Oct 17 2011 【クレジット市場】日本国債CDSが急落、欧州危機の波及懸念が緩和
【記者:Masaki Kondo and Monami Yui】
10月17日(ブルームバーグ):日本国債の保証コストは今月、いったん過去最高値に達した後、急落した。世界で最も公的債務が多い日本にも、欧州債務危機の影響が波及しかねないとの懸念が後退した。CMAによると、日本国債に対する5年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率(スプレッド)は今月4日、過去最高の154.8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達した後、2週間で37bpも急落。この間の下げ幅は過去4年間で最大となった。米国債のCDSは今月に入り、4.8bpの下げにとどまり、47.4bpとなっている。
PIMCOはうまくいったかな。
保証コストの低下は、国債の需要が国内市場では根強いことを示している。13日に行われた30年債入札では、落札平均利回りが過去2年強で最低水準となった。みずほ証券の末広徹マーケットアナリストによると、先進国で景気減速の兆しが見られる中、資金逃避先を模索する海外投資家は、日本の経常黒字や円高に引き付けられているという。末広氏は、「経常黒字国というのは強みがある」と指摘。また、「ドルとユーロの不安というのが特に海外の中央銀行とかで根強い」とし、海外からの投資資金は「円に入ってきやすい状況にあると思う」と話す。8月の日本の経常収支黒字額は前年比で6カ月連続して縮小したものの、国際通貨基金(IMF)によると、昨年通年の黒字額は中国に次いで世界で2番目の大きさだった。一方、経常赤字が最も大きかったのは米国と英国だった。
貿易収支が13-4兆円(輸出60兆、輸入45兆程度)だから、1ヶ月あたり1兆円。それが5000億円になって半分だー!っていうのはわかるが収支で黒字ってのがねぇ・・・。貿易収支が半減!っていうとなんか半分になってるのかという印象を受ける単なる数値のマジックで、輸出10%減、輸入10%増くらいで貿易収支は半減することがわかる。なんだ10%だけなの?って思うでしょう?
経常黒字
日本は1981年以来、毎年経常黒字を計上しており、IMFの予測では、少なくとも2016年までは黒字が続く見通しとなっている。経常収支は海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す。海外投資家は年初来で日本国債を19.9兆円買い越した。これは統計で遡れる2005年以降で最大の買い越し額となる。
収益率が大半の先進国の債券を下回る中でも、円建て債への需要は増加してきた。ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会がまとめた指数によると、満期1年超の日本国債の年初来の収益率は1.6%で、ベルギーやギリシャ、ポルトガル、イタリアの4カ国を上回っているに過ぎない。もっとも、日本国債の収益率はドル換算では7.3%に跳ね上がる。
自国通貨建て国債の意義は、国内再配分と運用ニーズ、という極めて平和で、通貨に対する信任がある信者からの募金のようなものですから、相手が外国人でもあんまり関係ありません。一方、他国通貨建て国債ならば、これは通貨に対する信任がないということで、冷たい金貸しです。
円高
先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去1年で4.1%上昇しており、先進10カ国通貨のうちスイスフランやニュージーランドドルに次ぐ伸び率となっている。最も伸び率が悪いのがマイナス3.5%のユーロ。 フランスのサルコジ大統領が10日、欧州債務危機に端を発する信用不安への対処として、銀行への資本注入方針を表明したのを受けて、ユーロは対ドルで急上昇した。同国のCDSは9月に記録した過去最高の202.51bpから、今月13日には176.7bpに低下した。
SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、日本のCDSを上昇させるような固有の材料はなかったとした上で、他の先進国のCDSの上昇に「つられた」との見方を示した。日本の新発10年国債利回りは14日、1.015%となり、ブルームバーグが調査している先進国の債券市場の中でスイスと並び最低。同年限のフランス国債の利回りは日本の3倍近くも高い。
銀行の余剰資金
日本銀行の統計によると、9月の国内銀行の預金残高は貸出残高を約164兆円上回った。これは韓国とオーストラリアの国内総生産(GDP)の合計よりも大きい規模。国内銀行による日本国債の保有残高は8月時点で158兆円と、過去最高を記録した4月の159兆円に迫った。DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンドマネジャーは、資金需要の低迷で「銀行に預金があまっている」とし、投資先の選択肢が限られている中で、銀行の資金は「2年債や5年債」に向かっているとみる。
比較的短期の債券利回りの上昇を防ぐため、日銀は政策金利を0-0.1%の範囲内に設定している。日銀はまた、年間21.6兆円のペースで国債を買い入れており、その90%は満期10年以下の国債購入に向けられている。SMBC日興証券の野地氏は、経常黒字や日銀の金融緩和策のおかげで債券利回りは今後も低位安定すると予想されるが、GDPの2倍近い公的債務残高は懸念材料だと指摘。「毎年年を経るごとに日本の財政に対する懸念はどんどん広がっていくと思う」と話す。
原題:Default Swaps Plunge From Record Amid Haven Demand:Japan Credit(抜粋)
毎年年を経るごと、国債残高は積みあがり続けていますが、金利は上がらないwww
解決法は二つあるね。日本人が円を売ること(海外に出ること)、金を借りること(インフレ誘導)。
【G7 金利・国債系】
2011.10.03: 日本国債5年CDS 1.3% vs 日本国債5年モノ0.35%
2011.09.09: スイスフランの介入劇
2011.07.07: モルガンS、米インフレ期待めぐるトレーディングで損失
2011.04.18: 米国債券投資戦略のすべて3/3 ~パススルー証券
2010.02.04: 日本最大の投信「グロソブ」4兆円割れ
2009.12.01: 金利系投資からの撤退
2009.08.05: 金利をSalesに教える
2009.06.17: 暗算でやる金利計算@街頭インタビュー
2009.01.15: 株投資家から見たインフレ連動債TIPS
2008.12.25: さようならUS Strips
2007.12.17: 債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い
2007.12.12: 債券税制 ~これを知った上で買えるか?毎月分配
こんにちわ。
>日本人が円を売ること(海外に出ること)、金を借りること(インフレ誘導)。
この他に日本の海外援助などの出金を全て円建てでするというのがあるような気がするのですがどうでしょうか。
最後のところだけに反応してしまって全体の趣旨と微妙にずれていたら申し訳ありません。
いえいえ、趣旨は気にしないで何でもどうぞ。
ところで、海外援助などの出金とは? どういう意味だかわからなかったので・・・。
円の紙幣を持っていって、途上国の開発を現地で円建てで支払い、円の実効支配領域を拡大するということでしょうか?
早速のお返事ありがとうございます。
>海外援助などの出金とは? どういう意味だかわからなかったので・・・。
首相の外遊のときに出す手土産とか、ヨーロッパ危機に対する援助(お付き合い)とか、発展途上国への借款とかを念頭においています。
こういったものを「××億ドル」ではなく「○○○億円」という形で渡せば使うときにはユーロなりドルに換金してから使うので円安圧力になるかなと思った次第です。一つ一つは小さくてもダラダラと色々なところから売り圧力が発生するのは効果があるのではないかと。
>途上国の開発を現地で円建てで支払い、円の実効支配領域を拡大するということでしょうか?
これいいですね。すでに中国はやっていますが。
お返事書いたのに消滅してしまっている。何故だ。
民間に円売りをやってほしいですね。民間がモノを売って日本に還流させるから経常収支が黒で、その分を国が買い取っているから外貨準備金増となっています。
国が円売りをすると民間と公の間のインバランスは相変わらず解消しないので、小さなことで言うなれば、個人に海外旅行に行ってもらうことでしょうか。
> お返事書いたのに消滅してしまっている。何故だ。
Webへのリンクを書いたりするとスパム扱いになることもあります。NoticeくださればCheckします。
詳解ありがとうございます。
単に日本国からの出入りだけで収支を合わせれば円安方向へ動くと思ったのは単純に過ぎ、民間・公と分けて考えなければならないのですね。
>民間に円売りをやってほしいですね
これは「ミセス渡辺」に期待ですか。それとも我々がドル建ての債権あたりを買うとか。
>Webへのリンクを書いたりするとスパム扱いになることもあります。NoticeくださればCheckします。
ありがとうございます。これは、コメント欄のエディタに直接書いている私が悪いのです。できるだけ他のエディタで書いて流し込み、反映を確認するようにします。
もちろん、外で買い物すれば、民間・政府によらず円売りにはなります。それは現状がそうなので、もう少し民間も何か買えば、バランス良くなるのでは? と思っています。
民間の買い物でよさそうなのは資源と株式かなと思いますが、株式は「買ったらあかん」と(レーガンのときだったかな?)買った後から言われて手放さざるを得なくなったとか、資源権益はこれはこれで軍事力の背景がないと横槍で手放さざるを得なくなるので日本には難しい買い物。
原価の何(百)倍にもなるようなバッグばっかり買ってもしょうがないし、何を買ったらいいのでしょうか。
ペーパーアセットはもう良いでしょう。おっしゃる通り、資源、人、土地、それを買うのに何か弊害があるのなら、その道を整えることが国家としてやるべきことだと思っています。
>資源、人、土地、それを買うのに何か弊害があるのなら、その道を整えることが国家としてやるべきこと
成程。つまり、円安への途を一言で断じれば
「国がやるべきことをキチンとやれば自ずと円安へ流れるように民間が買い物をしてくれる」
ということですね。
なんでもかんでも国が悪い、政治が悪いという日本の世論には反対です。まずは民間が動く。動きながら国と対話する。こういうイメージで有効な買い物を積極的に行っていくべきだと思っています。
そうですね。なんでもかんでも国が悪いという言い方はどうかと思います。一方で国のやっていることは、国のやっていることだから問題ない、完全無欠だというような言い方をする街宣車でガナリ立てている方々のような考え方も困りものです。
他方、今回の原発事故の後始末やそれに伴う報道のあり方を見ている限り、少なくとも「国の言っていること、やっていること”だから”信用できる」というような考え方はきわめて危険だということが再確認されたということは疑いがないのではないでしょうか。
PS
政府が言っていることも鵜呑みにできませんが、マスコミ報道も「世論」とは思えません。私はこれをして「世論」ではなく「世論誘導」だと思っています。
> 政府が言っていることも鵜呑みにできませんが、マスコミ報道も「世論」とは思えません。
おっと、天才・中卒・総理大臣の田中角栄がこんなことを言ってますよ。
この動画の5:30見てください。
世論と言うものは新聞じゃないんだよ。うーん。テレビじゃねーんだよ。
世論と言うものは選挙だ。選挙の結果が世論だ。そんなことわからんでどうすんだ?そうでしょ?
ロッキード事件で逮捕後も必ず当選し、議員として活動してることに対して、
「世論に反して当選して議員として居座り続けることに問題は感じないのか?」
という質問に対する答えだったかと思います。
田中角栄・・・かっくいいな。彼は真実を言っていますね。常にものごとの核心を突いている。
私が知っているのは「世論というのはマスコミじゃないんだ。選挙なんだよ選挙」と畑の真ん中で言っているシーンですので、多分何度も繰り返された持論だったのだと思います。
世論が「選挙民の意思」であるということに異論はないのですが、(国)全体の意思であるべきところと(選挙区という)局地の意思であるという部分の調整をどうするかというのが政治家個人の資質に任されている現制度に問題がないのかという点については常々疑問を持ち続ける都市生活者の私です。
最終的には一票の格差をどう是正するか=どういう物差しを使って平準化するかという問題に帰結するのでしょうが、これも被選挙民の集合体の資質に任されているという缶切りは缶の中状態で達磨さんです。
最近角栄がつぶされた理由がどこにあったかという論説をチラホラ目にする機会がありますが、そういったものを読んでいると彼は日本にとって有為な政治家だったんだろうなと思うことがあります。もっとも、リアルタイムで事件とそれに対するマスコミ報道の渦中にいた時分は見事に誘導されていた幼かった昔をも思い出してしまいますけど。
> 「世論というのはマスコミじゃないんだ。選挙なんだよ選挙」と畑の真ん中で言っているシーン
角栄選挙に強いですからねぇ。それは政治家としても持論にすべきですね、確かに。
天才角栄に逆らうようですが、選挙の方法など、どうでも良いことです。民主主義というのも民に自信を持たせるための方便にすぎず、あえて極端に言えば、一票の重みなど全部一緒で0です。朝鮮民主主義人民共和国なんて言いますが、朝鮮だけでなく民主主義とか名前に入っている国に限って全く非民主的です。日本はその点、国の名前もわざとらしくこびる必要がなく、ほぼ全国民が中産階級という意味で、最も民主的な国だと思いますが、それは選挙の賜物ではなく、天皇家の存在と同じところに帰すると考えています。
http://www.ichizoku.net/2008/09/post-125.html
救世主の登場を今か、今かと待っているくせに、自分がその救世主になろうとはしない。それが民だッ!
> リアルタイムで事件とそれに対するマスコミ報道の渦中にいた時分は見事に誘導されていた幼かった
お年が大体推測できます。
>民主主義というのも民に自信を持たせるための方便にすぎず
これは自分にとってチョッと目新しい視点ですね。しかし、その方便の向こうにある目的、自信を持って何をするのかさせるのかというのが いま一つピンときません。
また、
>、一票の重みなど全部一緒で0です
こういう物差しがあるということかと思いますが、この物差しについても想像が付きません。結局は神輿に乗せる飾り物を選んでいるだけで担いでいるのは別の勢力(氏子中)ということかな? それとも、更に細かく担ぎ手と長老達を別にして考えているのかな?
>お年が大体
推測しないでください(笑)
良い議論に展開してますね。あら井様、ご協力ありがとうございます。
返信書いていたのですが長いし、せっかくだから本記事にして、議論しても良い内容にまで発展していると思うのです。
欠点としては、年末まで投稿予定記事が埋まってまして議論にタイムラグが出てしまうこと。
コメントまで読む読者は少ないと思うのですが、
>民主主義というのも民に自信を持たせるための方便
>一票の重みなど全部一緒で0
などという暴言を本記事で書くと荒れちゃいますかねぇ…荒れて良いんですけどねぇ私は…。
それから、あら井様とお話していく中での自然な展開でここまで話が膨らんでいるので、どこでぶったぎって記事化するかも考えないといけません・・・。
ブログ運営上の勝手な都合で恐縮なのですが、これ一部引用しながら記事にしたいのですがいかがでしょうか?
もちろん、時間優先で、「とにかく上記暴言の意味するところは何か説明せよ」ということでしたら、明日辺りにでも返信できます。
>ブログ運営上の勝手な都合で恐縮なのですが
はい。結構です。気合の入った記事を期待しております。
PS
降臨された場に私も同席したかった。残念。といっても質問なんかできずにそこにいるだけだったでしょうけど。
ありがとうございます。ネタとして使わせていただいて恐縮です。
同席してたら…、よくしゃべる男だなぁ…と思ったと思います。