ラモントは、イタリアの起こしたエチオピア戦争をアメリカの西部開拓にたとえて次のように記した。「首領(ムッソリーニ)がアフリカの新しい帝国の発展について語っているが、今後のエチオピアには、農業・経済開発の仕事が残されている。広大で肥沃な土地が、ほとんど人の住まない未開墾のままである。今後、その土地は、イタリア移民の勤勉にして賢明な工作に任されることになるが、約半世紀以上も前に、広大なアメリカ西部の資源がアメリカ移民の手で開発されたのと事情は全く同じである」
リビア、ケルキラ島、エチオピア、スペインの各地でイタリアが次々と暴虐の限りを尽くした後では、このようにムッソリーニの指南役を買って出ることは、ひどくお門違いと思われる。
モルガン家(下) 金融帝国の盛衰 (日経ビジネス人文庫)
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