85年プラザ合意でアメリカがドル安政策を取ると、ドル安が止まらない。このときベーカー財務長官は87年2月、パリのルーブル宮殿で開かれた先進7カ国蔵相会議(イタリアはボイコット)でドルと円、マルク、フラン、ポンドなど主要国通貨と会合時のレートを基準にした「参考相場圏」を設定し、各国がドル買い介入のほかに財政金融政策で強調する合意をいったんは取り付けたが、効果は一時的で、10月にはブラックマンデーが起きた。それでも、基軸通貨ドルへの世界の信頼は衰えなかったのである。アメリカ人ばかりではない。世界の生産者、消費者と投資家がドルを選ぶからである。