外資を含め大半の企業内には共産党委員会が設置されている。国有企業では、経営側として、工場長-党書記-工会(労働組合)主席-副工場長-財務・技術等の責任者という流れと、もうひとつ党書記-工場長-工会主席-党事務局主任という2つの流れがある。いわば一企業二制度である。党書記と党委員会は人事権を掌握している。人事権を握るのが企業の最高権力者だという日本企業の常識からすれば、企業の最高経営責任者は党書記である。企業は経済単位ばかりでなく、共産党による支配の単位でもある。
市場経済では通常、中央銀行が必要なお札を発行し、商業銀行が金の流れを仲介して信用を供与することにより、貸し出しと預金の連鎖が生まれ、金が経済社会全体に回る仕組みになっている。中国の社会主義者は当初この商業銀行部門を省き、中央銀行である人民銀行がカネに関するすべてを取り仕切ることにした。預金・貸し出しと財政は統合され、カネは人民銀行から流れ出て経済社会に行き渡らせ、余剰分はすべて人民銀行の預金となって還流する仕組みになった。当時の中国人民銀行の金融政策は要するに貸出量に応じて人民元の発行量を調整する、そしてインフレを抑制するというシンプルなマネーサプライ・コントロール理論に基づいていた。