8月20日が設定日のようだが、全国の営業マン達の努力により、たくさん集められたことをお祈りしよう。同シリーズ1109が12000円で早期償還したので、調子よく集められたと期待できる。「欲しがりません勝つまでは」が原則なのに、民は「止めません負けるまでは」で、投資とギャンブルをやってしまう傾向がある。
http://www.nomura-am.co.jp/fund/pros_gen/Y1132057.pdf
■投資方針
●運用にあたっては、円建ての短期公社債等の短期有価証券を中心に、コールローン等にも投資するとともに、わが国の株価指数先物取引の買建てを行ないます。
・ わが国の株価指数先物取引の買建ての額は、原則として信託財産の純資産総額とほぼ同額程度となるように調整を行ないます。
●円建て資産を、原則として対豪ドルで為替ヘッジを行ない、豪ドルへの投資効果を追求します。
・ 対豪ドルで為替ヘッジを行なうにあたっては、円売り豪ドル買いの外国為替予約取引等を活用します。
・ 外国為替予約取引等の買予約の額の信託財産の純資産総額に対する比率は、原則として高位を維持することを基本とします。
●基準価額(支払済みの分配金累計額は加算しません。)が一定水準(12,000円)以上となった場合には、短期有価証券、短期金融商品等の安定資産による安定運用に切り替えることを基本とします。
・ 市況動向等によっては安定運用への切り替えを速やかに行なうことができない場合があります。
・ 基準価額が12,000円以上となり安定運用に切り替えた場合には繰上償還します。
■主な投資制限
株式への投資割合 株式への投資割合には制限を設けません。
外貨建資産への投資割合
外貨建資産への投資割合には制限を設けません。
デリバティブの利用 デリバティブの利用はヘッジ目的に限定しません。
※外国為替予約取引の利用は対円でのヘッジ目的に限定しません。
ほほぅ、かなり運用自由度が高いな、俺が運用したいくらいだ。野村AMにデリバティブ運用ができるFMが育ったこともほほえましいが、先物と為替のフォワードだけで運用していそうなFMに言いたいことは山ほどある。
まずこのファンド、デリバティブ運用だから、超カネ余りファンドになる。(良い商品設計だ)
1000億円集めたとしたら先物を純資産総額分買うと言っているだが、実際に必要な証拠金はその10%程度。さらにAUDJPYの為替予約も高く見積もっても同程度なので、預かり資金の80%超、すなわち800億円相当が余剰資金として浮いていることになる。このカネは短期公社債等で回すということになる。だから、見てみい、投資額ベースで考えたら預かりの80%を公社債・ローンに回すわけだから、投資方針の1番目に、コールローンと先物取引という順で書いてあるw
ETFにしないで、ロールコストを払ってまで先物でやっているおかげでできる80%の余剰資金は今のご時世、使い出がある。800億円では野村の資金繰りには大した影響ないであろうから野村救済ファンドとは言えないまでも、野村に対するローンで運用してくれれば、少しは運用益も期待できそうだ。コール・ローンだけではなく、数年程度のデュレーションを持つ国債運用を少しだけ加えても面白そうだ。シリーズ1109はわずか半年で償還してしまっているわけであるが、その場合は単に途中売却すれば良いだけのことだ。
メインの先物は期近のものだけではなく、ロールコストとの兼ね合いだが、期先のクロスを入れても良いかもしれない。20%Targetがあるので、是非やって欲しいのがオプション売りによるポジティブキャリーの創生である。どんなオプション売りのパターンがあるかヒントを与えてやろう。
クローズドエンドなので、エンド時期の120%行使価格のコールオプションを売る。これだと、Implied Volatilityの変動の影響を受ける、Time Decayが小さい、Deltaが弱まるので、あまりメリットが無いと思われる。逆に1か月のオプションでは20%アウトのコールのプレミアムは1円にも満たないであろうから、この2つの中間点のポジションが適切になろう。
運用開始当初は、基準値10000円近傍あるいは未満で推移している時は、1-2カ月もののカバードコールで十分だと思うのだが、ATMでなく、若干上目のStrikeを売り重ねて、耐える。コールを売ることで、デルタを落としたくない場合、先物を買い増してデルタ調整は、下がった時にデルタが1以上になってしまうことを覚悟しなければならない。ポジティブキャリーを維持しての、デルタの調整は、カレンダースプレッドで行うとよろしい。詳しくは投資一族のブログを読み返しながら復習すると良かろう。基準値が11000近傍・超過してきたら、120%行使価格の少し長めの期間のコール売りも選択肢に入れて良い。コールの売りを入れ、株が上がると2つの要素でデルタ不足が発生する。1.コール・オプションのガンマが効いてくる。2.株とAUDJPYは正の相関があるため、AUDの上昇分だけJPYエクスポージャーである先物を買い増す必要がある。
同様にAUDJPYのオプションの売りも実行は可能であるが、Volatilityが低いこと、売りがキャリー・ネガティブを引き起こすことから、株のオプションほどの効果が見込めないことから、必要無いと踏んで良いだろう。
下げた時のクッションとプレミアム奪取によるアウトパフォーマンスが目的である。お手製AUDJPYクオントファンドなので、為替と株のエクスポージャー調整も忙しいとは思うが、この取引制限なら積極的にオプションを活用していただきたいと願っている。
【市場と実戦:Vanilla・幾何ブラウン】
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