アテネ民主政治の仕組み
古代民主政治の基本的な原理は、市民の間に治める者と治められる者との差別をなくすることにあった。つまり職業的官僚を認めないのである。そのために役人の任期を限定する必要があり、それは1年で重任再任を禁止した。もっとも10人の将軍のように経験を必要とした重い役は何度でも重任を認め、事実ペリクレスは15年間連年この役についていた。また財産によって就任資格が決められることもこの原理に反するので、本来国家の最高官職たる9人のアルコンの役も前457年にソロンの制度での第三級の市民にまで開放された。第4級の市民は法制上は除外されたが、実際には財産による資格はあまり重視されなくなったらしい。もっとも高級財務官は第一級の市民に限られたが、これは公金横領とか収賄とかいつの世にも役人につきものの過ちが当時も少なくなかったことを物語っている。