うーん、悲しいくらい注目されていないので俺が代わりにニュースにしてやろう。シンガポール居住者としてせめてもの情け。これがニュースになってる記事を知っている読者諸君がいたら教えてくれ。
シンガポール・ドルの金利スワップ 1Yearと2Yearがマイナスに突入している。
これが長期のグラフであるが、今までに突入したことのない新領域である。
このマイナス金利、どうして誰も注目していないかというと、シンガポールドル金利スワップ(以降SGD SWAP)は何かと言うことに帰着する。変動金利が何かということだが、日本円金利スワップのようにLIBORではない。SGD SWAPにおける変動部分はSOR、これはUSD/SGD Swap Offer Rateなのである。つまりSGDのBasis SWAPの影響を受けている数値であり、シンガポールの国内金利がマイナスだとか、景気後退懸念で政策金利が下がっているとかいう話とは全く関係ない数値なのである。
シンガポールをほめて言うならば、財政が健全すぎて、国債がない。けなしていうなら国が小さすぎて資金ニーズがない。もちろん実際には預金もあれば、不動産担保ローンもあるが、あまりにも小さいので、金利スワップが発達する余地がなかったというのが実態だ。そしてSGD SWAP金利がマイナスになった背景は、ユーロマネーという意味でのユーロ・ダラー(しつこいが誤解のないように為替のことではなくてオフショア市場にあるドル)が不足していることが上げられる。
それはUSDについで大きな通貨であるEURのBasis SWAPにもユーロダラーの需給は現れており、米国債格下げ後のBasis SWAPの動きは、SGDのBasis SWAPと同方向に動いている。さらにその原因の一つとして日銀の介入によりユーロ(オフショア)市場からドルが消えていることも挙げられよう。
さて、そろそろタイムリーな話題に触れようか。米国債格下げを受けて買われたものは何か?
金(Gold)はそうだね。CHF(スイスフラン)もそうかもしれない。しかし、買われたのはドル(もちろんUSD)と話題の米国債だ。
しかし、EURの対ドルレートを見てくれ。
そして米国債に至っては超長期債30年まで買われて目下最高値を更新しているという有様である。
もう一度しつこく書いちゃおう。
格下げされたのは米国債。だが、市場参加者が買ったのはドルと米国債だ。
この意味を私はこんな風に考えている。TINA(There is no alternative)、ドルに代替はない。誰が何を言おうが、財務健全性に問題があろうが、貿易赤字・対外債務が積みあがろうが、歴史的低金利を2013年まで維持しようが、ドルには、そういった”ファンダメンタルズ”は関係ない。ここで米国債が叩き売られ、ドルが大暴落していたら、これは深刻な事態である。しかし、市場参加者はドルの狂信者で何かあれば米国債とドルを買う。EUR、米国債金利、そしてBasis SWAPのチャートが示しているのである。
【エマージング・エキゾチック金利系】
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SGD SWAPがマイナス金利に突入
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