二度の大戦の間だった。連邦政府は天然ガス業界の発展を公益を考えた。クリーンな燃料であり、増大する輸入石油への依存を低下させるからだ。当初、ガス市場は他の規制公益事業と変わるところがなかった。採掘業者は州間パイプライン業者に天然ガスを適正価格で販売し、それをパイプライン会社が各地域の配ガス会社に適正価格で転売する。パイプライン会社にとってはうまみのある安定した事業で、年間収入は確定的だった。
ガス輸送を値付けするのは簡単だが、しかしガス田を見つけるのは簡単ではなかった。試掘は今も昔も酷く金がかかり、成功率も低かったので採掘業者のその損失をついぞ適切に埋められなかった。やがて採掘業者はガス田の開発をやめてしまい、すると市場は停滞し、学校や病院などではガス不足をきたすようになった。1970年代には、政策決定者達はガス市場の分割に躍起になった。競争原理による市場の活性化を図るためである。これは基本的に、ガス開発と売買の方法を一から作り直すことを意味していた。ここにケン・レイがいた。政府ではなく市場がガスの値段を決定すれば機会が開け、誰にとっても大きなメリットがあると、彼は信じていた。
ケン・レイ
1984年には、規制緩和されたガス市場は乱戦に陥っていた。当時コースタル・コーポレーションという名の石油とガスのコングロマリットを率いていたオスカー・ワイアットは、人望の厚かったロバート・へリングを亡くして混乱に陥っていたヒューストン天然ガス(HNG)に13億ドルの買収攻勢をかけた。HNGはワイアットに4200万ドル払って買収を退けたが、取締役会は危うく会社を失いかけた老社長に不満を持った。規制緩和がもたらした新たな経営環境では、またぞろ買収攻勢をかけられる恐れがあった。それだけに彼らは若くてアグレッシブな、会社を守れるリーダーシップを求めていた。そこでケン・レイに白羽の矢が立った。トランスコ社がワイアットの買収を交わす際に、八面六臂の活躍を見せたからである。
クオ・ワディス(下) 5/6~囚われのリギア
> クリスト教徒が幽閉されていた「臭い窟」
エスクィリヌスの牢獄は、火災を阻止するために家々の穴蔵を利用して急に作ったもので、なるほどカピトリウムの横にある古いトゥリアヌム程恐ろしくは無かったが、その代わり百倍も厳重に警備されていた。ヴィニキウスもはやはりリギアを救い出せるかどうかという希望を失っていた。今となってはクリストにしかそれができない。若いトリブヌスは既にただ、牢獄で一目会いたいということしか考えていなかった。「臭い窟」の監督の声が聞こえた。「今日は死体はいくつある。」牢番は答えた「123人だな。しかし朝までにはもっと出る。あすこの陰では何人か死にかけて咽喉を鳴らしている。」そういって牢番は、女どもが少しでも長く死んだ子供を手元においてできるだけ「臭い窟」にやるまいと隠すことに苦情を言い始めた。このままでもやりきれないここの空気が一層臭くなるから、まず臭いで死体を嗅ぎ分けなければならない。「死体をすぐに運び出さなければいけない。疫病は一番死体から染つる。さもないと死んじまうよ、お前達も囚人も。」
ヴィニキウスにも現実感が戻ってきて、地下坑の中を見回し始めたが、いくら眼で探してもリギアが見つからず、その生きている間にあの人を見ることは全くできないのではないかと考えた。突然身震いをしたのは、格子の挟まった壁の穴の下にウルススの巨大な姿を見たような気がしたからである。そこでその瞬間にカンテラを吹き消してこれに近づき、こう訊いた。「ウルスス、お前か」巨人は顔を向けて、「誰です。」「私がわからないか。」と若者は訊いた。「カンテラをお消しになったのですもの、どうしてわかりましょう。」しかしヴィニキウスはその時、壁の傍らに外套を敷いて臥せているリギアを見定めたのでもう一言も言わずその傍らに跪いた。ヴィニキウスは跪きながら涙越しにリギアを見詰めた。暗かったけれども見分けることのできたリギアの顔はアラパステルのように青く思われ、腕は痩せ細っていた。「マルクス、私は病気です。アレナの丘かこの牢獄か、私は死ななければなりません。けれどもその前に一度お会いできるように祈っていました。こうして来てくだすった。クリストが届けてくだすった。私はあなたの妻です。」
グッドウィルで380億円を稼いだ男 1/3~国税局強制捜査
「中澤秀夫の所得税法違反で一斉査察なんですが、いまどちらですか?」 まずい、私がいたマンションはマルサが狙っている中澤が経営するコリンシアンパートナーズ株式会社が事務所を構えていたマンションと同じマンションだった。コリンシアンパートナーズの事務所は1801号室。私の部屋は1601号室で、部屋の作りも同じだった。
「いまマカオに来ているんですよ」口から嘘が突いて出た。「それは困りましたね、いつ戻られますか」
ほっとしたのもつかの間、落ち着くまもなくピンポンと呼び鈴が鳴る。マルサだと思い、確認のため覗き窓から覗いてみる。やはりマルサと思われる見知らぬ男の人が2,3人通路をウロウロしている。早く立ち去ってくれることを願うばかりだった。幸い3,4回呼び鈴が鳴るがその後は止まった。ガサの場合、マルサがいきなり踏み込んでいく強制捜査を行うためには捜索する場所および押収するものを明示した裁判官による捜査差押許可状が必要となる。1601号室にまさか私が住んでいるとも思っていなかったので事前準備がなされていなかったらしい。
マルサは当然コリンシアンパートナーズの元代表取締役であった私の海外渡航に関しても事前に調査済みだったが、東京国税局を管轄している財務省とパスポートを管轄している外務省では担当が違うため、マルサがリアルタイムに出入国を知る事ができるわけも無く、私がマカオにいることを前提に交渉を進めなければならなかった。ただ、その後私が初めて東京国税局へ行った時には、東京国税局は海外渡航の最新履歴を照会済みで、この日、私が日本にいたことは判明していた。
> 国税は最高権力を持っていますから、縦割り行政の縄張りすらも乗り越えてしまうのですね。くわばらくわばら。
円が安い、そうだ、日本に行こう 3/4~美容院で縮毛矯正
昨日は、わずかな日本酒で寝てしまったので、午前中からランニングをしておきましょう。午後からお友達と約束があるのこともあり。若かりし頃、中学・高校時代くらいは、早朝ランニングをしていたので、そのショートカットコースを走ることにしました。このランニングコースは、最初の200mが自転車を立ちこぎしないと上れない程度の緩い上り坂で始まります。これがいきなり心をへし折ります。シンガポールのいつものコースは高低差がほとんどないので、上り坂がキツイことは走る前から分かっていました。ちなみにシンガポール最高峰のブキティマ山の標高は163mなので、高低差などあるわけないのです。実家の周りは田舎では無いのですが、高齢化が進んだゴーストタウン、中学時代と現在と、変化はほとんど無い状態です。郷土愛はほとんど皆無なのですが、自分が育った町を走るのはちょっと楽しいので、予定していたコースを少しだけ延長しました。
ブックオフ一次遠征。100~200円で購入できて、面白そうな本は読み尽くしたwというと言い過ぎですが、もうほとんどなく、ゼロではないものの、読みたいと思う本は1000円近傍に集中しています。読みたいと思っていた、「溶ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」だけはアマゾンで価格をチェックしていたのですが、アマゾン500円(送料込み)に対して、900円で提示されており、1000円以上の書籍はお持ち帰り案件となりました。
横にある100円ショップで消耗品であるイヤホンを買います。パソコンのスピーカーは質が悪いので、イヤホンは必須品なのです。言っときますけど、アジアでイヤホン、100円では手に入りませんよ!何度も書いていますがシンガポールのダイソーは2SGDショップ(180円)、タイは60THBショップなので216円程度なのです! 100円ショップはモノによっては、アジアより割安なのです。
タイ全土落下傘計画2015 15/15~山で遭難
昨日リーラムは遅くまで仕事をしていたので、昼間は一人で、CAVEに行ってみることにしました。2時間のプチ・トレッキング、山道1時間の洞窟内1時間のコースで300THB。いかにも東南アジア人が嫌いな遊びなので、一人で行くべきでしょう。別にCAVEに限ったことではないのですが、ここでも客は全部白人です。ついて10分ほど、私含めて客3人で出発です。2時間900THBということは時給450THB(1600円程度)あれば、良いようですね。タイで時給1600円って随分高いじゃないか!と思うかもしれないので、日当で考えないとダメかな。三往復、山道6時間は怠け者には厳しいので一日あたり2往復して日当で3200円、週休二日で20日働くと64000円、ウンウン、なかなか納得の数値です。もちろん、バンコクでこの水準だと厳しいですが、ここの地元の人で家賃がタダなら十分でしょう。
平坦な道が続き、段々道が細くなって、階段より急な岩登りが始まりました。岩登りで10分くらいですかね、大した高さでは無いですが、上っているうちに、息が切れる。いよいよ洞窟に辿り着きました。洞窟内もまた階段、梯子の上り下り。むぅ…息が切れるな。額に汗がびっしょりだ。洞窟の深部に入り、霧がかってきました。ううう…おかしいかなり呼吸が乱れる…。ついていくのが精一杯だ。洞窟の途中で2回ほど5分休憩を入れてもらい、なんとか洞窟の外まで出ました。
呼吸の乱れが治らない。白人カップルには先に下山してもらうことにして、タイ人のガイドさんと二人でゆっくり下りることになりました。顔は汗びっしょり、足の動きが悪い。がんばって下るのですが、平坦でないところで足を曲げて、全体重を支えるのがとてもつらく、すぐに息が切れてしまいます。歩きながら、指先に痺れを感じ始め、痺れが顔面にまで到達し、足が動かなくなりました。ついに座りこみ、座っているのもつらくなり山道で横になりました。マズイ…動けない。リーラムに電話して助けを呼ばなければ…、ううっ、呼吸が乱れて、しゃべるのもキツイ。最後の力を振り絞って
「今、山の中。動けない、助けを呼んでくれ。カネは払う。場所はCAVEだ、詳しくはガイドさんに聞いてくれ。」
クオ・ワディス(下) 4/6~十字架にかけられるクリスト教徒
> 宙釣りの刑
観物はクリスト教徒同士の格闘から始まるはずとなり、その目的でクリスト教徒は格闘士の装をして、職業的な格闘士が攻撃及び防御に使うあらゆる武器を与えられた。ところがここに失望が起こった。クリスト教徒は砂の上に鎌や刺叉や槍や剣を投げ捨てるとただちに互いに抱き合い、苦悩としに対して忍耐するように励ましあった。あるものはクリスト教徒の卑屈と怯懦を非難し、或るものはクリスト教徒がわざと打ち合いを欲しないのは民衆に対する憎しみのためで雄々しい光景が普段与える喜びを自分達から奪うためだと断言した。到頭皇帝の命令によって本物の格闘士をこれに放ち、跪いている武器の無い人々を瞬く間に切り倒させた。
さて死体を片付け観物は闘技を止めて、皇帝自身の考案による成る神話的な場面の展開に変じた。そこに人々はヘラクレスがオイテの山で生き生きとした火で焼け死ぬところを見た。ヴィニキウスはそのヘラクレス役にウルススが回されるかもしれないと考えて身震いしたが、見たところ順番はまだこのリギアの忠実な僕に来てないで、薪の山では誰か別のヴィニキウスが全く知らないクリスト教徒が焼かれていた。その代わり次の場面では皇帝の命令でその上演に列席するのを逃げられなかったキロンは自分の知っている人々を見ることになった。上演されたのはダイダロスとイカロスの死であった。ダイダロスの役を勤めたのはエウリキウス即ち前にキロンに魚のしるしを教えたあの老人だった。イカロスの役を勤めたのはクァルトゥスであった。二人とも巧妙な機械仕掛けによって上に釣り上げられ、非常な高さから突然アレナに突き落とされたが、その際若いクァルトゥスは皇帝のポディウムのすぐ傍らに落ちたので、その血が外側の装飾ばかりでなく赤い布をかけた欄干にもしぶきかかった。キロンは眼を瞑っていたのでその墜落は見ず、ただ体の重々しい音を聞いただけであるが、やがて自分のすぐ傍らの血を見るともう少しで再び気絶しそうになった。
徹底抗戦 4/4~ガバナンス体制
宮内氏らによる「お金の横領」が発覚したのである。
そもそも私は宮内氏を全面的に信頼していた。宮内氏を信頼していたからこそ「ライブドアの配当比率を上げると堀江が一番配当金を受け取ってしまうことになるから、配当をしてはいけない」という彼の意見に従ったわけだし、増資をして私の持ち株比率を下げたり、株式交換による企業買収を進めて私のオーナーとしての権利をドンドン縮小することにも従ったのである。たしかに2004年頃、宮内氏と中村氏は、フェラーリを現金で買っていた。「中村さんすごいね!」と私が言うと「ストックオプションを行使して買ったんですよ」と言っていたし、宮内氏も、彼が中心になって設立した「ゼネラルコンサルティングファーム」という税理・会計事務所からの収入や、元々彼が持っていた税理士事務所からの収入でフェラーリを買ったのだと思っていた。
でもそれは違ったようだ。ライブドアが人材派遣会社トラインを株式交換で買収した際、ライブドアの新株が45000株発行されたのだが、この新株は投資ファンドを通じて野口氏が香港に作ったペーパーカンパニー「パシフィック・スマート。インベストメント(PSI)」の口座に移された。PSIは、後に新株を市場で売却し、2億6000万円以上の売却益を得ていたのだが、この売却益の何割かが宮内氏らが香港に作った「パイオニア・トップ・インベストメント(PTI)」という会社に振り込まれていたのである。その振り込まれたお金がフェラーリの費用になっていた。野口氏への報酬数千万円も現金でデリバリーされたと言う。似たようなお金の流れは他にもあった。ライブドアによるバリュークリックジャパン(後のライブドアマーケティング)の買収発表の直前、バリュークリックジャパン株が野口氏の会社で大量購入され、株価が高騰した直後に売却されていた。これ以外にも不自然なことは山ほどあった。彼らがこのようなことをした理由が私には未だに分からない。ライブドアの上場によって私の保有資産が大幅に増えた(私の保有株の価値が高騰したから。当たり前だが、株価が上がってもそれを売却しなければお金を得られないのに)ことを彼らは羨ましいと思っていたのだろうか?
孤高の創業者社長。ポルシェ欲しかったんだろw 小金手に入れて、まずポルシェ買うって発想が貧しくて嫌だねぇ
円が安い、そうだ、日本に行こう 2/4~大首都圏東京
KL-羽田便は日本人比率が高い。私はアジア内移動が多いので、日本人はマイノリティなのだが、日本便は日本人率がかなり高い。私の隣も日本人だった。私は機内で日本の書籍を読んでいるので、日本人なら「隣の人は日本人」というのが話さなくても分かるので、日本語で「ちょっとすいません」とか言ってくるのである。一方、日本便なので日本人のCAが2人も乗っている便だったが、CAは私に英語で話しかけてくるというw CAにとって、私は日本人には見えないらしいw 日本からシンガポールに来た日本人には「日本人離れしている、現地化している」などと言われることが非常に多いが、私はどの国に行っても「いらっしゃいませ、こんにちは、日本人?」と言われているのである。私の妹にいたっては、横浜地元において「あれ?インド人?と思ったらお前だったw」とまで言われたこともある。
Air Asia機内アナウンスで奇異に思ったのは、「アフリカの数カ国を指定して、それらの国々に滞在した者は申し出ろ」と言うのだが、英語のアナウンスでは全くそんなことには言及せず、「到着予定時間と現地の気温」程度を伝えておしまいだった。何が理由かと思って調べると、厚生労働省の仕事っぷりなんだが、
タイ全土落下傘計画2015 14/15~南十字星を求めて
初・タイ人にタイ人と間違われました。帰りのコンビニでタイ人の店員さんにタイ語で話しかけられました。パッポンで売ってるステテコと空手着のあいの子みたいなズボンとシャツ、アジア風のネックレス3つ(ワットポーで買ったリクライニング・ブッダ、今回買った三角の中のブッダ、水色の石)と数珠ブレスレッド、さらにバンコク・スクンビッド・ソイ3で購入したセクシー・サンダル。ほぼ90%タイで買った装備なので、現地化したのでしょうかw いえいえ、クラビの観光客は、ほとんど白人でアジア人見かけないので、アジア系=タイ人という勘違いというのが最も妥当な説明でしょう。
数珠やブッダ系に代表されるエイジアン・アクセ。白人しかいないこのランタ島で、これ見よがしにアジアを主張し、唯一のエイジアン感があって悪くない気分です。ジャラジャラ付けてると、バンコクでは調子に乗ってお土産買わされてる日本人に見られ、クラビでは現地の飾りをつけているタイ人、日本ではヤ○ザと思われてしまいます。当然ながらアジアでは、エイジアン・アクセは民族衣装・宗教アクセ扱いなので、「怖い」などと言われたことは一度もありません。日本におけるヤ○ザ扱いはアジアの伝統と文化、宗教に対する冒涜です。
しかし最も宗教を冒涜してるのは、異宗派を同時につけてる私だw 大乗仏教、風水、上座部仏教、イスラームを全部身につけていて、本体である私は、無”信”論者だ。今度、フィリピンで十字架でも買ってやろうかな。
クオ・ワディス(下) 3/6~大火のスケープゴート
> 猛獣、犬に食われるクリスト教徒
さてプラエフェクトゥスは合図をした。するとさっき格闘士を死の場に呼び出したカロンのなりをしている同じ老人がゆっくりとした足取りでアレナを横切り、重苦しい沈黙の中で又三度槌で扉を叩いた。円形競技場全体に呟きが起こった。「クリスト教徒だ。クリスト教徒だ。」鉄の格子が上がって、真っ暗な入り口からマスティゴフォルスの例の「砂場へ」という叫びが聞こえ、一瞬間にアレナには毛皮に覆われたシルヴァヌス(森の精)のような人の群が入ってきた。そのすべてのものは幾らか速く熱を帯びたように走ってきたが、円形の中心まで来ると、列んで躓き手を上に挙げた。民衆はそれが憐れみを乞うしるしだと考えたので、こんな卑怯な態度に憤激して足踏みを始め、口笛を吹き、空になった酒器や噛った後の骨を投げて、「獣を出せ、獣を出せ。」と怒鳴った。すると突然思いもかけないことが起こった。見ると毛皮を着た群の間から歌を歌う声が揚がり、まさにその時ローマの円形競技場で始めて聞く歌が鳴り響いた。「クリストゥス レグナト(クリストは支配し給う)」
そこで驚きが群集を襲った。罪人がヴェラリウムの方に目を挙げて、歌を歌っているのである。そこに見られる顔は青ざめてはいたが、霊感に充たされたようであった。この人々は憐みを求めているのではなく、円形競技場の民衆も元老院議員も皇帝も目に入らない風をしているのだと分かった。「クリストゥス レグナト」という声がますます高くなると、座席では遥か上のほうの見物人の列の間まで、何事が起こったのか、又死ぬはずになっているこれらの人々の口に王として讃えられる「クリスト」とは何者であるかと言う問いを抱くものがでてきた。その時新しい格子が開いて、アレナには荒々しく走って吠える一群の犬が出てきた。
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