私は1997年大和銀行ニューヨーク支店に入行、1980年頃より有価証券投資を任され、82年には1000万ドルの変動金利債の枠も与えられました。83年に5万ドルの損失を出し、それを補填するため、米国債の無断取引を行い、さらに損失が膨らみました。84年には大和銀行の資金5万ドルを自分名義の別の銀行の口座に移しました。86年にはニューヨーク支店がミッドタウンに移転し、同時に大蔵省およびニューヨーク州銀行局よりダウンタウンで証券カストディ業務を行う許可を取得しました。89年に合計25億ドルのポジションをもって3億5千万ドルの損をしました。また88年に52万ドルの資金を私が支配力を持つ他人名義の口座に送金し、証券、先物、不動産投資に流用しました。
米国で証券の取引決済と現物の保管を取り扱ういわゆるカストディ業務を本格的に行っていたのは大和ニューヨーク支店と東銀信託のみであったので、必然的に私の管理するコストディ係はニューヨーク支店の一大収益源になった。この倉庫を改造したダウンタウンオフィスにほぼ全ての銀行機能が完備されていた。証券投資売買業務、管理記帳事務、証券保管事務、証券取引決済事務、送金事務、リコンサイル(照合)事務が全て私の管理下にあった。証券カストディは大きく分けて3つ、証券保管、取引決済、利金取立であるがニューヨーク支店とオフィスが分かれていることもあって送金事務も独自に行っていた。送金が自由自在にできるということは銀行の資金を自由自在に動かせるということでその気になれば一夜で銀行を破綻させることも可能だ。
俺の苦手なバックオフィス、金融界の流通業ですね。そう、おっしゃるとおり、超重要。
1銭の金も出さず円換算で1500億円の国債を買うということは常識では想像もつかないが、業者が購入資金を貸してくれるのである。業者にとっての与信リスクは損失が生じた場合、当方に損失の支払い能力があるかどうかで、当然彼らは大和銀行bの信用で、これを判断している。この取引をアメリカではレポと呼び、日本では現先に類似する。
一般に投資とは元本リスクを最小限に抑え、より高い運用益を得ることが目的であり、預金、債券運用、配当金目的の株式長期投資が主なものである。それに対し、投機とは対象物の将来価値を独自の知識、分析力をもって予想し、売買益を目的として資金を投じる行為であり、一般の株式売買が一番わかりやすい例だ。最後に賭博は勝率が5割以下の遊びであり、目的はあくまで娯楽である。
これが井口君の投資・投機・賭博の定義らしい。マルキールも「ウォール街のランダムウォーク」で同じようなことを書いていて、数学者とは思えない発言だったがのぅ。
俺の定義を対抗して書こう。
投資とはリスクプレミアムをもらう行為、投機とはリスクプレミアムを払う行為、賭博とは、不確定な将来を予想して金品を争う行為全般を指す。ただ、株のリスクプレミアム、期待成長率とリスクを規定するのは難しいが、一般にリスク回避的な傾向が示せればそれは投資とみなすしかないだろう。
現物と先物で合計1億ドルの枠があった。ところが大和の損切りルールは累積損が100万ドルになれば取引停止という非常識なものであった。1日の動きが2%にも及ぶ日がある相場で半期1%の損失リミットを設け、支店の業務として認めている自体、どれだけ本部が長期国債相場の潜在リスクを理解していなかったかを如実に物語っている。
単に30年債やっちゃいけなかっただけなんじゃないの? 潜在リスクじゃなくて、表面化しているリスクとして、毎日のVolatilityだけでも30年債で1%で済むってことはないでしょうよ。
1989年の終わりごろ、キャンターの画面に500本(5億ドル)のBIDが入った。普段キャンターの画面に入る気配は50本までであるが、異常なBIDに相場はざわめき、当然「誰の気配だ」という疑問がウォール街の電話線を走った。これが当時、ボンドの最大手であったゴールドマン・サックスとかであれば巨大な買いが入ったと見て相場は暴騰するところであるが、それが日本の中堅証券である勧角証券(NKK)だと分かった。NKKの500本をブラフと見て勇敢な投機家が300本も売りつけた。数分後200本売りのせして崩しにかかった。それに勢いを得て他のトレーダーが便乗し5/32ほどくずれたが、NKKはまた500本のBIDを入れた。足元に火がついたが如く空売り玉を買い戻しに入った。NKKの背後の正体が分からない限りたとえブラフであろうがあまりにも危険と見たのだろう。NKKは、数ヵ月後高値で3000本をつかまされた後、相場は暴落し、巨額の損失をこうむったようであった。NKKのバックには日本生命がいたというウワサも流れたが、真相はわからずじまいであった。
1990年頃から空前の対米投資熱に狂った日本勢が皆一様に大怪我をして引き上げだしたが、性懲りも無く米国債トレーディング業務を続けているのは大和のみであった。。私は米業者間で不死身のトレーダーとして知られ、業者からの接待の勧誘は後を絶たなかった。私は信条として業者の接待は一切受けないことにしていた。彼らにとっては極めて不思議な存在であったろう。チーフトレーダーのくせにカストディ係のマネージャーもしている。どちらかといえばその方が主でトレーディングは従というのは常識では考えられないことだ。夕食に誘っても夜は8時まで事務をしている。そのくせ日中はウォール街の誰よりもボンドの売買をしている。ところが給料は固定給でウォール街の相場の1/5程度しかもらってない。3倍の給料で打診しても断ってくる。
ハハハ。不思議の国日本。教えてあげよう。コーポレートガバナンス・相互チェックの機能という発想が日本には無い。武士道に基づく性善説、つまり奉公の精神で会社のために尽くすという信頼関係で成り立っているからだ。
94年、下落を続けている米国債相場でキダーピーボディ証券で損失を隠匿するための架空利益操作が発覚、10月には唯一日本人プレーヤーであった東京証券が債券運用部長による無断取引で320億円の巨額損失を計上して退場した。カリフォルニア州オレンジ郡の巨額損失2000億円が表面化した。不動産抵当証券のデリバティブがらみで多額の短期米国債が投げ売られ、我々の穂湯言うしていた短期国債の大きく下落した。ところがこの下落による損失を中和するため売却した長期先物が逆に上昇し、損失は中和されるどころか倍増した。
しかしさ・・・10年以上やってて、こういう損自慢しかないのはなんでなんだろう? 普通、損したり得したりじゃないのかね?
【G7 金利・国債系】
2011.10.31: 日本国債CDSが急落
2011.10.03: 日本国債5年CDS 1.3% vs 日本国債5年モノ0.35%
2011.09.09: スイスフランの介入劇
2011.07.07: モルガンS、米インフレ期待めぐるトレーディングで損失
2011.04.18: 米国債券投資戦略のすべて3/3 ~パススルー証券
2010.02.04: 日本最大の投信「グロソブ」4兆円割れ
2009.12.01: 金利系投資からの撤退
2009.08.05: 金利をSalesに教える
2009.06.17: 暗算でやる金利計算@街頭インタビュー
2009.01.15: 株投資家から見たインフレ連動債TIPS
2008.12.25: さようならUS Strips
2007.12.17: 債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い
2007.12.12: 債券税制 ~これを知った上で買えるか?毎月分配
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