第5次ジャカルタ攻略 Zero~必要な社会インフラを考える(重要)

ふー、もう5回目か…。ジャカルタのKOST(アパート)暮らしも3回目だ。私が何度もジャカルタに足を運んでいるため、よく発生する勘違いなので最初に言っておくが、ジャカルタは面白いところではない。楽しさならマニラやバンコクの方が上である。ではなぜジャカルタなのか?
1.必要な社会インフラがないと、民の生活はどうなるのか? を見ることができる。
2.新興国の将来 を見ることができる。
順序を逆に、2の新興国の将来とは何かをまず説明する。例えば「カンボジア、ミャンマー、バングラ、もっといえばアフリカ諸国が今貧乏なんで、絶対発展する」という極めて楽観的な新興国への投資話をよく聞く。これらのフロンティアは、農業依存を脱し、軽工業・重工業という道を歩むことになるが、インドネシア・ジャワ島は工業化を終えた段階でも、まだまだ先進国には程遠く、豊かとも言えない状態である。ジャカルタのこの状態を見て、やっと軽工業化し始めた国に対して、「今貧乏だから将来絶対伸びる」と言えるだろうか?
ジャカルタの状態とは? ここで1に戻る。国民生活に必要な社会インフラが無い。先進国では空気のように当たり前に存在する基本インフラなので、気が付かないが、ジャカルタが、その必要性を教えてくれる。繰り返し述べていることなのでヘビーユーザーな読者には申し訳ないが、先進国住民はこの意識がない。(まぁ、空気のように存在するのだから当然なのだが)
1-1.通貨の信用
1-2.道路
1-3.地方都市
1-1.
悪性のインフレが発生しており、インドネシアルピアの価値はこの2年、対ドルで40%下落している。1997年通貨危機並みの水準である。年に一度ジャカルタに来ているが、同じコンビニのタバコやビールの値段が本当に毎年10%値上がりしている。毎年取ってきたエキゾ・ジャカルタ物価指数だが、今年はなんとコンビニビールの販売禁止。コラーーーッ、政府の勝手な都合で、統計の邪魔をするな!
ビンタンビール 330ml標準モノ Blok M コンビニ価格
2015年9月 パパヤ 18,500
2014年8月 セブン 18,500 サークルK 18,500 ファミマ 18,200
2013年6月 セブンイレブン 16,500 サークルK 15,800
2012年10月 セブンイレブン 14,000 サークルK 16,000
サンポルナメンソールマイルド
2015年9月 セブン 18,000
2014年8月 セブン 15,500 サークルK 15,500 ファミマ 15,200
マールボロ赤
2015年9月 セブン 19,500 アルファマート 19,100
2014年8月 セブン 17,500 サークルK 16,800
う~ん、ビールは上がってないように思えるが、スーパーで6本セットで買ったからちょっと安くなったのかもしれない。タバコは激しく値上がりしているのが分かる。ちなみに年率10%のインフレが何を引き起こすか、日本人諸君らは想像もできないだろうから、もう一度言及するが、コンビニの値札は信用できない。インフレに値札がついてきてないのだ。だからレジを通すと値札と違うことがある。買わないと実際の価格が分からない。経済だ金融だ株だ全く関係ない国民生活に影響が出てるだろ?
そんなインフレ下に置かれたジャカルタの一般市民たちのセリフだが、
 「銀行に預けても金利は、月に1%しか付かない」 
年間金利で12%だぞ。信じられないだろ? キャリートレードとか毎月分配とかやってる連中には。実際、現在の銀行預金で10%を超えるところはあまりないが、7~8%の金利は普通に期待できる。だが、民は銀行に金を置くことを嫌っているのだ。銀行の信用ではなく、通貨の信用がないからだ。給料はすぐにモノに変えないと、カネそのものの価値が落ちていくということを肌感覚で知っているのだ。
「自動車ローンで車買いたい」
普通預金金利がこの状態なので、ローンの金利はさらに高い。でもなぜそう思うのか。インフレで給与そのものが確実に来年上がるから、借金して車にした方が得だという考えなのである。これを高度経済成長慣性系、インドネシア慣性系と私は呼んでいる。日本だって1960年代はそうだったのだ。インドネシアルピア預金をしている日本人の先輩がいるのだが、彼は、「こんなに高い自動車ローン金利を払ってまで車を買うのは理解できない」と言っていた。
1-2.
ジャカルタ市内には自動車が走れる道路はある。空港から市内への高速道路もある。じゃあ何が問題なんだ!と思うかもしれないが、都市人口に見合う道路がない・都市設計ができていないのだ。人口2億を超えるインドネシアにおいて、ジャワ島・ジャカルタ市内1000万、首都圏内3000万人と、工業化と都市化の成功により、凄まじい人口集中が起きてしまった
3000万人の人口を養うには道路が必要なのだ。ジャカルタの地図を見てみよう。
オレンジ色が高速道路だが、ジャカルタ市内を中心に環状道路にもなっていて、ちゃんとしているじゃないか。と思うだろう?
Jakarta-Road_c.jpg
では、諸君らがよくご存じ、首都圏人口4000万都市の東京の地図を同じ縮尺でご覧に入れよう
Tokyo-Road_c.jpg
地図で見るとわかるね? 網の目のように高速道路が走り、何重にも環状線があり、東京を中心に放射線状に各都市に分散していく様が綺麗に出ている。それでも「東京は渋滞がひどい」とか文句を言ったことがあるだろう? ジャカルタと東京は首都圏人口としてはほぼ同じ。3000~4000万人が車で移動するのに必要な道路は、どんなものか知っている諸君らは、もう一度ジャカルタの地図を見返してみたまえ。「ジャカルタは道路がない」 このセリフもあながちウソだと思えなくなってきただろ?
地図だと観測できないが、高速道路、高架線道路、鉄道、立体交差、地下道、信号、こういったものがあるにはあるが決定的に不足している。信号もひどい。時差式、右折のみ、右折レーンなど、様々な工夫をして、渋滞緩和に努めている東京と比べれば、交差点で4つある道路のうち、一つだけの道路から3方向にしか動いていないような信号もある。これも急速な工業化と経済発展で、都市の人口爆発に都市機能が追い付いていない現象の一つだ。こうしたジャカルタの状況を見ると、東京の道路インフラは、空気ではない。政府や東京都が時間と莫大な金をかけて、作り上げてきた一大インフラだと意識が生まれてくるはずだ。
1-3.
少し細かくて見落としてしまうが、ジャカルタから地方都市へ向かう道路が、各方向1本しか伸びていない。東西を走るのが国道1号線、Cikampek道路である。この長い高速道路のほんの100mを労働者によるデモ隊数千人が塞ぐだけで、ジャカルタ経済は一日ストップしてしまうのだ。そして、この道路しかないようでは、地方都市の開発もうまくいっていないことが推測できる。
「誰も使わないような道路に国費を投じてけしからん。田舎の役所は立派すぎる。」 私もそんなことを思ったこともある。しかし、インドネシアを見ていると、そうでもしないと地方都市は発展しないことがよくわかる。
どうだ? 東京の道路インフラに感謝の気持ちなんて抱いたことないだろ? 日本の行政に文句しか言ったことないだろ? ジャカルタに学べ。さすれば日本の行政に感謝することになる。それが私がジャカルタを訪れる理由なのだ。日本の小学校の修学旅行は、ジャカルタにしたら、納税や行政の意義が理解できるかもしれないな。
ジャカルタに訪れる理由を述べるだけで1日使ってしまった・・・。
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