2年前・・・
「アナと雪の女王のDVDを買ってもらった」
「ああ、そう。じゃあ、最初は日本語で見て、次に英語の日本語字幕で見て、内容覚えたら字幕を消してみると良い。」
3ヶ月前
「今でもアナと雪の女王が好きだ」
「おお、随分、持つねぇ。だいぶ古いだろう?英語で見れるようになったかな?」
「当然、だって声が違うから、英語で見ないと駄目でしょ」
「そうかね、英語で理解できるということは、アメリカのディズニーランドでも行く?」
「アナと雪」も追求すれば深い。アンデルセンへの回帰という文学的側面、ディズニー音楽というミュージカルの要素もある。ただ、私が誘導したいのはコンピューターグラフィックス技術だ。氷の透明感は、光の入射角と反射角を入力し、コンピューター上で実際に光を当てることで、リアルな質感が実現することまでは、前から知っていた。それにしても、私がCGを語るのはあまりに薄っぺらく自信が無いので、後ろ盾として、このブログの管理者であるut氏、ゲームクリエイターの先輩などに、色々聞いていたのだが、今回、新たにシンガポールで、グラフィックスの研究をしている学者先生まで見つけてしまった。昔からだが、俺も学者の後ろ盾大好きだねぇw 先生によると「アナ雪の雪は、最新鋭のテクノロジーを駆使しており、実際の粒子レベルの運動を微分方程式で制御している。」らしい。それが載っているのが、グラフィック界の権威であるSiggraphのMPM(material point method)論文だ。
画像や微分方程式も載っているので、英語部分をあまり真面目に読まなくても、論文の骨子は理解できる。またYoutubeの動画もSiggraphが義務付けているようで、動画まで見ることができてしまう。論文内では10^7個の粒子を使った動画の開発なのだが、「アナ雪」本番ではもっとカネをかけて、数が多いのだろう。CGの学者の先生方は「アナとエルサ」ではなく、「雪」を見るために映画を見るそうだ。MPM論文の発表が2013年7月、「アナ雪」の公開が2013年11月。そして、MPM論文のすべての画像に○C Disneyと書いてある。総資産100兆円のディズニーがお抱え学者を擁して、2013年当初、最新の論文をフロントランニングで入手した上での映画の開発だったことが伺える。
「お前らと話をする時は常に、大学レベルの数学にまで通ずることを意識しているが、今回の『アナ雪』は大学レベルを超えている。俺が大学で勉強したのは100年前の学問だが、このMPM論文は2013年、ほぼ最新鋭の研究と言えよう。例えば、この微分方程式 ρDv/Dt = ∇ · σ + ρg が雪の挙動を示していて、全体を密度ρで割れば、右辺第1項の抵抗に対して1/ρがかかる。すなわち、軽いものほど、重力の影響が弱くなり、ふわーっと落ちるということを意味している。」
「エルサとアナは好きだけど、コンピューターグラフィックス、あんま興味ないんだけど・・・」
なにーーーーーーーー! ちょっとハリキリすぎたか? 数学で俺を越えるには少なくとも数年はかかるが、CGの世界ならば、3日も勉強すれば、俺を超える。その際は、俺の後ろ盾である・・・、まで用意していたのに! ララポート富士見にあるチームラボの見学も御破算だ。「子供にCGを語るのはちょっと難しいのではないか」というut氏の懸念通りになってしまった。