物語 中東の歴史―オリエント5000年の光芒 (中公新書)
物語 中東の歴史―オリエント5000年の光芒 (中公新書) 牟田口 義郎

中央公論新社 2001-06
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おすすめ平均 star
star非常に興味深い。取り組み方も大事かも・・・
starvery interesting book, but…..

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神の啓示を受けしムハンマドは語る。
 最も祝福されたものは官能の喜びを超越したものである。

あー、みなさん、祝福されてます??
あの地域の女性って、私が知ってるのはクレオパトラくらいなんですが、それ以外にご存知ですか?

紀元前15世紀 エジプトのハトシェプスト女王の南海貿易
 乳香(香料)を求め、ドファール地方(イエメン)と対岸のソマリア東部。
 没薬(防腐剤)はイエメン東部とソマリア西部。
 これらの地方のことを神の地、プントと古代エジプト人は呼んだ。
 
シバ(南アラビア)の女王ビルキス
 ビルキスが、イスラエル王国のソロモン王(前967~928年)に贈ったほどの大量の香料は
 それ以来イスラエルに入ったことは無い。
女王の都パルミラ(シリア)のゼノビア
 ローマとペルシャの狭間で、その争いの最中、隊商都市として栄えた。
 3世紀、オダイナトによりパルミラ軍が決起し、王国へと発展したがオダイナトは暗殺される。
 その後妻ゼノビアは、そのクーデターを鎮圧し女王として君臨。

ムハンマド君、もしかして孫子読んだ?

剣かコーランか 預言者ムハンマドとイスラムパワー
モスリム軍は敵に対し「戦うか、それともイスラームに帰依するか」の二者択一を迫ったという。
「天国は前に、地獄は後ろにあり」
現実的にいえば、天国とは豊かな物質世界を形成している敵地であり
地獄とは、彼らが一旗挙げようと思って捨ててきた、慢性的欠乏症の砂漠地帯だ。
ペドウィン(砂漠の遊牧民)が古来からもち、彼らの行動原理になっていた略奪への本能が
イスラームの狂信性に裏づけされ、あのような大膨張の起爆剤になった。
彼らはそれにもう一つの条件を加えて、ひとつを選ぶことを求めた。
コーランか、降伏して貢納するか、それとも剣(戦争)かであって、彼らは実は
3つの中の貢納をもっとも求めた
のである。
戦えば、常勝という保証は無いし、勝敗にかかわらず多くの犠牲者が出るから
剣に訴えるというの味方にとって最悪の選択
だ。
非アラブがイスラームに帰依するのを好まなかったふしがある。「アッラーの前
にあっては皆平等である」とイスラーム説いているので、彼らを平等に扱わなければ
ならず、征服地からの実入りが少なくなって、帝国の膨大な維持費を捻出できない。
そこで彼らは相手が降伏しやすいように、この年貢額を前支配者時代の納税率
より低く抑えた
。解放者として迎えられた理由の一半はここにあり、征服時代に
見られる狂信性とは反対の寛容性は、実はこのような現実主義に裏打ちされていた。
イラン・イラク戦争のルーツ カーディシーヤの戦い
南イラクの今ではその場所さえはっきりしないカーディシーヤとは、アラブ版の関が原
ともいうべき古戦場だ。紀元637年夏、アラブ軍はこの地でペルシャ軍に大勝、余勢を
駆って首都クテシフォンを攻略、ついに641年、ニハーワンドの戦いに完勝して
ササン朝ペルシャを滅亡させた。