「なぜ自主的に廃業しなくてはいけないんですか!どうして会社更生法はだめなんですか。営業権譲渡など、他に生き残り方法もあるでしょう」五月女は野沢に代わって、社員の前でいきなり告白した。「山一には約2600億円の帳簿外の債務があります」それは長年にわたって社員たちに隠されてきた秘密であり、名門企業を瀕死の淵に追いやっているものの正体であった。執行役員たちは息を飲んだ。「ふざけるな!」という罵声の代わりに「ううう」という低い唸りのような声が漏れた。「大蔵省証券局は山一がそれを隠していたのは許せない、というのです。会社更生法で立て直すという方法は無いのか、と私たちも動きましたが、東京地裁は『簿外債務のような法令違反行為があると、更生法の適用は難しい』という判断です。さらに更正法を適用するには会社が大きすぎるし、財務体力も銀行の支援も無い、ということなんです」
> そういえば、会社更生法ではなくて自主廃業でしたね。
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「総会屋との取引関係」とは、総会屋・小池隆一に対する利益供与事件を指している。始まりは、野村證券の内部監査を担当していた若手社員がその不正に気付き、1996年に東京地検特捜部やSESC(Securities and Exchange Surveilance Commission)にひそかに内部告発したことであった。「野村證券が自己売買部門で稼いだ利益を小池のダミー会社である『小甚ビルディング』に付け替えてやっていた」というのである。それが年末ごろから少しずつ利益供与疑惑として新聞で騒がれ始め、翌97年3月25日には東京・日本橋の野村證券本社が特捜部やトクチョウ(SESCの特別調査課)の捜索を受けていた。不正のきっかけを作ったのは、第一勧業銀行である。1989年2月に小池に約32億円の無担保融資を実行し、小池はそれを元手に、野村、大和、日興、そして山一という四大証券の株を30万株ずつ取得していった。これで得た株主提案権を楯に、小池は株主総会めがけて各社に揺さぶりをかけつつ利益供与を求めていたのだ。
> 株主をナメ腐った日本企業の経営陣に、株主兼総会屋として噛み付いたのは悪いことではないと思うが、89年に証券株を買ってるあたりは、相場師として劇的にセンスが無いよなぁ・・・。株を買いつつ、その後ろでForwardを2倍ショートしてたとしたら、神様並みに崇めてやっても良いけど、店頭デリバティブ解禁は残念ながら1998年だ。