西南戦争は、近代日本が行った最初の近代的であり、また官軍・賊軍と言う明確な概念がはじめて現実に出てきた戦争である。「世論」の動向が重要な問題だった最初の戦争であり、従ってこれに乗じてマスコミが本格的に活動し出し、政府のマスコミ利用も始まった戦争である。元来日本の農民は、戦争は武士のやることで自分たちは無関係の態度(日清戦争時にすらこれがあった)だったのだが、農民徴募の兵士を使う官軍側は、この無関心層を、戦争に「心理的参加」させる必要があった。従って、戦意高揚記事が必要とされ、そのため官軍=正義・仁愛軍、賊軍=不義・残虐人間集団の図式化を行い、また後の「皇軍大奮闘」的記事のはしりも、官軍は博愛者により敵味方を問わず負傷者を救う正義の軍の宣伝も始まった。いわば日中国交回復に至るまでの戦争記事の原型すなわち「空気醸成法」の基本は全てこの時に揃っているのである。
現在では反省しすぎて、とにかく政府批判すれば錦の旗状態である。