香港と日本ではどちらが物価が高いか
よく聞かれる質問だが、これにはどう答えたらいいかわからない。
香港は服が安い。しかし、いいものは東京が安い…香港の医療費は法外に高い。しかし日本の医療費は健康保険でまかなわ
れているから安く感じられるだけ・・・堂々巡りの香港・東京物価論争の糸口を探すため、私は一つの実験を思いついた。東京
と香港で同じ程度の金額を使って同じような生活をし、自分がどう感じるかによって、香港と東京の生活感を測る
。公的には
何の説得力も無い実験だが、自分にはそれが一番リアルな方法だった。
そんなことを意識し始めてから、ある日ふと、自分が貧乏臭くなっていることに気づいた。同じ程度の金額を使いながら、香港で
感じるこの挫折感は何なのだろう。法外な贅沢をしたいわけではない。今日一日を少しだけ豊かな気分にさせてくれるちょっと
おいしいパンやちょっとおいしいチーズ、ちょっとおいしいバター・・・つつましい生活環境の中でかろうじて自分の尊厳をささえて
くれるそんな日常の脇役を手に入れようと思えば、それは自分の日常圏内にはなく、いちいち香港島の外資系百貨店や高級
食材店へ出向かなければならない。問題なのは、そんなささやかな希望を持った人間に卑屈間を味わわせるほど、それらを
提供する店が高級だということだった。結局私はひどく気分を害し、二度とこんな所へ来るものか、とそんな世界との訣別を
誓ってしまう。
よく問われる質問ですね。確かに答えに窮するのです。
上記の考えは非常に同意できる俺流購買力平価。為替レートと合わせて測度変換完了です。
時代が違うのかもしれませんが、私の時代では、ちょっとした贅沢はそれほど高い値段を出さなくても
シティースーパーやSOGOなどで気軽に買える良い時代でした。

「日本人にも中文名があるのね。これは日本語でなんと言うの?」 そういわれて今度は自分の名をローマ字で紙片に書いた。
「これは英文名でしょ?あなたには日本名はないの?」
博美をぼっめいと読むのは広東語読みで、それを日本語読みするとHiromiになるの。でもそれを漢字で書くと『博美』になる
の。日本語で書くこともできるけど、それを書いてもあなたには読めないから、こうして中文と英文で書いてるだけ」
「ほら、じゃあやっぱりこれは中文名と英文名じゃない。」
わかるわかるー。中国vs日本。私もやりました。(香港vs日本ではない)
日本の名前ではなく、中国名を持っていると思っているみたいなんですよ!
だから漢字名前を教えると中国音で呼んでしまう・・・。

香港人には食べ物しか誇りに思えるものが無いんだから。香港人が愛しているのは香港じゃなくて香港式の生活様式。
香港人は自分たちが普段食べているもの、雲呑麺とか水餃麺とかが食べられれば世界中どこでも生きていける。日本人なら
きっと故郷の山とか海とか、日本語とか、そんなことを懐かしく思うでしょ。でも香港人は違うんだ。彼らに必要なのは茶餐庁
(ちゃーつあんてん)と中国人が多くて交通が便利なこと。これだけあれば世界中どこでも香港と思って生きていく。
外国に溶け込もうなんて最初から考えていないんだ。だから生存能力が高いんだよね。きっと世界中でひんしゅくをかっている
はずだよ。
日本人のブランド好きをいい物が欲しいが自分の価値基準に自信がないため、ブランド品を選んでおけば間違いなくて安心だ
という成金志向
だとすれば、香港の金持ちもまさにその類である。これは日本人や香港人の特性より、短い時間で急に金を持つ
ようになり、年月をかけて品性を育てる忍耐力の無い人々に見られる傾向であり、金という手段でしか自分を表現することのでき
ない人たちの宿命というべきだろう。
返還についてどう思う?
返還して一つだけいいことは、香港人が中国政府に対して「騙されないよ」という警戒感を持っていること。植民地時代はそうじゃな
かったわ。イギリス政府だって人民を搾取していたのに、香港人は「イギリスはけっこういい」って思ってた。なぜそうなのかしら?
イギリスは豊かそうだから信用して、中国は自分たちより貧しいから信じない。豊かな国は何も奪わないけど、貧しい国からは何か
奪われそうな気がして怖い。でも香港人民を一番騙してたのは一体誰かしら?
ここを植民地にしていたイギリスじゃないの。結局
香港人は見た目で判断しているだけなのよ。返還をきっかけに、香港人はよく考えるようになった。それが一番いいことだと思う。
私たちが必死に勉強したのは、あそこから出るために勉強するしかなかったから。勉強しなければ自分にどんな将来が待っている
のかわかっていたから必死だったのよ。でも娘は違う。恵まれた環境で育ったら、強い意志を持つことは難しいでしょう。ただ放って
おいたら多分自分では何もしなくなってしまう。それを手助けするのは親の責任
だと思うの。
教育の基本です。同意です。
何となく民主的ってのいうのも怖いと思う。立法議会の選挙で民主派が圧勝したね。何となく民主的な気がする。でも直接選挙
で僕らが選挙できるのは60人のうち三分の一の20人だけ。20人全員が民主派だとしても議会で絶対に過半数は取れない。
でもそういうことは誰も疑問に思わない。民主運動家の魏京生と王丹が釈放された時、香港人は喜んだ。でもこれから天安門事
件で中国を非難しにくくなるということを誰も考えない。何となく民主的ならそれでいいってムードが広がっている。香港人の最大の
問題は本当の民主を経験したことが無い点なんだ。植民地香港に政治的自由は存在しなかった。香港人が実質直接選挙権
を与えられたのは1991年立法議会の選挙が初めてだよ。それは返還が決まってからイギリスが点数稼ぎをするために駆け込みで
許した権利ってだけなんだ。イギリスが自分たちの言うように本当に自由と民主主義の国だったらなぜ140年間も放っておいたんだ
い? 香港人は経済活動が自由だったから、自分たちは自由を知っている人間だと思っている。でも経済の自由と政治の自由の
違いが全然わかってないんだ。本当の民主を知らないから民主を比較することしか出来ない。「民主が無いより形だけでもあった方
がいい」「中国よりまだ民主的だ」ってすぐに納得してしまう。とてもコントロールのしやすい人たちなんだよ。中国は香港人民がこれ
ほど支配しやすい人たちだとは思っていなかったんじゃないかな。「香港人の愚民化はとても簡単だ」、そうやって笑っている姿が想
像できるよ。「全部イギリスがやっておいてくれた。我々はイギリスに感謝しなければならない」

国民性の問題ではない。民とはそういうものだ。
香港とは、命を賭けて出てきてしまった人が集合する場所なのだ。博打はこの街に入る前からすでに始まっているのである。穏やか
な生活を好む人間は、もとよりこの街には来ない。香港で生きていくといういうことは激しく、騙し騙され、血を流しながら自分の居
場所を確保していく闘い。競馬や麻雀にすら賭けられないような人間が、人生という博打に賭けられるわけがない。私は「競馬を
しない男にロクなのはいない」という意見に傾きかけている自分を感じていた。
【民族意識と国民意識】
2009.08.21: インド独立史 ~ナショナリズムの確立
2009.08.20: インド旅行 招かれざる観光客
2009.07.22: タイ旅行 農業と宗教vs金融と資本主義
2009.07.21: タイ旅行 究極の製造業である農業
2009.07.20: タイ旅行 国土がある、通貨がある、言語がある
2009.07.08: 世界一レベルの低いDerivatives Investorが生まれた理由
2009.07.07: 世界一レベルの低いDerivatives Investor
2009.02.04: 新たなる発見@日本
2009.01.23: ドイツからのお手紙 銘柄選定における国民性
2009.01.05: ユーゴスラヴィア現代史
2008.12.08: アラブとイスラエル―パレスチナ問題の構図
2008.10.22: 香港とシンガポールの違い
2008.08.22: Olympicと国家
2008.06.20: 美の基準 ~民族を超えたArbitrage
2008.05.13: 語録 ~中国のお友達