国家の奴隷、会社の奴隷、家族の奴隷のなれの果て。私の父との会話。
自分の健康と食事以外、ほとんどすべてのことに無関心なオヤジが、意外にもシンガポールの気候にも詳しい。「朝は26度で最高気温は32度」とか言っているので、「ほぅ、正しいよ、どこでそんなこと調べた?」と聞くと、「ラジオで世界の気候をやっていて、ニューヨークや北京、タイ、シンガポールの気候を説明してくれる」と答えた。私がシンガポールに住んでいることは意識しているのか、リークアンユー死亡ニュースも認知している。
髭剃りは一枚刃か三枚刃かで議論。オヤジは一枚刃、3つで100円のT字剃刀を使っているようだ。私はオヤジ譲りで肌が弱いので、安い剃刀では負けてしまい出血するので、ジレットの3枚刃。「剃る時泡つけてる?」「いつも付けてるよ!それでも負けるんだよ」などと、髭を剃る話は母とすることはできないのでオヤジとするメンズトーク。
カネのことは何も知らないオヤジとカネの話になる、「月3万円、月初にもらって、女房が旅行に行く時はプラス1万円!」と、とても嬉しそうな顔をしていた。100万円詐欺師に取られた男が、詐欺師に対して「あの人を悪く言いたくない、3万円もおごってくれた」という名ゼリフをはいた男が思い出される。月3万円というのは、趣味に使うカネではなく、平日の朝・昼飯はオヤジが自分で作らなければならない規則なので、飯にかかる費用である。月3万円でゴルフとか無理だよね? 知らないけど。40年間も会社の奴隷として働き続けた男、退職後、労働から解放されたと思ったら、今度は家庭の奴隷としての立場が待っていた。