イラン、ウラン濃縮開始 核問題、欧米は不信感強める 2月9日
【テヘラン=松尾博文】イラン国営通信によると、同国のサレヒ原子力庁長官は9日、中部ナタンツのウラン濃縮施設で
イランが保有する低濃縮ウランの濃度を20%に高める作業に着手したことを明らかにした。核技術の軍事転用を警戒す
る欧米は濃縮強行に態度を硬化
させており、イラン核問題をめぐる対立は一段と緊迫の度を増してきた。
 ウラン濃縮はテヘランにある医療用研究炉向けの燃料製造が目的としている。複数のイランメディアによると、作業に
は国際原子力機関(IAEA)の査察官が立ち会った。サレヒ長官によると、専用の遠心分離機164台を使って濃度3.5%
の低濃縮ウランの濃度を高め、研究炉が必要とする燃料の2倍以上に相当する月間3~5キロの燃料が製造できると
いう。(07:00)

あぁっ、完成したのか? アフマディネジャドも勝利宣言よのぅ。
では本の内容をまとめてみよう。

イランの核問題 (集英社新書 441A) イランの核問題 (集英社新書 441A)
早良 哲夫

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2005年6月に行われた大統領選挙の際のショックは特に激しかった。テヘラン駐在の外交官は、全員がハシェミ・ラフサンジャニ
の勝利を公言していた。しかしながら投票箱から現われ出たのは、全く予想外の人物だった。その人物--マフムード・アフマデ
ィネジャド-は諜報機関の出身で革命防衛隊(パスダラン)に所属し、イスラム体制の中で最も堅固な中核部分を代表する超保守
主義者
だった。アフマディネジャドが相手では妥協するチャンスなどありえない。彼は国際社会と話し合うために登場したのではな
く、話し合いを断ち切るために登場した人物である。彼の氏名は最終段階にあるイランの核兵器開発を計画通り実現されることで
あり、この使命が達成された暁には再び政治の表舞台から消えていく可能性もある。
核エネルギーの平和利用のため、核燃料サイクルを国内で
この主張から生じる問題点は、単に平和利用だけを保障し濃縮も再処理も認めていないNPRについての一方的な解釈だけにとど
まらない。濃縮や再処理は、韓国やスウェーデンの例に見られるように、国外の設備や技術を利用すればできることである。この
平和利用計画は20年近く(1985年~2002年)にわたって分厚い秘密のベールに覆い隠されていた上に、その内容を明らかにした
のは外国に亡命中のイランの反体制派だった。
ロシア 信頼できないパートナー
2005年5月から06年1月までの間、ロシアの元原子力相エフゲニー・アダモフがスイスで拘束された。アダモフに対する告発は、
ロシアの核関連施設の安全を確保するためにアメリカが提供知った額の資金を流用したというものだが、ブシェールの原発をイラ
ンに売却する際に手数料を受け取ったことも非難の対象になっていた。ロシアとアメリカはスイス政府にアダモフの引渡しを求めた
が、スイスはロシアの「アダモフは国家機密を握っている」という主張を受け入れて2005年12月にアダモフの身柄をロシアに引き
渡した。いったい何に関する国家機密なのだろうか。核運搬手段の分野でも軽はずみな行為が見られた。例えば1999年と2000年
にウクライナがイランと中国に売った核弾頭搭載能力のある巡航ミサイルは、公式にはロシア向けに送り出されたものだった。爆撃
機から発射する空対地ミサイル「Kh55型」と「Kh55M型」である。イランは少なくとも6期を入手した。本来の受取人であるロシアの
輸入関係者の証明書が無い限りこれらのミサイルを第三国に向けて輸出することは不可能である。最も善意に解釈してもウクライナ
に拠点を持つロシアの犯罪ネットワークによる反抗であり、最悪の場合はロシア政府と共謀して実行された不正輸出ということにな
る。2005年秋、イランの核開発計画を巡って緊張が高まっていた時期に、ロシアは躊躇することなくイランに武器を売却した。ロシア
外航の不透明な動きは一向に変わらない。ロシアの場合、①戦略的な立場に立った判断、②ビジネスとしての計算、③犯罪のに
おいが漂う活動、の間に線を引くことは必ずしも容易ではない。
ロシアもイランの目的が核の軍事利用であることに疑いを抱いていない
イランが静水圧加圧装置や真空炉、遠隔操作装置、デジタル方式のエックス線撮影装置などを買い入れようとしたときもロシアは
イランの意図を正しく解釈した。ロシアは、イランが関心を示している金属ウランを半球形化する技術などについてもそれが何を意味
するか十分に心得ている。ロシアがアメリカやヨーロッパと完全な情報交換を行うことに応じることは、ロシアとイランの過去の関係
も明るみに出すことになり、実現の可能性は極めて小さい。
ロシアはイランを中東における重要なパートナーとみなしている
中央アジアにおける主導権をめぐる中国とのライバル関係を考えると、上海グループの間で結ばれた表向きの協力協定にもかかわ
らず、ロシアがイランを経由して中東における影響力を回復したいという気持ちは、経済面でかなりのプラスが期待できる。
中国 イランにとって確かな盟友
中国は数十年前からイランとの緊密な関係を築いてきた。その根底となっているのは、中国におけるとどまることを知らないエネルギ
ーの需要増大であり、イランにおける消費財への関心の高まりである。イランは国防の鍵となる様々な武器を中国から輸入した。
その中で特に注目すべきは約60基の対艦ミサイル(射程120km、マッハ0.9)で、イランの周辺海域にいる民間の船舶はもちろん、
軍用の艦船に対しても深刻な脅威を与えることができる。このミサイルは、同じ中国製で知名度の高い巡航ミサイル「シルクワーム」
よりも優れた性能を有している。イランは多数のシルクワームを自国の海岸やペルシャ湾の中央に位置するアブムサ島に配備してい
る。この2種類のミサイルにロシアから購入したキロ級の潜水艦を加えることでイランは周辺食国に対する戦略的な立場を一段と
優位なものにすることができる。イランは1990年代半ばに強力な監視用レーダーも中国から入手しており、自動化された防空網の
一環として最新の監視態勢を誇っている。
パキスタン 秘密の供給者、落ち着かない隣人 ~A・Q・カーン博士の闇ネットワーク
イランが時刻の核開発計画にパキスタンの協力があったことを否定する一方で、計画がURENCO社(英、西独、オランダの3カ国に
よって設立されたウラン濃縮の共同事業体)の技術に基づいていることを認めたのを受けて、IAEAは核を巡る両国の結びつきの有無
について調査を開始した。1970年代半ば、A・Q・カーン博士がオランダのある目路にあるウレンコ社の工場から遠心分離機の設計
図を盗み出した
ことから発している点で、パキスタンの核開発計画も元をただせば、出所は同じである。
南アフリカ共和国 謎めいた登場人物
南アはイランが核開発をしているのではないかと疑うだけの材料を手にしていた。南アは計画も秘密裏に推し進めながらも最後まで
隠し通す数多くの方法をそれまでの経験から知っていたからである。1991年南アは人種隔離政策(アパルトヘイト)の終局が避けら
れない状態となり、デクラーク大統領が非核所有国としてNPRに加盟する決定を下し、核開発計画を放棄した。しかし、それまで
に6個の核兵器を製造していた。1990年代になって明るみに出たことだが、核開発計画の実施を隠す方法は極めて複雑で高度なも
のだった。
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