ノドン迎撃は現時点では難しい
北朝鮮が合理的な理由で日本に核攻撃を仕掛けてくる可能性はゼロ%だが、いわゆる捨て身の戦術で暴走した場合を想定してみよう。攻撃側として軍事的にもっとも容易なのは、大型爆撃機に搭載して投下するという方法だが、これも可能性としてはゼロ%だ。航空自衛隊の防空体制を突破して北朝鮮空軍機が日本本土上空に侵入するということは、彼我の戦力比から言っても絶対にありえない。そこで弾道ミサイルで打ち込む方法が考えられる。北朝鮮は既に日本のほぼ全域を射程に収める弾道ミサイル「ノドン」を実戦配備している。日本の防衛庁は現在、ノドンの攻撃を想定したミサイル防衛(MD)システムの導入に邁進しているが、近い将来までを考えてもその制度はノドンを確実に打ち落とせるレベルには程遠い。したがって、ノドンに核弾頭が搭載されれば、これは非常な脅威となる。ただし、現時点で北朝鮮はノドンの弾頭に搭載できるほどの核爆弾の小型化に成功していない。ノドンの弾頭に搭載できる最大積載重量(ペイロードという)は、推定で700kg~1tとみられている。だが900kg以上の重量を積めば推定1300kmとされるノドンの射程(これも確認された情報ではない)は極端に落ちる。現実的なところを言えば、ノドンに搭載して日本を攻撃することを考えた場合、核爆弾の重量は重くとも700kg以下程度に抑えたいところだ。